酒井昭伸のレビュー一覧
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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映像化した『DUNE』を観て、
ティモシー・シャラメの貴公子感、
レベッカ・ファーガソンの神秘性、
ゼンデイヤの生命力といった、
主要キャラクターの力強さに魅了されました。
元々映画から原作に入ることが多く、
映像では描ききれない細やかな設定や世界観を
小説で補い「そうだったのか」と楽しむのが好きな流れなので、
今回の小説3部作には本当に魅了された。
SFの傑作という肩書きを持つこの「DUNE」は、
手に取った段階でその重量に圧倒される。
そして読み始めたらもう止まることの出来ない物語の流れに
一気に引き込まれてしまった。
なるほど、これが傑作たる存在なのか、と
ぐーの音も出ないほどその世界観に圧倒された。
とくに気に入ったはの、本編後に収録されている附録の数作。
本編後の歴史的考察や語録に収録される言葉たちから、
まるでその世界が実際に存在するかのような、
学校で歴史の教科書を読んでいた頃のような体験をした。
おもしろかった。 -
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DUNE砂の惑星、完結。
ラスト、チェイニーの一途な言葉に胸打たれる。
義母のジェシカもこれまでのような、チェイニーに対するやや意地悪?な見方も無くなって。
結果的にチェイニーは正妻にはなれなかったけれど。
父のレト公爵の時もそうだったし、ずっとそうだったんだろけど、どうせならフレメンを正妻にしてあげるだけの改革しても良かったんちゃう?と思ってしまった。
ジハードをとことん避けてきたポールが、自らジハードを拠り所にしてのし上がっていく様子は、なんだか頼もしいけれどもそれ以上に切なく辛い。
最後は続編が楽しみになる終わり方で、しゃーないな続きも買うかー。 -
Posted by ブクログ
辺境の惑星で外交大使を殺してしまった炭鉱師ラモンが大陸北部に広がる人類未踏の山に潜伏していると、未知の社会性生物のような異星生物に捕らえられてしまい、3日前に脱走した人間を捕まえるための猟犬の役目を押し付けられてしまう。脱走した人間を捕まえる役割の異星生物とロープ状の器官で繋がれてしまったラモンの追跡行の行く末は⁈…というSF冒険ミステリ。
そもそもラモンが外交大使を殺してしまった理由は終盤に明かされるが、ヒモで酒浸りで喧嘩っ早いラモンだが冒険小説のアツい主人公気質なんだなあと実感できる。終盤で殺されちゃうけど。
追跡行の相棒となる社会性生物の一個体であるマネックは、徐々に愛着が持てるようになる良いヤツ。生態は謎な部分も多々あるが。
ハッピーエンドなのも好みで、とても面白かった。 -
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いや、これはやっぱり面白い。
宇宙の未知なる存在と同じでもあり、まったく異なる存在たる恐竜が縦横無尽にストーリーを走りまくっていて、それでいて哲学的な話もちょいちょい顔を覗かせる。
大学生の時の当方も捨てたもんではないなと感じ入ったりもして。
恐竜って存在していたことは確実ですけど、実際見たことが誰もないんだからその想像はどの存在よりも膨らんでいく。そりゃ子供たちに大人気でしょう、大人だって面白いんですから。
それにしてもここ最近読んでいた本の偶然の繋がりでしょうが、親鸞と聖フランチェスコの思考が重なっているなと思いつつ、フィレンツェから始まる世界変革の評価の違いが面白く。
すべては人間のやることは所詮は地球という大きな掌での、、、というところに落ち着くような気がしますな。 -
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スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で書いたSFアクション小説。
デスゲームと呼ばれるジャンルの古典とも呼べるような作品。
本書が出たのは1982年なのだが、それもあって古臭い部分もある。だが強度を保っている部分もあって印象的だった。
例えば古臭く感じるのは撮影したVHS(?)をポストに投函しないといけないという部分。
これはエドガー・ライト監督の『ランニングマン』でも活かされている。動画メディアがここまで発達した現実社会だと、本来なら動画をデータで送信で完了する。だがわざわざアタッシュケース型のカメラで撮影してから、それをポストに投函しないといけない。しかもポストはドローンで飛んでくのである。このミスマッチ感がヘンテコで逆に面白くも見えた。
逆にディストピア世界の描き方は結構、手垢がついたような典型的なディストピア世界ではあるのだけれど、世界が混迷を極めて現実がどんどんディストピアに近付いてくる現代では、そこに古臭さやお決まりのパターンね、といった思いを抱かなかった。
フリーテレビと呼ばれる家に備え付けで無料視聴出来るテレビもあるのだが、これはジョージ・オーウェルの『1984』っぽかった。
現代ではスマホが人の注意をひたすら集め続けるデバイスとなっている。フリーテレビはさすがに80年代だからという感じはする。だがいつの時代だって国民にはバカなコンテンツで現実に目を向けてほしくないのが為政者たちなのだ。
だが面白いのがベン・リチャーズはフリーテレビには興味がない読書家なのだ。三文小説を大酒をかっくらいながら何冊も読み耽るのだ。映画ではこの読書家という部分はあまりフィーチャーされていない。逆に権力への抵抗の手段としてZINEを刷るレジスタンスの一員から影響を受けたりするのだ。
映画では原作のラストだけでは予定調和と感じてしまったのか、その先にもう一捻りが入っている。
個人的には原作のラストの切れ味で十分だと感じたが、映画も映画で良かった。ただそこは原作を読んでいないと、尻すぼみに感じるので原作に目を通していたほうが楽しめるかもしれない。 -
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ネタバレ作者がER緊急救命室(著/5人のカルテ)の映画製作中に友達のスティーブンスピルバーグにこの執筆中のジュラシックパークの内容を話したことで映画化し、ER映画化は中止になりドラマになった、というエピソードを知ってから読んだのでより小説と映画に齟齬があまりなく鮮明なことを改めて実感した。
上下巻あって長さも充分あるのに、どの話も全く不必要じゃなくスラスラ読める。映画を見てからだとは思うけども。
甦らせ、管理し、運営している、ところの説得力が無茶ない納得のさせ方で感動した。
順を追ってやってくる異変や予測できない天候なども、恐竜に襲われるまでをしっかり演出していて本当に面白い。未知の生き物に襲われた!というエイリアンに襲われた的な恐怖よりも、できる予測を全て超えてきてしまったアクシデント、事故的な恐怖でそこが良いなと思う。
小説版のお兄ちゃんのキャラクターを、映画版でしっかりものの姉/恐竜オタクの弟として役割2分割させたのすごい。 -
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ネタバレ銀河を覆う転移ネットワーク“ウェブ”が支配され、200以上の惑星が次々と崩壊していく。宇宙の命運を懸けた戦争は、ついに終盤へ──シリーズ第4作目。
これまでの旅で出会った数々の星が、無惨に滅びていく光景は胸を打ちます。それでも巡礼者たちは、人類のためではなく、友のためにそれぞれの道を選び、時間・宇宙・データの彼方を駆け抜けながら、自分なりのやり方で宇宙を救っていく。その姿は、まさに彼らの旅の集大成と呼ぶにふさわしいものでした。
特に鮮烈だったのは、AI=テクノコアの正体と陰謀です。彼らのサーバー(本体)は“ウェブ”そのものであり、転移ゲート間の隙間に隠されていた。そしてゲートを通過する人間のシナプスを演算資源として利用する事で、動力として利用する。さらにシュライクを解き放ち、人類抹殺による下剋上を狙う──1作目から示唆されてきた「ウェブ」「AI」「シュライク」という要素が、ここで見事に収束していく構成に唸らされました。
そして圧巻は、世界中の転移ゲートを破壊するという決着です。これはディストピア作品の王道ともいえる「支配の仕組みを壊す」展開でありながら、“ウェブ”を失うことは即ち、人類が1000年以上かけて築いてきた文明そのものを巻き戻すことを意味します。その代償はあまりにも苛烈でした。ゲート通過中の人間は細切れとなって絶命し、数多の人々が宇宙の片隅に取り残され、家族とも再開できず生きる術を失う。世界中の人類が地獄に突き落とされる、この凄惨な描写は、今年読んだ中で最も衝撃的なものでした。
さらに、テクノコアの真意を掴めず操られていた間は崇められ、彼らの手から世界を解放した途端に、暴徒により惨殺されるCEOの末路も、人間社会の残酷さを突きつける象徴的なエピソードでした。
最後に、巡礼者たちが再び集まり、領事は宇宙の彼方へと去ってゆくラスト。
もはや“ウェブ”は存在せず、今度の別れは永遠のものとなる。しかしそれでも、自らの宇宙船で少しずつ宇宙を切り拓いていこうとする姿は、人類が開拓者としての強さを取り戻したような終わりで、清々しくて良かったです。
人類の栄華と崩壊、そして再出発。その全てを描ききった壮大な結末に、ただ圧倒される一冊でした。(もっとも、物語自体はまだ続いていくのですが。) -
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銀河連邦と蛮族アウスターの戦争がついに本格化し、舞台は人類最後の未踏地・ハイペリオンへ。壮大な銀河叙事詩も第3作目に突入します。
本巻では、巡礼者たちと未来から送り込まれた怪物シュライクとの対峙が描かれ、シリーズ全体の大きな転換点となります。
科学が頂点に達した末に、衰退の道を辿る人類。蛮族と蔑んできたアウスターにさえ後れを取り、滅びへと傾いていく人類ですが、そんな中で社会に居場所を失った巡礼者たちが、人類最後の切り札として世界を駆けてゆく。銀河連邦と巡礼者、マクロとミクロの視点を往還させながら描かれる衰退と再起の構図が、強く胸を打ちました。
そして、連邦CEOが巡礼者達の故郷を次々にワープしながら、彼らの行く末を案じるシーンが好きでした。
本作が特に異彩を放つのは、「神」という存在を徹底的に物語に落とし込んでいる点です。AIが凝縮した知性によって創造された上位知性体UI。未来から現れ、裁きを下す処刑者シュライク。そして、自然発生した究極知性体。科学が神を不要にするほど発展した世界に、なお複数の「神」が示唆される。それらは“デウス・エクス・マキナ”の異なる側面として機能し、ご都合主義として語られがちな概念をここまで鮮明に具現化した作品には、これまで出会ったことがありません。
ハイペリオンという最後の未踏地。その旅の果てに待つのは人類の終焉か、それとも新たな夜明けか──。
圧倒的なスケールで展開する物語を前に、続く下巻への期待を高めずにはいられない一冊です。