田辺聖子のレビュー一覧
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だましだまし上手くやってきたつもりなのに、許せていたことが許せなくなって、笑い声よりも沈黙で息が苦しくなっていく。季節の移ろいを自分だけが感じているような、静かな物語だった。
夫の機嫌を取り、食事の支度をし、夫を立てるように親戚付き合いをし、プライベートを詮索される。そんな生活を続けた乃里子は、「私」ではなく「夫の一部」となってしまった自分に気づく。男性から見たら「結婚したならば当たり前だ」と思うのかもしれない。けれど、結婚によって妻が強いられるあれこれは本当に当たり前なのだろうか。このシーンを読んだとき、「あなたは?」と自身にも問いかけられているようでぞっとした。私は? 私は結婚前と変わら -
購入済み
なつかしい
なんだか、懐かしさが込み上げてきた。
昭和、平成のころは、今と大分違っているなと感慨深い。芋たこなんきんを見てから読んだので、ドラマの登場人物を思い浮かべたりしながら、今ではおっちゃんのそばに行った聖子先生を思った。
源氏物語の講演を聞きたかったな、なども思った。 -
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樋口一葉、与謝野晶子、杉田久女、吉屋信子、そして林芙美子、五人の女性文学者の作品や生涯を書いた作品。男尊女卑の時代に困難にぶつかり挫折を味わいながらも、最後まで諦めなかった彼女たちの強さに感服しました。
久女の師・高岡虚子への行き過ぎた尊敬の念から執着していく様を狂気の一言で片付けてしまわず、「恨み、拗ね、甘えといった女性の陥りやすい弊害と印象を受けました。だれも自分を理解してくれない。虚子先生だけが私を理解してくださる。私を愛して、私を認めて、私を理解してという叫びだったのではないでしょうか。」と述べられたりしているのに、著者の優しさや愛情を持って描かれているのがわかります。
名前や作品名な -
Posted by ブクログ
ふとした時に目を通したい本
家に置いておきたいから買おうかな
どうしてこんなに深い言葉を考えつくのだろう
心にずしっとささるフレーズが多々あった
人間は、自分がしてもらうだけでなしに、相手にしてあげる面白さ、喜びをおぼえた方が、愉快である。
いい友達を持ってる、いうのが、人間のいちばんのお手柄や、思うわ。
食べちゃいたいような、というコトバがあるけど、ほんとにバラの花を見てるとむしゃむしゃと食べたくなります。バラのつぼみを、お酒のおつまみにしたくなります。
もしかして、自分より、この人の方が大切、と思ったとき。それが、ほんとに人を愛したときかもしれない、と私は思ったりする。
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2019年の6月6日に亡くなった田辺聖子さんのご遺族が、遺品を整理している時に発見したという、聖子さんの昭和20年4月1日から、昭和22年3月4日までの日記。
樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大学)在学中の満十七歳から、卒業までである。
学徒動員で工場にて飛行機の部品を作り、大阪大空襲では家を焼かれた。
終戦の年には父を病で亡くしている。
激動の青春時代だった。
勉学への熱情と、国に尽くしたい気持ちの間で揺れ、戦争の中で青春が費やされていくことに焦燥し。
かなりの軍国少女でもあった。
勇ましいことも書かれており、終戦の日には悲憤慷慨している。
価値観が180度、変わってしまった瞬間だった