田辺聖子のレビュー一覧

  • 夕ごはんたべた?
    近くに阪神電車の踏切があって、一日中チンチンとなっているような、更に百メートルもゆけばドヤ街があって、競艇のある日は、人であふれる安い飲み屋が続いているような、そういう尼崎の下町。に開業して20年になる町医者三太郎。この三太郎博士の「生活語録」がユーモア溢れて何でもない生活がとても豊かに感じます。こ...続きを読む
  • おちくぼ物語
    主役は、この「おちくぼの君」というよりも、主人公のお付きの女房なのではないでしょうか(苦笑)

    どこかで見たような展開ということは、この後の作品は「源氏物語」も含め、多大なる影響を与えたということなのですね。
  • おちくぼ物語
    継母と義姉妹にいじめられている気立ても器量もよい姫ぎみが、なんでもそろっているイケメンに見初められ幸せになるシンデレラストーリー。というか、シンデレラより落窪物語の方が古いのだけども。
    結婚後、少将と衛門の復讐がやたら詳しく書かれているのもおもしろかった。原作はもっとひどくて長いらしいが、田辺聖子さ...続きを読む
  • おちくぼ物語
    とても読みやすかった。継母や義理の姉妹にいじめられる所や位の高い男性に見初められる所はシンデレラとしか思えなかった。
  • おちくぼ物語
    平安版シンデレラ物語と帯びにあったので読んでみました。
    主人公は才色兼備で血筋も高貴な姫君で、嫉妬した継母に虐げられた生活を送っています。
    ある日のこと、姫の噂を聞き付けた少将がアプローチをしてきました。
    姫と王子のラブストーリーですが、それだけではないのがこの作品。

    シンデレラと違って、魔法使い...続きを読む
  • 三十すぎのぼたん雪
    面白かった!
    とにかく古さを感じない。
    言葉などは時代を思わせるが、でもいつの時代も女性の恋愛については同じなのか…共感できた。
  • 私的生活
    ☆4 水無瀬
    「乃里子三部作」第二作。結婚中。『苺をつぶしながら』の評価が高いが私はこれがいっとう好き。自分らしく在ることを一切諦めないのだ、素敵だ。お金の使いっぷりも素敵。

    ☆4 容
    寄り添うことと侵食すること、分かち合うことと押し入ること、の、違いに心を配らなければ共に生きることは難しい。それ...続きを読む
  • 苺をつぶしながら
    ☆4 容
    35年以上前にこんな奔放で生命力あふれる働く女が小説化されていた事実だけでも胸熱、生を愉しむ心得満載だから女子という女子は読むといい。

    ☆3 水無瀬
    ↑同感。
    「乃里子三部作」第三作。結婚後。タイトルが秀逸だよね⋯⋯
  • 私的生活
    男女の愛し合っていつのまにか離れなきゃいけなくなるそのすべてが、リアルで、とてもつらかった。
    誰が悪いというわけでもないし、相性が悪いとかいうわけでもなくて、思いやりも納得もあって、でもいつのまにか掛け違えてしまうのは、どうしてなのか。
    踏み込んじゃいけないところまで踏み込んだらいけない。自分らしさ...続きを読む
  • 文車日記―私の古典散歩―
    あまりにも古典の素地がないので、入門書にしてもハードルが、高すぎました。
    でもいくつも読んでみたいと思わせてくれる作品が出てきて、これからの人生の励みになりました。
  • 人生の甘美なしたたり
    【本の内容】
    愛の反対は無関心である。

    「死」の対極にあるのは「生」ではなく、「恋」である。

    お聖さんのふかーい洞察力によって引き出された、恋人、夫婦、家族たちの本音と真実。

    アフォリズムの名作!

    恋愛の究極は手ェも握らんとこへ還る。

    しょせん男は気立てと甲斐性。

    人生エエとこどりでよい...続きを読む
  • 猫も杓子も
    のりこシリーズと話の構造は似ているのですが、ラストはほろ苦め。女が自由に生きようとすると、いろんな男を傷つけたり、傷ついたり。それでも人生は続く。アラサー小説。私は好きです。
  • 私的生活
    のりこシリーズの続編。結婚とは、夫婦とは、自分らしい生き方とは。男女が一緒に居続けることって、恋愛の成就の後の長く苦しい道のりみたい。しかし、田辺さんの描写って素敵だなぁ。スミレ色の帆立貝の形をした石鹸、つかってみたい!
  • 九時まで待って
    読む本が無くなると繰り返し読む田辺聖子さんの中の1冊。
    1990年初版だけど全然古くなく、読むたびに二人の展開にドキドキする。
    売れっ子作家になるにつれ、共棲みする秘書兼妻のような蜜子を世間から隠そうとして必死の形相(と感じさせる)男・稀。
    少しずつ傷つけられるプライドが痛々しい。
    私ならもっとコテ...続きを読む
  • 男と女は、ぼちぼち
    お聖さんの対談相手が、時実新子、永六輔、伊集院静、山田太一、川上弘美、小島ゆかり、沢木耕太郎、という超大好きな人ばかりの奇跡の対談集だわ。(私にとって)
    ”言い寄る” ”私的生活” ”苺をつぶしながら”の三部作はお聖子さんの核みたいな小説で、男の気持ちを一生懸命書いたとあった。(剛ちゃんの)また是非...続きを読む
  • 新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(下)
    「宇治十帖」の後半の物語。薫と匂宮の間で思い乱れる浮舟の姿が描かれています。

    「あとがき」に当たる「理想を追い求める恋人たち」というエッセイの中で、著者が源氏が嫉妬を知らないことにもの足りなさを感じると書いているのが、とくに印象的です。円地文子も、須磨に行った源氏の留守に、紫の上にちょっかいを出す...続きを読む
  • 新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)
    紫式部の『源氏物語』のストーリーを、現代の言葉で語りなおしたシリーズ「新源氏物語」の続編です。「宇治十帖」と呼ばれる巻が上下2巻に収められています。

    本編以上に、平安時代の恋愛譚が現代的なロマンとしてよみがえったという印象が強く感じます。とくに、恋にややおくての薫と情熱的な匂宮が対比されていて、つ...続きを読む
  • 新源氏物語(上)
    紫式部の『源氏物語』のストーリーを、現代の言葉で語りなおした本です。

    上巻では、「桐壷」の巻は省かれ、「空蝉」から「澪標」の巻までが扱われています。現代のロマンとして読めるような著者の達意の文章にも、現代でも通用する原作のストーリーにも、感心させられることしきりです。
  • 新源氏物語(中)
    中巻では、「蓬生」から「真木柱」の巻までを収めます。

    九州にいた頃の玉鬘に結婚を迫る大夫の監の言葉が博多弁だったり、昔の頭の中将の娘である近江の君がこてこての大阪弁をしゃべったりするのには、ここまでする必要があるのかなあという気がしないでもありません。
  • 新源氏物語(下)
    下巻は、「梅枝」から源氏の死までの巻が収められています。

    源氏が女三の宮を引き取る頃から、紫の上がしだいに仏道への思いを強くしていく心境の変化がやや辿りづらいようにも感じましたが、これは現代的な文章にそぐわないテーマであるせいかもしれません。