あらすじ
〔英国SF協会賞/ローカス賞受賞〕宇宙の蛮族アウスターの侵攻に対抗すべく、連邦の無敵艦隊が投入され、熾烈な戦火の中にとり残された惑星ハイペリオン。この星にある、時を超越した遺跡〈時間の墓標〉を訪れていた七人の男女の眼前で、ついに幾多の謎が解明されるときが近づいていた! 傑作未来叙事詩第二部
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Posted by ブクログ
銀河連邦と蛮族アウスターの戦争がついに本格化し、舞台は人類最後の未踏地・ハイペリオンへ。壮大な銀河叙事詩も第3作目に突入します。
本巻では、巡礼者たちと未来から送り込まれた怪物シュライクとの対峙が描かれ、シリーズ全体の大きな転換点となります。
科学が頂点に達した末に、衰退の道を辿る人類。蛮族と蔑んできたアウスターにさえ後れを取り、滅びへと傾いていく人類ですが、そんな中で社会に居場所を失った巡礼者たちが、人類最後の切り札として世界を駆けてゆく。銀河連邦と巡礼者、マクロとミクロの視点を往還させながら描かれる衰退と再起の構図が、強く胸を打ちました。
そして、連邦CEOが巡礼者達の故郷を次々にワープしながら、彼らの行く末を案じるシーンが好きでした。
本作が特に異彩を放つのは、「神」という存在を徹底的に物語に落とし込んでいる点です。AIが凝縮した知性によって創造された上位知性体UI。未来から現れ、裁きを下す処刑者シュライク。そして、自然発生した究極知性体。科学が神を不要にするほど発展した世界に、なお複数の「神」が示唆される。それらは“デウス・エクス・マキナ”の異なる側面として機能し、ご都合主義として語られがちな概念をここまで鮮明に具現化した作品には、これまで出会ったことがありません。
ハイペリオンという最後の未踏地。その旅の果てに待つのは人類の終焉か、それとも新たな夜明けか──。
圧倒的なスケールで展開する物語を前に、続く下巻への期待を高めずにはいられない一冊です。
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ー リイ、タラとプリンデナスといっしょに、演説の草稿を書いてくれー全〈ウェブ〉向けの警告と宣戦布告、両方のだ。四十五分以内にたのむ。
簡潔に、明快に。チャーチルとストルデンスキーの資料を参考にするといい。現実的だが挑戦的に、楽観的だが決死の覚悟を感じさせる方向でな。ニキ、統合参謀本部の動向をリアルタイムでモニターする必要上、わたし専用の司令マップ・ディスプレイを用意してほしいーインプラント経由でデータを読むタイプだ。CEO以外には読めないようにしておくこと。
バーブラは上院におけるわたしの手足となってくれ。上院に常駐して、状況を把握し、操れる者は操り、脅しをかけ、甘言を弄し、今後三、四回の投票では、わたしに反対票を投ずるよりもアウスターとの決戦を支持したほうが安全だと思い知らせてやるんだ。なにか質問は? ー
いよいよアウスターとの全面戦争が始まる。
そして7人の巡礼者は一人また一人と…。
おもしろ過ぎる!スピーディーな展開がたまらん!
後半が楽しみだ。
Posted by ブクログ
「ハイペリオンの没落」ダン・シモンズ/酒井昭伸 訳
SF叙事詩。水晶色。
1991年ローカス賞。
ハイペリオン4部作の第2作。
前作「ハイペリオン」で広げられた謎、謎、謎が解き明かされていきます。
全〈ウェブ〉を飛び回って展開する物語。ミクロからマクロにまで至る設定の緻密さによって、描かれるシーンのひとつひとつが贅沢すぎる!!
シュライクとは何なのか…を芯にして、〈ウェブ〉の趨勢、〈コア〉の思惑、アウスターの実体、そして時間を跳び越えて語られる「この宇宙」の可能性。
そして、読者の神の視点までも物語に織り込んでしまうダイナミックさ。ひたひたに没入してしまいます。
「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」の2部作で、まずはひとつの終焉を迎えます。
しかし後半2部作では、素敵な冒険譚「エンディミオン」、感動と希望のエンディング「エンディミオンの覚醒」が待っているのです!
読み進むべし。(5)
Posted by ブクログ
SFに関して詳しいわけではないが、SFの王道的展開になっていると思う。それでも引き込ませるプロット、そして訳は素晴らしい。ばらばらだった話が一本になっていく様は目を離せない。
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ハイペリオンの続編ですが、ハイペリオンを読んだ人は、必ずこの作品に手を出したくなるはずです。ハイペリオンと、ハイペリオンの没落はセットで一つの物語とも言うべき作品だからです。
巡礼達に加えて新たな主人公が登場し、さらには様々な勢力の蠢動が始る今作は、スケール感で『ハイペリオン』を更に上回り、頁をめくる手を止めさせてくれません。絶品。
Posted by ブクログ
ハイペリオンの謎解き編。読ませる。一気に読み切ってしまいそうになる。おもしろい。しかし、上巻を読み切ったのに、まだ謎は全く解けてない。いや、一、二点は解けたが、全く解けた気がしない。下巻にすぐに行かなければ。。。
Posted by ブクログ
「ハイペリオン」の続き
これまで、各登場人物の物語が主軸だったが、いよいよ物語はシュライクの謎に迫る。
作者がアメリカ人というところから、ユダヤ教、キリスト教に関する要素が色々織り込まれており、それらを理解していると、物語を通した作者の価値観等もイメージできて面白い。
途中であるが、ユダヤ教への回帰、賛美の色合いを感じる。つまり、畏怖、恐怖の伴う神像。赦しを特徴とするカトリックの神像とのせり合いを感じる。
アジアのイメージも若干出てくるが、前述の記述が熟慮された上でのものであるがゆえに、一層ぼんやりした表現が目立つ。
Posted by ブクログ
【内容】
「ハイペリオン」の続編。いろんな謎はまだ解かれない。
巡礼たちそれぞれのシュライクとの対決。
シュライクとは何者で何を求めているのか?
テクノコアは何を求めているのか?
なぜ発生したのかわからぬ戦争はどうなる?
アウスターの目的は?
森霊修道会の目的は?
グラッドストーンは巡礼たちの故郷を巡礼する。そんな彼女の狙っていることは?
【感想】
印象の強さでは前作ほどではない。普通のSFという感じ。
文庫版上巻では謎の整理という感じ。
下巻で解き明かされるのでしょうか?
Posted by ブクログ
ハイペリオンという前作があったとは。。
どおりで初めから説明が少なくて難しいなと思っていた原因がわかった
とりあえずは前作を読もうかしら。。。
Posted by ブクログ
アウスターの全面攻勢が始まってやっと物語が動き出した。真の敵はコアなのか。鍵を握るのはハイペリオンの巡礼者たち。そして、それぞれの前に待ち望んでいた破壊の神シュライクが現れる。
Posted by ブクログ
映像を読むのか筋を読むのか
読書にはいろんな楽しみがある。まるで目の前で繰り広げられるような絵巻という感触を楽しむという意味において「ハイペリオン」は存在価値が十分にある。しかし、謎が解き明かされるのか、そして謎解きはクリアかという意味では、私はあまりいい評価を与えることができない。そもそもこの手のストーリーがあまり好きではないからかもしれないが。
バケツがひっくり返るほどの大きな展開は、もちろん「ある」。それはそれでクライマックスを作り出すに十分なストーリーだ。しかし、大味なんだな、それが。アメリカ的というかなんというか。緻密さに欠ける。精密機器が苦手な感じがする。最初に書いたようにアーサー・ヘイリーのにおいがきついという感じかな。同じアーサーでも、クラークとは異なる。
絶賛されたSFではあるが、私はこのシリーズである「エンディミオン」を読まないことに決めた。次は適当に買った古本である。