酒井昭伸のレビュー一覧

  • 都市と星(新訳版)

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    すごく俺好みの本。物語性がかなり強い。ディストピアな感じなんだけど、言葉に潤いがあって、柔らかい。同じクラークだけあって、幼年期の終わりに雰囲気は似ている。

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    2016年05月22日
  • 監視機構 サザーン・リーチ2

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    サザーン・リーチ三部作の第二作です。
    第一作「全滅領域」の舞台であるエリアXを、外から監視・研究する組織〝サザーン・リーチ〟の新局長<コントロール>の視点で綴られています。
    エリアXに人を派遣し観察する間接的な立場であり、組織の人間にも癖があり、末期の組織に途中参加する長の苦悩が描かれています。
    エリアXの直接的な恐怖は少ない反面、今までの調査記録や帰還した〝生物学者〟への詰問などから少しずつ見えてくる答えや新たな謎に、間接的な恐怖が内包されています。

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    2016年02月29日
  • 量子怪盗

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     電子書籍が普及する昨今、かつてのハヤカワSFシリーズの復刻というべき体裁のビニールカヴァー付ソフト・カヴァー、小口塗り、やや黄色い紙の手に馴染む「紙の本」を出す早川書房の心意気をまず称えておきたい。3年後には文庫化する商売っ気も称えておくが。
     しかし中身は旬の作家たちのSFで、バチカルピだの、このライアニエミだのエキゾティックな名前も並ぶ。ライアニエミはフィンランドからイギリスに渡った人。

     ニュー・スペースオペラと評される本作は、まずは人間の精神のソフトウェア化が済んだ未来の太陽系が舞台となっており、一応、肉体に宿っている人間の他、どうやらオンライン・ゲーマーの末裔と思われる、オンライ

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    2016年02月03日
  • 禅〈ゼン・ガン〉銃

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     ワイドスクリーン・バロックなる術語はブライアン・オールディスがそのSF史書『十億年の宴』でチャールズ・L・ハーネスの作品を評して作り出した言葉だが、件のハーネスがほとんど訳されないまま、この術語が日本では一人歩きして、やれこれはWSBだ、いやそうじゃない、といったことになっている。
     ここでオールディスがバロックという言葉を使ったところがミソで、17世紀の芸術をロココの時代の人々が、悪趣味、品がない、装飾過多、複雑で難解、節度がないと腐したのがバロックなる言葉なのだ。
     で、ワイドスクリーンのほうは、地球から事象の地平線まで、宇宙開闢から終焉まで、とにかく大広敷を広げたといった意味で、大長編

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    2016年02月03日
  • ジュラシック・パーク(上)

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    3作品の映画にもなって、今夏最新作である「ジュラシック・ワールド」が公開されるわけですから、知らない人はいないよね。

    物語的にどうだろうと、個人的に大好きな作品。周りの評価がどうだろうと、胸を張って、大好きだと公言する作品。恐竜好きの自分としては、外せない逸品。最上級の娯楽エンターテイメント小説。

    上下巻で結構長い物語ですが、展開スピードが早くて気になりません。若干技術的な話や事件が起こるまでの運びが退屈かもしれませんけど。現代に恐竜がよみがえったら、こんなトラブルが起こりえるんだなぁ、と思いながら興味津々に読み進められました。

    まぁ、小説を読むのは今さらだなーと感じるなら、映画をご覧く

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    2015年09月02日
  • 全滅領域 サザーン・リーチ1

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    サザーン・リーチ三部作の第一作です。
    エリアXと呼ばれる未知の領域が舞台。
    第十二次調査隊の「生物学者」による日誌が、本書の文章となっています。
    登場人物の名前は始終語られず、チームの〝生物学者〟〝心理学者〟〝人類学者〟〝測量技師〟は、各々の任務をこなします。
    しかし、エリアXやチームの人間による影響で、恐ろしい展開を迎えることになるのです。

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    2015年07月18日
  • 竜との舞踏3

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    ネタバレ

    みなさまのおっしゃる通り、「引き」(クリフハンガーというようですね)が強すぎて、とてもとても続きを読みたくなってしまいますね。
    ティリオンは「お前はまた捕まってしまったのか」と言いたくなるぐらいとらえられてますし。
    クィンティンはご退場、デナーリスの脱走は爽快なようで、この先どうなるのか予想もつきませんね。

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    2015年07月18日
  • 竜との舞踏2

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    ネタバレ

    話の筋が、なかなか進まなくても読者の興味をそらさないですねぇ。
    ティリオンとモーモントの道中とかマンダリー公の言い分とか、デナーリスへの陳述とか。
    「そんなに詳しい叙述って必要?」と思いながら、興味深いキャラクターなのでやはりグイグイ読めてしまいます。
    ドーンの三姉妹も動き出しましたね。これ以上重要人物が増えて、7部作で完結するのでしょうか。

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    2015年07月18日
  • 竜との舞踏1

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    ネタバレ

    ティリオンのその後!気になってました。
    父親殺しという、欧米系によくあるテーマですがティリオンが鬱々としすぎておらず、減らず口のままなので安心しました。
    ぜひともダニーの味方になってあげてほしかったなぁ。
    <若きグリフ>では、読者にとってはやっぱり思い入れが少ないですよね。
    ジョンにも味方が欲しいところ。がんばれジョン。

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    2015年07月09日
  • ハイペリオン(上)

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    表紙がダサいが、読み進める内に夢中になる。それにしても、日本の文化圏では根付いていない宗教観について、もっと学ぶべばより面白いだろう。

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    2015年05月10日
  • ハイペリオンの没落(下)

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    宇宙の蛮族アウスターの侵攻を受ける辺境惑星ハイペリオン目指して、連邦軍FORCEの無敵艦隊が出撃していく。連邦の主星タウ・ケティ・センターからその光輝を見守るのは、超高度AI集合体<テクノコア>が19世紀の詩人ジョン・キーツに模して作り出した人造人間ジョゼフ・セヴァーン。自分がなぜこの世界に送り出されたのか理解できないまま、セヴァーンは連邦の最高権力者マイナ・グラッドストーンから謎めいた厚遇を受け、その傍で連邦内の混乱と権謀術数を観察していくことになる。
    一方、惑星ハイペリオンにおいてようやく<時間の墓標>に辿り着いた6人の巡礼達は、激しい時潮と物資の欠乏に悩まされながら、一人また一人と不思議

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    2015年03月01日
  • 竜との舞踏3

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    週刊少年ジャンプか~い!ってくらいの引きの強さ。
    だけど次巻刊行まで何年待たねばならないの?
    作者は来年末には第6部を刊行したいと言っているみたいだけど、それでも日本語版はさらに1年は待たないとならないわけで…。

    ジョンはどうなる!?
    デナーリスは?
    ティリオンは?

    巻末の人物紹介を読むと、思った以上に行方不明者と「死んだことになっている」人が多いので、まだまだ二転三転四転五転しそうです。
    氷はジョンで、炎はデナーリスなので、氷と炎の対決か、氷と炎の融合なのだと思っていたのですが、作者が最後に残るのはひとりと言っているそうなので、もう誰が王になるのかわからない。

    氷と炎が融合したら水にな

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    2014年10月07日
  • 竜との舞踏2

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    全7部のうち、第5部の中盤に来てようやく物語の向かう方向が見えてきたように思う。
    国取りについてはまだ、どの国が七王国を統べるのかが全くわからないが。

    とにかく陰謀、裏切り、無知、傲慢。油断をすると、たちまち足を掬われてしまう。油断をしていなくたって、あっさり命は喪われる。

    ジョン、ブラン、アリアを見れば、スターク家の子どもたちは、それぞれに使命をもって生まれてきたことがわかる。ということは、サンサとリコンにも使命が?
    サンサは見つかったようなので、今度はダヴォスがリコンを見つける番だ。
    それまでに、あと幾つ裏切りが行われ、人の命が喪われてしまうのか。

    そして、ドラゴンはいつ活躍するのだ

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    2014年10月04日
  • 竜との舞踏1

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    最初のほうこそ、それまでのストーリーや登場人物をすっかり忘れ、Wikipediaであらすじを確認し、人物紹介や地図などを何度も何度も確認しながら読んでいたので、全然読み進められませんでしたが、ある程度まで進んだらもう、加速がついて止まりません。
    あ~、面白かった~。

    あらすじを読んでも全然イメージがつかめないでしょうし、面白くないと思いますが、初期のグインサーガを面白く読めた人なら絶対楽しめます。
    騎士と魔法と権謀術数の世界。
    横文字が苦手でなければ、歴史小説や大河小説の好きな人もぜひ。

    やっぱりこの本、単行本で揃えよう。
    だって復習しないと。第6部がいつ出るのかわからないけど、最初から読

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    2014年08月21日
  • ジュラシック・パーク(上)

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    クライトンの本はどの作品もとにかく面白くて、ぐんぐん読めてしまう。
    この人の他作品のおかげで飛行機に乗ることをためらうようになってしまった。
    でも映画化するには結構難しいものが多いのです。
    なのにこちらは映画も本当に面白い!

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    2014年04月30日
  • 乱鴉の饗宴 (下)

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    再読ですが、忘れかけていた部分もちらほらとあって、
    新鮮な気持ちで読み進める事ができました(笑)

    権力を持った者は、堕ちるのも早い。
    周りに諫言してくれる者がいれば良いのだけれど、
    サーセイには誰一人としていない…
    常に顔色をうかがって媚びへつらう取り巻き、
    国の富より懐を増やす事を考えている連中、、、
    さらに唯一の味方であった弟の裏切り(!?)。絶体絶命。

    ジェイミーとブライエニーは共に身体の一部を失ったが、
    二人とも以前よりもさらに存在感が増してきているように思えます。
    お互いに一目置いているというようなこの関係、好きです。

    そして最大の驚きは、死んだと思ったあの人の復活。
    復活なの

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    2014年04月12日
  • ハイペリオン(上)

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    未来の人類が宇宙に進出し現在の世界がそれぞれの星に文化を確立し、そして一つの大ネットワークによって言語、歴史、文化等がなくなった世界観がとてもいい
    名作『スターウォーズ』のような多種生物、巨大国家が面白い

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    2014年04月11日
  • 竜との舞踏3

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    何てところで終わるんだ!…定番のツッコミ。次は何年先だろう。
    今回の主役はジョンとダニー。ジョンはまさかの退○!?いやいや、シオンだってしぶとく生きてたから。大丈夫だと願う。章ごとに時差があるから、シオンサイドの動きが気になります。あの手紙は本当なのかハッタリなのか…。
    ダニーはとうとうウェスタロスを目指す準備が整いましたが…一番真面目な君主してる気がするのは気のせいか。なんだか各陣営でダニー争奪戦を繰り広げていて、もう何処がくるかさっぱり予想がつきません。早々にドーン陣営終了のお知らせに、やっぱりかと思いつつ、ちょっと唖然でしたが。某王子のおかげで立ち位置弱くなってしまいましたものね。ついで

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    2014年03月19日
  • エアフレーム-機体-(下)

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    クライトンが航空ものを書いている!
    たまたまF・ポール・ウィルスンの『体内兇器』の巻末広告で発見し、
    さっそく飛びつきましたね。
    彼の作品を読むのはジュラシック・パーク関連以来だろうか。
    ずいぶんと久しぶり。

    わしは航空ものにやたらめったら弱い。
    ヨワいったらヨワい。
    デジカメを初めて買ったころは、
    空港や米軍基地へ行って飛行機の写真を撮りまくったものだ。
    現在はどういうわけかプロレスばかり撮っているが……。
    話がそれた。

    さすがクライトンの小説だけあって、
    2冊分をあっという間に読めてしまった。
    止められない止まらない!
    航空業界の暗部をえぐるだけでなく、
    視聴率が命の傲慢でえげつないマ

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    2014年03月09日
  • 乱鴉の饗宴 (上)

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    再読。
    最初に読んだ時は、訳者が代わった事によって
    固有名詞も大幅に変更になり戸惑ったものでしたが、、、
    過去作品も改訂新版にて読み直したので、
    ようやく違和感なく読めるようになりました^^;

    上巻だけで並みの文庫本2冊以上の分厚さですが、やはり面白さは半端ない!
    この巻では、クイーン・サーセイの視点から描かれているのが新鮮です。
    スターク家に肩入れしているであろう大半の読者にとっては、
    とにかくこの世界から退場して欲しい人物の一人ではあるんですが。
    弟ジェイミーは自分から離れていくし、息子のトメンは憎い嫁にとられるし、
    さらに敬愛する父もいなくなり、ティリオンにはしてやられるし。
    なんてい

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    2014年03月04日