田辺聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪生まれの大阪育ちの著者が、生家の写真師の技術ではなく、自分自身が磨いてきた「文」でもって悔いのない人生を送る方法を示したエッセー集です。
内容
古き手わざ――はじめに
楽しく老いる
老婦人のプライドと自立
自立老人のススメ
古老の生き方
幸福を味わいつくす知恵
仕事を仕上げていく、ということ
人間関係の最高の文化
夫婦の糸をつなぐ
苦しみ、悲しみを乗り換える知恵
この道は、ぬけられます
子育てに迷ったら
ひとりで生きてることを楽しむ
女はクサってはならぬ
老いに向うとき
老いてこそ上機嫌
でした。
ほんと、短い文章の中に、肩を張らず、自然体で人生を過ごすためのコツが面白おかしく綴られていま -
Posted by ブクログ
初読は、高校生の頃のこと。
今は絶版。何故絶版なのかなとずっと思っていたのだけれど、再読して何となく合点がいきました。何というか、時代の流れに押し流されてしまう表現がそこここにあるのです。
でも、それ以上に田辺聖子さんによる川柳から想像されるあの時代の日常描写や会話が目の前で再現されている演目のようで楽しいのです。
川柳が単に並んでいるだけでは、描かれたあの時代の世界を思い描き、また、風刺的に作ってある内容の理解想像することすら難しいので、エッセイは、とても大切な解説文です。
この本がきっかけとなり、新源氏物語など、田辺聖子さん訳による古典文学作品を読むようになりました。 -
Posted by ブクログ
主役の男達の気持ちがわかりたくなる。でも実際は、味のわからない妻やまわりのOLに近いと思うので、父や上司たちに「すいませんでした」と言いたくなる。
「大阪の味」がいまいちわからなくても、グルメ特集のおいしさとは違う、懐かしくておいしい「この味」を求めて奔走する男たちが滑稽で、親しみが湧きます。その「味」がわかる店や女に恋したり。ああ、男の人って食べ物をこういうふうに食べるんだなあ。「孤高のグルメ」の大阪弁おしゃべりといったかんじで楽しいです。男の人はもっと共感するのか、逆に違和感があるのか。あったかい食べ物が多いので冬に読むのがいいかも。 -
Posted by ブクログ
僕はこのお話、映画が先でした。
2003年の日本映画。池脇千鶴さんと妻夫木聡さん。特に池脇千鶴さんは一世一代の(というとまだまだ活躍中なのに失礼ですが)当たり役、ハマリ役、凄味まで感じる存在感でした。犬童一心さん監督作品。実はこの監督さんは、「ジョゼ」以外、不勉強で知りません…。
映画が素敵なだな、と思ったら「原作 田辺聖子」。
1984年に発表された短編だそうです。
「ジョゼと虎と魚たち」
正直に言うと、田辺聖子さんというと、やたらとエッセイ集ばかりが目についてしまって。
オバサン~オバアサンご用達の雑文屋さん、「かつてちょこっと小説家だった」というタイプかな、と勝手に偏見を持っていました。