あらすじ
35歳の乃里子。剛との結婚解消とともに中谷財閥からも解放されて、仕事も昔の友情も取り戻した。1人暮らし以上の幸せって、ないんじゃない? しかし自分の将来の姿もなぞらえていた女友達に悲しい出来事が。そのとき手を差し伸べてくれたのは……。「誰か」がいるから、1人でも生きていける。
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「言い寄る」「私的生活」「苺をつぶしながら」の三部作は、自分の中の恋愛小説に対する概念がひっくり返された衝撃作でもある。
時代は違うけれど今日に至ってもなおこの小説に心が震えるのは、どれだけ時が経っても「幸福」の本質はとても素朴で、心の充実は力強いという事を示してくれているからだと思える。
深夜、のりこと剛が東京へ向かう車内のやり取りはまるでドラマのワンシーンを見ているかのようで、何度もページを戻して読み返してしまうくらい癖になります。
剛はイヤ〜な奴だけどかわいいから憎めない。
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乃里子、35歳。
財閥の御曹司剛との生活に終止符を打ち、イラストや画の仕事で玉木乃里子という名前もそこそこ知られるようになり、一人暮らしを楽しんでいる。
画描きの男友達4,5人と、洋装店を経営する女友達、ピアノ講師をする一回り上の先輩などに囲まれて、ほんの二、三年前の結婚生活が人生の刑務所だったなんて言いたい放題。
出所祝いと称して仲間たちとバーで飲み、軽井沢への旅行も楽しみ、少しづつ本来の自分を取り戻していく乃里子だったけれど、終盤女性友だちに悲しい出来事が起こります。
一人暮らしの楽しさの裏にある、孤独という恐怖。
それを救ってくれたのは…。
なんかなんかすごくいい話じゃない。
懐に温かいものが染みわたってきます。
乃里子の明るさとか、賢さとか、優しさとか、もうぜんぶが羨ましく感じられ、とても元気の出る物語でした。
乃里子三部作、読んでよかったです。
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津村記久子さんの後書きも大好き。人生時には辛い事、恥ずかしい事を経験する。乃里子は身の回りの状況を時に冷酷なほど分析し、綺麗事でなく本音を綴りながらも最終的に心の赴くまま楽しんでしまう。「人生は美しい、と、台詞で、言うのはたやすいけれども、それを物語として納得させることは至難である。乃里子三部作は、そのことに達成して余り有る。•••乃里子という女の子が、ただ生きているという様子だけで、それを描き尽くす。瞠目する」
乃里子のように生きていきたい。
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田辺聖子さんの本を初めて読みました。
主人公の乃里子さんはおしゃれで自立していてとても明るい性格。ポジティブで考えもしっかりしており憧れます。
物語が良いのは言わずもがな、文体はキラキラした光の粒が弾けるようでとても素敵でした。
40年の時を経ても色褪せない、はたらく女性のバイブル。読むことができて良かったです。
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1982年に刊行された作品。今ではおひとりさまなんて、普通のことすぎて、わざわざ「おひとりさま」なんて言葉も使わないくらい当たり前なことになってるけれど、女性一人愉しく生きていくっていう感覚は、当時はかなり新しい視点だったんだろなぁと思わされる。
「一人ぐらしの楽しさは、この孤独の恐怖と、うらおもてに貼り合せられていたのだ。」まぁ、相方がいたって、死ぬときは一人だしなぁ。
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《言い寄る》三部作でこれが一番すきです。
乃里子が剛と結婚を解消してからの物語。
乃里子が生き生きと暮らしている姿を想像するだけで楽しく《まあ何てことでしょう》事件は笑えました。
三作目にして初めて剛の良さがわかった気がします。
乃里子と剛の関係性がすごくいい!
時々乃里子が自分の服装を書いていますが、とてもキュートで、想像するだけでワクワクしました。
三部作揃えて良かった!
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人生の「事実」は「お話」に昇格してこそ値打ちがある、っていうのは2019年ぐらいからわたし思ってたことそのまますぎる
最後の解説読んで涙がほろり…こんなに孤独を乗りこなすのに最適な物語はない。人生のその場その場の役割に没入できないのが今のわたしの問題だなと思ってたけど、多少浮世離れしてても全身で今を生きて楽しむのだって良いんじゃないか?って思える。
乃里子はんの感性、ピカピカの35歳を目指したい
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乃里子のことがどんどん好きになって、自分ならどうするだろうって、自分も彼女のようになりたいとすごく思いました。剛ちゃんに惹かれて、ドキドキして、すごく2人の恋愛に魅了されました。
これはずっとずっとお気に入りの本になると思います。
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相変わらずこのシリーズは装丁が美しい。主人公が美術系の仕事だからだろうか。1部と2部は男女の恋愛だったが、3部は男女の友情とさらに今まで関心がなかった目上の女性との友情について深く描かれている。主人公の環境や登場人物はどんどん変わるが[1人を除いて)、主人公のコアは変わらず純粋なまま。最後は親友を見つけてハッピーエンド。
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乃里子 35歳。独身に戻り、
気楽さの喜びを噛みしめて。
お酒に飲まれた赤っ恥も笑い飛ばして。
気負うことなく、屈託なく、
生きる姿が、素敵すぎる。
元夫の剛も、気に障る所はあるけど、
やっぱり 懐は深いい男で。
やさしい声を出すキカイは壊れても、
新たなキカイを取り出して、
育んでゆける関係が いいな〜。
ひとりでいるけど、
ひとりぼっちじゃない。
「人間のプロ」と言わしめる
乃里子のようなオンナ、私もなりたいっ。
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乃里子シリーズ完結編。
剛と離婚して自由の身になり、復活した乃里子。
個性的な友達に囲まれて生き生きしていますね。
剛と再会しても元夫i以上にならない。
相変わらずの剛に親近感を覚える姿が女の子だと
思いました。
最終的な結論は剛とのスパゲティ友達となった事。
ドロドロしない、大人の関係がさわやかでしえた。
「誰か」がいるから一人でも生きていける、これに
つきます。
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剛と離婚後、一人暮らしを楽しむ乃里子に共感して読んでいただけに、孤独の恐怖がうらおもてであることを突かれて、わたしも一緒に落ち込んでしまった。けれど、乃里子は前を向く。恋愛関係でない剛との関係がとても好ましくて……すべては心のありようなんだ。
Posted by ブクログ
有名だったけど、今まで手に取ってこなかった本です。当時書かれた時の価値観に照らし合わせると相当時代を先取った考え方だったのではと思います。(多分)
昨今だと結婚しなくてお一人で生きていく女性、みたいなのは多々ありますが、この主人公はそうでもあるけど、そうじゃないです。結婚したくらい好きな男性は暴力的なので、一緒に暮らすのは無理ですぐに離婚。でも1人は寂しかったり焦っていたということは結婚を通して自覚した。だから、程よい距離感で元夫とも付き合う。
1人で生きれない、ということを自覚しているのが共感しました。相手は誰でもいいわけでもない、その絶妙な感覚を感想にするための文字に起こせないですが1人で生きることが強い女性ってわけでもない、というのが腹落ちしました。
誰かがいることで生きれるんですよね。はい。
Posted by ブクログ
乃里子3部作の3冊目。1作目の「言い寄る」では奔放すぎる乃里子の性格に、この尻軽女め!と呆れ果て、2作目の「私的生活」では剛の傲慢で嫉妬深い性格に、こんな男ムリ!とイライラしながら読んだけれど、3作目のこの本では乃里子も剛も可愛く思えるところが多々あって、ありがとう田辺先生!と思わずにはいられなかった!
特に剛の難しい性格の中に垣間見れる、遠回しでストレートじゃない優しさに、何だ実は思いやりも持っていたのかと心から安堵したのは私だけではないはず。
結婚と離婚を経て得られたライトな二人の関係を、乃里子の心情として
「剛のいちばんいいものだけを抽出して、贅沢に費消するとすれば、彼の友情だけが欲しかった。」
と記す田辺聖子の表現力、流石!
Posted by ブクログ
結婚していた事を服役、結婚歴を前科、元夫を看守と呼びつつも、結婚生活全てを否定する訳ではなく女一人の生活を謳歌する乃里子の姿が瑞々しい。
女の人生、男と女、女と女、誰かと生きる事、一人で死ぬ事について深く考えさせられた。
私もいつか「散髪に行ってきます」と言って家を出てみたい。
Posted by ブクログ
家庭に入って子育てをするだけが女の幸福ではない!と、真っ向勝負している第三部。この小説が執筆された昭和五十六年の時流を考えると、本当に乃里子は「女の人生革命家」だったのではと思う。自分の人生を自分で選んでいく乃里子は格好良くて、最後はどんな道を選ぶのだろう?と、どきどきしながら見守った。前作『私的生活』ですっかり嫌いになっていたあの人も出てきて、その有様に思わずきゅんとしてしまった自分はかなりちょろい(笑)対して、乃里子の選択には惚れ惚れする。
『言い寄る』から始まった「乃里子三部作」には、アラサー女性のすべてが詰まっていた。きまった男がいない自分に感じる欠乏感、結婚にともなう煩わしさと閉塞感、再びひとりの生活に戻ったあとの享楽や老後への恐怖──。こんなに女性に親身に寄り添ってくれる本は他にないと思う。「ピッカピカの三十五」になる頃にまた読み返したい。
Posted by ブクログ
2022.09.06
散髪にいって来ます
女が同性に優越感をもつとき、自分が安定している、あるいは、一人の男に定着してる、という場合が多いのはなぜかしら。
やさしい声が出せるから寝られるのだ。
一人ぐらしの楽しさは、この孤独の恐怖と、うらおもてに貼り合わせられていたのだ。
色褪せないですね
久しぶりに作者の小説をシリーズで読み、時代背景などの移り変わりはあるものの、全く違和感なく楽しめました。ノリコさんの生き方、とても素敵ですよね。
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タイトルだけで読むことを決めたので、乃里子3部作の第3弾であることは読み始めてから気がつくという失態をしつつも、十分すぎるほど楽しめた1冊。
※順番は前後するけれど、今後第2弾も読みたい。
激しい盛り上がりやスピーディでハラハラドキドキな展開があるわけではないけれども、テンポ良く『共感』ポイントが散りばめられていた。乃里子の言葉にこんなにも共感するとは、(私は結婚も離婚もしたことが無いけれど)女性として産まれて、結局は自分も女性として生きているんだなぁ…と痛感した。
乃里子が魅力的だから、周りにいる男性たちも個性が強くもいい関係の友達でいられるのだろう…羨ましい。ただの、嫉妬かもしれないけど。
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最初「苺をつぶしながら」を読み始めてから3部作と知り、
古本屋で「言い寄る」と「私的生活」を買って読んだ後、本作品を読んだ。
独身時代は気にも留めない日常が、離婚して自由になるとキラキラした宝石のような日々に変わってしまう。特に友達と過ごす時間のありがたさ。これは私も痛いほどよくわかる。
また剛と乃里子が会ったときのお互いのぎこちなさ。糸が全く切れた訳ではなく、どこか細くつながっていて、お互いがそれをなんとなくわかっていて安心している。二人の会話は少しハラハラドキドキした。
そしてほっこりとふんわりと乃里子らしいラシトシーン。この先も乃里子は思い付きで結婚したり、あるいは子どもを産んだりするかも知れない。でもきっと何があっても乃里子らしく楽しく生きるんだろうなぁって想像できる。
三部作、読んでいる間は私も乃里子になれて本当に幸せで楽しかった。
Posted by ブクログ
三部作ラスト。30年以上前に書かれた作品なのに、古くない。女の子乃里子は媚びない。「何かが違う」の感覚が好き。解説の津村記久子さんは乃里子のことを「ぞっとするほど冷徹に分析しながらも、身を置くその場で最大限に楽しんで見せる」と綴っている。友人の死により、孤独の恐怖を知るが、乃里子はこれからも楽しんで生きるだろう。ブリジット・バルドーの言葉もよかった。
Posted by ブクログ
あとがき読んで知ったけど
3部作の3番目だった!最初の「言い寄る」は読んだけど。
2番目読んでないまま読んでしまいました。
最初、一人暮らしの女の子のハッピーな毎日。だったけど、こずえさんの出来事から 最初がずっとハッピーなだけにガクンときました。
みんないつかは死ぬ。なんて実感ないけど
強くならないといけないな。
のりこみてると 1人って楽しいよねーって思う。
私も苺つぶしながら、トーストたべながら
ガハガハ笑いたい笑
読んでくうちに剛に惹かれるんだけど、2作目読んだら違うのかな??
読んでみよっと
Posted by ブクログ
いかにもなハッピーエンドではないのがよい。このあとはどうなるんだろうと気になる。今後について、いくつかの予感をさせる終わり方もよい。私も同じ35歳。主人公とだいぶ違う人生を生きてるけど、こんな自由になることを実現させたい‼︎
Posted by ブクログ
35歳の乃里ちゃんは、仕事もバリバリこなして出来る女なのに、お酒でやらかしたり、感動するリアクションが本能のままに自然と表現出来たりして、とても羨ましいし、可愛い。今後、自分はどうな風に歳をとっていきたいのか、考えたくなる。
Posted by ブクログ
まさに女の子!女の子による女の子のための生き方が詰まった小説。泣いて笑って生きることを楽しんでる乃里子は本当に素敵。いやはや、女の子はいくつになっても自分に素直が一番だなあ。
Posted by ブクログ
☆4 容
35年以上前にこんな奔放で生命力あふれる働く女が小説化されていた事実だけでも胸熱、生を愉しむ心得満載だから女子という女子は読むといい。
☆3 水無瀬
↑同感。
「乃里子三部作」第三作。結婚後。タイトルが秀逸だよね⋯⋯
Posted by ブクログ
大学生のときは最後まで読めなかった本。モテる人の感覚って全然わからなくて。
今でも私は別にモテたり、異性に気にされるようなタイプの人間ではないけど、あのときよりずっとずっと人間関係の愉しみ方を知ってる。感情の動きの味わい方を知ってる。人生の奥行きを知ってる。
だからこそ、乃里子の物事の味わい方に共感できたんだと思う。そんな自分が嬉しいというのがいちばんの感想かな。
Posted by ブクログ
古臭く無かったことにびっくり。
男尊女卑の考え方が、今より強かった時代の小説とは思えない。田辺聖子さんは、強い方だったんだろうなと思う。
今よりも周りの目に囚われず自由な感じがしたのは、乃里子の性格によるものなのかな?
少しはすっぱで、あっけらかんとしていて、明るくて、幼くて、魅力的な主人公だった。
人生を、目一杯楽しんで生きているのが伝わってくる。自分はこんな風に、男友達と冗談を言いながら、お酒を飲んで羽目を外したことがなく、とても新鮮に感じた。剛との関係も大人でないと成り立たないし、作中にある人生のプロ度が高いというのは正にこのことだと思う。
後書きで3部作のラストと気づいた。
今作に至るまでの2冊も機会があれば読んでみたい。