田辺聖子のレビュー一覧

  • 作家と犬

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    犬も猫も好きだけどちょっとだけ犬に軍配が上がるかつて犬と暮らしていた私ですので、どのエッセイも愉しく、胸に沁みました。

    好きな作家さんも多く、以前に読んだことがある文にまた出会えて嬉しい。

    このシリーズは他にも猫、珈琲、酒、おやつ…とまだまだあるようなので少しずつ読みたいな。

    以下好きなエッセイ覚え書き。(一部です)

    犬の生まれ変わりに違いないと熱烈に思っている押井守氏、ノラの犬猫を見かけたら放ってはおけない愛情深い米原万里氏、手塚治虫氏による犬が人間のそばにいる理由を描いた漫画、坂口安吾氏がわがまま檀一雄氏のために秋田犬を無心するお手紙、椎名誠氏の犬の系譜と怒りと悲しみの別れ、深沢七

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    2023年03月06日
  • 田辺聖子の古典まんだら(下)

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    平家物語から江戸の戯作と狂歌まで。学生の頃から苦手で、面白さも何もわからずにいい歳になってしまった。数年前、方丈記を読んで印象は変わったものの、そこまで。
    それが田辺聖子さんの文章では、全てが生き生きと見えてくる。平安時代の貴族文学とはまた違う、武士社会の荒々しさや雄々しき文章の良さに惹き込まれる。
    古典の入り口のこのシリーズを読んでいて、関西の人が関東の人を怖いと感じるのも納得。生粋の関東人である私も鎌倉時代に入った時点で、関東の人、荒々しくないか?と思ってしまった。そんな気分にさせてくれる、田辺聖子さんの世界。
    それにしても、古典に疎すぎるなぁ、と改めて反省。

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    2023年02月15日
  • 夕ごはんたべた?

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    尼崎の下町の開業医の三太郎。親には理解できない長女と学園闘争から道を踏み外した2人の息子。学園闘争後と現代では随分時代が変わっているが、三太郎は今の世でも通用するような諦観の持ち主。これといった事件は起きないが、勝手な子供達に振り回されながらも、夫婦ともに新たな心境に進んでいく様が面白い。

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    2023年02月13日
  • 田辺聖子の古典まんだら(上)

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    田辺聖子さんが好きです。源氏物語も田辺聖子さんの現代語訳で読みました。古典をあまりに読んでいないので、その最初の一歩として読みました。蜻蛉日記、とりかへばや物語は全く読んだことがないので、読んでみたいなぁ。枕草子は部分的にしか読んでいないので、あらためてきちんと読んでみたい。その他、出てきている古典文学はどれも古典と呼ばれるにふさわしい面白さ。古典文学で日本人を知ることも楽しそうです。

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    2023年02月08日
  • 苺をつぶしながら

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    家庭に入って子育てをするだけが女の幸福ではない!と、真っ向勝負している第三部。この小説が執筆された昭和五十六年の時流を考えると、本当に乃里子は「女の人生革命家」だったのではと思う。自分の人生を自分で選んでいく乃里子は格好良くて、最後はどんな道を選ぶのだろう?と、どきどきしながら見守った。前作『私的生活』ですっかり嫌いになっていたあの人も出てきて、その有様に思わずきゅんとしてしまった自分はかなりちょろい(笑)対して、乃里子の選択には惚れ惚れする。

    『言い寄る』から始まった「乃里子三部作」には、アラサー女性のすべてが詰まっていた。きまった男がいない自分に感じる欠乏感、結婚にともなう煩わしさと閉塞

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    2023年01月22日
  • 言い寄る

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    “世の中には二種類の人間がある。
    言い寄れる人と、言い寄れない人である。”

    他の男に言い寄られて身体を重ねても、たったひとり、本当に愛している男に言い寄れなければ心は満たされない。恋の甘さと苦さを描くバランスが絶妙で、胸がぐちゃぐちゃにかき乱されてしまった。

    男に身体を許すと心まで許した気になることも、本当に愛する男の前では狡い女になりたくないことも、田辺聖子さんには全て筒抜けであることがなんだかとても愉快だった。しょっぱい涙を舐め続けるぐらいなら、思い切って失敗してみて「くそが!」って地団駄踏みながら歩く方がよっぽど人生楽しく過ごせるのだろうな。失敗から始まる物語も、世の中にはたくさんあ

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    2023年01月15日
  • 姥ざかり(新潮文庫)

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    歌子さんの話す言葉が面白く、ペース良く読めました。歌子さんに実際に助言とお叱りを受けているような本です。

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    2023年01月05日
  • 人生は、だまし だまし

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    田辺聖子のエッセイ集。独特の、大阪のおばちゃんのアフォリズム、名言集である。
    苦労は忘れてしまえば苦労でなくなる。
    達観、というのは、心中、まあ、こんなトコやな、とつぶやくことである。
    人生を楽に、楽しく生きていく知恵が詰まっている。それにしても、大阪弁とは、なんとも味わい深いものであろうか。

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    2022年10月22日
  • 女は太もも エッセイベストセレクション 1

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    ・子供よりも男
    「しかしながら私は....
    ねむるほうが好き」
    嘘偽りない本心が書かれているこの文書がささった

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    2022年10月16日
  • 田辺聖子 十八歳の日の記録

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    第二次世界大戦の渦中の中での日記であり、どのように戦争が市民の中に存在し、一般の人がどんな思いをしていたのかの一面がとらえられる貴重な本だと思う。今でこそヒトラーの行動が正当化されることはないが、この当時は日本との同盟国であったドイツの君主として好意的な捉え方が読み取れ、かえって当時はどれだけの真実の情報を知ることができていたのだろうかと思った。この本を読んだことがきっかけで日本の近代史や、当時生きていた人の思いなどにも関心が深くなった。

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    2022年09月28日
  • 朝ごはんぬき?

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    昭和51年に出版された作品が、今でもこんなに楽しく読めるのって純粋にすごいなぁと。失恋をきっかけに有名作家のえりか先生のもとで住み込みで働くことになったマリ子を主人公に、えりか先生の家でのドタバタ劇が描かれている。"ハイ・ミス"って言葉は初めて知った。現代では絶対使えない言葉だな。最後はハッピーエンドだし、解説にもあるように「さ、また生きていこ」と前向きな心にさせてくれるような作品でした。

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    2022年09月15日
  • 九時まで待って

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    江國香織さんの解説がステキ。
    相手の男、「稀」という名前がステキだが本当に虚栄心の強いしょーもない男でイライラした。笑
    稀じゃない男からされるキスシーンがどちらもステキでした。

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    2022年09月13日
  • 田辺聖子 十八歳の日の記録

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    当時18歳の少女が書いたとは思えない、とんでもない文章力!
    クラスでも1番をめざし、小説家になるという情熱を感じることごできた。
    日記で、生き生きとした学校生活をえがいており、自分も聖子さんの学友でその場にいるかのように感じた。
    個性がある学友の描写も見事で、日記とは思えない。巻末にある、短編も当時書かれたとのことで、未完で気になるのもありました。

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    2022年09月07日
  • 人生は、だまし だまし

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    ネタバレ

     人間も金属疲労が出てからがホンモノ。金属疲労は劣化の結果だが、先が読めるという利点ももたらす。見逃す、聞き流す、知らぬふりという新手の生きかたの発見。(阿呆ではできない。w)田辺聖子(1928.3.27~2019.6.6、享年91)「人生は、だましだまし」、2003.3刊行、2005.3文庫。

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    2022年08月31日
  • 苺をつぶしながら

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    2022.09.06
    散髪にいって来ます
    女が同性に優越感をもつとき、自分が安定している、あるいは、一人の男に定着してる、という場合が多いのはなぜかしら。
    やさしい声が出せるから寝られるのだ。
    一人ぐらしの楽しさは、この孤独の恐怖と、うらおもてに貼り合わせられていたのだ。

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    2022年09月07日
  • 私の大阪八景

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    戦時中を生きた女学生の、日々のお話。

    主人公が女学生というところが良かった。大人と子どもの狭間期から見える戦争は悲惨さや暗さばかりではなく、そのような状況下にあっても純粋な明るさがあった。
    〈海軍さん〉への憧れから頭の中で巡らすアリエナイ妄想や、女学生ながらに宮本武蔵に染まる様子はいつの世のおんなのこも大体は通る道として共感できる部分であり、親近感が湧く。

    読んでいると戦時中の時事や単語がたくさん出て来るので、調べたりもした。それは当時を知る上で参考になり、戦時下の大阪の様子を垣間見ることができる良き一冊と思う。
    こまごまと出てくる地名を地図と照らし合わせ、主人公の足取りをたどることでより

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    2022年08月26日
  • 私的生活

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    2022.08.21
    予定終了。
    結婚してないけど、色々考えさせられる気がした。
    役者になって、今の人と結婚に持って行くこともできる。けどその気になれない。違うけどちょっと通ずる所を感じた。

    今役者になって耐えたら、死ぬ時にはよかったって思える人生になる可能性もあるもんね。

    叶姉妹の真珠のネックレスのパールを一粒ずつ捨てている時と同じ状況かも。

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    2022年08月21日
  • 田辺聖子 十八歳の日の記録

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    戦中日記読み比べ5作目、最終回。高見順、大佛次郎、吉沢久子、ケストナーの日記を順番に読んだ後に、こちらを読んでください。敗戦濃厚で「死」を意識する7月、原爆投下情報と実際の報道との落差に落胆する8月初め、そしてポツダム宣言受諾の知らせをいち早く知ってしまう彼らと全く知らない18歳の田辺聖子との落差、戦後のそれぞれの想いなどを、是非汲み取って頂けたら、と思います。


    田辺聖子。昭和20年4月。田辺聖子の日記は4月1日に始まっている。作家になろうとする才気煥発女史を文字通りに表現したら彼女になるような、18歳の女子学生だった。大阪駅近くの写真館が実家であり、そこから東、河内小阪駅前の樟蔭女専の寮

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    2022年08月16日
  • ジョゼと虎と魚たち(下)【電子特典付き】

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    ジョゼさんはなかなかトゲのある女だなぁ。
    車椅子っていう設定はよくあるけど、恒夫の身にまさかあんな事が起こるとは。。
    上下完結だからギュッと話が駆け足な感じは否めないが、後半は感動的なシーンも。思いがけずホロリときてしまった。
    大阪舞台なんだけど、大阪って近くに綺麗な海あったかな。和歌山らへんまで足伸ばして潜ってるのかなーとか関西を少し知ってる身としては色々現実寄りに考えてしまった。

    絵も綺麗だしサクサク読めるし、ハッピーエンドだし登場人物の心理的描写も繊細に描かれており読んで良かった。ということで星4です。

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    2022年08月12日
  • 孤独な夜のココア

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    読んだものは旧版。昭和48年発行の新潮文庫だが、表紙も解説も違う。解説は神津カンナ(!)解説は昭和っぽい(当たり前だ)が、田辺さんとの交流も書いてあり、おもしろい。
    最初の版の発行は昭和53年。
    さすがに古いし、昔の女性の甲斐甲斐しさが痛々しくもあるが、それを補って余りある、小説の面白さ。
    女性が不遇な時代にあって、ちゃんと背筋を伸ばした主人公たち。田辺さんの若い女性たちへの温かい視線がある。

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    2022年07月21日