田辺聖子のレビュー一覧
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1976(昭和51)年作。
「乃理子三部作」の、『言い寄る』に続く2作目。
1作目ラストでの失恋のあと、お金持ちで遊び好きのチャラチャラした「剛」と結婚し、それなりに楽しそうに暮らしている。
前作同様に、要所要所で繊細だがかなり「ユルい」文体でどんどん進む。
最後にいたってどうやら剛との結婚生活は破綻に至るようなのだが、離婚を決意する主人公の心理はわかるようでわからないところもある。女性が読んだら共感するのかもしれないが、一般的な男性はやはり首をかしげるかもしれない。
さて再び独身となった乃理子はどうなるのか。そして、彼女は自らの人生のなりゆきにどのような意味と物語を見出していくのだ -
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1974(昭和49)年初発。これは凄く昔、50年も前のことで、私もまだ5歳、テレビでは「ハイジ」「宇宙戦艦ヤマト」が放送開始された年だったようだ。
本作の主人公である30歳くらいの独身女性「乃理子」は、ふわふわと行き、気が向けば出会った男性と簡単に寝たりするのだが、当時はこの作品世界は幾らか衝撃的だったろうか? ほんの5年前の全共闘の時代には、こんな軽々しさは無かったような気がする。急速に国内の世相は「軽さ」へ向けて、80年代のあの様相に向かって邁進していたのだろう。
本作及び、本作を初めとする乃理子三部作は当時ヒットしたそうだ。これも時代の気分と合致していたのだろうと思う。
読んでい -
Posted by ブクログ
おせいさんのお話の女性は、恋愛していて振り回されているように見えていても、心の底は冷静というのが好きです。
トモ代と時枝みたいになりふり構わず、というのができない。それは彩子、町子、美紀がそれぞれバリバリ仕事していて、男にもたれかかる(というと言葉が上手くないけど…)女性ではない、というのが大きいんだろうな。
でもそれは、トモ代や静枝ほど、相手のことが本気じゃないことの裏返しかも。
しょうもな…みたいな男性が相手なのも面白い。しょうもな…とわかっていても離れがたいのが切ないです。
浜野悟が俗物になって退場したのは良かったけど、啓二はちょっと…まぁ、これまでのツケを払ったのかも。。。
それにし -
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初読みの作家さん。タイトルと可愛らしい表紙に惹かれ、「恋愛小説の名作」という帯の売り文句に釣られて購入。
ハッピーエンドともバッドエンドともとれない、それでも読んだ後にはホッとするような温かい後味が残る12編の短編集だった。今でいえばダメンズとも捉えられるような男性に振り回される女性が多く登場するが、不思議と誰もそれに対して不幸であると感じていなく、むしろ後味が良い結末を迎えているのが面白い。すべてのお話の舞台は関西で繰り広げられているため、登場人物たちの軽快な関西弁もたまに重くなる空気も和らげているようだった。
中でも特に好きだったのは「ひなげしの家」だった。ひなげしの家に暮らす主人公の叔 -
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ネタバレこの時代の女性は良いように周囲の環境を利用し、流されないと生きていけなかったのかなと感じた。
とはいえ、自分の意志も無くただ流されるだけでは女三の宮のように面白みも無い人物になってしまうのだろう。
その辺りの塩梅がとても難しい。
男と政治ありきで賢く動かないと女性が豊かに生活できないのは、あまりにも自主性が無く窮屈に感じた。
紫の上の死は何度読んでも悲しい。
光源氏にとって理想とする女性でも、女三の宮や世間の風評に悩んでいたのが辛く感じた。
光源氏も周囲に素晴らしい女性がいるのに、次々と別の女性に手を出してすごいなと感じた。
谷崎潤一郎や森絵都など他の作者訳での源氏物語を読んでみたいと強く思 -
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貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。
実は読んだことがなかったのですが、田辺聖子さんの訳は結構アレンジが効いているのですね。読みやすかったし取っ掛かりとしてはとても良いと思う。原著で読むのはさすがに心折れそうなので。昔から、一般庶民(むしろ虐げられている不幸な身)が玉の輿でハッピーエンドというのは憧れの的だったんだなあ。今と違ってそうそう恋愛結婚もなかっただろうし。でも現代女性にこの形が理想と捉えられるかはまた微妙なところかもしれない、とも -
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作家や著名人の犬エッセイショートショート。
著名な作家を中心に、漫画家、イラストレーター、映画監督など、著名人が犬について書いたエッセイ集です。犬との出会い、犬との思い出、別れなど、テーマ別にまとまっていて読みやすかったです。が、それぞれが短いということもあってなかなか頭に残りませんでした。印象的なエピソードは、椎名誠のお母さんのトラウマ級の非道で、そんなことされたら僕も一生恨むだろうなあ、と思いました。あとは彫刻家の舟越保武さんの章や、寺山修司の話もよかったです。いせひでこさんのイラストエッセイはほんわかしました。うんうんそうだよね、犬ってそういうヤツだよね。
しかし全体的には昭和が中心の -
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古い恋愛小説でした
昔ながらでありつつハイソサエティなノリを目指しているんですが、どうガンバっても古典に見えました
クドいほどの値踏みが広げられていて、でもそれが男の魅力的な紹介になっていました
駆け引きのテンポがサクサク進んで心地よく、3人の男性どれも男らしく魅力的でした
主人公以外の女はどこか頭が悪そうで、それは屈託のなさの裏返しで妬ましく映っていました
中盤での友人の妊娠にかけて、主人公が転落していく展開が好きでした
周囲のキャラの魅力が昇っていくに伴い、変化しない主人公は取り残されていって、そこからストーリーに引き込まれました
ラストの五郎と美々を受け入れるシーンにかけてマンション