田辺聖子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
中学生ごろに読んだ本で、断捨離の折に見つけて再読した。
対話形式で分かりやすく解説してある。登場人物の台詞にやや古びた表現が散見され、共感しづらくなっているが、読みづらいというほどでもない。
百人一首の入門書としてはとても読みやすい。
一気に何十ページも読むより、毎日少しずつ読んでいくのがちょうど良い本だった。
内容においては、著者の好みによって、解説の長さや濃さにかなりのばらつきがある。また、解説の長い句でもその句自体の説明でなく作者の経歴や当時の政情など、背景の紹介がほとんどのこともあった。
周辺知識がなくては読み解けない句も多いので、完全に脱線しているとは言えないが。日本史の知識が全く -
Posted by ブクログ
田辺聖子さんの小説を読んでいると、この言葉をメモっておきたいと思うことがよくある。そんな名言を集めた一冊。やはり、小説などを読んでいる中で出会った方が、言葉だけがピックアップされて独立した形で紹介されるより、心に刺さる気はする。でも、明るく、柔らかいけれど芯が強く、温かく、深く、示唆に富んだ素敵な言葉達は、読んでいるだけでも気持ちがアップし、励まされる。
自分も、口にする言葉はこんなふうな感じのものを選びたいものだと思う。話す言葉によって、自分も周囲も気の持ちようが全然変わるだろう。
それにしても、田辺聖子さんが亡くなって、私を鼓舞し、支えてくれるような作品を書いてくれる作家さんがいなくなって -
Posted by ブクログ
上下巻合わせてのレビュー
光源氏が他界し、その子供や孫たちの代の話。
夕霧は順調に出世し、たくさんの子供たちが成長しているが、
本書では『分別くさく面倒な大人』として描かれている。
本書の中心となるのは、女三の宮と柏木の子である薫と、
明石の姫君の息子である匂宮。
薫と匂宮の恋物語が本書の中核を占める。
それにしても薫の運命の辛さ。
匂宮のような軽薄さが薫にもあれば悩みも少しは軽減されたかもしれないが、几帳面が過ぎる部分で自己の懊悩を深めてしまう。
キーポイントになる女性たちは「八の宮の姫君たち」
いずれにしても、悩める薫が本書の主テーマであろう。 -
Posted by ブクログ
中年男性が妻や、職場や酒場で出会った女性達についての所感を吐露する形式の短編集。ページをめくる度に大笑いで、たいへん楽しく読めました。このユーモア感覚は田辺聖子さん独特のものなんでしょうね。たとえば…派遣のやり手社員のことを、包丁一本さらしにまいて会社から会社へと渡り歩いていく助けっ人、あるいは西部の早や射ちガンマンに例えるあたりとか、うーんさすが!とうなってしまいました(笑)。単純に面白いだけでなく、人生の渋みも悲哀も感じられ、また昭和のノスタルジーを感じられるところも良かったです。中年男性の心理についていろいろと学ぶところがあり、中年男性(つまり夫)を見る目が少し変わりました。男達って、な
-
Posted by ブクログ
ネタバレ売れっ子脚本家だったモリ。50代の妻子持ち、レオと出会って仕事を減らし、彼との生活に没頭する。
この生活がまったりとしていて楽しげでゆるやかで、思わず「かくありたい」と思わせるところがお見事。
自分の価値観、彼の価値観、それがぴったりと一致して、二人の暮らしは桃源郷のようだ。
けれどもそれが崩れ始める。
物書きとしてのモリの欲求、認められたいという思い。
レオとの仲は軋み、不穏な空気が漂い始めたところで物語は唐突に終わる。
実際に「カモカのおっちゃん」との暮らしを大切にしていた著者にとって、それ以上は書けなかったというのが本当のところかもしれない。書いたら現実になってしまう、つるかめつるか -
Posted by ブクログ
先日(2019/6/6)に亡くなった田辺聖子のエッセイ。風呂=ハダカであり、そっち方面の話ばかり。
小松左京や筒井康隆がハバを利かせていた、というか、日本SF界が元気だった頃と同時期の話で、筒井康隆「狂気の沙汰も金次第」に同じような話があったような気がするし、星新一や小松左京の本にもあったなあ。
性をテーマに、エロとも社会学、行動学とも読めるような、うねりながら進む各エッセイにおいて、やっぱり特筆すべきはその語彙の豊富さ。いやほんと、こういうのを読んだときに、ネット上の文章と同じだと感じる人は、言葉に対する感受性が低すぎると注意したほうが良い。
また、田辺聖子の専門ではあるが、古典から和 -
Posted by ブクログ
古典と恋愛小説の巨匠、田辺聖子さんの文庫を、いのまたむつみのイラストが飾っている。買わないわけがありません。
お二人とも、私が小学生の頃から敬愛しています。
田辺聖子作品は祖母が気に入っていて、書棚から拝借して難解を無視して読んでいた子ども時代でした。
いのまたさんはプラレス三四郎からかな(笑)。
今読んでも色あせない瑞々しいお二人のお仕事です。
古典を忠実に幻想的に描きつつも、現代語を多用してギャグ調にしているのも楽しい。
闊達な姫君が小天狗と夢想を旅する設定も素晴らしかったです。恋多き姫の冒険譚です。
2019.6.10 田辺聖子さんがお亡くなりになったとニュースで見ました。たくさんの素