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多くの恋をし、恋心の煩悩と呪縛に苦しむ源氏は、最愛の女人・紫の上を失って、初めて愛の意味を知る。悲しみに閉ざされたままの源氏は、出家を決意する。下巻には、「花散りし梅が枝に残る匂いの巻」より「夢にも通えまぼろしの面影の巻」までを収める。遠く平安時代も、今も全く変らない恋愛心理、愛の物語「源氏物語」を、新しい現代の言葉で描いた『新源氏物語』本編、堂々完結。
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Posted by ブクログ
光源氏の晩年の心理が細やかに描写され読み応えがあった。上巻序盤のエロ小説感は全く感じない。1000年読み継がれてきた理由がよくわかった。
桜の花が「可憐から豪華へ、そして、散って行く」ような最終章。 桜が散り際に、少し凶々しくなる事があるように、 女三ノ宮が陰を落とす。 紫の上の心理描写は秀逸。 これで、紫の上は、 世界で最も美しいヒロインの一人にして、 誰からも好感を持たれるという地位を確立した気がする。
源氏が崩壊していく巻。 柏木と夕霧も恋に惑って憂き目を見る。 そして女三宮の降家・・・これが決定打。 紫の上を深い悲しみに突き落とした。 いい歳になっても女性への興味が失せない源氏と、 出家を望む紫の上。 二人のすれ違いが悲しかった。 紫の上の人柄のよさを源氏が讃えるのも束の間。 彼女は病に臥し...続きを読むてしまう。 それからの痛々しいまでの源氏の献身的な看病ぶり。 かつてのキザなプライドはどこにいってしまったのかと思うほど。 どうして人は、失って初めて、愛の深さ重さに気づくのか・・・ 読み終わって、しばし茫然とした。 長編を読み終わったというより、一人の長い人生を見届けたという感じ。 なんと華麗な人生であったことか。しかし山は高いほど、谷も深い。晩年の源氏は幸福だったとは言えまい。 単なる恋愛小説に終わらない、人生の重さと儚さを教えてくれる。 改めてこの作品のすごさを感じた。 源氏物語の国に生まれてよかった、というのが感想。
上・中・下と読みました。名前がやっぱり難しいところはあるけど、それでも面白い。 昔のあの階級の女性は大変だったなーとも思う。選ぶ権利が、今ほどない。…でも今だって、視点を変えれば昔よりないかもしれない。 ストーリーとしては、悲しい話だと思った。そういう悲しい部分があるから、光の君はさらに素敵に映...続きを読むるのかもしれないけど。
平穏が続くかと思われた源氏と紫の上の間に波風が起こる――女三宮の登場により紫の上の「源氏の妻」としてのプライドが揺れそして次第に弱り果てていき、源氏は過去、藤壺と犯した過ちを柏木と女三宮に突きつけられる。華やかな時代は去り、先細っていく二人の物語は今、終わりを告げる……ってこんな具合でよろしいでしょ...続きを読むうか。私は若菜からの源氏が好きだ。紫の上は悩む、源氏も自らの罪に対する罰を目の当たりにする、そして人生の儚さを知っていく……ちょっとかっこ良い言い方するなら近代小説っぽいからね。夕霧の落葉の宮とのエピソードも面白い。落葉の宮が実際かわいそうなんだけど。夕霧め……夕霧が帖の名前になってるからって、お前メインだと思うなよ!と思ってたら本当にメインだった。源氏が空気。しかしやはり、ここまで読むと、あーいろいろうだうだうだうだどうせ嘘なんだろな理屈並べてはいるけどやっぱり源氏が本当に愛したのは(たとえそれが、藤壺の形代でも)紫の上なんだなと。もし本当に藤壺を愛していたなら、彼は藤壺と一緒に死ぬなり世を捨てるなりしていたはずだし。……源氏にはそこまで詳しくないしいろいろ言えないんだけど、私が思ったのはそんな感じです。
きました・・・いよいよ最終章。 源氏は若き日に重大な過ちを犯す。 父親である桐壺帝の後妻(源氏の義母)藤壺を慕うあまり父に隠れて密通をし、藤壺は源氏の子を身篭ってしまうんです。 帝はその事を知ってか知らずか、冷泉帝に皇位を継がせる。 臣下に落ちた源氏の子供を・・・。 この下巻では、源氏が若い頃犯し...続きを読むた過ちが、因果応報の報いとなって源氏自身に降りかかってきます。 どんなふうにかと説明したいんですが、これ以上書くと、浜村ジュンになってしまいそうなので詳しい内容は書籍でそうぞ♪ 読み出すとやめられない・とまらない。ハラハラドキドキ新源氏物語の世界に酔いしれて下さい。
下巻で、悲劇だと思ったのが、柏木。彼は真面目で、一途な人だっただけに思いつめてあんなことになってしまった。現代でもああいうことってあるよね。あいのり見てても、一目ぼれしちゃった女の子がいくらつれなくても、それで体調崩しちゃっても思い続けてる男の子っているもん。ただ、柏木の場合は相手が非常に非常にまず...続きを読むかったね。源氏もちょっと大人気なかった。でも私は柏木ファンだ!
日本人なら一度は触れておきたいと思う源氏物語 田辺訳は初心者向けだとは思うけれど、それでも一通りのお話がわかって満足 徳川美術館の源氏物語絵巻展に行くための事前勉強のつもりで読みました。
田辺源氏、再読です。 実は今、橋本治の窯変源氏を読み途中なのですが、解釈が独特過ぎて(!)原作が気になったのだけれどもちろん原文は読めないので、私の中で一番わかりやすいイメージの田辺源氏を読んでみることにしたのです。 窯変源氏で引っかかったのは、若菜上下と柏木の帖。 田辺源氏では、柏木は普通...続きを読むに恋してました。女三宮もそれなりに。 彼女が死に間際の柏木に宛てた返歌、 立ち添ひて 消えやしなまし憂きことを 思ひ乱れる煙くらべに についての解釈はしみじみと嬉しい、とあったので意外でした。 窯変源氏では、女三宮が書いた時点では投げ遣りな歌でしかなかったのに、柏木の病床で読むと慕いあう者同士の相聞歌にきこえ、柏木は感動してたんですよね。深読みすぎる解釈かなと。 ちなみに円地源氏では柏木の気持ちには触れられておらず、寂聴の女人源氏でも、女三宮の語り口なので特に書かれてませんでした。 そして、虚しい返歌に失望し自嘲するという印象的な解釈はあさきゆめみしにありました。 やっぱり源氏って面白い。訳者によってこんなに雰囲気が変わるとは。 なんだか田辺源氏の感想じゃなくなってしまった…
下巻は、「梅枝」から源氏の死までの巻が収められています。 源氏が女三の宮を引き取る頃から、紫の上がしだいに仏道への思いを強くしていく心境の変化がやや辿りづらいようにも感じましたが、これは現代的な文章にそぐわないテーマであるせいかもしれません。
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