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Posted by ブクログ
長門有希が読んでたやつ。枠物語の古典『カンタベリー物語』風の体裁をとっているが、中身は極めて濃厚なSF。
28世紀の宇宙時代、巡礼という名目で7人の男女が旅をしながらそれぞれの物語を語っていく。この説明だけ見ると未来版もしくはSF版『カンタベリー物語』的なものを想像してしまう。そういった趣きもあるにはあるが、中世の多様なドラマが収録されていたかの古典に比べると、本作はガッツリとした一つの大きな物語が設定されていて、やや面食らった。枠物語の「枠」の部分――世界観のキーとなるシュライクの謎――が思いのほか濃厚で、長大なSF巨編ともいえる展開を広げるのだ。そのあたり、実質的には短篇集だった『デカメロン』や『カンタベリー物語』とは大きく異なる性質を持つ。
とはいえ、7人がそれぞれに語る自分語りはそれ単体でも魅力のある話である上、それらが全体のSF世界における物語と絶妙なハーモニーをなして味わい深いものとなっている。旅の舞台となるハイペリオンの風景、背景の歴史、そしてシュライクの謎に引っ張られて先が気になる。SFにありがちな用語の読みにくさはありつつも、最後まで読まないと収まらない系の小説。
Posted by ブクログ
20代中盤に夏休みで3週間ほどローマを中心としたイタリア旅行に行けることになり、その時ちょうど読みはじめていたハイペリオンをシリーズまるごと詰め込んでいった。
難解だし繋がりもわからぬままだし、きっと旅行中には読み終わるまいと思っていたのだけど、あまりの面白さに最初の10日で読み終わってしまい、その旅の間ずっと気に入ったシーンや繋がりを繰り返し読み続けていた。
当初知らなかった、ローマに生きた詩人ジョンキーツやサンタンジェロ城の登場に素晴らしい縁を感じて旅がより楽しくなった。登場人物達がここにいたのかもしれないと思うと独り嬉しくなった。
長編SFを読むのがはじめてだったので、途中で投げてしまわないか不安でいっぱいだったが、杞憂に終わるシモンズの小説の巧さ。
理論がわからなくともちゃんと物語を脳に染み込ませてくれるのが凄い。
それとアイネイアーちゃんが可愛い。
再読ちゃんとしたいシリーズ。
Posted by ブクログ
ー 教会が滅びるつもりなら、それもまたよし。ただしその死は、キリスト再臨の知識に満ち、栄光に輝くものでなければならぬ。進んで減びるのではないにせよ、暗黒のなかに歩みいるのであれば、毅然とー雄々しく、たしかな信仰心をもって進まねばならぬ。
死の収容所のなかで、核の炎のなかで、癌病棟で、ユダヤ人大虐殺のさなかで、孤独な静寂につつまれ、何世代も何世代ものあいだ、死に直面しながらも信仰心を失わず、希望こそいだかぬにせよ、これらのすべてにはなんらかの理由があるのだ、これほどの苦しみを味わい、これほどの犠牲をはらうだけの意味があるのだと祈りながら、暗黒を見すえつつそのあぎとへと歩んでいった、何百万もの先人のように。
論理も事実も納得のいく理屈もなかった先人らが暗黒のただなかへはいっていくさいには、それこそごくごくかぼそい希望の糸と、いまにもゆらぎそうな信仰心しかなかったにちがいない。しかし、その先人たちが暗黒をまえにしてわずかな希望をつなぐことができたのなら、わたしにもまたおなじことができるはずだ…そして、教会にも。 ー
28世紀、謎の惑星ハイペリオンに巡礼団として派遣された7人の物語。
なぜ、巡礼するのか。旅の道中に一人一人が順番に語っていく。
意味不明な設定が解説なしに次々に物語られ、物語の中で少しずつその意味が部分的に分かっていく。物語がだんだん立体的になり、読み進めていくとイメージ出来るようになってくる。イメージ出来るようになるともっと面白くなってくる。物語の中に読者を引き込んでいく引力が強い作品。
続きが気になるなぁ〜。
Posted by ブクログ
ハイペリオンって、SFファンの間では人気高いよね。そんなわけでまあ試してみなきゃってので手に取る。
「それにしても長いよなあ。上下巻って。しかもそれぞれの巻はボリュームあるし。もっと短くまとめられんかったんかいな。ま、気が向いたときにちょこちょこ読んでいくか。半分くらいまで読んで面白くなかったら読むのやめよう」
などと、気乗りしないままページをめくっていったが……。
こ・れ・は・す・ご・い!
司祭の物語から超弩級の面白さ!なんだこれは?もう面白いと言うしか言葉が見つからない面白さ。
上巻からここまで盛り上がって大丈夫か?つうか、ここまでの傑作を書いて、作者は死ぬんじゃないか?死ぬまで行かなくても、作家としての力量をすべて出し切っちゃって、作家生命が終わるんじゃないか?などと、いらぬ心配をするほど。
もう一度言う、これはすごい!
Posted by ブクログ
物語は終わりません。
本書は、続く「ハイペリオンの没落」、さらには「エンディミオン」、「エンディミオンの覚醒」と全4部に連なる大叙述詩の幕開の巻です。従って、1000ページにおよぶ頁をめくっても返ってくる答えはありません。物語は謎ばかりを残して、終わらないのです。
…が、それでもこの興奮は暫く抑えられそうにありません。読んでいる途中から、続編を買いに走りましたよ。直ぐに続きを読めるようにと。
舞台は、辺境の惑星「ハイペリオン」。殺戮者シュライクを封じ込めた<時間の墓標>が開き始め、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへの侵攻を開始。そして宇宙連邦は、<時間の墓標>へ7人の巡礼者を派遣する。<時間の墓標>に赴く途上で開陳される巡礼者の数奇な運命は、宇宙世界の骨格を形成し、宇宙連邦やアウスターに幾つかの説明を加え、そしてハイペリオンを廻る数々の謎を残す。物語が紡がれたとき、巡礼者ら一行は、<時間の墓標>に到達するが…
巡礼者の各々の語りが、いわゆる群像劇となって物語は進んでいきます。司教の物語終盤に感じる不条理、戦士の物語における手に汗握る脈動感、学者の物語の涙隠せぬ喪失感など、幅広い展開に多才だなぁと思うところ、しばしば。このあたりは、訳者あとがきで存分に述べられていますが、とにかく色んなネタをこれでもかと言わんばかりに詰め込んでいるみたいですね。いわゆるオマージュ的な描写もチラホラ。探偵の物語に登場する「ギブスン」は、やっぱりそうなんだろう。
多才なだけでなく、物語に惹きつける筆力は、最近読んだ小説のなかでも随一でした。真実の片鱗が見え隠れしつつも、肝心なところが良く解らないところも、続きを読ませる仕掛けでしょうか。まんまと掛かっています。
個人的に大長編ってのは、飽きを感じさせて、苦手な方なのですが、久方ぶりにそれを感じさせない、パワー溢れる作品に出会えました。
さて、続きを読もう。
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小説・文芸
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