酒井昭伸のレビュー一覧
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銀河宇宙に進出した人類はその後滅びの道をたどり、地球にただひとつ自己完結型のユートピア都市を建設してその殻に閉じこもった。十億年の停滞を経た後、未知への探究心をおさえられない一人の若者が、ついに外の世界への扉を開く。
冒頭からVRゲーム?が出てきて面食らった。唯一都市の設定が面白く、人間のデジタル化、千年の寿命、心象の視覚化システム、オンライン通話などなど、これが1956年の小説であることに驚くばかり。地球全土は砂漠化しており、都市の外には何があるのか。主人公に共感して興味がおさえられないまま物語は引っ張られていく。探索の舞台はやがて星々の世界に広がり、人類の精神性とその進化にまで言及される。 -
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20代中盤に夏休みで3週間ほどローマを中心としたイタリア旅行に行けることになり、その時ちょうど読みはじめていたハイペリオンをシリーズまるごと詰め込んでいった。
難解だし繋がりもわからぬままだし、きっと旅行中には読み終わるまいと思っていたのだけど、あまりの面白さに最初の10日で読み終わってしまい、その旅の間ずっと気に入ったシーンや繋がりを繰り返し読み続けていた。
当初知らなかった、ローマに生きた詩人ジョンキーツやサンタンジェロ城の登場に素晴らしい縁を感じて旅がより楽しくなった。登場人物達がここにいたのかもしれないと思うと独り嬉しくなった。
長編SFを読むのがはじめてだったので、途中で投げてし -
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ネタバレⅠではドラゴン無双なところがあったターガリアンだけどターガリアンの中で争いが起こった為にドラゴン同士の戦いに…。映像化されるとドラゴンが傷付くシーンで絶対しんどくなるなと思いながらも大迫力のシーンになることは必須なので楽しみでもある。ただゲースロでもドラゴン贔屓だったのでやはりしんどい。
この本を読むキッカケとも言えるデーモン・ターガリアンがなかなかのクズ男(嫁を蔑ろにする、姪に手を出す、娼館通いはする、親子ほど年の離れた女にも手を出すなどなど)ではあるものの戦士として戦略家としては優秀であり、ゲーム・オブ・スローンズシリーズにも関わらず割といい死に方をしているので映像化も期待が大きい。
本編 -
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ネタバレドラマ化予定のHouse of Dragonの原作であり好きな俳優がかなり大事な役を貰ったのもあって読むことに。ウェスタロスに降り立ったターガリアン一族の歴史書風小説。あの世界の歴史書を原作者であるマーティンが翻訳した形。多くはジェへアリーズ一世とその王妃アリサンの記録。初夜権を廃止したアリサンのシーンはとても好き。ゲーム・オブ・スローンズのシリーズは中世くらいをモデルにしているせいか女性が政治の道具であったり力任せに男に乱暴されたりもするが、アリサン妃のようにな女性が描かれることで決して古い価値観だけで描かれていないのが分かって好感度が高い。
因みにこの頃に盗まれたドラゴンの卵が3個である事 -
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なるほど~。こういうお話だったのですね。
隕石の墜落から始まるので、パニック小説系のお話かと思ったら、歴史改変ものの女性宇宙飛行士誕生物語でした。
この『宇宙へ』は著者の『レディ・アストロノーツ』の前日譚ということで、これからこのシリーズがどんどん発刊されていくのでしょ。
本書の内容としては非常に興味深かったですね。
1950年代、実際のアポロ計画が終了せずに、もし人間を宇宙へ送る必然性があった場合、宇宙開発はどのように進んでいっただろうかということを史実とできるだけ合わせながらリアルに描いています。
黒人差別や女性蔑視が当たり前だった時代。
このような時代にもし女性たちが真剣に宇宙飛行 -
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歴史改変もののSF。
もし1950年代に巨大隕石が地球に落下し、アメリカの東海岸が全滅したら・・・というお話。
1950年代というと、米ソが宇宙競争をしている状況であるが、本書ではまだアポロ計画にのっとった月への到達がなさ得れていないという状況である。
本書では、元女性パイロットの天才数学者の女性が主人公であり、コンピューターが未だ発達していない状況で、「計算者」として、それこそ「人間コンピューター」として働く物語である。
話はSFであるが、1950年代当時のアメリカをリアルに映し出し、黒人差別、女性蔑視等が激しい時代の状況を克明に反映させている。
巨大隕石による気候変動のため、地球か -
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シンプルで素朴なSFだからこそ面白くて、考えさせる事も多い。
隕石の衝突と人類滅亡という、オールドファッションな題材を、1950年代というオールドファッションドな舞台で語られる。
科学は未だ素朴であって、大量生産・大量消費というway of life の時代。
科学はまだ手の届く範囲にあって、最新技術がIBM(パンチカード式計算機)だった時代だ。
科学者は皆、暗算か筆算で計算するのが主だった。
軌道計算も手計算がメインで計算機はサブに過ぎない。
思えば実際の歴史でもよくこんな時代に宇宙開発なんてものに手を出したなぁという驚愕と共に、科学と科学者たちの苦労、アイデアがいまの時代につな -
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ネタバレ12年振りのアーサー・C・クラーク。コロナの影響でどこにも行けないゴールデンウィークだからこそ、ハードSFでどっぷりと世界観に漬かりたいと思い読むことにした。
タイトルからは内容の想像が湧かないが、主人公である少年、アルヴィンの冒険譚といったところ。ただし、少年の冒険とそれを通じた成長を描くだけではなく、物語は人類の今後と宇宙の終焉まで見据えた壮大な物語へと発展してゆく。そのダイナミズムに圧倒される上に、人生の歩み方に関する哲学的な問いまで吹っ掛けられる心地にもなり、視覚的にも精神的にもガンガン揺さぶりをかけてくる、長期休暇に持って来いの小説だった。
この物語の舞台は、超絶凄いコンピュ -
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NHKの100分de名著で取り上げられるということで、積読を消化したのですが、予想以上の面白さにビックリしました。古典SFって思索的なイメージが強かったのですが、この作品はそのイメージにプラスして、冒険小説のようなワクワク感があるのです。
物語の舞台となるのはダイアスパーという都市。そこでは人間の誕生や死の概念すらも、現代とは全く違います。生まれてくる人間は、始めから成人の身体。不老不死となった人間は、死のタイミングも自ら選ぶようになり、その記憶はメモリーバンクに保存され、新しい身体へ移されます。そして、その記憶は概ね20才前後で蘇る。
そんな人間の誕生から、都市のシステムまで全て管理して -
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ー “来世というものはあるのかしら。目が覚めてみたら、すべてが夢だったなんていうことがあるのかしら。きっとあるわよね、人間というものは、こんな苦しみを受けるために創られたんじゃないもの”
ああ、ファニー、きみは知らなかったんだ!人はまさに、そのような苦しみを受けるために生まれてきたことを。つまるところ、人が自意識と呼ぶものは、苦しみの波濤のあいまに生じる澄んだ潮だまりにすぎない。人はみな、みずからの苦しみに耐え、それを抱きしめるように創られている、運命づけられている。そう、狼の仔を腹に隠したスパルタ人の泥棒がその仔に腸を食いつくされるように。 ー
やっと4冊読み終わった。長かった…。
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