酒井昭伸のレビュー一覧
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ネタバレかれこれ30年以上前、映画館でリンチ版の映画「砂の惑星」を観た後に旧訳版を読みましたが、今ひとつ訳がこなれていない感じがあり、その頃から新訳版が出ないかと、漠然と思っていました。
という割には、新訳が出てからの積ん読期間が長く、読むのがヴィルヌーヴ版「砂の惑星Part2」を観た後にになってしまいました。
酒井さんの訳は一読して明瞭というべき分かり易さであり、登場するキャラクタと情景が頭の中に生き生きと立ち上がってきます。
もしかすると旧訳の分かりにくさの中に哲学的な奥深さを感じていた人もいたかもしれませんが、個人的には新訳を断然支持します。
さて、上巻は、新たな統治領アラキスに到着したばかりのアトレイデス公爵が、ハルコンネン男爵の襲撃を受け、ジェシカとポールの母子が辛くも砂漠へと逃亡するところで終わります。
覚えていなかったのですが、この時点で既にポールはほとんど覚醒していたようで、後に命の水(砂蟲の”死に水”)を飲むのは儀式にすぎなかったのでは、と今にして思います。
また、ポールが覚醒した時に見たヴィジョンは、量子論でいう多世界解釈に影響されているように思われることも興味深かったです。
そういえば、ゲーム「STEINS;GATE」は、主人公がヒロインを救うために、何度もやり直して何とかその世界線を探り当てる話でしたが、本書の主人公ポールは、未来を視る力(万能ではないようですが)を使い、犠牲を最小限にしつつアトレイデス家再興・ハルコンネン家殲滅を達成できる世界線を探り、進んで行くことになります。 -
Posted by ブクログ
面白かった〜!!!映像が先行してインプットされていたおかげで、鮮明なイメージを持ちながら読み進めることができました。
それにしても情報量の多いこと!映画化にあたってビジュアルを重視したのは英断だった、と言わざるを得ないけれど、私はこの情報たちを知ることが出来て良かった。作品への愛が増します。
ポールもジェシカも、普通の人間らしからぬ思考を隠し持っているんだよ。そしてそれがかっこいい。SFって、堪らなくかっこいい。
圧倒的な“能力”を持ってしまったポールの恐怖や葛藤の描かれ方も最高です。幸薄貴公子すぎる主人公、、。
上巻を読んでから映画館でPart1を鑑賞し、直後に購入したものの2年半も積読していた中巻でした。いざ読み始めたらあっという間だった(面白いけど堅いので、スピードがつくまでに時間を要するの、、)。
下巻こそ、映画公開前に読み終わっていたいな〜〜 -
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盛り上がってまいりましたの三部作下巻完結編。正直独白ばかりであまり物事が動かない上中巻に、面白いながらも飽いてきた感否めない状態からの読書開始だったものの、下巻は一気に物事が動き始め、あれよあれよと主人公ポール・ムアディップが救世主に上り詰める過程を、飽くことなく堪能できる(基本線は同じものの映画DUNE2はかなり内容を精査して、時系列や設定を変えてでも映画用に再構成して成功をおさめていると思える)。巻末には惑星アラキスの歴史やデューン世界の宗教史、用語集など、歴史書さながらの付録が付いていて、世界観の徹底ぶりに笑ってしまった。そして忘れてはならないのが、これが55年以上前に刊行された作品ということ。すごすぎる。
続編も読んでみよう。 -
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いやぁおもしろかった!!
奥行きのある世界観や壮大な人類史、舞台となる惑星アラキスの緻密な設定に加え、預言者として苦悩する主人公ポールたちの人間模様…しかし、プロットはど直球な復讐劇。これら全ての要素が重なり合って抜群のエンターテイメントを提供する本書は、ヒューゴー賞と第1回ネビュラ賞のダブルクラウンに輝く「デューン 砂の惑星」です。
解説によると、1975年からスタートし、およそ12年ごとに読者投票されるローカス賞「オールタイムベスト」において、4回連続(1975年、1987年、1998年、2012年)の1位となっているよう。これ地味に凄いですね。でもなんとなく納得。とてもSFらしい作品だと思いますし、王道展開の節々で垣間見られる深遠さは、読者の心を掴んで離さないかと。
続編もあるようですので、随時読み進めようと思います。(ただ、絶版の気配が…) -
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「デューン 砂丘の子供たち〔新訳版〕 上・下」( フランク・ハーバート : 酒井昭伸 訳)を読んだ。 (何度目かわからない)再読。
初期三部作の中では一番奥深い難しさを隠し持つものの、読んでいて一番面白いのもこれかな。
スティルガー、ダンカン・アイダホ、ガーニー・ハレックのそれぞれが渋くて痺れる。
アラキスにおけるフレメンと水との関係を端的に表す印象深い文章を引く。 『ここのフレメンはいまも"天国とは流れる水の音にほかならず"と信じているが、』(本文より)
とりあえず新訳版はここまでなのだが、次の「デューン砂漠の神皇帝」とか出るのかな? -
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「デューン 砂丘の子供たち〔新訳版〕 上・下」( フランク・ハーバート : 酒井昭伸 訳)を読んだ。 (何度目かわからない)再読。
初期三部作の中では一番奥深い難しさを隠し持つものの、読んでいて一番面白いのもこれかな。
スティルガー、ダンカン・アイダホ、ガーニー・ハレックのそれぞれが渋くて痺れる。
アラキスにおけるフレメンと水との関係を端的に表す印象深い文章を引く。 『ここのフレメンはいまも"天国とは流れる水の音にほかならず"と信じているが、』(本文より)
とりあえず新訳版はここまでなのだが、次の「デューン砂漠の神皇帝」とか出るのかな? -
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人類文明が大宇宙に広がる遥かな未来。
思考機械、超コンピュータ群への従属を良しとしない【バトラーの聖戦】を経て幾星霜、人々は中世的な社会の中で、機械に頼らず自らの肉体精神性を拡張した文明を築いている。
解説より抜粋
もうこの設定に痺れてしまった。
人類の歴史は何周もして、遥かな未来では中世的な世の中になってしまうのか。
そこで起こっているのは、利権をめぐる戦争であり民族への弾圧である。高度な武器は高度なシールドに阻まれ使い物にならないし、巨大な砂嵐や凶暴な生物の前で人々は、息を殺してやり過ごすしかない。そしていつの世もヒーローの出現を待つのだ。
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ネタバレ人生で一番大好きな映画かもしれない。その原作。
映画に出てくるティラノサウルスの咆哮は傑作だった。
子供の私はティラノサウルスの声、ヴェロキラプトルの狡猾さにしびれたものだ。
映画と違うところもしばしば。ハモンドの夢には変わりないが、ビジネス色が強め。
登場人物も概ね一緒だが、設定が少しちがう。
姉弟ではなく、ティムとれっくすは兄妹。
マルカム死亡?映画じゃ生存してたけどどうなんだろう。どう考えても死亡の描写だったけど。
ネドリー死亡。
マルカムは死んだなら残念だな。カオス理論推しで全部言ってた通りになって自分が犠牲になってるところが残酷だ。
嵐に見舞われ、島は大混乱。
下巻に進む。 -
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新皇帝の栄華や民衆の熱狂なんかが描かれると思っていた自分の想定は全く甘かった。
苦手なSF、超絶独特の世界観・心理表現、私的には前作Duneよりも更に難解なセリフ回しや精神戦描写で全くサクサク読み進められないが、内容としてはとっても面白い。
前作を読み終わって今作を購入するまでの数日間、
あんなに『早く続きが読みたい』と思って待った自分にもビックリした。
来春、映画『DUNE: PART TWO』が公開されたら、また映画の画像使用ver. の表紙で発売されるのかな?そしたらまた買っちゃうな。監督はこの続編がベースのパート3やりたいと言ってたけど、是非それで!あの世界観・あの俳優たちでのトリロジー完結観てみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいやー面白かった。読みやすさでいえば鏖戦<凍月なのだが、両作品ともなんとも違う魅力があって、うなってしまった。(三体を読んだ時のエッセンスも感じた)
特大級のネタバレ以下
鏖戦/酒井昭伸訳
何がすごいってまずは、訳!絶対原典の方が簡単に書いてあるんでは?!と思いました(誉め言葉)。好みは分かれるかもしれませんが、私は結構好きでした。人vs異種族の戦いにおいて、異種族がいかに「読者含めた人」から離れた存在であるか、を示すべくの漢字も多用の訳…狙った効果の一つはそれかと考えているのですが、私は最初からやはり仏教感を感じてしまいまして、それは異端ではないので、なんだか最初から親しみが(?)ありました笑。本当はぜんっぜん読めない文字にルビで意味が振ってある、とかが正しいんだと思いますが、それだと読者途中離脱するでしょうしね…。
好きポイントその① 施彌倶支(セネクシ)・蔵識曩との会話
「汝、人種の記憶装置を調査せしや」蔵識曩がたずねた。
「はい」
「可なるか、是れ人形との意思疎通」
「すでに人種の機械を操作する界面(インターフェース)を開発しました。意思の疎通は可能と思われます」
「既往の先賢、人種との永き闘争に於て、還た意思疎通を為すの底有りや。汝また作麼生」(p17)
…
「この任務完遂ののちは、判明せる事実を余に伝え、須臾のうちに空滅せよ」(p19)
好きポイントその② 原題Hardfoughtの訳
戦いに赴く際に合言葉的に使う言葉としてHardfought!が出てきますが、それはそれでかっこいいし、ここで「鏖戦!」と日本語で語感を味わってもそれはそれでかっこいい…
好きポイントその③ だんだんと結末に収束する構成とスピード感
後半出てくる初代プルーフラックスとクリーヴォの会話、魅力的である。
「しかし、みずからの心を荒廃させてまで勝利すべき戦いなどーそれほど重要な戦いなど、ありはしない」(クリーヴォ、p89)
「連中はリスクのない成功を好んでくりかえす。新しい個性は危険なんだ。だから、過去の成功例を複製しようとする。いずれは同じような人間ばかりになって、個性はどんどんなくなっていくだろう。きみやぼくが増えて、ほかの者たちは減っていく。個人差がなくなれば、語るべき物語もなくなる。歴史もなくなる。われわれは死んだ歴史の一部になるのさ」(p96)
「あなた…クリーヴォね…」(p106)
「…そのとき…裸体の女が宙に浮かび、自分そっくりのミニチュアたちに囲まれて室内に入ってきた。妖精をしたがえた天使の図だった。体格はまるで蛇のようにほっそりしている。…天使の大群は飛翔をつづける。いったい何百万体いるのだろうか、濃い霧のごとくに群れをなし、星々を隔てた空間を飛翔する天使たち。その唯一の主人は現実の優越性だ。それ以外の主人は必要ない。彼らが異常をきたす恐れもない。」(p106-107)
ここの疾走感、文字を読む目に、情報の理解が追いついたときの体の震え…これこれ至上のSFでしか体験できない震え…シーンとあたりは静まりかえり、私は冷や汗をかいていた。グロテスク度合でいうと、貴志祐介の『新世界より』を彷彿とさせた。
そして追い打ちとばかりにプルーフラックス最後の詩。
なんと明るい炎の輝き! 平和はうつろい
記憶は消える、ただのひとつも残さずに
なぜだかいつも、同じ扉を見失っては
輪廻のうちに、われらは滅ぶ。
灰から星へ、虚偽から魂へ、
まわれ何度も、窪みと孔を。
善きを殺して、若きを喰らう
永遠に、とこしえに
あなたとわたしは滅ぶことなく。(p108)
そして最後の二文…
凍月/小野田和子訳
鏖戦の後だと、読みやすってなります。
こちらも別の話だと思っていたいろいろなレベル感の話が、うまく一つになっていくので読んでいて気持ちがいい。
途中ミッキーが欺かれ、失意に沈み、そこから一つ賢さを身に着けて顔を上げる…というエンタメ要素に気を捕らわれていたから、最後えっえっってなり、そういえば序文が不穏だったじゃん…ってなりました。
「…わたしが死んだら、姉やウィリアムといっしょの<氷穴>にいれてほしい。…ほかの頭たちといっしょの<氷穴>に…。<静寂>のなかに。」(p264)
この最後を読んで、HEADSという現代を凍月と訳したこと、それがこの最後のシーンとうまく重なって、すごくジーンときてしまった…。 -
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『ハイペリオン』シリーズ四部作完結編。多くの脅威が迫る中、ついに明かされる謎。果たして人類の運命は……?
文庫本で全8冊になるシリーズの最終巻である。あらゆる要素がてんこ盛りな本巻については、多くは語るまい。作者が書きたいことをすべて詰め込んだかのような、総決算のラストだった。
パクス、テクノコアの動きを描きつつ、やはりエンディミオンとアイネイアーを主軸として物語は進んでいく。情報を小出しにするアイネイアーの老獪さがもどかしいが、そうせざるを得ない理由もやがて明らかに。知能や精神担当でカリスマになっていくアイネイアーに対し、肉体派、冒険担当のエンディミオン。しかし、「覚醒」とタイトルにあるのは伊達じゃない。あれ……ド◯ゴ◯◯ール?さらに、ここにきてハイペリオンの7人の巡礼たちとのつながりが明かされ、彼らの物語の謎も解明されていく。
結末について、これでいいのかとモヤモヤしてしまったが、巻末の解説にあるとおりに当該箇所を読み直してみると、おっしゃるとおり、確かに納得いくものがあった。なるほどそう考えると、この結末と、アイネイアーの言動のすべても、ストンと腑に落ちる。そして壮大なこの物語が自分の中で見事に完結するのだ。読み切るまで時間がかかったけれど、本当に出会えてよかったシリーズ。いずれ再読したい。 -
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『エンディミオン』に続くシリーズ第四弾。オールドアース到着の4年後、エンディミオンの新たな冒険が始まる。
前作までの大冒険の末、たどり着いたオールドアースにて4年を過ごした一行。少女アイネイアーが12歳から16歳へ成長する姿を見守っているのかと思ったら、いつしか弟子のような立場になってしまっているエンディミオン。やがて人類の救世主として立つべき彼女の存在感は圧倒的なものになっていた。互いに惹かれあいながらもまだ男女としての関係がはっきりしないまま、エンディミオンは一人での旅立ちを命じられる。
今度は一人で冒険することになり、前作のような転位をしつつ、これまで以上にとんでもない目にあう。ネタバレは避けるが、あの痛みの正体があんなものだったとは……リアルすぎる(汗)。さらに満身創痍になってボロボロになるエンディミオン君が心配になる。
一方、引退したデ・ソヤ神父大佐が呼び戻され、前作での失態を許されて戦線に復帰するものの……。パクス軍は一枚岩ではなく、その周辺の組織も含めて謀略の限りが尽くされるあたりが読みどころ。
仏教世界を再現した〈天山〉でのアイネイアーの説教はまさに哲学。作者はもともと途方もない博学なのだろうけれどアメリカ人なので、東洋の哲学や仏教については本当によく勉強したものだと思う。愛の力が、強い力、弱い力、電磁気力および重力に並ぶ、宇宙の力の一つなのだという発想が面白い。AIに宿る魂とキリスト教の教義を兼ね合わせた、つまり科学と宗教、SFとスピリチュアルの融合された論説が本作の魅力の一つだろう。
ナノテクノロジーの展開とアウスターの正体についても衝撃。AIと人類の「共進化」という関係について言及されるあたり、1997年刊の本作は今こそ読み直されるべきテーマを語っていると思う。