田辺聖子のレビュー一覧
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『おちくぼ姫』ってどんなお姫様だろうと
タイトルに惹かれて読んでみた。
購入したあとに気付いたのだけど『落窪物語』
という千年も昔の小説で『枕草子』や『源氏物語』と同じ平安文学。
平安文学というと難しくてちょっと敷居が高い感じがするのだけど、本書はそんな事全然ないんです。むしろ読みやすくて面白味のある物語です。
それもそのはず、著者が親しみやすいように現代風に訳し一番美味しくてジューシーなところを凝縮しているからテンポも文体もとっても良い。
簡単に言うと意地悪な継母のいじめから、
おちくぼ姫が幸せを勝ち取るという日本版シンデレラストーリー仕立て。
この継母「北の方」のおちくぼ姫に対する仕打 -
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有名だったけど、今まで手に取ってこなかった本です。当時書かれた時の価値観に照らし合わせると相当時代を先取った考え方だったのではと思います。(多分)
昨今だと結婚しなくてお一人で生きていく女性、みたいなのは多々ありますが、この主人公はそうでもあるけど、そうじゃないです。結婚したくらい好きな男性は暴力的なので、一緒に暮らすのは無理ですぐに離婚。でも1人は寂しかったり焦っていたということは結婚を通して自覚した。だから、程よい距離感で元夫とも付き合う。
1人で生きれない、ということを自覚しているのが共感しました。相手は誰でもいいわけでもない、その絶妙な感覚を感想にするための文字に起こせないですが1人 -
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ネタバレ田辺聖子の作品はいつか読むぞ〜と思っていたけど、エッセイ集からでもいいのかな?どうなんだろう?と思いつつ、冒頭の文章がすんなり入ってきて心地よかったのでそのまま読んでみることにした。
全部読み終えての感想は、わたしは今まで日本の古典を軽視しすぎていた…ということだった。
まず、著者が古典の作者や登場人物を、同じ生きた人間として親しみを持って接していることが新鮮だった。わたしにとっての古典は教科書のもの、そして読みづらい文章が大きな壁となって、共感するまで辿りつくことができなかった。あとは日本語の美しさ!日本語そのものの奥行きの深さに目がいき、日本語に対する興味がぐっと出てきた。こんなことは初め -
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「欲しがりません 勝つまでは」
このスローガンのもとに国や軍部から何もかも我慢させられた戦時下の銃後の女性や子供達。
13才の夢見がちな文学少女が、なぜ軍国少女になっていったのか。
田辺聖子さんが13~17才、女学校時代の戦争体験を綴った自伝小説。
戦争の話だけど明るいタッチで描かれ、戦局が悪くなるまでは戦時中でも女学校の友達と小説や回覧雑誌を書いたりと青春を楽しむ姿がリアルに描かれています。
その時々の読んだ本や作家に感化されて12作の小説を書いているのと、そのジャンルも冒険ものやスパイ、海賊、海外を舞台にしたものなど多岐にわたりスケールの大きさとクオリティの高さには驚かされた。
本書でも -
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ネタバレ田辺聖子の恋愛小説、読んでると胸がキュンキュン、温かい方向と悲しい方向でするから、感情がジェットコースターなんだって…!わかるうううってなって大体ハア…ってなって、こちらもちびちびとしか読み進められませんでした笑。
どれも好きだった(し悲しくなった)けど、やっぱり選ぶなら「ひなげしの家」かなあ。中年に入って、妻帯者のまま、別の女性(主人公の叔母)と暮らし始め、その二人に社会規範を押し付けず、ただ自分が受け取るままに「いいなあ」と思い、恋愛相手に阿ったりしている主人公ちゃんが等身大で好きだった。そうして最後、「心配しないで。あたしもあとからすぐいくわよ。二人一しょよ。怖がらないで」と言った叔母 -
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ラブロマンスになりきれない男と女の短編集。
田辺さん作品ならではの、さらりと読みやすい大阪弁の文章が心地よい。以前読んだ乃里子三部作にも出てきた、妙ちくりんだけどやさしくて憎めない男たちが今作も盛りだくさん。寄りかかるのは良いけれど依存するのはまっぴらごめん、と地に足つけてどこへでも行ける女たちの生き様が、自分の価値観にぴたっとはまって清々しい気分になる。特に、表題作の『ジョゼと虎と魚たち』と『荷造りはもうすませて』が好きで、後者の「不機嫌というのはひとつきりしかない椅子で、片方が先に座ったらもう片方は立っておかなきゃいけない椅子とり遊びなのよ」という考えは、常に心に留めていたいと思った。 -
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ネタバレ田辺聖子さんの作品を読むのはめちゃくちゃ久しぶり。
高校生の時、古典対策(飽くまで試験用)に源氏物語の現代語訳を読んで以来。
そして今回のこの作品、初出は1979年だそう。でも古さを感じさせない!というか舞台が古いしね。
なお田辺聖子さんは2019年に91歳で逝去されました。
・・・
本作、一言で言うと、裏表紙側の帯にある通り、『和製シンデレラ・ストーリー』。
天皇の血筋なのに、母親に早くに死なれ、父親の連れ子として継母にきつく当たられる「おちくぼ姫」。唯一の味方は乳きょうだい(乳母の子ども)で、その子も身分は高くないため継母のおちくぼ姫への攻撃をかばいきれない。
その中で、ふとした -
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ネタバレもう、自分勝手な振る舞いをする男どもの、自分勝手な言い分を読んでは怒髪天。
例えば女三の宮に対する源氏の冷淡な態度も、彼に言わせれば、幼稚で面白みのない女だから興ざめだ、と。
「そこをなんとか、教え導いてやってくれ」と朱雀院に頼まれたのに、ほったらかし。
だけど女三の宮が離れていこうとすると、引きとめる。
柏木の女三の宮に対する態度はもっとひどい。
無理やり押し入って思いを遂げたくせに、「わたしをそうさせたあなたが悪いのです」と人のせいにする。
結局二人の自己中に振り回された彼女は、若い身空で出家をせざるを得なくなる。
脳内で、大和和紀の描いた美しい顔で、ゲスなことをやってのける。
でも -
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ネタバレしみじみと、平安の世に生まれなくてよかったと思う。
ルッキズムの最たる時代なので、どんなに性格が良くて才能があっても、花散里のような女性を最後まで大事にするのは源氏くらいだ、と言われるし、美貌に恵まれ後ろ盾が盤石であろうとも、玉鬘のように自分の意志に反した人生を強要される。
それがまた、男どもは「あなたのため」を連発するんだからな。
「あなたのため」というのは呪いの言葉だと私は思っている。
今は意に反していても「あなたのため」を思っている私が選んだ未来に間違いはないのだから、「言うことを聞け」と。
しかし「あなたのため」は、言っている本人の「自分のため」のことばなのだ。
そして何かというと -
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乃里子三部作がすごく好きだったんだけど、それ以降何を読んだらいいかわからなかった田辺聖子作品、島本理生セレクトなんて絶対面白いじゃん!と読んでみた。
軽快でご機嫌な関西弁がどの作品も心地いい。
あと登場人物がいい意味でふてぶてしく、六十過ぎてからこそ人間はまともになるとうそぶいて、「精神力」で若々しさを維持し、さっぱりした恋をしていたりして、頼もしい。わたしなんてまだまだ!と背筋を伸ばす気になる。
エッセイで「このニッポンにあるのは、男と女のオトナの世界ではなく、お袋と息子の親子の世界がすべての心情を支配している。」「男と女が対立し、いがみ合い、仲直りし、理解し合うという、オトナの基盤がない