あらすじ
〔ローカス賞受賞〕青年エンディミオンが少女アイネイアーを守り、地球にたどりついて四年。アイネイアーは救世主たる自らの使命を果たすべく、パクス支配領域への帰還を決意した。だが、パクスを裏で操る〈テクノコア〉は、ひそかに彼女の追跡を再開していた……現代SFの頂点を極めた未来叙事詩四部作完結篇
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Posted by ブクログ
『エンディミオン』に続くシリーズ第四弾。オールドアース到着の4年後、エンディミオンの新たな冒険が始まる。
前作までの大冒険の末、たどり着いたオールドアースにて4年を過ごした一行。少女アイネイアーが12歳から16歳へ成長する姿を見守っているのかと思ったら、いつしか弟子のような立場になってしまっているエンディミオン。やがて人類の救世主として立つべき彼女の存在感は圧倒的なものになっていた。互いに惹かれあいながらもまだ男女としての関係がはっきりしないまま、エンディミオンは一人での旅立ちを命じられる。
今度は一人で冒険することになり、前作のような転位をしつつ、これまで以上にとんでもない目にあう。ネタバレは避けるが、あの痛みの正体があんなものだったとは……リアルすぎる(汗)。さらに満身創痍になってボロボロになるエンディミオン君が心配になる。
一方、引退したデ・ソヤ神父大佐が呼び戻され、前作での失態を許されて戦線に復帰するものの……。パクス軍は一枚岩ではなく、その周辺の組織も含めて謀略の限りが尽くされるあたりが読みどころ。
仏教世界を再現した〈天山〉でのアイネイアーの説教はまさに哲学。作者はもともと途方もない博学なのだろうけれどアメリカ人なので、東洋の哲学や仏教については本当によく勉強したものだと思う。愛の力が、強い力、弱い力、電磁気力および重力に並ぶ、宇宙の力の一つなのだという発想が面白い。AIに宿る魂とキリスト教の教義を兼ね合わせた、つまり科学と宗教、SFとスピリチュアルの融合された論説が本作の魅力の一つだろう。
ナノテクノロジーの展開とアウスターの正体についても衝撃。AIと人類の「共進化」という関係について言及されるあたり、1997年刊の本作は今こそ読み直されるべきテーマを語っていると思う。
Posted by ブクログ
新刊の単行本でも買いたくなる面白さ 完結
表紙 7点生籟 範義 酒井 昭伸訳
展開 8点1997年著作
文章 8点
内容 811点
合計 834点
Posted by ブクログ
いじめっ子は一度いじめられる経験をしたほうがいい、そうすれば他者への思いやりの心が生まれる
それを人類全体に拡大したのが
この本のラストに起きたことだ
レイプされる人間とする人間等々、あらゆる人々の精神がつながって究極の共感感覚が訪れる、
そして人類はあらたなステージへと進化する
本当にそうだろうか
人は自転車に乗ったり車に乗ったりする
自転車に乗っているときは車に対して
車に乗っているときは自転車に対して思いやりがない
簡単に書くと「邪魔だ」と思いながら双方運転している
この心境の変化は乗り物を乗り換えた瞬間におとづれる
立場が変わった人の心理は変化する
過去の経験は一瞬で忘れ去られる