あらすじ
そして復讐のときがきた。フレメンの一員と認められたポールは、その超常能力から、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場になっていた。ハルコンネン家の圧政とポール指揮下のフレメンの反撃に、惑星アラキスは揺れる。状況を危惧した皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れ、ふたたび惑星へと降り立つが……。映画化・ドラマ化され、生態学SFの先駆けとしても知られる伝説的傑作。
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Posted by ブクログ
いよいよ反撃開始!おもしろい~!惑星アラキスの周りの宇宙空間には大艦隊が集結!地上では決着をつける戦いがはじまります。よッ!元祖スターウォーズ!
そんななかで予知能力をもつポールは、帝国宇宙全体を巻き込む破滅的な「聖戦」を避ける道を探ります。
物語は、今から約8000年先の未来が舞台ですが、そこから更にちょっと未来の歴史家が振り返る、という構図です。だから未来のお話でありながら、歴史ものになっています。
その、歴史の振り返りが、上中下通して各場面の冒頭に書かれている歴史書からの引用です。そして、その歴史書を書いたのがプリンセス・イルーランなのです。
プリンセス・イルーラン、どんだけ歴史書や本書くねんと思っていました。下巻になってようやく本人登場し、本を書きまくった真相があきらかに・・・涙です。
わたしがこの本を選んだ理由のひとつである「演算能力者(メンタート)」(別名人間コンピューター)もでてきてがんばりました。
上中下通して、演算能力者はわたしが思ってたのとはちょっと違ってました。
読む前、わたしは5人くらいの集団で(マルチCPU)、アニメの一休さんみたいに考え(ポクポク)、電話でFAX受けたときみたいな「ピ~、じぇ~ピーガが~」みたいな音声でデータをやり取りすると思ってました。
しかし、文章で読むかんじでは、ホントに考えてるんだかよくわからず、普通の諸葛孔明的存在でちょっと残念。演算結果の文字が、ひたいに浮かび上がるくらいやってほしかったです。
最後になりますけど、物語の重要設定にもふれておきたいです。
それは、思考機械(AI)の支配に対する人類の大反逆(バトラーの聖戦、約100年間続いた)です。人類はかろうじて勝利しました。「考える」とは何かは置いといて、以後AI禁止の宇宙世界になります。その流れから演算能力者など、人間能力を拡張したひとたちが登場するようです。
用語集にバトラーの聖戦は、BG201年からBG108年、と書いてあります。この「G」が何か、何時なのかわかりません。わたしは、おそらく帝国の始まりに関わるものだと思います。
また、下巻P310「附録Ⅱ デューンの宗教」の「航宙!」はじめの「深宇宙をゆく人類の行動は、〈バトラーの聖戦〉に先立つこと110世紀間というもの、・・・」とありますが、「110世紀間」は長すぎでは?
一方、「魔女」と呼ばれる女性集団ベネ・ゲセリットは、2000年間くらい極秘計画を進めているようです。ベネ・ゲセリットもバトラーの聖戦後にできた組織のようです。これで考えると、わたしは大変大雑把ですけど、2025年から5000年後の7000年前後にバトラーの聖戦が起きたと推察しました。
かようにいろいろ楽しめる本でしたよ。
Posted by ブクログ
やっと読み終えた。新作映画鑑賞から約半年、当初の予定からは遅れたが、とっても満足した。映画を見た人は原作も読んだ方がいい。マイオールタイムベストファンタジーである「指輪物語」に匹敵するSF小説になった。
(中)で延々と描かれるハルコンネン家の権力争いは、単なる前振りに過ぎなかった。映画のクライマックスで描かれる戦いの場面はほとんど無視される。重要な人物の死も活躍も、尺の関係か映画では描かれていない。映画は素晴らしかったが、なんかもう、もう一度映画化してもらいたいとさえ思う程、原作には未だ映像では描かれていない多くの要素がある。全然詳しく描かれてはないけれども、この9800年間に及ぶ(地球発祥の)人類の歴史を垣間見たことは、ドキドキする体験だった。
そして(下)の圧巻は、(知らなかったので歓喜したが)3篇の「この時代」に関する「後世」の論文と、「指輪物語」に匹敵する「用語解説」である。
レディ・ジェシカの生年没年を明らかにしたり、アリアの没年を明らかにしていなかったり、もう、それだけで想像が掻き立てられた。当然未だ物語は続くので、ポールの人物紹介などは出てこない。
期待していた「平和とは何か」とか「運命とは何か」とかいう、(ファンタジー或いはSFだから開陳可能な)究極の答は、けれども(下)には展開されない。まだ物語は続くからである。
(下)は、本の半分近くで物語は終結するが、安心してください。3冊の中でもっとも起伏に富み、かつ哲学的だった。世界三大SF雑誌「ローカス」の、12年ごとに行われるオールタイムベストで、4回とも本書が常に一位に輝いたという。おそらく今年の発表でも、「三体」はこの牙城を崩すことは叶わないだろう(←あとで調べると前回からベストを20世紀と21世紀とに分けていた。これなら今回も問題なく本書が一位になる)。
以下マイメモ。(スルーしてください)
息子は〈クウィサッツ・ハデラック〉──いちどきに多数の場所に遍在できる存在にほかならない、ということだ。ポールはまさに、ベネ・ゲセリットの夢を体現する存在だったのである。(略)「ひとりひとりの人間の中には、太古からふたつの力が存在する。奪う力と、与える力だ。男の場合、奪う力が宿る場所を認識するのはそうむずかしいことじゃない。が、与える力が宿る場所を認識するのは、男ではないものに変わらないかぎり、ほぼ不可能事だといえる。女の場合、この状況は逆になる」
ジェシカは顔をあげた。チェイニーがポールのことばを聞きながら、自分を見つめていた。「いまいった意味、わかりますね、母上?」ポールがたずねた。 ジェシカにはうなずくことしかできなかった。(略)「そして、あなたは、息子よ──」ジェシカは問いかけた。「──あなたはどちらなの? 〈与える者〉なの、〈奪う者〉なの?」「その中間に位置する者です。奪わずに与えることはできず、与えずに奪うことはできない……」
←当時は男性は奪う者、女性は与える者という概念が一般的である、ということを前提に会話が成立している。半世紀経って、この概念そのものが崩れつつあるということを作者も予想していなかったのだろう。そして究極の預言者(?)になったポールは、その中間に位置するという。
「香料がなくなったら、ギルドの航宙士はもう、なにも見えなくなってしまうんですよ!」 チェイニーはようやく声を出せるようになった。
←(下)に至って、ようやく大宇宙航海時代における、コンピュータを介在しない時代の航海の方法が明らかになる。砂の惑星の香料に、そういう決定的な役割があるとすれば、確かにこの大宇宙を統べる決定的な契機になるはずである。(下)になって初めて、惑星地上での戦いのみでなく、既にギルドの戦隊が惑星周りに集結していることも明らかになる。なかなかドキドキする展開である。
「なにが使用の禁だ!」ポールは怒鳴った。「領家の連中がたがいに核兵器を使わないのは、禁止されてるからじゃない、怖いからだ。だいたい、〈大協約〉にはっきりと書いてある。〝人類に核兵器を使用する者は、惑星ごと消去されてもやむをえない〟、とな。おれたちがこれからやろうとしているのは、〈防嵐壁〉に穴をあけることで、人類に使うわけじゃないだろうが」
←執筆当時、核兵器が究極の兵器だった。9800年の間に、おそらく惑星ひとつ(地球?)が消滅する様な悲劇を経ての〈大協約〉なのだろう。それが数千年間守られていることに、どういう悲劇があったんだろ?と想像は広がる。でもね、〈防嵐壁〉を破壊した時、大砂嵐で放射能はハッキリ皇帝側に吹きつのったのだから、あのとき「全員」が被爆しているんですよ。
(左腰だったのか! 欺瞞の中の欺瞞の中の欺瞞ということか) ベネ・ゲセリットの修業がものをいい、反射的に筋肉が動いて難を逃れはした
←物語は、戦争ではなく、この個人的決闘をクライマックスに置く。小説と映画の違いではある。面白いのは「◯◯の中の◯◯の中の◯◯」という描写が数回使われていること。裏の裏の裏をかく、という「戦闘技術」が、「コンピュータが否定された」とき洗練される時代になるだろう、という世界認識は、それはそれで教訓的だ。
やがて〈バトラーの聖戦〉が勃発し──二世代にわたる混沌がつづいた。その結果として、機械と機械論理の神は大量のガラクタの山に投げ捨てられ、ここに新たな概念が興隆した。すなわち──。〝人類がなにものかに取って代わられることを看過してはならない〟 (論文「デューンの宗教」より)
←遂に「バトラーの聖戦」が、どの時代に起きたのか、見つけることはできなかった。その詳しい内容もわからない。けれども、この物々しい書き方そのものが、私的にはツボ。
ベネ・ゲセリットの人類血統改良計画は、選択的な婚姻を通じて、彼らが〈クウィサッツ・ハデラック〉なる名称で呼ぶ人間を生みだすことを目標とするものである。この名称は、〝同時に多数の場所に存在できる者〟を意味している。もっとわかりやすく表現するならば、彼らの目的は、〝より高次の次元を理解し、利用しうる、強大な精神パワーを持った人間を生みだすこと〟にあったといえる。(論文「ベネ・ゲセリットの動機と目的に関する報告書」より)
←ポールが〈クウィサッツ・ハデラック〉になるというのが、「砂の惑星」の簡単な粗筋ではあるのだが、結局〈クウィサッツ・ハデラック〉とは何者なのか、はとうとうハッキリしない。その辺りが本書の"面白さ”でもある。
【用語集より】
〈産砂〉──〈小産砂〉 Little Maker 半植物半動物の深砂棲息性媒介生物。アラキスの砂蟲はその最終形態。〈小産砂〉の排泄物が前香料塊となる。
←ここにやっと、「風の谷のナウシカ」における王蟲登場に多大な影響を与えた「砂蟲」の正体が明かされる。「王蟲」は死んで、環境を浄化するものたちだったが、「砂蟲」はその排泄物が「香料」をつくる。正反対である。
保水スーツ Stillsuit アラキスで開発された、全身をすっぽり包みこむスーツ。スーツの生地はマイクロ・サンドウィッチ構造になっており、体熱を外に放散するいっぽう、排泄物から水分を濾過・蒸留する機能を持つ。回収された水分は、蓄水ポケットに蓄えられ、チューブで飲むことができる。
←「砂の惑星」の秀逸なオリジナル機械。マイクロ・サンドウィッチ構造って。
ムアッディブ Muad' Dib アラキスに適応した小型のトビネズミのこと(地球が原産)。フレメンの〝大地の精霊〟神話は、アラキス第二の月の月面にあるトビネズミ様の模様と結びついた。大砂原における生存能力の高さから、トビネズミはフレメンが敬意を捧げる対象となっている。
←ポールの別称。「トビネズミ」は実際、地球上に存在するらしい。こういう「設定」大好き。
バトラーの聖戦、Jihad, Butlerian (「大反乱」の項も参照)コンピュータ、思考機械、自意識あるロボットに対する聖戦。 BG二〇一年に勃発し、 BG一〇八年に終結を迎えた。当時の戒めは、つぎの形で『オレンジ・カトリック聖典』に残っている。「汝、人心を持つがごとき機械を造るなかれ」」
←「BG」って何?約100年間続いた、大きな「戦争」だったわけだ。誰かこれを小説化してくれないかな。
演算能力者 Mentat (メンタート) 帝国の市民階級のひとつ。きわめて高度な論理演算ができるように訓練された者たち。別名〝人間コンピュータ〟。
←私の好きな「設定」の一つ。
Posted by ブクログ
最後まで読みやすかった新訳版。
旧訳版を読んだときに、終盤の「そんなことはいうものか」のくだりが今ひとつ理解しがたかったのですが、新訳では「そんなことば、いってたまるか」になっており、前後の文脈も分かりやすくなっており、すっきり理解できました。
解説では「指輪物語」が挙げられていましたが、異世界の構築という意味では、本書はファンタジーに近いものなのかもしれません。
そう考えると、ベネ・ゲセリットのやっていることは魔術的だし、砂蟲という巨大怪獣や、ヨーロッパ中世風の封建制度も、剣と魔法の世界の方がフィットしそうではあります。
ただ、そうした舞台装置に科学的な(あるいは科学っぽい)裏付けを与えるべく、緻密に設定を考えているところが、ファンタジーとの差なのでしょう。
そういえば、映画版デューンを撮ったヴィルヌーヴ監督が、「スフィル・ハワトの出番は泣く泣く全カットした」(意訳)と言っていましたが、たしかに本巻終盤のスフィル・ハワトに関するエピソードは、ほろりとするもので、カットするのは惜しいように思いました。
ただ、タイトルは忘れましたがある映画のDVDのオーディオコメンタリーで、某監督が「気に入ったシーンをカットできるようになったら監督として一人前」というようなことを言ってましたので、スフィル・ハワトが出てこない方が、映画としての完成度が上がったということなのでしょう。
Posted by ブクログ
クイサッツ・ハデラックとして覚醒したポール・アトレイデイスがハルコンネンと、黒幕の皇帝への復讐を果たす下巻。
これまで映画と比べながら読んできた。
核となる太い幹部分は同じだが、個々の部分は結構違っていると下巻を読んで改めて思った。
映画は現代的なアップデートがされている。特に小説版は専制君主制でもあるのでポール・アトレイデイスの後ろに女性たちが隠れがち、というか従うしかない部分がちらほらある。それが大きなノイズとなることはないが、1965年に書かれた小説という時代性が顔を出す瞬間もある。
映画でも専制君主制は変わりはないのだが、現代的なアップデートがされている。何なら映画版は男性よりも各陣営の女性たちが魅力的だったりするのが面白い。
特にチェイニーやジェシカなんかは映画版では、芯がある女性であり、自分を持っている女性として描かれている。なので小説版ではその物わかりの良さに、あれ? と思ってしまった。
それと映画版のフェイド=ラウサのヤバい奴感は小説では結構抑えられている。こっちはこっちで魅力的なのだが、ポール・アトレイデイスの写し鏡としてのキャラ機能を感じたのは小説だった。
映画は映画の、小説には小説の、それぞれの面白さがある。楽しめる部分も全然違ったので、見比べてみて良かった。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は次作の『砂漠の救世主』を一番やりたいらしいので、そっちも手に取ってみよう。
Posted by ブクログ
盛り上がってまいりましたの三部作下巻完結編。正直独白ばかりであまり物事が動かない上中巻に、面白いながらも飽いてきた感否めない状態からの読書開始だったものの、下巻は一気に物事が動き始め、あれよあれよと主人公ポール・ムアディップが救世主に上り詰める過程を、飽くことなく堪能できる(基本線は同じものの映画DUNE2はかなり内容を精査して、時系列や設定を変えてでも映画用に再構成して成功をおさめていると思える)。巻末には惑星アラキスの歴史やデューン世界の宗教史、用語集など、歴史書さながらの付録が付いていて、世界観の徹底ぶりに笑ってしまった。そして忘れてはならないのが、これが55年以上前に刊行された作品ということ。すごすぎる。
続編も読んでみよう。
Posted by ブクログ
いやぁおもしろかった!!
奥行きのある世界観や壮大な人類史、舞台となる惑星アラキスの緻密な設定に加え、預言者として苦悩する主人公ポールたちの人間模様…しかし、プロットはど直球な復讐劇。これら全ての要素が重なり合って抜群のエンターテイメントを提供する本書は、ヒューゴー賞と第1回ネビュラ賞のダブルクラウンに輝く「デューン 砂の惑星」です。
解説によると、1975年からスタートし、およそ12年ごとに読者投票されるローカス賞「オールタイムベスト」において、4回連続(1975年、1987年、1998年、2012年)の1位となっているよう。これ地味に凄いですね。でもなんとなく納得。とてもSFらしい作品だと思いますし、王道展開の節々で垣間見られる深遠さは、読者の心を掴んで離さないかと。
続編もあるようですので、随時読み進めようと思います。(ただ、絶版の気配が…)
Posted by ブクログ
人類文明が大宇宙に広がる遥かな未来。
思考機械、超コンピュータ群への従属を良しとしない【バトラーの聖戦】を経て幾星霜、人々は中世的な社会の中で、機械に頼らず自らの肉体精神性を拡張した文明を築いている。
解説より抜粋
もうこの設定に痺れてしまった。
人類の歴史は何周もして、遥かな未来では中世的な世の中になってしまうのか。
そこで起こっているのは、利権をめぐる戦争であり民族への弾圧である。高度な武器は高度なシールドに阻まれ使い物にならないし、巨大な砂嵐や凶暴な生物の前で人々は、息を殺してやり過ごすしかない。そしていつの世もヒーローの出現を待つのだ。
Posted by ブクログ
緻密に練られたストーリーと世界観は最高でした。
さらに、人間の普遍的な部分についても考えさせられる所も多く、何度も読みたい本のうちの一つで間違い無いでしょう!!
個人的には下巻巻末の「附録」から先に目を通すと内容が入って来やすいかと思います。自分はそうしました。
Posted by ブクログ
『風の谷のナウシカ』や『スターウォーズ』の元ネタともなった名作古典SF。
社会制度、宗教、生態など、世界観の構築が奥深い。
新訳版は昔に読んだ旧訳版とは全然印象が違う。前は重厚な大河SFという感じだったけど、新訳版は痛快娯楽SFとして読める。
Posted by ブクログ
ムアッディブとして皆に認められフレメンの指導者となったポールは、スティルガーや再会したガーニーらととも砂漠の民を率い、ハルコンネンへの復讐、バーディシャー皇帝との対峙を果たす。自分の行動が伝説となる事を自覚しながら、未来の聖戦を避けるために行動するポールだが、自らの選択が正しいのか苦悩する。一応本作はこれで完結。本編の後にデューンの生態学・宗教、ベネ・ゲセリットの考察や用語集があり著者が本気で惑星アラキスの世界を作り上げていた事が窺える。フランク・ハーバートの創造した緻密な世界観を堪能させてもらった。
Posted by ブクログ
上・中・下の三分冊で刊行された新訳版の下巻。壮大なるSF叙事詩が開幕した感のあるラスト。いやー面白かった、とこれからが楽しみ、とがいっぺんに味わえる贅沢な読後感だった。本作に影響を受けたであろう作品のタイトルが古今東西メディアを問わずいくつも思い浮かぶ。途方もない、伝説の大作小説なのだなと改めて実感。
反面、自分としては気に入っているリンチ監督の映画版が、いかに無理やり詰め込んでいるかということがわかり愕然とした。現在公開中の映画がどうなっているのか確認していないが、これは2時間とかの尺ではとうてい収まりきれる物語ではなく、ロード・オブ・ザ・リングのように何部作かに分けてほしい気がする。
映画化の流れに乗ってこのまま続編の刊行も希望するがはたして。
Posted by ブクログ
最近SFに嵌っており読破
ルールというか能力の幅が少し難しかったが、最後まで楽しめた
ストーリーは王道を行くが、その過程にある宗教や環境、恐怖葛藤の読みごたえも良い
不朽の名作を読めて良かった、その時代にこの作品が描けるのは凄い
Posted by ブクログ
壮大なファンタジーの世界にどっぷり浸かることができた。反撃から決着までは思いの外あっさりしていたのでスッと終わった感もあるのだが、これはこれで良いかなと。
附録にも記載のある通り、本作はヒーローSF物語であると同時に、民族間における宗教の違いもニュアンスとして含んでいる。ヒーロー物語としては、主人公の絶望から覚醒、反撃の狼煙をあげて勝利を掴み取るまでのサクセスストーリーとして十二分に楽しむことができる。生態系SF、というジャンルの確立という意味でも、砂蟲やフレメンの生態、生命の循環サイクルなど世界観の造り込みが丁寧で面白い。
聖書の引用で自明と言えるキリスト教をはじめ、イスラムや仏教、ヒンドゥ教など様々な宗教価値観を絡め合わせて煮詰めたような宗教観。未来系ファンタジーは何でもありと思いつつ、ちゃんとした裏付け…らしきものがあっての世界だからこそ人を惹きつけ、ある意味で納得感のあるストーリーになると思う。そういう意味でも本書のストーリーは面白く、数々の賞を受賞してきたことも納得である。
Posted by ブクログ
惑星アラキスをめぐるハルコンネン家とフレメン家との争い。未知なる惑星に水が無く、大嵐もあり、震動もある。しかしこのSFの世界はいずれ我々が住める世界となるとわくわくしてくる。55年前に書かれたことに驚く。素晴らしいものを読んだ気がする。
Posted by ブクログ
圧倒的な世界観!これぞSFの金字塔!
あまりに緻密に練られた設定だったので、単に本を読むのではなく、まるでポールと一緒に旅をしており、史実を追体験しているかのような錯覚に陥りました。
そして何より個人的に刺さったのが欲望渦巻く権謀術数の世界!
様々な作品で描こうとされるものの、一歩設定を誤ると浅い印象を与えかねない諸刃の剣という認識があったので、変に冷めてしまわないかドキドキしながら読んでいたのですが・・・これだけ熱狂的な人気を博している理由を垣間見た気がします。
ただ、この物語は設定が深すぎるが故に、初めて読む人には少々難解に感じられるかも。。。実際、自分は設定を理解するまで、「???」となる瞬間が何度もあったので、下巻巻末の付録を見ながら読み進めることをお勧めします・・・笑
Posted by ブクログ
独特な文化圏を持つアラキスとフレメンたちを知ることが、実在する部族で暮らす人々の文化を知るような体験に感じ他の小説にない貴重な経験だった。SF要素の他、宗教観についても説明が細かいが、博識な作者の知識に追いつけず意味は理解できなかったが雰囲気は楽しめた。全ての設定説明がしつくされた後半は文章はすっと頭に入ってくる。だが後半は唐突に終わった感がある。
Posted by ブクログ
ずっと読みたかったけど敷居が高かった。
新訳なので読んでみたら映画のおかげもあって
びっくりするほど読みやすくて分かりやすかったです。
でもあれだけみんなが絶対と思っているユエの炎の良心をどうやって
ハルコンネンが解いたのかとか、
どんなふうにポールは産砂を殺して水を得たのか、とか
ポールの息子はどうやって亡くなったのかとか
ハワトはいかにして自分の間違いに気づいたのかとか
ベネゲセはクゥイサッツ生み出してそれで何がしたかったのかとか
描いてないのがもどかしかったです…とりあえず続編読むわ。
Posted by ブクログ
ポールの成長と覚醒が凄まじい。
そしてこの上中下でストーリーは終わらない(知らなかった)。
しかし、原作が書かれた当時、この想像力は圧巻。
附録が凄い。
ストーリーの中での世の中のバックグラウンドが
ワード解説とともに語られている。
解説と翻訳者によるあとがきもおもしろい。
ハリウッドのストの煽りを受け、
DUNE: PART TWOの公開が来年になりそう…で、
読むモチベとスピードがダダ下がり。
ミッションインポシブルを観に行った時映画館で、
フル IMAXのDUNE2の予告編を観て読む気を取り戻す。
映画はどう・どこまで描かれるのか、楽しみすぎる。
続編『砂漠の救世主 上下』は恵比寿有隣堂に取り寄せ依頼。
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映画(前編)を見た後に読み始めた下巻。
下巻は上中巻に比べて展開がダイナミックで読みスピードも自然と早まった。大きく期待を裏切られるような結末ではないが、細かく描かれた世界観にひたってストーリーを追うことや、生態系や権力闘争や宗教に想いを馳せるのを楽しむような作品だなと思った。
上中巻で登場するもあまり正体が明らかにされていなかった人物たちを知っていくのが面白いし、散り散りになったアトレイデス家に属する人々の今も知れて、特にモヤっとする点が残るようなことはなかった。最後の付録も、ストーリーの中では盛り込めなかったであろう背景や用語を説明していて、読みがいがある。
ようやくポールと皇帝が同じ地に立っている場面を見れた(読めた)のは嬉しいポイントだった。
また優生学的な要素(おそらくわざと描いたんだろうが)や女性たちへの認識、帝国の統治など21世紀では良くないとされてることもこの中では当たり前なこととして進んでいくが、それもある意味、異世界にひたれる要素のひとつであるし、ふっと離れて見た時に考えさせられる。
アラキスの生態系については、おぉ〜〜!とワクワクすることが多く、文明はすごいという浅はかな感想しか言えないくらいには、フィクションに科学を取り込んでいて、とても面白かった。
世界観は本当によく作られている…と思う。
Posted by ブクログ
さて。
物語については上巻の方に大体書いたが。
下巻には附録と称して(日本語訳版)、3つの短い文章が載っており、それぞれが作品の世界の重要なファクターの研究という形をとっている。
一つは、デューンの生態学について。また一つは、デューンの宗教について。最後はベネ・ゲセリットについて。
最初の一つには、スピンオフと読んでも良いようなストーリーがある。
いずれも物語には直接描かれてはいない背景の記述で、どんな経緯があってこの物語に至ったのか、を語っている。
加えて巻末には用語集があり、フランク・ハーバードがこの世界をいかに緻密に構築しているかが伺い知れる。
いずれもこの世界をより知りたい読者にとっては興味深い情報だ。
Posted by ブクログ
年末年始になると、番組表ぶち抜きの「大河ドラマ」が目に付きますよね(最近減ったかな)。
もちろんテレビ局の「大人の事情」もあるだろうけど、きっと変わり映えしない一年の締めくくりにはスケールの大きな物語で視聴者の心を「リセット」して、来る年への希望を目覚めさせるのでは……なんてね。
ならば、この物語は絶好のリセット「ドラマ」です。
新人類としての力を持った主人公が、虐げられてきた種族が持つ救世主への願望を背景に、砂漠の惑星アラキスを舞台に戦いを繰り広げ、新しい時代へ扉を開こうとする。
宗教、政治、権力、武力、愛情、などなど幾重にも織り込まれる登場人物たちの思惑が、壮大なスケールを背景に爆発するも、本筋はわかりやすい冒険劇としての面白さが満点。
もちろん、宗教問題、レイシズム、マイノリティ問題、SDGSなど、あれこれ考えていただくのに素材はたっぷり提供されているけど、やはりここは純粋に楽しむことが一番。
まるで、宇宙スケールで描く戦国時代的冒険大活劇なんだから(最上級の誉め言葉です!)
ハヤカワSFマガジン12月号にフランク・ハーバード「砂の惑星」シリーズ全編のあらすじが掲載されています。この物語の伏線回収を希望する方は、目指せ全篇読破!(ガンバって~)
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デュニ・ヴィルヌーブ監督の新作「DUNE 砂の惑星」を観て、原作を未読だったことをハゲシク後悔。さっそく上中下3巻を取り寄せ、読んでみたら...コレが面白かったのなんの!!!
なるほど、スターウォーズに繋がる要素もあれば、宮崎駿「風の谷のナウシカ」の世界観やキャラクターに通ずる要素もあり、連綿と受け継がれる地球規模のSFの系譜に頭を垂れたくなる気分。どうして今まで読んでおかなかったんだろう!
願わくば、映画「DUNE」の後編の製作も必ずや実現されますように!
Posted by ブクログ
【伝説とはいかにして生まれるか】
三部作を通じて独特のSFと宗教が入り交じった世界が作品いっぱいに広がる。
主人公ポールがいかにして砂の惑星から人々の信仰対象になって銀河を牛耳っていくのか。
作者の頭の中で考え出された緻密な世界が最初から最後までいっぱい。
設定を考え活かすのにどれだけの歳月を費やしたのだろうか。
映画化され有名になった本作。私も映画から入った。
映画では大筋を捉えているが細かいところまで説明しているとキリがない。いい感じに映像とセリフだけで本作を表現している。
土地名や惑星名、役職や原理などは下巻に載っているので全てを掌握しながらお話を読むのであれば2周することをオススメしたい。
Posted by ブクログ
デューン第一部新装版完結。
どこか唐突なエンディングは当時のSFの特徴だと思う。
惑星改造について言及されており、先日の日経でもSFが未来志向の技術に及ぼす影響の観点から、自然環境の改造の例として取り上げられていた。でも、自然環境の改造も、優生学的ヒーローの計画も、超絶思考力のやり取りが渾然一体となったところ、当作品の魅力だと思う。
Posted by ブクログ
シリーズはまだまだ続くが、「砂の惑星」としては最終巻。
デヴィッド・リンチ版、ヴィルヌーヴ版の映画で散々観ているので、プロットに関してはすでに知っている。
この巻でハルコンネン男爵の甥であるフェイド=ラウサが登場する。
一方ポールは、フレメンの宗教的指導者となっていく。その過程で以前の部下であったガーニーと再会する。
力をつけたポールは、皇帝との最終決戦へと突き進む。
有名な作品なのですでに知っている部分が多い。
ただ、絶大な人気を誇る古典なので、読んでおいてよかった。
1960年代はレイチェル・カーソンなどの影響で環境問題が盛り上がっていた時期であり、本書もその影響を受けているという。
この状況は現在も似ている。地球温暖化や緑化活動といった課題は、主にビジネス方面のトレンドではあるのだが、とにかく、キーワードではある。
映画はそれほど環境問題については強調していなかったが、それでも砂漠の惑星が舞台で、「水は大切だ」といったことを再三にわたって言うのだから、無関心ではないだろう。
このあたりの状況も、このタイミングで映画化を進めた一つのポイントかもしれない。
小説としてはSFでありながら、さまざまな要素を詰め込んでいるのがおもしろい。なによりも、子どもの頃から知っていながら、いまだに読み通していなかった作品をようやく読み終えたということで、個人的な満足感がある。
Posted by ブクログ
フレメンの一員と認められたポールは、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場となっていた。ポール指揮下のフレメンの復讐の時は来た。Duneの管理権を巡り、皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れふたたび惑星へと降り立つ。
Posted by ブクログ
読み始めてからやや時間をおいてしまった。
異惑星の壮大な叙事詩。SF大作。その世界観、設定に魅了された。
やや回りくどい説明も、古典作品として味わうべきか。
Posted by ブクログ
フランク・ハーバートによるSF大河、第3巻(最終巻)。
預言者"ムアッディブ"として全フレメンの中心的地位を確立したポールは、ハルコンネン男爵家、そして皇帝家へ決戦を挑むための最後の地固めを行う。それは、フレメンの一員として認めてもらうための通過儀礼として、"産砂(サンドワーム)"を操る技を身に着けること、そして、「決闘による一方の"死"によって部族のトップを一人と決める」というフレメンの因習を打破して、フレメン軍の強さを確固たるものにすることであった。"決戦"がいよいよ幕を上げる――――。
・・・なんともモヤモヤが残るラスト。テキストとしての締めは尻切れ蜻蛉感が強く、作中通して命題となっていた「いかに"聖戦"が繰り広げられる未来を阻止できるか」に対する解も、「え、それだけ?」と唖然としてしまうもの。続編のあるシリーズ作品なので仕方のないことなのかもしれないが、本作は本作で綺麗に締めて欲しかったように思う。
評価に違わない壮大なSF大河で、存分に楽しむことはできたのだが、なんとも読後感がイマイチな結果となってしまって残念至極。