星新一のレビュー一覧

  • 午後の恐竜

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     男は目覚めると、その眼前には異様な光景が広がっていた。窓の外ではマストドンザウルスが闊歩していて、奇妙な植物が生えているのだ。触れることもできないそれは集団幻覚の類なのか、それとも一夜にして立体テレビでも開発されたのか。異様な出来事の騒ぎの果てに待っている、静かな余韻が胸を打つ。――「午後の恐竜」

     老人は自殺を決行しようとしていた。かつて勇敢な兵士だった彼は、命を賭けて争うことに生きがいを感じてきたのだが、引退すると静かな生活が待っていて、そのぬるま湯のような生活に耐えられなくなったのだ。しかし遺書を書きはじめたところ、インクが切れていることに気付く。外に出ると、アパートの住人の様子がお

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    2025年01月05日
  • 午後の恐竜

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     「午後の恐竜」「幸運のベル」はユーモア度低く、終末感や寂寞感が印象的だった。「おれの一座」は発想が好き。「華やかな三つの願い」は意外なオチに笑った。

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    2024年12月22日
  • おみそれ社会

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    おみそれ社会…いろんな人物が一筋縄では行かない、いうところの二重構造を大いに活用した作品。どんでん返し、ということではないが、それを表すレトリックがおもしろい。
    裸の部屋…ドリフみたいにテンポよく進む。この本はやや中編で長さの割に話の進みが良くないところも多かった。
    手紙…壮大な、世界史の伏線回収という視点がおもしろい。
    ああ祖国よ…筒井康隆テイスト。ブラックの応酬で、終わりもブラック。

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    2024年11月03日
  • 宇宙のあいさつ

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    面白かった〜!どれも星新一らしさ、近未来の設定とかそこに混じる無邪気な残酷さやディストピア感、文字にしなくても漂う読者含む人間への皮肉な視線に溢れていて、すごい。それらが全部知ってる材料だと思うのに、決してキャラクターが意味の分からないやり取りをしているようには思えない(設定は現実と違っても、もしそういう設定だったらそういう行動もとりそうだなあと思える、しかも子供が読んでいて理解できないような行動はとらない)のに、ひとつひとつ、読んでいる心地よさは同じ種類のように思えるのに、全部違う美味しさに毎回びっくりするから、すごい。どうなってるんだ……。プレミアムカバーで可愛いし、結構分厚くてたくさん入

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    2024年10月21日
  • マイ国家

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    星新一の短編集を始めて読んだ。SFだけど、人の嫌な部分や愚かさがすごく伝わってくる。何もかもうまく行く事なんてないよなと思いながら読み進めた。1話が10分程度、早ければ5分以内で終わるから読書初心者にもおすすめ。

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    2024年10月20日
  • 地球から来た男

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    全体を通して感じたのは星新一独特の感触だった。ショートストーリーがオムニバス形式でとんとん進んでいき、それぞれは繋がっていないものだった。ただ、同じような単語を別の話で使うことが多いような気がして、実はこの話って全部繋がってんじゃないか?って思う瞬間が何回もあって、その答えは回収されないまま全ての物語を読み終えてしまった。他の人の考察も見てみたい。星新一の口調が似てるからそう感じただけなのか。実際はよくわからない。でもそのよくわからないモヤモヤ感は各ショートストーリーを読み終わったときのモヤモヤ感と通じるところがあるかも。それはそれでいい後味。

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    2024年10月19日
  • きまぐれロボット

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    皆さんは星新一さんの作品を一つでも読んだことはありますか?「NO」と答えた方は一つでもいいので読んでみましょう。用意するのものは本と数分の時間だけです。星新一さんはショートショートで有名ですよね!少しの時間でドキドキ、ワクワク、どんでん返しが楽しめます。1000本以上の物語をかいてきたのでコンプリート目指して頑張りましょー!!

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    2024年10月17日
  • きまぐれロボット

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    ネタバレ

    変なロボットや宇宙人などが当たり前のように出てくる。
    話はもちろん面白いけど、巻末の谷川俊太郎さんの解説が興味深い。
    星さんの文章は、民話の無名性に通ずるものがあるそうな。なるほどー。

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    2024年10月06日
  • 悪魔のいる天国

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    星新一さんの本は子供向けに編集したものも多数あり、今までに何冊も読んでいる。
    だが、何を読んで何を読んでいないか分かっていない。

    「星新一ショ-トショ-ト1001」で全作品が読めるが、5000ページ程あり楽しみながら読むには荷が重すぎる。
    そこで、「星新一ショ-トショ-ト1001」を34冊に分けた新潮文庫で、気が向いた時に読むことにした。

    「星新一ショ-トショ-ト1001」は3巻から成っているが、初期の作品が面白いらしいので、1巻目の作品はできるだけ読みたい。
    1巻目の作品は、新潮文庫だと以下の13冊。
    これなら1冊ずつ手にしていけば、すきま時間に気楽に読めそうだ。

    ◆ボッコちゃん (既

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    2024年09月25日
  • きまぐれロボット

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    1つ1つのお話が非常に短く、1分以内で読み終えられるものばかり。
    この短さでもあっけなさをあまり感じさせないのがすごい。
    登場人物や設定が毎度魅力的で初めの数行から心を掴まれる。
    オチもしっかりしていて良い読後感。
    子供から大人まで楽しめる手軽な1冊。

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    2024年09月21日
  • さあ、気ちがいになりなさい

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    ネタバレ

    星さん訳なのでそのテイストは感じながら、人物の描写や話の切り口が違っていて、面白かった。

    「電獣ヴァヴェリ」が特に印象に残ったかな。
    読み始めは少しピンと来なかったが、設定が面白く、読後感も良い。
    生命体?というものを前提や先入観なく受容できるのか。
    幸福感と利便性の相関性は、どのくらいが適当なのか。

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    2024年09月18日
  • 声の網

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    解説にも書かれているけれど、本書のオリジナルが書かれたのが1970年というのは驚きしかない。解説の恩田さんはネット社会を予見したという意味で書いていると思うのだけれど、さらにコンピュータが意思を持つように見えるというのが、昨今の生成AIにも通じるところがあって現実がSFに近づいてきている。星新一ってあまり読んだことがないのだけれど、最近、星新一の短編ドラマの再放送を観ているので、何冊か読んでみようかと思う。

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    2024年09月02日
  • エヌ氏の遊園地

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    昨年のプレミアムカバーで購入して読み切れていなかった作品だがやはり星さんのは読んでいてとても面白かった。

    小学生の頃に教科書に載っていた話はなんだったか忘れてしまったけど、、
    この短さにここまでのオチをつけられるって本当に素晴らしい!
    あとがき、解説含め星新一の世界がここに広がっているなと感じた。
    古さを感じたり、かと思いきや近未来的なものも感じてワクワクとブラックユーモアでSF作品の面白さを感じれた。

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    2024年09月01日
  • さあ、気ちがいになりなさい

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    フレドリック・ブラウンを星新一訳で読めるなんて幸せ。

    今回も予想のつかない展開とオチが癖になる。
    自分にはちょっとわかりにくい作品もあったけど、この4作品は特に好きだった。

    『みどりの星へ』
    第三惑星に不時着した男。数年後、ようやく念願の助けが現れる…。
    こういうのがやっぱり好きだわー。

    『おそるべき坊や』
    オチでなるほど〜と唸ってしまった。
    1番わかりやすくて楽しい。

    『ノック』
    地球上で最後に残った男。すると、ドアにノックの音が…。
    ノックをしたのは一体誰なのか…。

    『さあ、気ちがいになりなさい』
    自分をナポレオンだと思い込む異常者を装い、精神病院に潜入入院するが…。
    読んでるう

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    2024年08月22日
  • きまぐれロボット

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    お母さんにオススメされて読みました。
    短編小説なので長い話を読むのが苦手な人にオススメです。
    意外な結末で終わる話が多く、思わず笑ってしまいます。推理する話や、「ある日の不思議な出来事」的な感じの話もあってよく思いついたなーと思う話が多いです。

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    2024年07月24日
  • ようこそ地球さん

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    本書に掲載されているのは全て昭和36年6月以前の作品だそうです。
    60年以上も昔といっても、原子爆弾は80年も前に作られているし、科学技術力は相当進んでいる。
    昭和36年4月にガガーリンを乗せたソ連の宇宙船が初めて大気圏外に行った。
    それから宇宙進出の競争が始まり、宇宙ものの作品依頼が増えたそうだ。

    そうした時代背景もあり、宇宙船が頻繁に出てくる物語をたくさん集めたのが本書だ。
    地球に来た宇宙船。
    地球からよその星に行った宇宙船。
    地球とは関係ない星と星の宇宙船。

    宇宙を舞台にすれば何でもありの物語が作れるので、作家の腕の見せ所だ。2つだけ簡単に紹介。

    【復讐】
     ある日ユル星人が地球に

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    2024年07月13日
  • きまぐれロボット

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    挿絵・和田誠版から十数年振りの再読。子どもの頃読んで感じたワクワク感は控えめになったが、大人になったからこそ感じ取れる、星新一流の皮肉やユーモアがまた違った面白さを教えてくれた。

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    2024年07月12日
  • ブランコのむこうで

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    ショートショートで有名な星新一先生のめずらしい長篇作品
    といっても文庫170ページくらいで、長篇というよりは今で言う連作短編集のようなつくり

    しかもこれまためずらしい一人称視点

    学校の帰り道にもうひとりの「ぼく」と出会った少年が次々といろんな人の夢の世界に入り込み…というストーリー

    なんていうか当たり前の話すぎて恐縮なんですが、星新一先生はどこまでいっても星新一先生で、世界観というか受ける感じは全然違うんだけど、やっぱり人間というか、人生というか、生きるってこういうことなんだってところがなんとなくに込められている

    「示唆に富んでいる」って書けば座りがいいんだろうけど、なんかそんなんとは

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    2024年06月08日
  • きまぐれロボット

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    サリンジャーを読んでいて、さっぱり進まずわからず、もしかして星新一って同世代じゃないか?と思い調べたら、同じ時代を生きていた
    フラニーとズーイがアメリカ1961発行で
    きまぐれロボットは初出が1964年朝日新聞

    最近星新一の新潮文庫の装丁がカワイイ系になってきたのがあるなと思っていたら、自分の本棚に登録してあった本も綺麗になっていて、嬉しいような?
    持っている本は 昭和の和田誠の絵で解説は谷川俊太郎。お値段120円。皆さん若かったんだろうな。

    こちらのショートショートは、朝日新聞日曜版に連載されていたものだそうです
    全体的にロボットとか薬とかの発明に関するお話
    挿絵も豊富で子供も読むことが

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    2024年06月05日
  • どんぐり民話館

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    1000話を越えたころの作品を収録したもの。あとがきにあるように、設定や舞台が星新一には新しいものがある。おもしろいけど、ちょっとオチが複雑というか、置いてけぼりをくらうというか。
    初期のシンプルさが好きだったので、後期の味付けがちょっと違う気がするのは007と同じか。

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    2024年05月30日