酒井昭伸のレビュー一覧
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七王国ウェスタロスのロバート・バランシオン王の死去で始まった王座争奪ゲームは五人の王が乱立する五王の戦いという状況になるが、すぐに王たちは斃れる。北の王ロブ・スタークはフレイ家の陰謀で謀殺され、レンリー・バランシオンはスタニス・バランシオンのもとの〈紅の祭司〉の魔法で暗殺される。鉄諸島のペイロン・グレイジョイは事故死するが、これも弟のユーロンの隠謀があるのかもしれない。ロバート王の跡を継いだ息子のジョフリーも宮廷で毒殺される。王家の後ろ盾ラニスター家の次男、小人の〈小鬼〉ことティリオンが毒殺の嫌疑を着せられ収監されるが、兄ジェイミーの計らいで宮廷宦官ヴァリスによって王宮の抜け穴を通って逃がされる。その際、ティリオンは父タイウィンの居室に出てしまい、父の一言によって長年確執のある父を殺して宮廷を脱出することになる。
で、本巻では主として王都キングズ・ランディングとそれに関連した出来事の顛末と鉄諸島の王位継承問題が描かれる。王都ではジョフリーの弟のまだ幼いトメンが王位に就き、タイウィン・ラニスターもなき今、トメンの母にしてタイウィンの娘、ジェイミーの双子の姉の皇太后サーセイが摂政として実権を握るが、猜疑心から愚かな政治を行っていき、次なる激動が予想される。
スターク家の娘、ロブの妹のサンサとアリアの行状。父エダード・スタークが謀反人の嫌疑を着せられて殺されたあと、ジョフリーの婚約者だったサンサは婚約破棄され、ティリオンと結婚させられるが、そのティリオンも謀反人となり、その混乱下、密かに宮廷から逃がされる。手を引くのは〈リトル・フィンガー〉ことピーター・ペイリッシュ。稀代の陰謀家である。彼はかつてサンサの母キャトリンを愛していたが、キャトリンの妹でアリン家の高巣城に嫁に行ったものの、いまや未亡人となっているライサと結婚している。てんかん持ちの幼い城主ロバートを庇護しつつ、ライサは精神状態が不安定となっており、サンサを殺そうとする。〈リトル・フィンガー〉はライサを謀殺し、高巣城の実権を握るとともにサンサを自分の私生児のアレインと偽って庇護する。アレインことサンサは〈リトル・フィンガー〉から宮廷隠謀術を学んでいくのかも知れない。
父の死後すぐに宮廷を逃れたアリアは遍歴を繰り返した末、暗殺教団〈顔のない男たち〉にたどり着き、そこで訓練を受ける生活になっている。彼女は必殺仕置き人となって物語の中枢に戻ってくるのかも知れない。
女剣士ブライエニーは主君レンリーを失ったあと、キャトリン・スタークの娘たちを探し出すと誓い、サンサ探索の旅をしている。
他方、南部のドーンのマーテル家の出来事も描かれる。マーテル家にはバランシオン家の娘ミアセラが嫁いでおり、年齢順からいったらミアセラのほうが王位継承権を持つ。この駒を使ってラニスター家に対抗しようとする勢力を当主ドーラン・マーテル公は抑え込んでいるが、慎重な彼は表面上王都に恭順を示しつつ、実は何かを画策しているのかも知れない。
鉄諸島では追放されていた王の弟のユーロン・グレイジョイが実権を握る。それも王都に対抗してウェスタロスの覇権をめざすと豪語してである。
北の守りの〈冥夜の守人〉の話からは、サムウェル・タリーだけが登場。新たに〈冥夜の守人〉総帥となったジョン・スノウの命で、メイスターとなるべく、出身地のへの旅をするのだ。 -
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ネタバレは避けたいので、一言。ただ一言。
いや~、随分と死にました!
主要なキャラのうちあの人この人その人が死にました。
うわ~。
全6巻になったという事なので、最終巻がいったいどうなるのか全く予測がつきません。
あの人を殺しちゃっていいのか? というようなキャラまで殺されております。うわ~。
一方、デナーリスは大草原からなんとか帰還しようと苦闘し、サーセイはサーセイで実にしたたか。彼女が選んだ新しいキングスガード(応の楯)とは一体何者なのか!
謎も多く残ります。
生存しているキャラのそれぞれがどうなるのかも見当がつかず、最終巻の翻訳が待たれます。
しかし。第五部で頻出する距離の単位ですが、やはり、メートル法は違和感ありすぎるよ。原文がマイル表記であることは、前の巻のペーパーバックで確認しております。
なんでメートル法にするんだよー。(理由はわかりますがそれでも吼える)。 -
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デナーリスが竜たちの制御を全く喪ってしまうという予想外の事態、そしてデナーリスが行方不明に!
これで奴隷商人湾の情勢も全く不透明になってくる。
一方、「壁」ではすぐそこまで迫ってきた「冬」に対してジョン・スノウが孤軍奮闘し、ウィンターフェル城を巡っては、ボルトンとスタニスがまだ対決せぬまま向き合うなか、おそるべき豪雪が襲っているという、これまたなんとも……な状況。
その分、キングスランディングやヴェイルの情勢は見えない。かろうじてジェイミーやサーセイが希に垣間見えるくらい。
しかしジェイミー-はブライエニーと邂逅したとたん、行方知れずとなり、サーセイはこれまた凄まじい恥辱を味わう事になる。
サーセイは敵役のひとりだから、これは読んでいて爽快とも言える。 -
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ハイペリオンって、SFファンの間では人気高いよね。そんなわけでまあ試してみなきゃってので手に取る。
「それにしても長いよなあ。上下巻って。しかもそれぞれの巻はボリュームあるし。もっと短くまとめられんかったんかいな。ま、気が向いたときにちょこちょこ読んでいくか。半分くらいまで読んで面白くなかったら読むのやめよう」
などと、気乗りしないままページをめくっていったが……。
こ・れ・は・す・ご・い!
司祭の物語から超弩級の面白さ!なんだこれは?もう面白いと言うしか言葉が見つからない面白さ。
上巻からここまで盛り上がって大丈夫か?つうか、ここまでの傑作を書いて、作者は死ぬんじゃないか?死ぬまで行かなくても、作家としての力量をすべて出し切っちゃって、作家生命が終わるんじゃないか?などと、いらぬ心配をするほど。
もう一度言う、これはすごい! -
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電子書籍が普及する昨今、かつてのハヤカワSFシリーズの復刻というべき体裁のビニールカヴァー付ソフト・カヴァー、小口塗り、やや黄色い紙の手に馴染む「紙の本」を出す早川書房の心意気をまず称えておきたい。3年後には文庫化する商売っ気も称えておくが。
しかし中身は旬の作家たちのSFで、バチカルピだの、このライアニエミだのエキゾティックな名前も並ぶ。ライアニエミはフィンランドからイギリスに渡った人。
ニュー・スペースオペラと評される本作は、まずは人間の精神のソフトウェア化が済んだ未来の太陽系が舞台となっており、一応、肉体に宿っている人間の他、どうやらオンライン・ゲーマーの末裔と思われる、オンライン知性体のゾク、集合的意識体と思われる精神共同体(ソボールノスチ)などの人類のヴァリエーションが何やらそれぞれの利害で動いている。
海王星軌道上の監獄にソフトウェア状態で囚われている盗賊ジャン・ル・フランブールは日夜、仮想空間の中で、人工知性体と決闘のゲームを強要されていたが、そこに戦闘美少女ミエリが侵入し、フランブール(のひとつのヴァージョン)を救い出す。ミエリはソボールノスチの集合的ペレグリーニのために働いているらしく、何か訳ありだ。フランブールは否応なくミエリに働かされることになる。物語の主舞台は火星の都市ウブリエット。忘却を意味するこの都市はかつてフランブールが暮らしていたことがあり、昔の因縁がありそうだが、脱獄したフランブールのヴァージョンにはそのあたりの記憶が欠けている。
映画『タイム』では余命が通貨として流通する社会が描かれていたが、ウブリエットでも時が金である。使い果たすと、精神が抜き取られ、静者といわれる機械の操作系として使役され、その労働で時間を貯めるとまた人間に戻ることができるという社会である。抜き取られた精神は、この物語ではゴーゴリと呼ばれるが、それはその精神ソフトフェアが「死せる魂」だからである。種々のテクノロジーはさしたる説明もなく、各国語で印象的な名称が付けられて、これでもかと投入されている。
怪盗に対する名探偵は学生のイジドール・ボートルレ。そして千年紀長者ウンルー主催のパーティに怪盗からの予告状が届く。
怪盗ルパンへのオマージュ、火星シリーズへのオマージュをちりばめつつ、怪盗対名探偵の対決は実はそれほど中心的ではない。謎はフランブール自身の知らない自分の来歴であり、そしてウブリエットという都市の謎なのである。また、キャラの立った登場文物たちの絡み合い、人間兵器ミエリのアクションも大きな見せ所となっている。
とりあえずウブリエットの謎は解かれるのだが、ミエリの訳ありとフランブールの因縁はほのめかされただけで、次の舞台は地球と告げられる。これは三部作の1作目で、第2作『複成王子』はまだ読んでない。 -
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ワイドスクリーン・バロックなる術語はブライアン・オールディスがそのSF史書『十億年の宴』でチャールズ・L・ハーネスの作品を評して作り出した言葉だが、件のハーネスがほとんど訳されないまま、この術語が日本では一人歩きして、やれこれはWSBだ、いやそうじゃない、といったことになっている。
ここでオールディスがバロックという言葉を使ったところがミソで、17世紀の芸術をロココの時代の人々が、悪趣味、品がない、装飾過多、複雑で難解、節度がないと腐したのがバロックなる言葉なのだ。
で、ワイドスクリーンのほうは、地球から事象の地平線まで、宇宙開闢から終焉まで、とにかく大広敷を広げたといった意味で、大長編や連作でワイドスクリーンな世界を緻密に構成していくのではなく、1冊で一気に宇宙の果て、時間の果てまでいてしまうほうがWSBらしい。などとWSBの定義を述べ出すと収拾が付かなくなる。
とはいえ、これがWSBといわれる作品はいくつかあって、この『禅銃』もそうである。
まず登場するのが、銀河帝国宇宙軍の提督アーチャー。彼の副官がミニサイズの象。もうこの辺りからずっこけているのがよろしい。彼は年貢を納めない惑星を懲らしめに来ているのだ。年貢とは何かというと、芸術的才能を持った人間たち。彼らを帝国中心に連れて行くのが使命。というのも出生率の低下で、人間が少なくなり、動物の知能を高めて、二級市民にしているのだが、動物には創造性がないので、創造的な人間は辺境から搾取してこないと、帝国の芸術的水準が維持できないという、大変頽廃した帝国なのだ。コードウェイナー・スミスみたいな設定だが、あんな華麗さはなくて、まるで動物農場。人間の兵士も人材難で幼児が砲塔を操っている。
さてスケールがでかいWSBでは、個人など消し飛んで主人公もはっきりしないが、重要な登場人物の一人が〈小姓〉池松八紘、伝説の戦士、もののふである。といっても彼は全身に火器を装備したガンダムみたいな出で立ちだ。そして、禅銃は木製のちっぽけな銃だが、どうやら詫び寂びを極めた〈小姓〉にしか十全には扱えないらしい。禅銃の力は最後になって明かされる。
他方、禅銃の機能は本書のトンデモ宇宙論と関係している。つまり宇宙の粒子間には引力ではなく斥力が働いているという理論である。2つの粒子が一見引き合っているのは、宇宙の他のすべての粒子から押されているからだというのである。等々のアイディアを投入し、帝国の覇権、銀河帝国の興亡などが、伏線をあやなして、あれよあれよと話は終わる。最近の分厚いスペースオペラよ、反省せよとばかりに。 -
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3作品の映画にもなって、今夏最新作である「ジュラシック・ワールド」が公開されるわけですから、知らない人はいないよね。
物語的にどうだろうと、個人的に大好きな作品。周りの評価がどうだろうと、胸を張って、大好きだと公言する作品。恐竜好きの自分としては、外せない逸品。最上級の娯楽エンターテイメント小説。
上下巻で結構長い物語ですが、展開スピードが早くて気になりません。若干技術的な話や事件が起こるまでの運びが退屈かもしれませんけど。現代に恐竜がよみがえったら、こんなトラブルが起こりえるんだなぁ、と思いながら興味津々に読み進められました。
まぁ、小説を読むのは今さらだなーと感じるなら、映画をご覧ください。個人的には映画も大好き。恐竜のCGが迫力ありますし、本物っぽい(本物なんて見たことないけど)。これから映画になる恐竜には、羽毛が生えてるのかなァ……。 -
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宇宙の蛮族アウスターの侵攻を受ける辺境惑星ハイペリオン目指して、連邦軍FORCEの無敵艦隊が出撃していく。連邦の主星タウ・ケティ・センターからその光輝を見守るのは、超高度AI集合体<テクノコア>が19世紀の詩人ジョン・キーツに模して作り出した人造人間ジョゼフ・セヴァーン。自分がなぜこの世界に送り出されたのか理解できないまま、セヴァーンは連邦の最高権力者マイナ・グラッドストーンから謎めいた厚遇を受け、その傍で連邦内の混乱と権謀術数を観察していくことになる。
一方、惑星ハイペリオンにおいてようやく<時間の墓標>に辿り着いた6人の巡礼達は、激しい時潮と物資の欠乏に悩まされながら、一人また一人と不思議な現象に見舞われ、<苦痛の神>シュライクと対峙することになる。遂にシュライクに相見えた巡礼達が取った行動は?そして、惑星ハイペリオンの行く末は?
前作「ハイペリオン」上下巻に続いて、これで物語は一応の完結を見ます。といっても、物語の構成は「ハイペリオン」と本作とではかなり対照的。
巡礼達一人一人の個人的な体験談をじっくりと腰を据えて順番に描き出している「ハイペリオン」に対して、本作は連邦中枢部も巡礼達の動きも把握できる能力を持つジョゼフ・セヴァーンを狂言回しに据え、タウ・ケティ・センターもハイペリオンもその他の連邦内惑星も<テクノコア>の仮想空間も一緒くたにして、どんどん画面を切り替えつつ同時並行でストーリーを展開させるという、ものすごい情報量とスピード感溢れる構成。上巻ではまだ「バラバラな話が平行して進んでいる」感じで、この先どうまとめるのかちょっと不安になるぐらいなんですが(^_^;、下巻に入ってそれまでの話、未解決の謎が次々と一本のストーリーラインにしゅっとまとまり、怒濤の大団円に向かって猛スピードで突っ込んでいく様は、エンターテインメント作家ダン・シモンズの面目躍如。「ハイペリオン」上下巻も含めて、この物語世界で経過した時間を考えてみると、おそらく数週間、ひょっとしたら数日程度の出来事なんですよね。物語世界の密度の高さに、くらくらします。
鴨のイマジネーション不足もあって、正直なところ回収し切れていない謎やちょっと気になる展開もないわけではありません。重要なファクターの一つである「人間の理解を超えたAI」という設定が、昨年末に読んだ円城塔氏の作品とダブって既視感を覚えたりもしました。が、そんなことどうでもいいんだよ、だって面白いんだから!と声を大にしたくなる、圧倒的なスピード感とリーダビリティの高さ。前作同様、美しい情景描写も読みどころの一つです。
これ、もうちょっとストーリーをすっきりさせて、映画化したら面白いだろうなぁ。と考えたりもするんですが、じゃぁどこをすっきりさせるか、というと、どこも外せないというこのストーリーの濃さ(笑)いやいや、楽しませてもらいました。再読するにはかなりの体力が必要そうですが(^_^; -
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週刊少年ジャンプか~い!ってくらいの引きの強さ。
だけど次巻刊行まで何年待たねばならないの?
作者は来年末には第6部を刊行したいと言っているみたいだけど、それでも日本語版はさらに1年は待たないとならないわけで…。
ジョンはどうなる!?
デナーリスは?
ティリオンは?
巻末の人物紹介を読むと、思った以上に行方不明者と「死んだことになっている」人が多いので、まだまだ二転三転四転五転しそうです。
氷はジョンで、炎はデナーリスなので、氷と炎の対決か、氷と炎の融合なのだと思っていたのですが、作者が最後に残るのはひとりと言っているそうなので、もう誰が王になるのかわからない。
氷と炎が融合したら水になると思うので、ここのところ世界中で地味に存在感を増しているグレイジョイが漁夫の利で王になったら面白いけどね。
しかし、私利私欲に走らない、優れた人間性の人はすぐに死んでいきますなあ。
嫌な奴はしぶとく生き残るのに。
そして、気がつくとその嫌な奴(サーセイとかシオンとか)にも、哀しい事情があったんだなあと思わせてしまうのも、作者の腕なんでしょうね。
完全な悪も、完全な善もない。
全ての人に言い分がある。(いまのところ言い分なんてなくただ激烈に悪い奴ってラムジーだけど、将来的に彼に同情できるような言い分が出来てくるんでしょうか)
絶対完結するってわかったいるのならハードカバーの大人買いをしたいのだけど(何度も読んで理解を深めたい。楽しみたい)、未決で終わりそうな気もするので手が出せない。
当面はDVDで復習しようっと。