田辺聖子のレビュー一覧

  • 歌がるた小倉百人一首

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    中学生ごろに読んだ本で、断捨離の折に見つけて再読した。
    対話形式で分かりやすく解説してある。登場人物の台詞にやや古びた表現が散見され、共感しづらくなっているが、読みづらいというほどでもない。
    百人一首の入門書としてはとても読みやすい。
    一気に何十ページも読むより、毎日少しずつ読んでいくのがちょうど良い本だった。

    内容においては、著者の好みによって、解説の長さや濃さにかなりのばらつきがある。また、解説の長い句でもその句自体の説明でなく作者の経歴や当時の政情など、背景の紹介がほとんどのこともあった。
    周辺知識がなくては読み解けない句も多いので、完全に脱線しているとは言えないが。日本史の知識が全く

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    2019年11月30日
  • 上機嫌な言葉 366日

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    田辺聖子さんの小説を読んでいると、この言葉をメモっておきたいと思うことがよくある。そんな名言を集めた一冊。やはり、小説などを読んでいる中で出会った方が、言葉だけがピックアップされて独立した形で紹介されるより、心に刺さる気はする。でも、明るく、柔らかいけれど芯が強く、温かく、深く、示唆に富んだ素敵な言葉達は、読んでいるだけでも気持ちがアップし、励まされる。
    自分も、口にする言葉はこんなふうな感じのものを選びたいものだと思う。話す言葉によって、自分も周囲も気の持ちようが全然変わるだろう。
    それにしても、田辺聖子さんが亡くなって、私を鼓舞し、支えてくれるような作品を書いてくれる作家さんがいなくなって

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    2019年11月26日
  • 新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)

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    上下巻合わせてのレビュー

    光源氏が他界し、その子供や孫たちの代の話。
    夕霧は順調に出世し、たくさんの子供たちが成長しているが、
    本書では『分別くさく面倒な大人』として描かれている。
    本書の中心となるのは、女三の宮と柏木の子である薫と、
    明石の姫君の息子である匂宮。
    薫と匂宮の恋物語が本書の中核を占める。

    それにしても薫の運命の辛さ。
    匂宮のような軽薄さが薫にもあれば悩みも少しは軽減されたかもしれないが、几帳面が過ぎる部分で自己の懊悩を深めてしまう。

    キーポイントになる女性たちは「八の宮の姫君たち」

    いずれにしても、悩める薫が本書の主テーマであろう。

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    2019年10月10日
  • 苺をつぶしながら

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    三部作ラスト。30年以上前に書かれた作品なのに、古くない。女の子乃里子は媚びない。「何かが違う」の感覚が好き。解説の津村記久子さんは乃里子のことを「ぞっとするほど冷徹に分析しながらも、身を置くその場で最大限に楽しんで見せる」と綴っている。友人の死により、孤独の恐怖を知るが、乃里子はこれからも楽しんで生きるだろう。ブリジット・バルドーの言葉もよかった。

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    2019年09月30日
  • 苺をつぶしながら

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    ネタバレ

    あとがき読んで知ったけど
    3部作の3番目だった!最初の「言い寄る」は読んだけど。
    2番目読んでないまま読んでしまいました。
    最初、一人暮らしの女の子のハッピーな毎日。だったけど、こずえさんの出来事から 最初がずっとハッピーなだけにガクンときました。

    みんないつかは死ぬ。なんて実感ないけど
    強くならないといけないな。
    のりこみてると 1人って楽しいよねーって思う。
    私も苺つぶしながら、トーストたべながら
    ガハガハ笑いたい笑

    読んでくうちに剛に惹かれるんだけど、2作目読んだら違うのかな??
    読んでみよっと

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    2019年09月19日
  • たのしきわが家

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    女性が労働力として駆り出され、専業主婦がへりはじめる。
    団地ができ、核家族化が進み、生活スタイルが変わって行く頃のお茶の間の風景。
    生声でのやり取りが当たり前だけど、
    今はだいぶ変わったなあ・・って。
    男女の営みをおせいさんだから、大阪弁だから、書けるし、読める。
    紙芝居みたいに、次々と時代は変わるんだろうな。

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    2019年08月25日
  • 主婦の休暇 エッセイベストセレクション3

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    久々のおせいさんとかモカのおっちゃんで、はじめ、大阪弁が外国語のようで、頭に入ってこなかった。けど、本音についての2人の掛け合いごろから、面白くて!
    来週の弧旅の連れに決めた。大阪弁に浸った頭で、初めからよみなおそう。
    もったいないわ。読み飛ばすの

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    2019年08月24日
  • 新源氏物語(中)

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    都へ戻り、栄華を極める源氏。
    年齢を重ね、魅力的、そして、優しくはあれど、
    源氏の年齢と地位によって、
    女性が弱い立場に置かれている事が顕著に思える瞬間が増えた。
    近江の君が、大和和紀さん版に最も近くて、元気!

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    2019年08月07日
  • ブス愚痴録

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    中年男性が妻や、職場や酒場で出会った女性達についての所感を吐露する形式の短編集。ページをめくる度に大笑いで、たいへん楽しく読めました。このユーモア感覚は田辺聖子さん独特のものなんでしょうね。たとえば…派遣のやり手社員のことを、包丁一本さらしにまいて会社から会社へと渡り歩いていく助けっ人、あるいは西部の早や射ちガンマンに例えるあたりとか、うーんさすが!とうなってしまいました(笑)。単純に面白いだけでなく、人生の渋みも悲哀も感じられ、また昭和のノスタルジーを感じられるところも良かったです。中年男性の心理についていろいろと学ぶところがあり、中年男性(つまり夫)を見る目が少し変わりました。男達って、な

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    2019年07月10日
  • 蝶花嬉遊図

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    ネタバレ

    売れっ子脚本家だったモリ。50代の妻子持ち、レオと出会って仕事を減らし、彼との生活に没頭する。
    この生活がまったりとしていて楽しげでゆるやかで、思わず「かくありたい」と思わせるところがお見事。
    自分の価値観、彼の価値観、それがぴったりと一致して、二人の暮らしは桃源郷のようだ。

    けれどもそれが崩れ始める。
    物書きとしてのモリの欲求、認められたいという思い。
    レオとの仲は軋み、不穏な空気が漂い始めたところで物語は唐突に終わる。

    実際に「カモカのおっちゃん」との暮らしを大切にしていた著者にとって、それ以上は書けなかったというのが本当のところかもしれない。書いたら現実になってしまう、つるかめつるか

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    2019年06月28日
  • 女の長風呂 I

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    先日(2019/6/6)に亡くなった田辺聖子のエッセイ。風呂=ハダカであり、そっち方面の話ばかり。

    小松左京や筒井康隆がハバを利かせていた、というか、日本SF界が元気だった頃と同時期の話で、筒井康隆「狂気の沙汰も金次第」に同じような話があったような気がするし、星新一や小松左京の本にもあったなあ。

    性をテーマに、エロとも社会学、行動学とも読めるような、うねりながら進む各エッセイにおいて、やっぱり特筆すべきはその語彙の豊富さ。いやほんと、こういうのを読んだときに、ネット上の文章と同じだと感じる人は、言葉に対する感受性が低すぎると注意したほうが良い。

    また、田辺聖子の専門ではあるが、古典から和

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    2019年06月16日
  • 王朝懶夢譚

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    古典と恋愛小説の巨匠、田辺聖子さんの文庫を、いのまたむつみのイラストが飾っている。買わないわけがありません。
    お二人とも、私が小学生の頃から敬愛しています。
    田辺聖子作品は祖母が気に入っていて、書棚から拝借して難解を無視して読んでいた子ども時代でした。
    いのまたさんはプラレス三四郎からかな(笑)。
    今読んでも色あせない瑞々しいお二人のお仕事です。
    古典を忠実に幻想的に描きつつも、現代語を多用してギャグ調にしているのも楽しい。
    闊達な姫君が小天狗と夢想を旅する設定も素晴らしかったです。恋多き姫の冒険譚です。

    2019.6.10 田辺聖子さんがお亡くなりになったとニュースで見ました。たくさんの素

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    2019年06月11日
  • 鏡をみてはいけません

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    女は太もも男はロマンみたいなエロ面白い作品を期待して、ずっと本棚に寝かせていた文庫です。エッセイとちがって思いのほか小説ライクで、あまりの趣向の違いにビックリでした。
    主人公の心の動きが上手く描かれていて、また、男の男っぷりも良くてなかなか様子のいい作品でした。最後のところで嫉妬が入れ替わって上手く話が終わりました。

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    2019年04月18日
  • とりかえばや物語

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    テーマとしても今に通じるトランスジェンダーの問題を扱いながら、その心理描写が豊かである。大林宣彦の転校生につながるが、もっといろいろ展開できそうだ。

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    2019年04月17日
  • おちくぼ物語

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    最高!最近は、原作訳だけじゃなくて、小説風とか漫画になってるから、古典も親しみやすくなったね✨

    姫を助け出すシーンは、
    ハラハラして一気に読んじゃった( ´∀`)
    ヒロインの姫も好きだけど、阿漕という女房が一生懸命で大好きだ...!

    日本語とか和歌の訳とか、いいまわしとか...分かりやすく砕くと物足りなさがあったりするけど...。
    この本はその辺も丁寧に訳してあって良かった◎

    古典初めての人も文春文庫は
    普通の物語調だから読みやすくてオススメ!✨

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    2019年04月14日
  • 古今盛衰抄

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    スサノオ、卑弥呼から桂春団治まで、田辺聖子さん好みの12人の歴史人物の素顔を、創造力と空想で描いている。史実よりも物語性を重視しているようで、面白い。主人公はきっとこんな人生を送ったんだろうという筆者の思いが、歴史書よりも、現実味と生活感にあふれている。

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    2019年02月02日
  • 私的生活

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    少しずつ少しずつ人は変わっていくのだなとおもった。ある日突然自分が変化していたことに気付き、今まで自分が収まっていた場所にはまらなくなってしまう。そうなったら環境を変えるか自分を変えるしかない。

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    2018年04月18日
  • 鏡をみてはいけません

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    ネタバレ

    実際律のような男はダメだと思いましたよ…

    「他人やない!」
    「(大事なことを言ってこなかったくせに)知った風な口を!」

    と言い返しそう。そう、シミズならね!

    それにしても各食事の描写が秀逸で大変な飯テロ小説です。

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    2018年03月26日
  • 田辺聖子の今昔物語

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    田辺聖子 「 今昔物語 」 軽妙なエロ話で読み手を引き込みながら、仏教的なテーマを盛り込んでいる。短編なので飽きない。因果応報の皮肉さ、会う者は必ず別れる哀しさ、普遍的な面白さを感じる。最後のストーリーテラーの終わらせ方も上手い。岡田嘉夫 の女性の表紙挿絵も見事

    「葦刈」人の世には人の力で及ばぬ運命というものがある。でもそれに敗けてうちひしがれ、心のうるおいを忘れてしまうのは 人間らしくありません

    「赤子を食う鬼」鬼は 世間の心ない悪口のこと〜鬼は 人の世なら どこでもいる〜性根を据えて決心すれば、鬼に食われることはない

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    2018年01月27日
  • 苺をつぶしながら

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    いかにもなハッピーエンドではないのがよい。このあとはどうなるんだろうと気になる。今後について、いくつかの予感をさせる終わり方もよい。私も同じ35歳。主人公とだいぶ違う人生を生きてるけど、こんな自由になることを実現させたい‼︎

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    2018年01月14日