田辺聖子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
乃里子、35歳。
財閥の御曹司剛との生活に終止符を打ち、イラストや画の仕事で玉木乃里子という名前もそこそこ知られるようになり、一人暮らしを楽しんでいる。
画描きの男友達4,5人と、洋装店を経営する女友達、ピアノ講師をする一回り上の先輩などに囲まれて、ほんの二、三年前の結婚生活が人生の刑務所だったなんて言いたい放題。
出所祝いと称して仲間たちとバーで飲み、軽井沢への旅行も楽しみ、少しづつ本来の自分を取り戻していく乃里子だったけれど、終盤女性友だちに悲しい出来事が起こります。
一人暮らしの楽しさの裏にある、孤独という恐怖。
それを救ってくれたのは…。
なんかなんかすごくいい話じゃない。
懐に -
Posted by ブクログ
東神戸にある海の見える豪華なマンションで、剛と一緒に暮らしている乃里子、33歳。
一緒に住むことをあれほど拒否していたのに、剛に素敵なマンションを見せられたとたん、「結婚する!」と叫んでしまったのである。
乃里子は今の生活を金持ちごっこと呼んでいて、剛の親族が集まるパーティーにも馴染めないし、剛も乃里子のデザイナーという仕事に関心がなく、何の興味も示さない。
剛との生活は贅沢だけど、本当の自分はどこにあるのかしら。
たまに起こる剛の不機嫌が怖くて、仕方なく「はい」と言ってしまったり、夫婦って、お芝居っ気がないと上手くやっていけないのかしら。
剛には剛の言い分があるし、いちいち逆らっていては -
Posted by ブクログ
主人公は、フリーのデザイナー兼画家として活躍し、自由気ままな一人暮らしをしている乃里子31歳。
乃里子は金持ちの色男中谷剛や渋い中年男水野など、いい男たちには言い寄られるけれど、大本命の五郎にだけは言い寄られず、乃里子自身も五郎には言い寄れないまま、五郎は友人の美々と思わぬ方向へ…。
物語の舞台はもちろん関西で、大阪から六甲山や淡路島を飛び回り、関西弁ならではの威勢のいい言葉で女の本音をズバズバッと書いてあって、揺れ動く乙女を軽妙に、男女の間柄を赤裸々に、懐かしい昭和の時代(昭和49年頃)に圧倒されながら面白く読むことができました。
大好きな人と結婚することを夢見ていたはずなのに、世の中と -
Posted by ブクログ
ネタバレこの人は恋愛における細かい想いの変化を表すのが本当にうまい。
この人しか考えられないしどんなことでも愛せる、から、もう無理なんだろうな、となるところまでを一冊で書き切れるのがすごいと思った。
愛しいと思っていたことが全部だるくなるのも。
田辺聖子の本の中でいちばん好きな作品かもしれない。
あと、この男が結構亭主関白というか束縛系というか前時代的だった。まあ、ちょっと昔の本だからな。
「好きやったわ。とても、たのしかったし。何もかも好きでたまらないくらい。たのしかったわ、三年間
どうしてこんなことになったのか、わからないけど。もう前みたいにできない」
「ここにいてくれ。乃里ちゃんの -
Posted by ブクログ
メディア化のイメージがあったから割と最近の作品かと思っていたが、読んでいて違和感。なんと同級生。キッチンとかそんなん。文体や描写が似ている感じ。
お茶が熱くてのめません
強い女性と残念な男性、という構図。強いんだけど、強さの中にコロッといきそうな柔らかさ、弱さ?もあるもんだなぁと男性として夢見てみる。
うすうす知ってた
夢見る少女、拗らせ、ピーターパン、魔法使い。妹の婚約者に、直接じゃないが上気するって言うのがおもしろい。このシチュエーションで、嫉妬ではない感情が先に立つというのが、好意的な意味でわかるようなわからないような。自分のようなコンプレックスや自尊心ではなかなか。気持ちが昂って奇