田辺聖子のレビュー一覧
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昭和20年6月1日、田辺聖子の写真館の実家は空襲により全焼した。母親は手近にあった聖子の鞄だけを外に放り投げた。その中に13歳から16歳まで書き綴った小説の殆どが入っていた。
3年前の夏、私は新発見の『田辺聖子18歳の日の記録』を読んだ。20年4月1日から年末までの日記である。そこには、文学少女として才気煥発ではありながら、軍国少女として激烈な、一億玉砕を信じて疑わない18歳がいた。
本書は、そんな日記が公になる遥か前に、当時の少女がどの様に戦中を生きたのかを、当時の田辺聖子視点で書き綴った小説である。
私は日記の彼女しか知らなかったから、小説で再現された彼女を読んで驚いた。本名で登場し -
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田辺聖子さんの書く女性やっぱり好きだなぁ、地に足ついてるというか、自分の信念に基づいて男性を可愛がってる感じがする。変に甘えたりすがったりするんじゃなくて、楽しい関係の鮮度を保つために最善の言動をしていくんだよ、賢くて恋愛上手だなぁなんて思う。彼女たちが男性に興味を失う瞬間も、あっさりしてて共感できる。男性から口説かれても、照れ隠しなのか気性なのか絶妙に可愛らしくひょいひょいかわしてる姿とか、他人から評価じゃなく自分の目と心で恋愛してる感じとか、すごく魅力的なの、文体も好き、関西弁がかっこよく、可愛く思える
「アイツと暮らしているあいだ、苦労したとは思えなかったのだ。私は幸福だったのだ。世俗 -
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『おちくぼ姫』ってどんなお姫様だろうと
タイトルに惹かれて読んでみた。
購入したあとに気付いたのだけど『落窪物語』
という千年も昔の小説で『枕草子』や『源氏物語』と同じ平安文学。
平安文学というと難しくてちょっと敷居が高い感じがするのだけど、本書はそんな事全然ないんです。むしろ読みやすくて面白味のある物語です。
それもそのはず、著者が親しみやすいように現代風に訳し一番美味しくてジューシーなところを凝縮しているからテンポも文体もとっても良い。
簡単に言うと意地悪な継母のいじめから、
おちくぼ姫が幸せを勝ち取るという日本版シンデレラストーリー仕立て。
この継母「北の方」のおちくぼ姫に対する仕打 -
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有名だったけど、今まで手に取ってこなかった本です。当時書かれた時の価値観に照らし合わせると相当時代を先取った考え方だったのではと思います。(多分)
昨今だと結婚しなくてお一人で生きていく女性、みたいなのは多々ありますが、この主人公はそうでもあるけど、そうじゃないです。結婚したくらい好きな男性は暴力的なので、一緒に暮らすのは無理ですぐに離婚。でも1人は寂しかったり焦っていたということは結婚を通して自覚した。だから、程よい距離感で元夫とも付き合う。
1人で生きれない、ということを自覚しているのが共感しました。相手は誰でもいいわけでもない、その絶妙な感覚を感想にするための文字に起こせないですが1人 -
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ネタバレ田辺聖子の作品はいつか読むぞ〜と思っていたけど、エッセイ集からでもいいのかな?どうなんだろう?と思いつつ、冒頭の文章がすんなり入ってきて心地よかったのでそのまま読んでみることにした。
全部読み終えての感想は、わたしは今まで日本の古典を軽視しすぎていた…ということだった。
まず、著者が古典の作者や登場人物を、同じ生きた人間として親しみを持って接していることが新鮮だった。わたしにとっての古典は教科書のもの、そして読みづらい文章が大きな壁となって、共感するまで辿りつくことができなかった。あとは日本語の美しさ!日本語そのものの奥行きの深さに目がいき、日本語に対する興味がぐっと出てきた。こんなことは初め