柚木麻子のレビュー一覧
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ananのターゲット層向けに描かれているせいか、私の観たことなないドラマが多かった。年代が違い過ぎるから仕方ないか。また私はサスペンスものが好きなのだが、ほぼ取りあげられてなくて残念だ。
もちろん観たドラマもあるのだが著者と感想が全然違う。作家とはこう言う視点で観ているのかと勉強になった。またトレンディドラマにおける女性を「妖精」と表現するあたり大いに納得。あの時代の女性はみんな「妖精」になりたかったんだよ。
近頃は年齢的なこともあり恋愛ものは敬遠していたが、ツッコミを入れながらも観てみようかと言う気になった。
願わくば次回は週刊文春で描いて欲しい。 -
Posted by ブクログ
柚木麻子女史は前作の『 BUTTER 』でも強い女性を描かれていたが、今回登場する若い女性たちも、一見ひ弱そうで実は逞しかった。
昭和初期から現在まで、苦労を抱えて生きる女性たちが7編の短編に綴られている。
様々な立場の女性たちが、ユーモアを含めながら自らの道を切り開く痛快物語だ。
全編に駄目な男に対峙する女性が綴られている。
「女性が社会で仕事をするのはつらいだろうけど、男だって大変なんだよ」と思っている男性こそ、この一冊で女性の現状を知るべきだ。
登場する女性たちは、懸命に真剣に生きている。
子育て真っ盛りのシングルマザーは、一杯のワイン、一貫の握りを心ゆくまで味わうことは難しい。
女性が一人で真にリラックスして珈琲一杯を飲める場所は意外と少ない。
何気ない姑・舅の嫁への圧力等々、ジェンダーが語られる今の世の中でも女性が背負う荷は決して軽くないのだ。
そんな女性たちが、もどかしさを堂々と飛び越えて、新たな局面を自らのチカラで引き寄せる物語だ。 -
Posted by ブクログ
ーだって、年寄りは次にちやほやされるのはいつかわからないんだもの。ひょっとしたら、そんな機会がないまま死んじゃうかもしれないんだもの。
正子の言葉を読んで、心にひんやりとした風が吹いた。そうか、歳を重ねていくごとに、褒められたり心配されたりすることは減っていくのか。怒られることが減るとはよく聞くが、もはや関心を持たれること自体減ってしまうとは。
そして今までやってきてもらったように、今度は自分が若者に関心を向ける番になっていくのか。
切ない。しかし言われてみれば、若者のあいだで何が流行っているかは世間で話題になるが、お年寄りのあいだで何が流行っているかは話題に上がりもしない。お年寄りに関心が向いたとしても、嘲笑が含まれていることも多い。
ならば、ちやほやされていた時に満たされていた自己顕示欲はどこへ向くのか、年とともにそんな欲自体、減っていくのか……と想像していたが、正子を見ていると、全員が全員そうでもないらしい。
自分に向けられるはずの注目が他人に向くと正子は嫉妬し、自分が注目されるととても生き生きして、それだけで表情がぐんと若返る。
まるで少女のような人だ。たくさんの人生経験を積んで大変な思いも数知れずしてきただろうが、根底にあるパワーはとてつもなく強くて、まぶしい光を放っている。
正子は壮太郎が亡くなってから、次々と驚くような行動を起こす。鎖が解き放たれたかのように、湿っぽさもなくアクセル全開で突き進むそのさまは、なんとも痛快だ。
しかし本来はそんな風な彼女を、壮太郎の何がせき止めていたのだろうか。恋に落ちて結婚しても、いつしか関係性が変わり、自分をがんじがらめに縛ってしまう元凶になるものか。正子も気づかぬうちに泥に足を取られ、毎日大人しく家で家事をこなしていくうちにそこから抜け出す方法も分からなくなってしまったのかもしれない。
一方、アクセル全開で突き進む正子は、マジカルグランマを脱した姿ではあるのだが、若い頃から時が止まっているかのように、自分の体力を過信した行動が多い。また自分の思いを叶えるために周りに迷惑をかけることも厭わないため、そばにいる杏奈や明美と同じように心配や苛立ちを覚えて、読んでいて辛い部分があった。
老人ホームで働いていたとき、似たようなお年寄りがたくさんいた。人が身近にいる人の言葉にさえ耳を貸さなくなったり、周りの目を全く気にしなくなったりしてしまうと、厄介な側面も大いにある。
単なるおばあちゃんの愉快痛快ストーリーで終始しないところに、柚木さんらしさを感じた。
どのページも文字で埋め尽くされていて、すさまじい文字数だが、正子がどんどん新たな行動を起こしていくため、中弛みすることなく最後まで読むことができた。 -
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The British Book Awards 2025を受賞した『BUTTER』(第157回直木賞候補作品)を著した柚木麻子は、最近毒を軽やかなタッチで描き出している。本作は第161回直木賞候補作品。
主人公正子は元映画女優、映画監督との結婚を機に家庭に入ったが、今では家庭内別居が続き一人で生きていくために俳優業の再開を目論む。スマートフォンのCMのおばあちゃん役を射止め順調にいくと思えたが、夫の死をきっかけに転落して行く。マスコミから叩かれ、芸能事務所との契約を解除された。夫の知り合いと名乗る若い娘杏奈との同居生活、残された家屋の売却、息子との確執を通じて、何故か生きがいを感じるようになる。
早く家を手放し都心のマンションに引っ越したい正子は、家にあるあらゆる物を杏奈の勧めでメルカリに出し、義理の父母の残した物にも手を付ける。杏奈はスマホで短篇映画を制作し、正子は新たに役者になるためにオーディションを受ける。
マジカルグランマとはステレオタイプのおばあちゃん像。『風と共に去りぬ』のマミーがマジカルニグロと知る正子。自分が目指す役者とは?
良いおばあちゃんなんて、この世には居ない。杏奈と初めて行ったディズニーランドのホーンテッドマンションを参考に、自宅をお化け屋敷にして自らが驚かせるおばけ役になる計画を立てる。奇想天外なアイディアを実行する正子ばあちゃんは、ヒラヒラと自由に生きる。