田辺聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
55年前の新聞連載だそうだがこれぞ元祖推し活。
古典が好きで好きすぎる古典推しの著者が「わたしとしては、同じき愛好の人々をたくさん作って、あの作品が好き、あの人物を愛するとかたみに言いあいたいのです。人生を生きるのに、愛するもの、好きなことを一つでも多く増やすのは、たいへん、楽しい重要なことですから…(P294 )」と、少女のような心で古今東西、自分の好きな作品好きなタイプの男女についてキラキラした文章を連ねていて、読んでいてとても楽しい。
長谷川青澄氏の挿絵、紅梅と錦の表紙絵も美しい。
古文を学んでいる中高生女子がこれを読んだら勉強も少し楽しくなるかも。
昭憲皇太后が好きすぎてこれでもかこ -
Posted by ブクログ
ネタバレ50年前の作品で時代は感じるけれど、時代が違っても感情は色褪せないのものですね。
脳みそぶち抜かれた。乃里子と一緒にハラハラドキドキして、一緒に失恋して絶望感に打ちひしがれてる。
小説に飲み込まれた気分、田辺聖子すごい。
乃里子、言い寄れなかったんじゃなくて、言い寄らせてもらえなかったよね。だってわりと直接的に迫ってたよね。五郎はのらりくらりと交わしている印象。そして美々には2回目で迫っていたと知ったときの絶望感たるや…ずっと感じつつ見ないふりしてたものの答え合わせされちゃって、読んでいて本当にショック受けたよ。田辺聖子すごい。
でも乃里子は強い子、ちゃんと現実認めて前向いてる。剛は、うーん -
Posted by ブクログ
乃里子、35歳。
財閥の御曹司剛との生活に終止符を打ち、イラストや画の仕事で玉木乃里子という名前もそこそこ知られるようになり、一人暮らしを楽しんでいる。
画描きの男友達4,5人と、洋装店を経営する女友達、ピアノ講師をする一回り上の先輩などに囲まれて、ほんの二、三年前の結婚生活が人生の刑務所だったなんて言いたい放題。
出所祝いと称して仲間たちとバーで飲み、軽井沢への旅行も楽しみ、少しづつ本来の自分を取り戻していく乃里子だったけれど、終盤女性友だちに悲しい出来事が起こります。
一人暮らしの楽しさの裏にある、孤独という恐怖。
それを救ってくれたのは…。
なんかなんかすごくいい話じゃない。
懐に -
Posted by ブクログ
東神戸にある海の見える豪華なマンションで、剛と一緒に暮らしている乃里子、33歳。
一緒に住むことをあれほど拒否していたのに、剛に素敵なマンションを見せられたとたん、「結婚する!」と叫んでしまったのである。
乃里子は今の生活を金持ちごっこと呼んでいて、剛の親族が集まるパーティーにも馴染めないし、剛も乃里子のデザイナーという仕事に関心がなく、何の興味も示さない。
剛との生活は贅沢だけど、本当の自分はどこにあるのかしら。
たまに起こる剛の不機嫌が怖くて、仕方なく「はい」と言ってしまったり、夫婦って、お芝居っ気がないと上手くやっていけないのかしら。
剛には剛の言い分があるし、いちいち逆らっていては -
Posted by ブクログ
主人公は、フリーのデザイナー兼画家として活躍し、自由気ままな一人暮らしをしている乃里子31歳。
乃里子は金持ちの色男中谷剛や渋い中年男水野など、いい男たちには言い寄られるけれど、大本命の五郎にだけは言い寄られず、乃里子自身も五郎には言い寄れないまま、五郎は友人の美々と思わぬ方向へ…。
物語の舞台はもちろん関西で、大阪から六甲山や淡路島を飛び回り、関西弁ならではの威勢のいい言葉で女の本音をズバズバッと書いてあって、揺れ動く乙女を軽妙に、男女の間柄を赤裸々に、懐かしい昭和の時代(昭和49年頃)に圧倒されながら面白く読むことができました。
大好きな人と結婚することを夢見ていたはずなのに、世の中と