田辺聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
お聖さんの文章はいつ読んでもいい。
この関西弁がたまらなく好き。
父方の祖母を書いた章が特に好きだった。
”この世にひととき舞い降り、やがて跡形もなく消えていった、春も淡雪もような庶民のひとりである”
お聖さんのお母さんにとっては姑でけっこうきつい人だったみたいだけど、孫のお聖さんには雨の日に「ちょっと待なはれ、ついていってあげる」とあわただしくたすきを外し、高下駄に履き替えて学校まで送ってくてた優しい一面もあったと。(荷物の多い日で足の悪いお聖さんを不憫に思ってそうしてくれたのであろうとある)
そしてお聖さんは人は点と点のつきあいでよいのだと。
自分にとっての「その人」でいい。他の人にはどう -
Posted by ブクログ
私は31歳。明田マリ子、独身。
女流作家の秋本えりか先生のところで住み込みで働いている。
前に勤めていた会社は、失恋が原因で辞めてしまった。
主人も高校生の娘もいる先生のお宅には、月末の締め切り日が近づくと、いろんなタイプの編集者がおしかけてきて、修羅場どころの騒ぎではないのです。
作家先生の家族、食事も三人バラバラの生活を間近で見ているマリ子の人間観察力が鋭く、関西弁の言い回しがとても面白くて、昭和51年に書かれた小説とは思えないほど、登場人物が生き生きと新鮮に感じられます。
別れたはずの元カレから突然電話がかかったり、近所でばったりでくわしたり、揺れ動くマリ子の気持ちが妙に的を得ていて、 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれからの生活の見え方が若干変わるような気がする、そんな素敵な教えにたくさん出会えた。読むたびに心に残る言葉が変わりそうで、また読み返したいな。
▼一部抜粋
【私は人生を楽しむために生きるのだ、と思っている。そして私の場合、楽しむことは人を愛すること、人に愛されること、にほかならぬのである】
↑ほんの数日前にふと、人に愛を与えられるような仕事が理想だなーとか思ってたから、勝手にビビっときた。
【人間は、自分がしてもらうだけでなしに、相手にしてあげる面白さ、喜びを覚えたほうが愉快である】
【自分の心の中から湧き出てくる興味や好奇心が、おのずと自分をつきうごかす、そういう「ひとりあそび」