田辺聖子のレビュー一覧

  • 薔薇の雨

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    その時代の風潮、というのがあるけれど、いつの時代もその空気に馴染まない人はいたのだろう。過去の時代に想いを馳せつつ、交わすおしゃべりの粋なこと。それもこの男女の絶妙な距離感だから、おしゃべりが楽しいのもよく分かる。歳を重ねたからこそ、味わい深い短編集。

    「良妻の害について」は本当に清々しくて爽快な気分になる。田辺さんの書く女性たちはいつも、前を向いていてかっこいい。生きる時代が違っても、見習いたいメンタリティなのだ。

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    2026年01月22日
  • おちくぼ姫

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    初めて古典を面白いと思ったのが「落窪物語」でした。
    きっかけはある大学入試の過去問に「落窪物語」の一部が使われていて、その解説を読んでいるとすっかりストーリーに惹かれ、結末まで知りたくなってしまいました。
    古典では男性が好きな女性を何人も妻にすることから女性の嫉妬や悲しみが書かれることが多いですが、おちくぼ姫はたった一人の大事な女性として少将から愛情を受けます。
    ずっと昔の日本版シンデレラ、古典が苦手な人にこそおすすめです。

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    2026年01月19日
  • 欲しがりません勝つまでは

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    昭和20年6月1日、田辺聖子の写真館の実家は空襲により全焼した。母親は手近にあった聖子の鞄だけを外に放り投げた。その中に13歳から16歳まで書き綴った小説の殆どが入っていた。

    3年前の夏、私は新発見の『田辺聖子18歳の日の記録』を読んだ。20年4月1日から年末までの日記である。そこには、文学少女として才気煥発ではありながら、軍国少女として激烈な、一億玉砕を信じて疑わない18歳がいた。

    本書は、そんな日記が公になる遥か前に、当時の少女がどの様に戦中を生きたのかを、当時の田辺聖子視点で書き綴った小説である。

    私は日記の彼女しか知らなかったから、小説で再現された彼女を読んで驚いた。本名で登場し

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    2025年12月23日
  • 孤独な夜のココア

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    田辺聖子さんの書く女性やっぱり好きだなぁ、地に足ついてるというか、自分の信念に基づいて男性を可愛がってる感じがする。変に甘えたりすがったりするんじゃなくて、楽しい関係の鮮度を保つために最善の言動をしていくんだよ、賢くて恋愛上手だなぁなんて思う。彼女たちが男性に興味を失う瞬間も、あっさりしてて共感できる。男性から口説かれても、照れ隠しなのか気性なのか絶妙に可愛らしくひょいひょいかわしてる姿とか、他人から評価じゃなく自分の目と心で恋愛してる感じとか、すごく魅力的なの、文体も好き、関西弁がかっこよく、可愛く思える

    「アイツと暮らしているあいだ、苦労したとは思えなかったのだ。私は幸福だったのだ。世俗

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    2025年12月13日
  • おちくぼ姫

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    再読。
    レポートで落窪物語を書かないといけないので、ざっとした流れを掴みたくて本棚から取り出しました

    道頼も阿漕も好きすぎて…… 姫、ずっとかわいいし 帯刀も阿漕の尻に敷かれててかわいい
    姫、自分のことにはネガティブだけど、人の悪口言わないし北の方のことも許してあげるし、優しい

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    2025年12月12日
  • 新源氏物語(下)

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    日本人なら一度は触れておきたいと思う源氏物語
    田辺訳は初心者向けだとは思うけれど、それでも一通りのお話がわかって満足
    徳川美術館の源氏物語絵巻展に行くための事前勉強のつもりで読みました。

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    2025年11月30日
  • 孤独な夜のココア

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    タイトルに惹かれて読んだけど、表題作はなかった!けど、どれも調度良い分量で書かれていて、余韻も良かった。綿矢りさが解説!
    「春つげ鳥」「エープリルフール」「ひげなしの家」「中京区・押山路上ル」が特に好き!

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    2025年11月12日
  • 新源氏物語(上)

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    源氏物語絵巻のご開帳を前に、10数年ぶりにあらためて読み直したが、大変読みやすい。
    源氏の君も壮年になり、政治手腕を発揮できるようになり、ますます面白くなってきた。

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    2025年11月03日
  • 苺をつぶしながら

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    剛と離婚後、一人暮らしを楽しむ乃里子に共感して読んでいただけに、孤独の恐怖がうらおもてであることを突かれて、わたしも一緒に落ち込んでしまった。けれど、乃里子は前を向く。恋愛関係でない剛との関係がとても好ましくて……すべては心のありようなんだ。

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    2025年10月14日
  • 私的生活

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    結婚して三年。独身のときのようにあちこちで恋はうまれないし、昔の男と再会しても心の動きはあの頃のようにはいかない。決定的な何かがあるわけではないが、ただ日常のなかで変化していくものがある。「だましだまし」の行く末を見届けて、ああ……と項垂れてしまった。

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    2025年10月05日
  • ジョゼと虎と魚たち

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    すきだわ〜
    中学生の時に読んで25歳の今再読。まじで味わいが違う。記憶も違う。
    なんかしみじみしたなー

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    2025年10月03日
  • おちくぼ姫

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    『おちくぼ姫』ってどんなお姫様だろうと
    タイトルに惹かれて読んでみた。
    購入したあとに気付いたのだけど『落窪物語』
    という千年も昔の小説で『枕草子』や『源氏物語』と同じ平安文学。
    平安文学というと難しくてちょっと敷居が高い感じがするのだけど、本書はそんな事全然ないんです。むしろ読みやすくて面白味のある物語です。
    それもそのはず、著者が親しみやすいように現代風に訳し一番美味しくてジューシーなところを凝縮しているからテンポも文体もとっても良い。

     簡単に言うと意地悪な継母のいじめから、
    おちくぼ姫が幸せを勝ち取るという日本版シンデレラストーリー仕立て。
    この継母「北の方」のおちくぼ姫に対する仕打

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    2025年09月15日
  • 苺をつぶしながら

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    有名だったけど、今まで手に取ってこなかった本です。当時書かれた時の価値観に照らし合わせると相当時代を先取った考え方だったのではと思います。(多分)
    昨今だと結婚しなくてお一人で生きていく女性、みたいなのは多々ありますが、この主人公はそうでもあるけど、そうじゃないです。結婚したくらい好きな男性は暴力的なので、一緒に暮らすのは無理ですぐに離婚。でも1人は寂しかったり焦っていたということは結婚を通して自覚した。だから、程よい距離感で元夫とも付き合う。

    1人で生きれない、ということを自覚しているのが共感しました。相手は誰でもいいわけでもない、その絶妙な感覚を感想にするための文字に起こせないですが1人

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    2025年09月07日
  • ジョゼと虎と魚たち

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    【なぜ読もうと思ったのか】
    朝活で、SNSのフォロワーさんが「不機嫌の椅子と言うワードが気になり、ネット検索してヒットした本

    【何を学んだのか】
    1あまり心に響かなかった
    2幸せって目の前にあるもの。
    3わがままと不機嫌は別なものなのかも?

    【いつまでに何をするのか】
    いつも機嫌よくいたい
    目の前にある今を大切にしたい

    【最も印象に残った一文】
    完全無欠な幸せは、死そのもの

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    2025年08月23日
  • 文車日記―私の古典散歩―

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    ネタバレ

    田辺聖子の作品はいつか読むぞ〜と思っていたけど、エッセイ集からでもいいのかな?どうなんだろう?と思いつつ、冒頭の文章がすんなり入ってきて心地よかったのでそのまま読んでみることにした。
    全部読み終えての感想は、わたしは今まで日本の古典を軽視しすぎていた…ということだった。
    まず、著者が古典の作者や登場人物を、同じ生きた人間として親しみを持って接していることが新鮮だった。わたしにとっての古典は教科書のもの、そして読みづらい文章が大きな壁となって、共感するまで辿りつくことができなかった。あとは日本語の美しさ!日本語そのものの奥行きの深さに目がいき、日本語に対する興味がぐっと出てきた。こんなことは初め

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    2025年08月19日
  • 欲しがりません勝つまでは

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    「欲しがりません 勝つまでは」
    このスローガンのもとに国や軍部から何もかも我慢させられた戦時下の銃後の女性や子供達。
    13才の夢見がちな文学少女が、なぜ軍国少女になっていったのか。
    田辺聖子さんが13~17才、女学校時代の戦争体験を綴った自伝小説。

    戦争の話だけど明るいタッチで描かれ、戦局が悪くなるまでは戦時中でも女学校の友達と小説や回覧雑誌を書いたりと青春を楽しむ姿がリアルに描かれています。
    その時々の読んだ本や作家に感化されて12作の小説を書いているのと、そのジャンルも冒険ものやスパイ、海賊、海外を舞台にしたものなど多岐にわたりスケールの大きさとクオリティの高さには驚かされた。
    本書でも

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    2025年08月16日
  • 孤独な夜のココア

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    ネタバレ

    田辺聖子の恋愛小説、読んでると胸がキュンキュン、温かい方向と悲しい方向でするから、感情がジェットコースターなんだって…!わかるうううってなって大体ハア…ってなって、こちらもちびちびとしか読み進められませんでした笑。

    どれも好きだった(し悲しくなった)けど、やっぱり選ぶなら「ひなげしの家」かなあ。中年に入って、妻帯者のまま、別の女性(主人公の叔母)と暮らし始め、その二人に社会規範を押し付けず、ただ自分が受け取るままに「いいなあ」と思い、恋愛相手に阿ったりしている主人公ちゃんが等身大で好きだった。そうして最後、「心配しないで。あたしもあとからすぐいくわよ。二人一しょよ。怖がらないで」と言った叔母

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    2025年08月04日
  • ジョゼと虎と魚たち

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    「一ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来たときに。怖うてもすがれるから。……そんな人が出来たら虎見たい、と思てた。もし出来へんかったら一生、ほんものの虎は見られへん。それでもしょうない、思うてたんや」

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    2025年07月23日
  • ジョゼと虎と魚たち

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    ラブロマンスになりきれない男と女の短編集。
    田辺さん作品ならではの、さらりと読みやすい大阪弁の文章が心地よい。以前読んだ乃里子三部作にも出てきた、妙ちくりんだけどやさしくて憎めない男たちが今作も盛りだくさん。寄りかかるのは良いけれど依存するのはまっぴらごめん、と地に足つけてどこへでも行ける女たちの生き様が、自分の価値観にぴたっとはまって清々しい気分になる。特に、表題作の『ジョゼと虎と魚たち』と『荷造りはもうすませて』が好きで、後者の「不機嫌というのはひとつきりしかない椅子で、片方が先に座ったらもう片方は立っておかなきゃいけない椅子とり遊びなのよ」という考えは、常に心に留めていたいと思った。

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    2025年07月05日
  • おちくぼ姫

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    ネタバレ

    田辺聖子さんの作品を読むのはめちゃくちゃ久しぶり。
    高校生の時、古典対策(飽くまで試験用)に源氏物語の現代語訳を読んで以来。

    そして今回のこの作品、初出は1979年だそう。でも古さを感じさせない!というか舞台が古いしね。

    なお田辺聖子さんは2019年に91歳で逝去されました。

    ・・・
    本作、一言で言うと、裏表紙側の帯にある通り、『和製シンデレラ・ストーリー』。

    天皇の血筋なのに、母親に早くに死なれ、父親の連れ子として継母にきつく当たられる「おちくぼ姫」。唯一の味方は乳きょうだい(乳母の子ども)で、その子も身分は高くないため継母のおちくぼ姫への攻撃をかばいきれない。

    その中で、ふとした

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    2025年06月27日