【感想・ネタバレ】イノベーションへの解のレビュー

あらすじ

クリステンセンの「イノベーション」関連書の第2弾!
企業がイノベートし続けるための鍵がここにある!
『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』(翔泳社刊)では、利益を最大化させる資源配分メカニズムが、特定の状況下では最良企業を滅ぼすことを説明した。それに対し、本書では、新事業を予測どおり発展させる立場にあるマネージャーに指針を与える。収益ある成長事業の構築とは、あまりにも膨大なテーマである。そのためここでは、成長を生み出すために、あらゆるマネージャーが下さなくてはならない、九つの意思決定に的を絞った。これらはイノベーションのブラック・ボックスのなかで成功するための重要な決定である。(本文より)
※本電子書籍は同名出版物を底本とし作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。
※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。

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Posted by ブクログ

既存の企業が今の顧客がいるという点で、破壊的イノベーションを実施する企業に勝てないという点。昔のSONYのWALKMANように、ハイエンドと持っていない未顧客の間の領域に入っていくような発想が印象的。また、顧客が何を片付けたいかというジョブ理論型の思考は常に考慮しておきたいところ。

どんなマネージャーに任せるかという議論も面白かった。

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2020年11月08日

Posted by ブクログ

第一弾『イノベーションのジレンマ』は驚くべき内容でしたが、問題提起といった位置づけでした。一方こちらは、その問題に対する解です。

隙きのない理論でとても読み応えがあります。
2種類の破壊的イノベーションに足元を救われないために、あるいはイノベーションを起こすのになにに着目すればいいのかが、非常に明瞭に説明されています。

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2020年04月27日

Posted by ブクログ

破壊的イノベーション(新市場型、ローエンド型)、持続型のイノベーションに関する解説
顧客のニーズをつかむのではなく、顧客の用事(できれば片付けられないもの)をつかみ、金を支払って解決する意思があることが必須
破壊的イノベーションはすぐに上位市場への移行を検討するべき。
ゆくゆくは相互依存的なアーキテクチャではなく、モジュール型のアーキテクチャを検討するべき
資源、プロセス、価値基準から組織の能力は決まっており、プロセス、価値基準が有意であれば、それを統合する必要はない。統合しても良いケースは資源が有意である時のみ。

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2020年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クリステンセンのイノベーションに対する取り組み仮説について記した本。名著
イノベーションにおける名著。イノベーションに関連する各重要論点に対してどう取り組んでいくべきかについての示唆を与えてくれる。

<メモ>
・イノベーションのプロセスでは中間管理職が極めて重要な役割を果たす。信憑性を担保するために主要顧客の肯定意見や成功類似製品から将来に関する裏付けがもたらされる。成功しやすいもの、過去に成功したものに似せる力が働くことになる。

・破壊的イノベーションにおける新市場型とローエンド型の存在。

・アイデアを破壊的戦略として形成するためのリトマス試験
1 金道具スキルがないためにできなかったか、料金を払って専門家にやってもらわなかったものか?
顧客はこの製品を利用するために不便なところにいかなければならなかったか? →新市場型破壊戦略につながる可能性
2 ローエンドに価格低ければ性能面で劣っても買おうとする顧客がいるか?低価格でも魅力的な利益を得られるビジネスを構築できるか?
→ローエンド型破壊戦略につながる可能性
3 業界大手企業すべにとって破壊的か?
→そうでなければ持続的イノベーションに該当する企業が勝つ可能性が高い。


・顧客が求める製品とは顧客のジョブを解決してくれるものである。これに焦点を当てるべきだが、定量化の魔力や組織のメカニズム、チャネルは顧客別に設定されやすいなどがあり、なかなかこれを実現することは難しい。
顧客が片付けようとしている用事を反映する区分ではなく、データが入手可能な区分に沿って市場を細分化することが多い。

・新市場型破壊は金やスキルを持たなかった人が利用することで自力で用事をこなせるようにするイノベーション

・望ましい顧客は長年ある製品を欲しいと思っていて、あなたの製品でようやく手に入れられた顧客。あなたを必要とする顧客。競合企業の誘惑にまけず、あなたの製品に忠実な顧客。
資源配分プロセスで正反対タイプの顧客を追求してしまう。既存顧客を標的にしてしまう。ジレンマを逃れたい経営者は破壊的イノベーションを脅威と位置づけつつ、事業構築を任せたチームに成長機会の追求として位置付けさせる。

・モジュール型破壊者にとって健全な利益を確保する唯一の方法は低コストのビジネスモデルをできるだけ速く上位市場に持ち込み、高コストの独自製品メーカーと最前線で競争し続けること。

・競争力は単に得意だと自負する業務を行うことではなく、むしろ顧客が高く評価する業務を行うことから生まれる。新しい物事を学習する意欲と能力を持つことが絶対的に必要。

・魅力的な利益を獲得する能力はバリューチェーンのなかを動いて、直接顧客が入手可能な製品の性能にまだ満足していない付加価値活動へと移動する。十分に顧客が満足している領域からは離れていく。モジュール化や標準化で差異がなくなるため。周辺部からコモディティ化と脱コモディティ化のプロセスは始まっていく。

・成長機会に取り組む経営者はまず成功するために必要な人材や資源があるか判断する必要がある。それから「組織で慣習的に用いられているプロセスは新しい課題にふさわしいのか?」「組織の価値基準はこの実行計画に必要な優先順位を与えるのか?」この2つの質問に考える必要がある。実績ある企業が破壊的イノベーションの成功確率を高めるには、機能別に構成された軽量級チームと重量級チームをそれぞれ適切な場合にもちい、持続イノベーションは主流組織で商品化し、破壊的イノベーションは自律的組織に任せる必要がある。
軽量級とは機能別に構成されたチームで既存プロセスを活用する。
重量級とは新しいプロセスや協力して仕事を行うための新しい方法を生み出す手段

・事業の生成期に最も適した資金は成長は気長に待つが、利益は気短に急かすタイプの資金。ただし、必勝戦略が明らかになった後は成長を気短に急かす資金を用いなければならない。早期に利益を実現できれば、必要な資金を投資家から引き出し続けられる。成功の鍵にもなる。収益化を先延ばしにすることを許された新事業が成功することはない。

・破壊能力をプロセスに埋め込む方法。成長エンジンを作り出す。
1 必要になる前に始める。企業が成長しているときに始めるべき。破壊的事業が軌道に乗り規模が大きくなるまでには長い助走路が必要。
2 アイデアを適切な形成プロセスおよび資源配分プロセスへ導く上級役員を任命する。新事業を会社の既存プロセスから免除し、新しいプロセス設計が必要だと宣言し、資源配分が適切になされるようにできるのは彼らを置いて他にいない。
3 アイデアを形成するためのチームやプロセスをつくる。
アイデアを成功確率の高い破壊的イノベーションに形成するための独立的に運営されるプロセスをつくること。
4 部隊を訓練して破壊的アイデアを発見させる。営業、マーケティング、エンジニアリングの部員を訓練する。

・上級役員がイノベーションのマネジメントで果たすべき役割。適切な連携プロセスがなければ自ら連携させる。部下が新しいコミュニケーション、連携、意思決定のパターンを必要とする課題に直面したときは、既存プロセスの支配力を崩す必要がある。同じ行動がおこなわれるときら確実に導き、連携させるプロセスをつくる。様さな組織の橋渡しを行い、新成長事業での有益な学習を主流部門に還流させ、適切な資源プロセス価値基準が適切な状況で用いられるよう心を砕く。

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2019年10月14日

Posted by ブクログ

今後の仕事の進め方を考える上で、非常に参考になりました。
自分の会社の商品サービスの向かうべき方向も何となく見えてきましたし。

時間を見つけて、また、読み直したいと思います。
きっと、読み直すたびに、新たな気付きがあると思います。

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2017年11月12日

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具体的にイノベーションを起こすためにマネジメントが意識すべきことを記した書。
要約すれば、①成長している中でも絶えず破壊的技術の探索を継続すること。②破壊的技術の推進者がモチベーション等を維持できるべく小集団での運営とすること。③マネジメントが積極的に関与すること。という3つである。
実際には『言うは易く行うは難し』となるが、実践している好事例を通じて、実務の上で留意すべき点が記載してあり、前作との連携も判りやすい。
加えて特筆すべきは、10年以上も前に書かれた本書が言い当てていることが今も当てはまるということである。経営における良書の1つと言えるだろう。

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2016年05月05日

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教科書での説明で、わかった気になっていたが、実際に本を読むと「なるほど」と思わされた。破壊的イノベーターの市場への浸透の仕方、既存ベンダの合理的な逃走等々。まさに、そうだと思わされる。コーポレート・スタッフが合理性を求める中で、ひたすら破滅への道を歩む危険があるのが感じられた。早速、「イノベーションの最終解」も読み始めた。

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2014年11月17日

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顧客そのものではなく、顧客が置かれている状況、求めている成果でセグメントする。

ニーズは片付けるべき用事。

シェークは朝はドライブのお供に、夜は子供へのご褒美に雇われていた。同じ商品でも求められている成果が違う。これが属性でセグメントできない理由。

シェークは競合のシェークの売上を奪ってもシェア獲得にならない。単なる値引き競争を生むだけ。無消費や仕方なく使われている他の商品の売上を奪う必要がある。(求人なら派遣?)

コダックの使い捨てカメラ。画質はイマイチだったが、ユーザーは『写真が1枚もないこと』に比較の基盤を置いたため、この画質で満足した。(シェークのカロリーが気にならないのと同じ)

機能を付けすぎるとコモディティ化する。しかし企業はそうした失敗を繰り返す。背景には、的を絞ることへの不安、定量的分析の要求、チャネル構造、広告が製品のターゲットを状況ではなく顧客にしていることの対象の4つがある。

デジカメは売れるのに、赤目補正のソフトは売れない。結局、写真のクオリティは思い出を残すこと以上には求められないケースが多い。

解決すべき用事の優先順位が、商品によって変化することはほとんどない。無消費者なら余計に。

用事を片付けたいが、市販製品が高すぎたり、複雑すぎるため、自力でできずにいる時に無消費は発生する。彼らは不便で高くつく方法、または満足いかない方法でそれを片付けることに甘んじるしかない。

規模が実証できるのはすでに存在する確立した市場であり、資源獲得のため社内起業家が説得力のある論拠を示そうとすること自体が間違い。

組織にある価値基準が破壊する者とされる者の間にある。ある組織で評価されないことが、別の組織で評価される。ここにモチベーションの非対称性が生まれる。

成長率25%を持続するためには、売上高4000万の会社は1000万でいいが、4000億の会社は1000億が必要。この会社には1000万にうまみを感じなくなる。

組織の能力は最初は人材にある。それが成功を収めて成熟するにつれてプロセスや価値基準となり、企業文化になっていく。そうなると『当たり前』が生まれ、変革は困難になっていく。

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2014年01月27日

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前書「イノベーションのジレンマ」の改訂版と内容が一部重複しているので、本書だけ読んでも全体がわかるかな。
製品やサービスを改良・改善していくのには持続的な技術と破壊的な技術があって、持続的なのか破壊的なのかは「相対的」なもので、ひとつの技術がある企業にとっては持続的でも別の企業から見ると破壊的となることがある。
いままでの成功体験からつながるのは持続的であるが、この持続的な技術はいつかは顧客の要求レベルを超えてしまい、顧客はその性能向上に価値を見出さなくなり、価格の上乗せを拒否する。
破壊的な技術は最初は(主要な)顧客の要求を満たさないかもしれないが、いつかは満たすようになる。
破壊的な技術は今までのプロセスや価値観のままでは失敗する。プロセスや価値観は組織に根付いている。
製品やサービスは顧客の要求に満たしていない時と(要求以上に)満たしているときがある。
要求を満たしていない時には相互依存設計が性能向上するには最適で、そのときには顧客はブランドを重視する。
市場にある製品が顧客の要求以上の性能を持つと、モジュール型設計へ移行しコスト削減などを目指さなくてはいけなくなる。(コモディテイ化)でそのとき上位か下位のレベルで逆にコストや性能向上のために相互依存設計による逆コモディティ化が起こり、ブランドもそちらに遷移する。
コア・コンピテンスなんてのはまやかしで、それ以外のものを切り捨て(売却や移管)していくと、結局は昔はブランドだったカンバンだけが残ることに。
新規事業を任す人材には、失敗していようが新規事業を立ち上げた経験を持っていることが大事で、じゃないとその新規事業は失敗する。

波乗り(サーフィン)みたいだなと、やったことないけど。大きな波ひとつに乗れて快調でもいつかはその波はつぶれてしまう。つぶれる前の勢いがあるときに次の(今、大きいのではなく)大きくなりそうな波に移っていって自分のスピードを保つ。波に乗る技術と波に乗ったままにする技術が違くて企業は基本アホなのでどちらかの技術しか覚えていない。

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2013年11月21日

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『イノベーションのジレンマ』『イノベーションのDNA』と併せて読むと理解が深まる。非常に説得力のある研究成果です。

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2013年07月15日

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 「イノベーションのジレンマ」に続くクリステンセン教授のイノベーション論第2段。前作が「破壊的イノベーション」の理論構築を主眼に述べられていたのに対して、本作では実践面でのポイントを解説している。
 クリステンセン教授は2011年のThinkers50で「最も影響力のある経営思想家」のトップに選出されている。「破壊的イノベーション」戦略論が多くの人を惹きつけるのは、そのダイナミズムからだろう。「破壊的イノベーション」は市場を動的に捉えているだけでなく、組織の中での意思決定プロセスも組織力学を考慮した提言をしている。
 また「イノベーション」という経営戦略論の最先端分野を扱いながら、ドラッカー、ポーター、バーニー、ミンツバーグ等、多様な論点を包含しており、経営戦略論の全体像を理解するのにも役立つだろう。
 本書には「目からうろこ」が落ちるような記述が随所にあり、経営戦略バイブルの一冊に加える価値がある。

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2013年06月30日

Posted by ブクログ

あらゆるビジネスにおいて「核」となり得る書。
この本を参考にして書かれたであろう本がどれだけあるか。
まさにハーバードの授業のように多くのケーススタディを基にした示唆が多い。
訳本にありがちな難解な言い回しも多いが、大枠だけでも頭に入っていると、他のビジネス書との関係性が次々と出来上がり、頭の中で図式化されて行く感じがする。

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2013年05月05日

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これ、凄いな。なぜ、今まで読まなかったんだろう。この理論で、そうとう、日本のメーカーの苦境も、今後の展開も予想できそうな。スマホとタブレットが充分な品質になると、アップルは厳しいか。

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2013年04月28日

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《本書のテーマはビジネスにおける新たな成長を生み出す方法である。》

イノベーションを方向づける力。個人ではなく、事業構築に携わる人々に作用する力を理解する事が、予測可能性をもたらす。

アイデアが形成されるプロセス:中間管理職のアイデア選別に加わる力。資金を勝ち取る計画を優先する。

★理論とは「どのような条件下で、何が、何がを、何故、引き起こすか」の言明。⇒状況によって理論が異なる。⇒属性ではなく、状況によって分類することが重要。『状況による』ということ。

理論はどのように構築されるか。三つの段階を経る。
①理解の対象となる現象を記述することから始まる。
②現象をいくつかの区分に分類する。
③現象を引き起こすのは何か、何故かを説明する理論を明確に打ち出す。

理論構築の初期段階では、現象は属性によって分類され、どのような行動や事象が成果ににつながるかという説明するは属性と成果にの因果関係ではなく、相関関係に関する言明にすぎない。
例)
羽根や翼と飛行能力 ←相関関係。
ベルヌーイが流体力学を通じて翼と揚力のメカニズムを解明 ←因果関係。

相関関係を示す言明に留まらず、成功事例の背後にある根本的な因果のメカニズムを明らかにする。
予測可能性の基盤ができ始めるのは、同じ因果のメカニズムが予測と異なる結果が生じるのを見る時。その「状況」の中の何が原因となってそのような結果となるのかを探り始める。

持続的戦略/ローエンド型破壊/新市場型破壊

新市場型破壊:無消費に対抗するもの。無消費が競合。

アイデアの破壊的戦略可能性の見極め
①これを全く行わずにいたか、もしくは料金をしはらって専門家にやってもらっている人々が大勢いるか。または不便な場所までいかなければならない人々が大勢いるか。
②ローエンドには価格が低ければ性能面で劣る(が十分よい)製品を好む顧客がいるか。そしてその価格でも利益がだせるビジネスモデルを構築できるか。
③このイノベーションはすべての大手企業にとって破壊的か。

状況で分類する方法:顧客が特定の「用事」を片付けるために製品を「雇う」というように市場を見る。【ミルクシェークの例】

「片付けるためにべき用事」人々がやり遂げようとしているかを注意深く観察しすることによって見抜き、彼らに問いかけることを通して仮説を立てる。←イノベーションのDNA

属性ベースの市場分野にイノベーションの的を絞る原因となる四つの抵抗力
①的を絞ることへの恐れ←資源配分プロセスに関わる理由
②定量分析の要求←資源配分プロセスに関わる理由
③小売チャネルが属性に基づく構造を持っている
④製品のターゲットを状況ではなく顧客に定めざるを得ない←広告の経済学

新市場型破壊のパターンを構成する四つの要素
①片付けたい用事があるが、金やスキルを持たず、解決策を得られない状況
②このような状況にいる顧客を満足させる要求性能は低い。
③「誰でも使える」シンプルで便利な製品を作る。
④新しい顧客は新しいチャネルで購入し、従来と違う場所で利用することが多い。

「脅威硬直」に陥ると人間は本能的に柔軟であることをやめ「指揮統制」志向になる。⇒現象を「脅威」として捉えるか「機会」として捉えるかで反応が異なる。【新聞社のオンライン化】

⇒【資源配分プロセス×新事業構築プロセス(脅威ー機会)マトリクス
Step①資源配分プロセス:破壊的イノベーションを「脅威」として上層部からコミットメントを引き出す。←脅威硬直を利用
Step②新事業構築プロセス:破壊的イノベーションを機会として捉えられる自律的な組織に責任を任せる。

統合するか外注するかは『状況による』
・製品が十分でない状況:統合←相互依存性
・十分によい状況:外部委託←モジュール方式

コモディティ化のプロセス:六つのステップ
①新市場が生まれると独自のアーキテクチャを通じて利益を得る。
②競合と競争することでローエンドのニーズを超える。
③この階層の競争基盤の変化が促される。
④モジュール型アーキテクチャへの進化が促される。
⑤産業の非統合化が進む。
⑥製品、コストでの差別化が困難。⇒コモディティ化

(組織にできることできないことを決定づける)能力
①資源
②プロセス
③価値基準
組織の能力と無能力を定義する最も強力な要因は、
資源→プロセス・価値基準→文化
と移動する。

実績ある企業は破壊的技術でも成功できる資源を持っているが、プロセスや価値基準が無能力にしてしまう。
⇒イノベーションのための要件が、運営組織のプロセスや価値基準と適合していなければ成功しない。

買収
・資源を買収:親会社への統合は意味あり。
・プロセス・価値基準:親会社への統合はやってはならない。

二つの戦略策定プロセス
①意図的戦略
②創発的戦略

資源配分プロセスを導く価値基準に影響を与える二つの要因
①コスト構造
②規模の閾値

戦略策定プロセス(p259の図8ー1)における三つの力点
①コスト構造の管理
②前提の検証による有効戦略を生み出すプロセスの加速
③創発的か意図的か。戦略策定のプロセスを意識的に判断

発見志向計画方
①目標とする財務成果を打ち出す。
②どのような仮定の正しさが証明されれば、この目標が実現されるか。
③重要な仮定の妥当性を検証するために、学習計画を実行する。
④戦略を実行するために投資を行う。

事業生成期に適した資金:「成長は気長に待つが、利益は気短に急かす」タイプの資金

不十分な成長から生じるデス・スパイラル
Step1:企業がせいこうする。
Step2:企業は成長ギャップに直面する。
Step3:良い金は成長を待ちきれなくなる。
Step4:経営陣は一時的に損失を容認する。
Step5:損失が増大し、縮小を促す。

潜在的失速点を知るためのパターン認識(財務成果ではなく:財務成果は当時の健全性を計る尺度)
①破壊者が無消費に対抗している。
②人々が全く異なる用事を片付けるために実地教育を雇っている。
③競争基盤が速度、便利性、カスタマイゼーションへ移ってきている。
④相互依存型カリキュラムとモジュール型カリキュラムの違いがある。

状況に基づく経営者関与の理論
直接的関与が必要なな状況と権限を移譲すべき状況とを見極める方法論

階層間の情報の非対称の克服:現場をあるきまわること。

破壊能力をプロセスに埋め込む:破壊的成長エンジン
①必要なになる前に始める。
②上級役員による監督
③専門家チーム「始動者と形成者」
④部隊の訓練

船乗りのアナロジー
いつ、どこからスタートするかによって、目的地にたどり着く難易度、可能性が大きく異なる。


利益ある成長を遂げるための事業構造と初期条件
・低価格でも魅力ある利益をあげ、上位市場に持ち込むことができるコスト構造
・競合企業に対して破壊的ポジションをとり、逃走したいと思わせること
・無消費者であった顧客の攻略から始めること
・顧客がかたづけようとしている用事にターゲットを定めること
・これまで金があった場所ではなく、これから金が向かう場所へと滑走すること
・経験の学校で適切な科目を履修したマネージャーに任せ、必要な課題と調和したプロセスと価値基準のなかで遂行させること
・有効な戦略が出現したら柔軟に対処すること
・成長を気長に待てる資金で始めること

《「新たな破壊的成長事業の構築を監督する経営幹部は、才気溢れる戦略かである必要なはない》

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2013年04月14日

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ミドルマネジメント層以上の実務家を対象とした指南書。
ビジネスにおける普遍的な事象とその解決策を鋭い切り口で考察している。
手元に置いて何度も読むべき内容であると感じた。
HBSの存在感際立つ良書。

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2013年04月02日

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持続的イノベーション・・・後発が勝負するのは厳しい。以下の2型に突然打ち破られる可能性あり。顧客はそこまで必要としないまでの質、機能となる事あり。
ローコスト型破壊
新市場型破壊

企業の継続的な成長の為に成熟した産業の中で駆け回っている。

ベストプラクティス=処方箋ではなく、何が何を何故引き起こすのか解明した上で、適切に分類する事。

信頼できる理論の絶対条件とは、どのような行動が成功を導くかという言明の中で、企業のおかれた状況の変化に応じて、これがどのように変化するかが説明されている事だ。

セグメンテーションは属性ではなく状況で分類する。

無償費に対して既存技術を適用
顧客はある用事を片付けようとしているが、金、スキルがない
こうした新市場顧客を喜ばせるハードルは低い
シンプルで便利なものをつくる
全く新しいバリューネットワークを作る
新しいチャネルでいままでと全く異なる場所で使用する

脅威に対する対策ではなく機会と捉える

「十分ではない」世界には相互依存型アーキテクチャ
改良が行き過ぎたステージではモジュール化

コアコンピタンスとROA最大化のデススパイラル
競争力はやコアコンピタンスは単に得意だと自負する業務を行う事ではなく、むしろ顧客が高く評価する業務を行う事から生まれる

十分な状況から十分出ない状況
IBMのモジュール型アーキテクチャが十分な状態→マイクロプロセッサとOSが十分出ない状態

ブランドの価値はメーカからチャネルへ

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2012年11月28日

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前作『イノベーションのジレンマ』でセンセーショナルに提示した破壊的イノベーションの起こし方について書かれた本である。
健全な経営による持続的イノベーションを否定する訳ではなく、新成長事業を構築する為には、破壊的な機会を首尾よく活用することが重要であるとしている。
破壊的イノベーションには2種類あると定義している。「過保護された」顧客を低コストのビジネスモデルで攻略する【ローエンド破壊】と、無消費との対抗となる『新市場型破壊』の二つである。
特に、【新市場型破壊】が対抗する無消費を見つける為の興味深い記述は以下の部分である。

”顧客の生活にはさまざまな「用事」がしょっちゅう発生し、彼らはとにかくそれを片づけなくてはならない。顧客は用事を片づけなければならないことに気付くと、その用事を片づけるために「雇える」製品やサービスがないものかと探し回る。(中略)製品のターゲットを顧客そのものではなく、顧客が置かれている状況に絞る企業が、狙い通り成功する製品を導入出来る企業である。別の言い方をすれば、かぎとなる分析単位は、顧客ではなく状況なのだ。”

この引用部分が一番腑に落ちました。
その他破壊的成長能力を持つ組織、戦略、資源投資、上級役員の役割についても記述されています。

リーマンショック以降日本経済は復活の糸口をなかかな掴めていませんが、本書を始めとする戦略書を読み返してみると、各企業が同じ様な切り口で模索している姿がはっきりと見えてきます。

技術に関わる人間として破壊的イノベーションに携わりたいという認識を新たにしました。

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2012年07月19日

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イノベーションとは、日々顧客と接する中で生まれてくること。そして、そのイノベーションを育てていくためには、マネジメントとしてどうあるべきかを考察する。

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2021年04月27日

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イノベーションにdisruptiveという形容詞が加わったのはこの何年かのことだと思うが、それは著者の一連のイノベーションにかかわる研究に起因するものであるようだ。その意味ではかなり大きな影響力を持った本だといえるが、それがよかったかどうかは定かではない。

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2018年03月14日

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ネタバレ

「イノベーションのジレンマ」の続編。前作がなぜイノベーションのジレンマがなぜ起きるのかということに書かれていたのに対して、本書ではそのイノベーションのジレンマにどう立ち向かえばいいのか、またはどのように破壊的イノベーション起こせるのかということを理論立てて書かれている。

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2016年07月25日

Posted by ブクログ

「持続」と「破壊」という縦軸に、章ごとに横糸を通す論理展開が分かりやすい。「ジレンマ」より更にパワフルな実践の書。

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2015年06月08日

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ネタバレ

イノベーションのジレンマの続編で、ジレンマを解決するための指針をまとめたもの。怖いのは、合理的な計画や判断が自らを破滅させるという前提があるということ。決して間違っていないにも関わらず破滅へ進んでしまう。気になるテーマはいくつもあるが、2点に絞る

1点目は顧客を分析するのではなく「状況」を分析するというもの。顧客で分析すると、同じ属性の顧客をみつけるようになってしまう。本来、顧客が持つ課題を解決するのだが、手段が目的となってしまう。だからクリステンセンは常に顧客の「状況」を分析するように示唆している。実に的確だ
2点目は人材。マネージャを選ぶ際に何を解決してきたではなく、何の問題に取り組んでいたかを取り組むこと、解決できたかどうかよりも、そこで何を得てきたかの方が重要であるということだ。成功者は磨き抜かれた技術を持っているが、次の任務でそれが適応できるかどうかは別問題だからだ。スキルは経験で得なければならない、よって人事役員は重責を負い、それぞれに何を学んでもらうかを考えなければならない・・・とのこと。これが出来ている会社はどれだけいるだろう。ほとんどの会社は短期的視点でしかみていないのではないだろうか

ちなみに、この本は注釈も多いのだが、学生からの服のブランドに対しての意見に対して「我々のしったことか」と切り捨てるなど、クリステンセン先生の独走意見に満ち溢れている。

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2015年03月28日

Posted by ブクログ

前作は、なぜイノベーションが起きない(起せない)かについての考察だったのに対して、本作はイノベーションの起し方についての指南を欧米そして日本企業の様々な事例を持ち出して解説する。ソニーのトランジスタラジオがエルビスを聞きたい若者(本書でいうところの無消費者)に売れたとき、販売ルートまで変化していたことに驚きましたが、製品だけではなく販売ルートにもイノベーションがあると納得。
本書を荒っぽく要約すると、無消費者(用件を抱えているものの既存の方法は高すぎる)もしくはローエンドをターゲットとし、現在の事業が十分に収益のあるときから新規事業(イノベーション)を立ち上げる。販売ルートも合わせて既存の方法を見直す。でしょうか、とても勉強になりました。最終解も楽しみです。

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2014年10月13日

Posted by ブクログ

前作「イノベーションのジレンマ」の実践編との位置づけ。「ジレンマ」では、合理的な判断を重ねた優良企業が、その合理性ゆえに破壊者に敗北していく様子をドラマチックに描いた非常にユニークな内容であったが、本書では新市場型破壊という陳腐な概念が持ち込まれ、より広い状況に対応する理論となっている。それだけに前作ほどのインパクトが薄れた印象。
独特の用語を用いているので惑わされるが、片付けたい用事=潜在顧客ニーズの解決を優先せよ、製品ライフサイクルの初期には相互依存型アーキテクチャ=内部摺り合わせが有効、など言っていることは至極常識的なことばかりである。
それでも6章以降は経営戦略に必要な考え方が極めて論理的にまとめられており、非常に参考になる。
自社の現在の状況が、悪循環に陥ったかつての優良企業の典型例に恐ろしいくらい合致しているが、経営陣が”経験の学校”で学んでいなかったのが元凶のような気がしてきた。今からでも遅くないので、まずは本書を読んでほしいと切に願う。でも彼らは今さら勉強なんかしないんだろうな。

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2014年09月06日

Posted by ブクログ

これまでで最も感銘を受けたビジネス書は?と問われれば、「イノベーションのジレンマ」と答えることにしている。大きな成功をおさめた企業が、その成功のゆえに、リソース配分を成功事業の維持発展につぎ込むという合理的判断をせざるをえず、破壊的新規サービスには自ら乗り出せない。しかし、技術の進歩による破壊的新規サービスの利便性向上と、同時に成功既存事業に対する顧客の満足度が一定レベル以上増加しないことから、やがては破壊的新規サービスが成功既存事業を逆転し、市場を奪う。

本書はこのイノベーションのジレンマを、新規事業者の立場にたって、既存成功事業者に挑む際の具体的な戦略について解説している。内容はもちろん、イノベーションのジレンマに基づいているので、前作ほどの目新しさは感じないものの、各戦略は具体的で理解しやすく、また、前作に対する理解を深めることができる。

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2014年03月10日

Posted by ブクログ

イノベーティブな企業に求められる行動特性。イノベーションには持続と破壊があり、どちらを選択するかは置かれている状況とその企業次第。

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2014年03月08日

Posted by ブクログ

クレイトン・クリステンセン、2003年。
人が生活のなかでやり遂げたいと思うことは、基本的なレベルではそう変わらない。
デジタルカメラがなかった頃、まばたきをしたかもしれないから同じポーズで2度撮り、友人に送るために人数分焼き増しした。デジタルカメラはこれらの用事を効率的にやり遂げることを助けた。一方、デジタルカメラがなかった頃、現像した写真は、98%が引き出しにしまわれ、二度と眺められることはなかった。稀に几帳面な人だけがアルバムに張ってきちんと整理した。オンラインアルバムは、顧客が以前やろうともしていなかった用事を簡単に整理して分類できますよ、という提案だから、顧客の優先的な用事を解決するイノベーションではない。

大学の教科書の電子書籍は、高額で重たい教科書を手軽に持ち運び、検索したりできることを提案するが、おそらく成功しないだろうという。 そもそも大学の学生は、法外な値段でばからしい教科書を全く読まずに単位をとるという用事を片付けようとしているからだ。

顧客がそれまで感心を持っていなかった用事を片付けさせようとするアイデアは、成功の見込みが殆どない。新製品が手に入るようになったからといって、用事のほうを変えることは絶対にない。

ソーラー発電は、先進国より南アジアやアフリカで浸透する可能性が高い。先進国では24時間、安価に利用できる電力が既にある。天候に左右されるソーラー発電がこれに対抗するのは、あまりに厳しい。一方、インドやアフリカでは、電気を大量に食う電化製品があふれているわけではないので、夜間に電灯を灯すだけの電力を日中蓄えられればよいし、従来型の発電・配電設備をこれから建設することに比べれば、太陽エネルギーははるかに安価で、政府承認や汚職に頭を悩ませる必要もない。

太陽エネルギーを先進国の電力減にすることを目指す政府出資のプロジェクトではなく、アフリカの無消費者を標的としてシンプルかつ小規模にはじめ、その後上位市場に移行するイノベーションモデルが成功しそうだ。

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2012年07月15日

Posted by ブクログ

破壊的イノベーションの事例がふんだんに紹介されていて、その点においてとてもわかりやすく、よかった。
また、顧客は用事を解決するために雇うのだ、という、比較的身近に捉えやすく理解しやすいものもあり、良かったと思う。

ただ、多くの人が評価するのと同様に、なにか少し読み難い部分があり、また、どうしてもジレンマに比して見劣りするように感じたのは確かであった。

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2012年07月27日

Posted by ブクログ

クリステンセンは、「イノベーションのジレンマ」を読んで、面白かったものの、その後の本は読んでいなかったところ、先日、たまたま「ジョブ理論」を読んで刺激を受けたので、こちらも読んで見た。

「ジョブ理論」については、わたしは面白いと思ったのだが、「新しみがない」という評価も多そう。ということから類推すると、「ジョブ理論」は、「イノベーションへの解」の焼き直しなのかな?と想像していたのだが、そうでもないかな?

「イノベーションのジレンマ」が問題提起編だとすると、こちらは「対応編」。

とは言え、ものすごく新しいことが書いてあるような感じでもないな。

色々な他の研究で言われているようなことをうまくまとめているみたいな印象。

ある意味、ドラッカーのイノベーション論をアップデートした感じ、というと言い過ぎかな?

破壊的イノベーションは、天才のアイディアではなくて、計画的に生み出せるもの。

とは言っても、それを本当にやるためには、通常のマネジメントとは大きく違う思考、判断、プロセスを採用する必要があるので、それを徹底するのは、やはり難しそう。

イノベーションに関して色々な方向から整理されていているのだが、個人的には、一点突破な「ジョブ理論」の方が、好きだな。

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2017年12月02日

Posted by ブクログ

なんか、イノベーションのジレンマと比べて読みにくかった。ロジックというより翻訳の問題かもね、って思った。

ただ、内容に関しては面白い。経営に関して具体的な対応策を出しているので、即効性というか、すぐに参考にできそうなネタが詰まってる。

ベンチャーとか、企業仕立ての人よりも、歴史ある企業、中堅・大手に勤めている人にお勧めな一冊。

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2016年06月29日

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