あらすじ
クリステンセンの「イノベーション」関連書の第2弾!
企業がイノベートし続けるための鍵がここにある!
『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』(翔泳社刊)では、利益を最大化させる資源配分メカニズムが、特定の状況下では最良企業を滅ぼすことを説明した。それに対し、本書では、新事業を予測どおり発展させる立場にあるマネージャーに指針を与える。収益ある成長事業の構築とは、あまりにも膨大なテーマである。そのためここでは、成長を生み出すために、あらゆるマネージャーが下さなくてはならない、九つの意思決定に的を絞った。これらはイノベーションのブラック・ボックスのなかで成功するための重要な決定である。(本文より)
※本電子書籍は同名出版物を底本とし作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
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Posted by ブクログ
クリステンセンのイノベーションに対する取り組み仮説について記した本。名著
イノベーションにおける名著。イノベーションに関連する各重要論点に対してどう取り組んでいくべきかについての示唆を与えてくれる。
<メモ>
・イノベーションのプロセスでは中間管理職が極めて重要な役割を果たす。信憑性を担保するために主要顧客の肯定意見や成功類似製品から将来に関する裏付けがもたらされる。成功しやすいもの、過去に成功したものに似せる力が働くことになる。
・破壊的イノベーションにおける新市場型とローエンド型の存在。
・アイデアを破壊的戦略として形成するためのリトマス試験
1 金道具スキルがないためにできなかったか、料金を払って専門家にやってもらわなかったものか?
顧客はこの製品を利用するために不便なところにいかなければならなかったか? →新市場型破壊戦略につながる可能性
2 ローエンドに価格低ければ性能面で劣っても買おうとする顧客がいるか?低価格でも魅力的な利益を得られるビジネスを構築できるか?
→ローエンド型破壊戦略につながる可能性
3 業界大手企業すべにとって破壊的か?
→そうでなければ持続的イノベーションに該当する企業が勝つ可能性が高い。
・顧客が求める製品とは顧客のジョブを解決してくれるものである。これに焦点を当てるべきだが、定量化の魔力や組織のメカニズム、チャネルは顧客別に設定されやすいなどがあり、なかなかこれを実現することは難しい。
顧客が片付けようとしている用事を反映する区分ではなく、データが入手可能な区分に沿って市場を細分化することが多い。
・新市場型破壊は金やスキルを持たなかった人が利用することで自力で用事をこなせるようにするイノベーション
・望ましい顧客は長年ある製品を欲しいと思っていて、あなたの製品でようやく手に入れられた顧客。あなたを必要とする顧客。競合企業の誘惑にまけず、あなたの製品に忠実な顧客。
資源配分プロセスで正反対タイプの顧客を追求してしまう。既存顧客を標的にしてしまう。ジレンマを逃れたい経営者は破壊的イノベーションを脅威と位置づけつつ、事業構築を任せたチームに成長機会の追求として位置付けさせる。
・モジュール型破壊者にとって健全な利益を確保する唯一の方法は低コストのビジネスモデルをできるだけ速く上位市場に持ち込み、高コストの独自製品メーカーと最前線で競争し続けること。
・競争力は単に得意だと自負する業務を行うことではなく、むしろ顧客が高く評価する業務を行うことから生まれる。新しい物事を学習する意欲と能力を持つことが絶対的に必要。
・魅力的な利益を獲得する能力はバリューチェーンのなかを動いて、直接顧客が入手可能な製品の性能にまだ満足していない付加価値活動へと移動する。十分に顧客が満足している領域からは離れていく。モジュール化や標準化で差異がなくなるため。周辺部からコモディティ化と脱コモディティ化のプロセスは始まっていく。
・成長機会に取り組む経営者はまず成功するために必要な人材や資源があるか判断する必要がある。それから「組織で慣習的に用いられているプロセスは新しい課題にふさわしいのか?」「組織の価値基準はこの実行計画に必要な優先順位を与えるのか?」この2つの質問に考える必要がある。実績ある企業が破壊的イノベーションの成功確率を高めるには、機能別に構成された軽量級チームと重量級チームをそれぞれ適切な場合にもちい、持続イノベーションは主流組織で商品化し、破壊的イノベーションは自律的組織に任せる必要がある。
軽量級とは機能別に構成されたチームで既存プロセスを活用する。
重量級とは新しいプロセスや協力して仕事を行うための新しい方法を生み出す手段
・事業の生成期に最も適した資金は成長は気長に待つが、利益は気短に急かすタイプの資金。ただし、必勝戦略が明らかになった後は成長を気短に急かす資金を用いなければならない。早期に利益を実現できれば、必要な資金を投資家から引き出し続けられる。成功の鍵にもなる。収益化を先延ばしにすることを許された新事業が成功することはない。
・破壊能力をプロセスに埋め込む方法。成長エンジンを作り出す。
1 必要になる前に始める。企業が成長しているときに始めるべき。破壊的事業が軌道に乗り規模が大きくなるまでには長い助走路が必要。
2 アイデアを適切な形成プロセスおよび資源配分プロセスへ導く上級役員を任命する。新事業を会社の既存プロセスから免除し、新しいプロセス設計が必要だと宣言し、資源配分が適切になされるようにできるのは彼らを置いて他にいない。
3 アイデアを形成するためのチームやプロセスをつくる。
アイデアを成功確率の高い破壊的イノベーションに形成するための独立的に運営されるプロセスをつくること。
4 部隊を訓練して破壊的アイデアを発見させる。営業、マーケティング、エンジニアリングの部員を訓練する。
・上級役員がイノベーションのマネジメントで果たすべき役割。適切な連携プロセスがなければ自ら連携させる。部下が新しいコミュニケーション、連携、意思決定のパターンを必要とする課題に直面したときは、既存プロセスの支配力を崩す必要がある。同じ行動がおこなわれるときら確実に導き、連携させるプロセスをつくる。様さな組織の橋渡しを行い、新成長事業での有益な学習を主流部門に還流させ、適切な資源プロセス価値基準が適切な状況で用いられるよう心を砕く。
Posted by ブクログ
「イノベーションのジレンマ」の続編。前作がなぜイノベーションのジレンマがなぜ起きるのかということに書かれていたのに対して、本書ではそのイノベーションのジレンマにどう立ち向かえばいいのか、またはどのように破壊的イノベーション起こせるのかということを理論立てて書かれている。
Posted by ブクログ
イノベーションのジレンマの続編で、ジレンマを解決するための指針をまとめたもの。怖いのは、合理的な計画や判断が自らを破滅させるという前提があるということ。決して間違っていないにも関わらず破滅へ進んでしまう。気になるテーマはいくつもあるが、2点に絞る
1点目は顧客を分析するのではなく「状況」を分析するというもの。顧客で分析すると、同じ属性の顧客をみつけるようになってしまう。本来、顧客が持つ課題を解決するのだが、手段が目的となってしまう。だからクリステンセンは常に顧客の「状況」を分析するように示唆している。実に的確だ
2点目は人材。マネージャを選ぶ際に何を解決してきたではなく、何の問題に取り組んでいたかを取り組むこと、解決できたかどうかよりも、そこで何を得てきたかの方が重要であるということだ。成功者は磨き抜かれた技術を持っているが、次の任務でそれが適応できるかどうかは別問題だからだ。スキルは経験で得なければならない、よって人事役員は重責を負い、それぞれに何を学んでもらうかを考えなければならない・・・とのこと。これが出来ている会社はどれだけいるだろう。ほとんどの会社は短期的視点でしかみていないのではないだろうか
ちなみに、この本は注釈も多いのだが、学生からの服のブランドに対しての意見に対して「我々のしったことか」と切り捨てるなど、クリステンセン先生の独走意見に満ち溢れている。