あらすじ
あらゆる破滅に通じるヒューマンエラーと
その解決策を導き出す
企業存続のバイブルが誕生!
フィナンシャル・タイムズとマッキンゼーが選び、35歳以下の俊英に贈る
「ブラッケン・バウアー賞」受賞作、待望の邦訳。
<本書でとりあげた「メルトダウン(組織の壊滅的失敗)」事例>
・ハッシュタグで炎上したスターバックス
・フォルクスワーゲンのディーゼル排出量偽装
・スティーブ・ジョブズの「なにがなんでも着きたい病」
・福島第一原発防波堤の高さ設定判断方法
・アカデミー賞のクレイジーな誤発表
・勝手に止まるジープチェロキー
・逸脱が標準化したチャレンジャーとコロンビア …etc.
<内容紹介>
●21世紀を生きるためには、電力網から浄水場、交通システム、通信ネットワーク、医療制度、法律まで、私たちの暮らしに重大な影響をおよぼす無数のシステムに頼るしかない。だがときにシステムは期待を裏切ることがある。これらの失敗や、メキシコ湾原油流出事故、福島の原子力災害、世界金融危機などの大規模なメルトダウン(組織の壊滅的失敗)でさえ、まったく違う問題に端を発したように見えて、じつはその根本原因は驚くほどよく似ている。
●複雑で結合されたシステムを運営するには、直感や自信を称え、よい知らせを聞きたがり、自分と見た目や考え方の似た人たちと過ごすことを好むといった「人間の本能や直感」に“逆らう”ことが、有効な対策を導き、問題解決のアイデアをもたらすことを示す。
●『LIFE SHIFT』のリンダ・グラットンも審査員を務めた、フィナンシャル・タイムズとマッキンゼーが選ぶ、35歳以下の俊英に贈られる「ブラッケン・バウアー賞」受賞作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
巨大というより,複雑かつ密なシステムであるほど問題発生時の解決が困難になるという話.すごくためになるから全人類が読むべき一冊.
失敗の科学とかと同じタイプの内容.壊滅的な失敗が発生する原因と対処方法,根本的な解決策などを実例を交えながら解説.
Posted by ブクログ
学生の頃から漠然と思っていたことを具体的に言語化してくれた本だ。
世の中にあるたくさんの複雑なシステム(ITに限らず、金融だったり、公共事業だったり)は、誰もその全体像を見渡せていないのでは? ある時、ちょっとした刺激で、一気に崩壊することがあるのではないか? と。
実際にそのとおりで、例えば原発は誰もが全体を理解してコントロールできていなかった。
今も仕事で、様々な業務がIT化されているが、IT化すればするほど、ブラックボックス化して、一体どうなっているのかが分からなくなってしまっている。
さらに、仕事の流れも、ミスや批判が出てくる度にその場しのぎのパッチワークをするものだから、どれが最新のやり方で、何のためにこの手順を踏んでいるのかが誰もわからなくなってしまっている。
業務を単純化したり、減らしたりすることが評価されるような風潮に変えないと、いつか国自体が崩壊することだろう。
Posted by ブクログ
様々な事例から失敗の内容・原因・解決策をいろいろな観点から紹介されていて、かなり具体的に説明されているので自分が実際何かを実行するイメージがかなりつきやすかった。
参考にできそうなことが多かったので、もっと精読して1つずつ仕事や生活に取り入れたい。
ただ「たった一つの方法」ではなかったかな。
Posted by ブクログ
巨大システムの失敗の原因を密結合した多要素からなる複雑系にあるとして、様々な事例と対策を紹介している。
対策としてあげられている手法:
・構造化されたツールによる意思決定:主観的確率区間推定法(SPIES)による見積もり、ペアワイズ・ウィキ調査での項目の優先順位付け、死亡前死因分析によるリスクの洗い出し
・小さな失敗から学び大きな失敗を防ぐ:ヒヤリハット
・チームの多様性を確保して認知バイアスを回避する
・システムの透明性を高め、スラックを大きくすることで、システムを見えるようにし結合を疎にする
タイトルにはたった一つの方法とあるが、一つじゃなかった。
Posted by ブクログ
本書では交通(鉄道の運行管理、航空機の管制など)や金融、原発、巨大プラントなどの巨大システムの組織的崩壊に至るトラブル全般を「メルトダウン」と呼び、それが起きやすい状況を整理して、どう防ぐのかを様々な事例を紹介しつつ説明しています。
例に挙げた巨大システムは、効率化を追求すればするほどより巨大に、複雑、過密になっています。数多くの要素が複雑に関係しあう「複雑系」であり、かつそれぞれの要素間の繋がりに時間的余裕の少ない「密結合」である事が、メルトダウンを起こしやすいシステムの特徴であると述べています。
システムが巨大になってもオペレーター一人が把握できる視野、領域には上限があるためにシステムの運営に数多くの人が関与することになった結果、誰一人としてシステムの全体状況を正確に把握できないケースが最も危険であるとしています。
確かに航空機の管制では遥か数百㎞先の航空機の状況をモニターで監視しますが、巨大空港周辺の空域は管制官毎に細分化されていますし、管制官も自分の担当空域に関しても直接目視はできません。
原発の運転では高温・高圧・放射能で炉心の状況は各種センサーの数値を読み取ることでしか情報が得られません。この様なシステムの運営で、いかに「複雑系」をより「単純化」させ、「密結合」を「ゆるい結合」にするかというのが本書のテーマです。
「小さな兆候を見逃さない」、「多様性(ダイバーシティ)のある組織作り」、「円滑なコミュニケーション」等、システムが崩壊する前に必ず発する兆候を確実に掬い取るための組織作りの指針が具体的な例をもとに説明されています。
技術的な切り口というよりは、組織論に軸足を置いた内容です。著者の考えはオーソドックスで目新しい部分はありませんが、昨今の巨大システムのトラブルを目にして漠然と感じていた危なっかしさを的確に描き出している印象でした。
Posted by ブクログ
とてもわかりやすく書かれていて良かった。いろいろな企業などの壊滅的失敗例がたくさん出てきて、それだけでも興味深かった。
システムが複雑になっているのに、それに対処する能力が追いついていない。
より安全なシステムを設計し、よりよい意思決定を下し、警告サインに目を配り、多様な少数意見から学ぶ。それらの当たり前のことができない。
現実は、直感に頼る、懸念の声を無視する、気候変動や食糧不足、差し迫ったテロ攻撃の警告サインに対策を講じない。
防止することは可能だ。試そうという決意さえあればいい、と筆者は言う。
Posted by ブクログ
失敗の科学の廉価版って感じw
どこの組織も認知的不協和が根幹にあって失敗していく。
そして本書のサブタイトルでもある『「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法』とあるが、防ぐための方法は何個もあった・・・
本書単独としても楽しめるが、失敗の科学を読んでなら、わざわざ読む必要もないかな
Posted by ブクログ
組織の壊滅的失敗を防ぐたった一つの方法は
・壊滅的失敗の前に必ず現れる何かしらのサインに気が付き、アクションをとる(とれる)こと
である。
そりゃそうだ。と思うかもしれないが、現実は難しい。
何かしたら前兆を発見して、
・この報告したらプロジェクトが遅延してしまうかもしれない。
・いつもとちょっと違うだけで全体はうまく動いているから報告するほどのものでもないな。
・これを報告すると上司から叱責されるかもしれない。
はたまた報告したいけれど忙しくてそんな時間がないよとか。
・そもそもどこに報告したらよいのか。などなど。
現在、システムが複雑化・高度化され全体が見極めにくくなっており、かつそのようなシステムは壊滅的失敗に陥る潜在的な欠陥を有する(そして誰も複雑さゆえに把握できない)。