酒井昭伸のレビュー一覧
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その時、エルマとナサニエルの夫婦は、忙しい仕事から逃れて待望の休暇を取って、ナサニエルが父親から相続した山荘にいた。1953年3月3日、午前9時53分。外界がまばゆい光に包まれたのだった。とっさに二人は、ワシントンD.C.に核爆発があったと考えた。しかしラジオからはそのまま音楽が流れ続けている。ということは、電磁インパルスが発生していないということだ。核爆発じゃない。それならなんだろうか。音はまだ届かない。あれほど眩かったのに。ということはとてつもない大きさの爆発だということだ。流星体が落下したのかも…。元WASP(Women's Airforce Service Pilots)で物
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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画(Part1)を観て、どうしても読みたくなって買い求めた。思った通りだった。私の生涯ベストの一つである「指輪物語」に追いつかの如くの「ファンタジー」だったのである。
私がファンタジーに求めるものは二つ。物語の最初から、既に「世界」は完璧に出来上がっていていなくてはならない、というのが一つ。もう一つは、物語の奥の奥に、必ず答えの決まらない「問いかけ」が用意されていること。そしてラストに、ファンタジーだからこそ許される答えを僅かに提示すること。まだ3部作の最初を読んだだけだけど、一つ目は見事にクリアした。
時は、地球の西暦で教えられる。標準年10191年。0を一つ -
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上・中・下の三分冊で刊行された新訳版の下巻。壮大なるSF叙事詩が開幕した感のあるラスト。いやー面白かった、とこれからが楽しみ、とがいっぺんに味わえる贅沢な読後感だった。本作に影響を受けたであろう作品のタイトルが古今東西メディアを問わずいくつも思い浮かぶ。途方もない、伝説の大作小説なのだなと改めて実感。
反面、自分としては気に入っているリンチ監督の映画版が、いかに無理やり詰め込んでいるかということがわかり愕然とした。現在公開中の映画がどうなっているのか確認していないが、これは2時間とかの尺ではとうてい収まりきれる物語ではなく、ロード・オブ・ザ・リングのように何部作かに分けてほしい気がする。
映画 -
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本日10/15より映画公開の「DUNE/デューン 砂の惑星」原作小説第二部。激動の第一部ラストから母親との逃亡劇、フレメンとの出会い、そして溶け込むまでの顛末。ニュータイプかよと思うほど覚醒しまくる主人公に草。父親からは公爵のポジションを受け継ぎ、母親からはベネ・ゲセリットから通じる認識力の拡大を得るなど、アニメにありそうなサラブレッド的俺TUEE系な展開。しかしお母さんもメッチャ強くてさらに草。フレメンの厳しくも独特な文化との触れ合い、少しずつ明らかになっていく香料と蟲の秘密。憎たらしさを増していく男爵側の連中や、予定調和的に現れた恋人などが物語を盛り上げる。時間移動こそしないが、昨今のタイ
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1965年刊。ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作品。明日10/15からの映画公開にあわせて読み始めた。砂漠を滑走する巨大な蟲と飛び交う小型飛行機、帝国の支配と土着の民族、そして救世主伝説。どっかで見たぞこの世界観……でもこっちの方がずっと古い小説。読んでいる感覚はSFというより歴史ものファンタジーな感じ。とにかく設定が作り込まれていて圧倒される。1984年のデイヴィッド・リンチ監督の映画版を先に視聴していたので、物語にすんなり入っていけた。原作を読むと、あの映画は再現度が高く、よくできていたことがことがわかる。世の映画ファンにどう評価されているのかは知らないが。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の新しいDU
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SF好きにはオススメ。
上巻は、ファンタジーには欠かせない世界観や用語の説明などイントロが長かったが、終盤は展開も早く、どんどん読み進めたくなる。
ファンタジーのワクワクする高揚感だけでなく、ストーリーにおいて"香料"をめぐる経済、貴族とその地の民族との関係性や政治などの要素が濃いことから、与えられた条件、環境下でどのような選択をしていくのが良いのか?どのように危機に対処していくのか?を主人公と一緒に考えていける面白さもある。
また、砂漠を舞台にしていて、中東に興味がある身としてはところどころアラビア語?ペルシャ語?由来の言葉が使われているところも親近感を得られた。
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ソ連よりも先に米国が人工衛星を(複数)上げている世界での1952年、巨大隕石が突如、ワシントンD.C.近海に落下し、衝撃波と津波によりアメリカ東海岸は壊滅。
そしてエルマ博士の計算により、隕石で加速された温暖化の影響で(一時的な隕石の冬のあと)温暖化が飛躍的に加速し、人類が地球上で生存できなくなることが判明し、1950年代前半から本気で人類が宇宙開発にいそしむ(ただし、隕石の冬の影響でソビエトはその間に崩壊しているw)というロシア抜きの宇宙開発モノ。と言うか、これこそ、誤訳でなく正しい意味での「女性計算者達の宇宙開発」なのだが、ここまで(奇跡的に?)順調に来ていたロケットの打ち上げが失敗したと -
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最高に面白かった。
SFを読んでいて2度も涙したのは初めてかもしれない。
本作はメアリ・ロビネット・コワル女史による歴史改変SFエンターテインメント。前作の『宇宙へ』の続編である。
1950年代にアメリカ東海岸に隕石が落下し、急激に地球環境が悪化、地球を捨て宇宙へ飛び出さざるを得なくなった状況を描いた前作『宇宙へ』から数年後。
月に探査機地を作った人類はいよいよ新たな居住地として火星を目指すこととなる。
本シリーズの主人公『レディ・アストロノーツ』ことエルマ・ヨーク博士が前作では宇宙飛行士を目指していたが、本作では火星探査チームの一人として選ばれ、火星を目指すこととなる。火星探査チームの