田辺聖子のレビュー一覧
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▼はじめちょっと入るのに苦労しましたが、だんだん面白くなりました。特に「都落ち~須磨篇」あたりから、そそりますね。中巻以降が楽しみです。
▼「源氏物語」体験でいうと、10代の頃だったか、二十歳前後だったかに、「潤一郎訳(多分中公文庫だった)」を読んで。途中からけっこう苦行だったけど意地で読み切った記憶が(笑)。まあでも「こういう話かなるほど」と。
その後多分30代~40代くらいにコミック「あさきゆめみし」と丸谷才一&大岡信の「光る源氏の物語」を読んで、これは相当に楽しみました。
で、今回、50代に田辺聖子で読んでみようか、ということです。
▼田辺聖子さん、多分「省略」「カット」がうまい -
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『乙女のための源氏物語(上)』より続く
吉屋信子による源氏物語後半。老女、楓刀自が孫娘3人や実業家の中年女性を生徒役として、源氏物語を要約して語り聞かせる形式である。
一時は政敵に虐げられていた源氏は政治の中枢に返り咲いた。
須磨・明石下向の際に出会った明石の上との間には一女が生まれていた。逡巡する明石の上を京に呼び寄せ、その娘を最愛の紫の上の養女として迎え、立派な貴婦人に育て上げる。そしてゆくゆくは入内させようという心づもり。
その傍ら、いままで関係した女性たち、特に寄る辺のない人たちを邸に住まわせ、暮らし向きの面倒を見る。この辺りは懐の深いところである。
後半の1つの大きなストーリー -
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本のうらすじにも表現されている通り、王朝版(日本版とも言えそうです)シンデレラのような物語です。
原作となっている落窪物語を分かりやすく要約されています。昔の物語だと表現などが現代と違い、分かりにくいものが多いです。しかしこの本ではロマンティック・コネ・ルートといった現在使われている言葉で表現されています。また、登場人物の会話も今と大きな差異はなく、古典は苦手だけど物語を読んでみたいと思う方には読みやすいと思います。
内容としては、「おちくぼの君」と呼ばれ両親や姉妹に虐められていた姫と高い身分である右近の少将の恋物語です。
読んでいると阿漕と呼ばれる侍女の活躍が目立ちます。姫の事を思って行動 -
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とにかく、お聖さんの言葉には、
深い愛情と、説得力がある。
長く厳しい道もあたたかな笑顔で乗り越えて
きたような。
八月十二日の
「タダやさしいばかりだと、怒ることを知らない無能凡庸の
お人好しにすぎないが、夕美子のやさしさは、いろんなことを知って
その上で結論が出たやさしさである気がする。
舟子は、夕美子の気持ちの思いやりに豊かな想像力と、強かな批判力を
感じるのである。
そういうものをいっぱい、かくし持って、それをいっぺん漉して、
ナマぐさみを抜いてから出てきたやさしみである気がする」
これが、お聖さんのアフォリズムの素晴らしさだ!
と、膝をたたく思い。 -
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「帰りみち、私は自分のために、赤に白い斑入りのチューリップを十本ばかり買った。やっぱり気持ちがふつうでなくて、浮き立っていたからかもしれない。華やぎ、というふうなのかもしれない。」
12編の短編を集めたこの本の中で、「エイプリルフール」という短編のこの部分が一番好き。
会社で、陽気で皆から愛されるがおっとりしていて抜けたところのある四歳年下のキヨちゃんと付き合っている和田さん。
男と女の付き合いで、男が払うのが当たり前なんて思っていない。お金を大切にするしっかりもので、結婚するかどうか分からなかったら、当たり前のように男に甘えるということの出来ない28歳の和田さん(女性)。だけどそんな和田さん -
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とても読みやすく、無駄のない美しい文章。
貴族の生活が面白くて、平安時代が身近に感じられる。
光源氏の桐壺に対する執着は、多感な青年の人格形成に大きく影響し、矛盾だらけなのに魅力的な人物を作り上げてしまう。それに翻弄される数多くの女性たちは切ないけれど幸せそうでもある。
歌にこめる恋心がとても綺麗で、心を伝える手段として知性や感性を映す文はロマンがあるなぁと思った。
スマホやテレビなどがない中で、季節の移り変わりや人の心の変化を鋭く捉えて言葉で思いを伝えていく、平安時代の豊かさが少し羨ましい。
微妙な心の動きを絶妙に表現していく紫式部は天才だったのだろう。平安の貴族たちが、源氏物語に夢中に