田辺聖子のレビュー一覧
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主役の男達の気持ちがわかりたくなる。でも実際は、味のわからない妻やまわりのOLに近いと思うので、父や上司たちに「すいませんでした」と言いたくなる。
「大阪の味」がいまいちわからなくても、グルメ特集のおいしさとは違う、懐かしくておいしい「この味」を求めて奔走する男たちが滑稽で、親しみが湧きます。その「味」がわかる店や女に恋したり。ああ、男の人って食べ物をこういうふうに食べるんだなあ。「孤高のグルメ」の大阪弁おしゃべりといったかんじで楽しいです。男の人はもっと共感するのか、逆に違和感があるのか。あったかい食べ物が多いので冬に読むのがいいかも。 -
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僕はこのお話、映画が先でした。
2003年の日本映画。池脇千鶴さんと妻夫木聡さん。特に池脇千鶴さんは一世一代の(というとまだまだ活躍中なのに失礼ですが)当たり役、ハマリ役、凄味まで感じる存在感でした。犬童一心さん監督作品。実はこの監督さんは、「ジョゼ」以外、不勉強で知りません…。
映画が素敵なだな、と思ったら「原作 田辺聖子」。
1984年に発表された短編だそうです。
「ジョゼと虎と魚たち」
正直に言うと、田辺聖子さんというと、やたらとエッセイ集ばかりが目についてしまって。
オバサン~オバアサンご用達の雑文屋さん、「かつてちょこっと小説家だった」というタイプかな、と勝手に偏見を持っていました。
その後、たまたま「言い寄る」という小説を読んで。
軽めの風俗小説なんだけど、実にオモシロイ。軽いと思わせてぞっとさせる。
関西弁で、ちょこっと明るいけれど、向田邦子さん真っ青な味わいと切れ味。
という訳で短編集「ジョゼと虎と魚たち」
・お茶が熱くてのめません
・うすうす知ってた
・恋の棺
・それだけのこと
・荷造りはもうすませて
・いけどられて
・ジョゼと虎と魚たち
・男たちはマフィンが嫌い
・雪の降るまで
ほとんどが、1980年代なんだろうなあ、と思われます。
景気は悪くない。女も仕事がある(一部の人だろうけど)。だいたいが、服飾関係の働く女性。だらしないけど憎めない年下の男性。離婚。
なんというか…夫婦善哉、現代版、男の身勝手、女の感じ方。
敢えて、一篇一篇備忘録を付けるのも野暮な気もしますので割愛しますが、どれもぞくっと面白い中で、
●40代で事務職で独身で地味だけど実は資産があって自立しててエロい女性のお話。
なんていうのは、ちょっと変わり種でより印象に残りました。
それから。
何と言っても、「ジョゼ」ですね。
この短編集の中でも、ひときわ、異彩。孤立しています。孤高です。
映画も素晴らしいけど、やっぱり原作も凄かったですね。
なんだかもう、「火垂るの墓」を読んでいるようなグサグサした突き刺され方と、関西弁のスピード感に包み込むどうしようもないユーモア。
そして突き抜ける、ジョゼという女性のキャラクターの水が撥ねるような魅力。
つまりは、生活レベル最底辺の障害者の女に、情夫が出来た。
それだけのことなんです。
それだけのことで、こんなに涙ナミダで笑えて痛くて、あっという間に読み終わる。
でも誰がこれを笑えよう。誰がこれを哀れむ資格があるものか。
たまりませんね。
田辺聖子さん、実はモノスゴい金脈だなあ、と。
楽しみです。
(関西暮しを終えて、どうにも関西弁がなつかしい、というのもありますが) -
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継母と義姉妹にいじめられている気立ても器量もよい姫ぎみが、なんでもそろっているイケメンに見初められ幸せになるシンデレラストーリー。というか、シンデレラより落窪物語の方が古いのだけども。
結婚後、少将と衛門の復讐がやたら詳しく書かれているのもおもしろかった。原作はもっとひどくて長いらしいが、田辺聖子さんがかいつまんだらしい。これくらいのボリュームでぴったりだと思う。姫ぎみと四の君が継母を許してあげているラストシーンがじんわりよかった。
それにしても、落窪物語やとりかえばやといいシンデレラといい、人間が好きな「物語」って千年以上前からたいして変わっていないのだなあと感心。予定調和な物語はバカにされがちだけれど、おもしろいからこそ千年も受け継がれているんだよな~。 -
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ネタバレ平安版シンデレラ物語と帯びにあったので読んでみました。
主人公は才色兼備で血筋も高貴な姫君で、嫉妬した継母に虐げられた生活を送っています。
ある日のこと、姫の噂を聞き付けた少将がアプローチをしてきました。
姫と王子のラブストーリーですが、それだけではないのがこの作品。
シンデレラと違って、魔法使いは出てきません。
主人公には始めから、彼女の身を案じ、幸せを願い、彼女のためにと献身的に働く召使いがいます。
そんな彼女の働きが縁を結びます。
主人公はもちろん姫君なのですが、この召使いもまた主人公のように輝いていて、熱い友情の物語としても楽しめました。
もちろん、主人公の人柄が良いからこそ良い縁が繋がっていったのですから、主人公も立派です。
マイナス思考がたまに傷ですが、数少ない短所でしょうし、その方が人間らしいですね。
姫君と少将が結ばれた後の話もあります。
少女漫画の王道をいくストーリーという帯の言葉通りの作品でした。