櫻井祐子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マイケルポーターの戦略論は必須古典でありながら、なかなか手がつけられずにいたが、この本に出会ったことでようやく糸口が見えた。
まず、ポーターは競争の定義をしている。彼は、最高を目指す戦いは消耗戦となる未来しかないため、独自性を目指す戦いこそがあるべき競争としている。
そんな競争において、有名な5 Forces分析で現在地を見極めた上で、ここから説明する戦略を考えるべし、としている。
戦略とは、特別な価値提案(Value Proposition)と、特別に調整されたサプライチェーンがあり、すべての顧客を満足させない、トレードオフを含むものであるべし、としている。
忘れてはならないのはポーターは、利益を目指すことを良しとしており、指標としてはROICを見る事を是としている。
優れた戦略に対して、適合性と継続性が備われば百戦危うからずであるが、意外と継続性が軽視されるケースが多い。
柔軟であることや、すべての顧客を満たそうとすることは一見良さそうな方向性に見えるが、ポーターからすると愚策であり、真の戦略はやらない事を決めると言われる所以はここにある。
総花的にならず、凛と咲く一輪の珍しい花になることが求められている。 -
Posted by ブクログ
このような本を読みたかった。2100年の世界を大胆に予想する野心作。1900年の日本人が今の日本を創造することだに出来なかったように、今後の世界が闇であることにワクワクが止まらない。
21世紀を未だ若いアメリカの世紀と位置づけ、今後はアメリカを中心に世界が回るとしている。確かにアメリカが世界の覇権を握ったのは早くて1945、遅くて1989であり、まだ百年も経っていない。価値間によって力を激らせるアメリカは移民によってこれからも活力を持つ。アメリカの基本的地政学戦略では北米大陸及び海洋を握ればよいのであり、分裂するイスラム世界などテロの脅威ではあっても安全保障の脅威ではないという指摘はうなづける。人口減少によってアメリカ式のライフスタイルが広まり、コンピュータが中心となる世界にも首肯するが、膨張する資本主義の行先はどうなるのか気になる。
その中で筆者は中国/日本/ロシア/トルコ/ポーランド/メキシコに注目する。
中国→経済成長の歪みに対抗できず自壊するとしているが本当にそうだろうか。人口減少により覇権は厳しいだろうが、地域大国としては残る気がするが、今後訪れる台湾危機で崩壊する読み?
ロシア→今回の露宇戦争で自壊するだろう。見事な予想。
日本→人口減少!アジアの国はどこも厳しいので相対的に地域大国化するのだろうか。中国と競り合うだろうが。
トルコ→今の調子でアメリカが中東を操縦している限り、地域大国は難しそう。
ポーランド→EUで主導権を握る展開はわかるが、それ以上は難しそう。
メキシコ→移民が国境線の変更を生むという指摘はかねてから思っていた。今世紀末に対立が起こるのは頷ける。
人口動態についての分析が弱いような気がした。確かにこの形で行けば面白いが、あくまで地政学的なものであり、現実はそうはいかないのではないか。
ただ今世紀の日本の課題は対中戦略であり、人口減少が続く中如何に東アジアで主導権を握り続けられるかである。日中韓台で少子化への根本的解決策を提示したものが地域大国となりそう。 -
Posted by ブクログ
問題が発生したときに、そもそも根本原因を突き止めて対処するべきとは誰もが思うが、それがなかなか出来ない理由(障害)と、どのような思考法(検討すべき7つの質問)を紹介している。
上流活動(問題を未然に防ぐための活動、問題による被害を計画的に減らす活動)の成果はもどかしいほどわかりづらく、またそれによって「何かが起こらなかった」ことをどう証明するのか?という難しい問題がある。
確かに、問題が発生した後に、解決に向けて努力をした事は目に見える成果として評価されるが、「問題事前に発見して、発生しないように事前に予防した」事は目に見えないため、多くが見過ごされてしまう。
うーん。大いに反省すべき重大な事実だし、実際に根本原因を解決するための問題を見つけることもかなり大変だと言うことは読んでいたよく分かった。
乗り越えるべき3つの障害
1.問題盲:問題が見えない/仕方が無いと思い込んでいる
2.当事者意識の欠如:それを解決するのは自分じゃない
→「自分がこの問題を解決できるだろうか」→我々がやろう!解決する力がある
3.トンネリング:今は対処出来ない
見える化で危機感を持たせ、回避できた未来を想像する
検討すべき7つの質問
1.しかるべき人たちをまとめるには?
問題を包囲する。学習のためのデータを利用する
!調査のためのデータ分析
2.システムを変えるには
システム変革を求めて戦う。水を整える
!血管のあるシステムの存続を許す
3.テコの視点はどこにある
問題に寄り添う(問題を危険因子と防御因子にわける)
!予防活動はコスト削減になるべきという思い込み
4.問題の早期警報を得るには
センサーを配備する
!誤検知
5.成否を正しく測るには
何をもって成功をするのか?幻の勝利(成否を測る方法と実勢に目指す結果が一致しない、表面的な成功)→悪用の事前対策を取る
一対比較法を用いる(定量的指標に定性的指標を組み合わせる)
!幻の勝利
6.害を及ぼさないためには
問題だけにフォーカスせずに、全体を俯瞰して先を見据える。(コブラ効果)フィードバックグループをつくる
!検証を行わない。自信過剰
7.誰かが「起こっていないこと」のためにお金を払うか
費用負担方式や報酬方式を調整する。ポケットをつなぎ合わせる
!違うポケットの問題
上流活動のための3つのアドバイス
1.行動は性急に、結果は気長に
2.マクロはミクロから始まる
3.薬方式よりもスコアボード方式を
薬方式:ラインダム化比較実験のことで、最前線の看護婦が実験収量までデータを見れない、結果は実験終了後に知らされる、試験の途中で薬(方法)を変えられない
本末転倒の最たる例として紹介されたDPPの話は、これが事実だから恐ろしい。
DPPプログラムには、糖尿病の進行を阻止または抑えると言う医療の質の向上とコスト削減に寄与すると申請したが、保険数理官はコスト削減効果があるとは認めなかった。
その理由は、DPPで寿命が延びる分医療費も増えるから。
気に入ったことば
下流活動は焦点がはっきりしていて、迅速で具体的。
上流活動は、多面的で、ゆっくりしていて、つかみどころがない
上流活動には、とても重要な取り組みにもかかわらず、任意であることが多い
上流介入の目的は節約ではない -
Posted by ブクログ
世界に一つだけの花。
ポーターによれば、競争に対する正しい考え方とは、最高ではなく独自性を目指すこと。
・一位ではなく、収益を高める
・市場シェアでなく、利益を重視
・「最高」の製品で顧客をもてなすのではなく、ターゲットを絞り多様なニーズを満たす
・模倣ではなく、イノベーションによる競争
・ゼロサム競争ではなく、プラスサム競争
"NO.1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one"
余談。
時を同じくして、ある有名ブロガー(ニコ生主)の動画を視聴。
偶然にも競争の“降り方”を論じた内容だったが、視点の違いは多少あれど、本質的にはポーターとほぼ同じ内容で思わず息を呑んでしまった。
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Posted by ブクログ
お客様の手元で問題が発生した場合、下流でその都度対処するよりも、その問題の根本原因を生み出している上流で解決する方が良い。
理屈ではわかっていてもなかなか実行されないこの話について、理由や方法論が緻密に言語化されているのが本書の特徴である。
なぜ上流で問題が解決されないのか?「そもそも問題を自分ごととして捉えていない」「問題を解決する動機やメリットがない」「他の問題よりも優先順位が劣後してしまう」というのが著者の言う原因だが、UXの下流に身を置くものとしては逐一納得できる内容となっている。
そこにメスを入れるには何が必要なのか、、、これからさらに上流に働きかけようと考えたとき、この本は非常に参考になる。もちろん、直接的な言及がないところもあり、言及があったとしても自分の組織で改めて解決法を考える必要はあるものの、羅針盤として今後もことあるごとに紐解くに違いない。
本書は、まちがいなく「はやく読んでおけばよかった」本の一つである。