田辺聖子のレビュー一覧

  • 九時まで待って
    江國香織さんの解説がステキ。
    相手の男、「稀」という名前がステキだが本当に虚栄心の強いしょーもない男でイライラした。笑
    稀じゃない男からされるキスシーンがどちらもステキでした。
  • 田辺聖子 十八歳の日の記録
    当時18歳の少女が書いたとは思えない、とんでもない文章力!
    クラスでも1番をめざし、小説家になるという情熱を感じることごできた。
    日記で、生き生きとした学校生活をえがいており、自分も聖子さんの学友でその場にいるかのように感じた。
    個性がある学友の描写も見事で、日記とは思えない。巻末にある、短編も当時...続きを読む
  • 人生は、だまし だまし
     人間も金属疲労が出てからがホンモノ。金属疲労は劣化の結果だが、先が読めるという利点ももたらす。見逃す、聞き流す、知らぬふりという新手の生きかたの発見。(阿呆ではできない。w)田辺聖子(1928.3.27~2019.6.6、享年91)「人生は、だましだまし」、2003.3刊行、2005.3文庫。
  • 苺をつぶしながら
    2022.09.06
    散髪にいって来ます
    女が同性に優越感をもつとき、自分が安定している、あるいは、一人の男に定着してる、という場合が多いのはなぜかしら。
    やさしい声が出せるから寝られるのだ。
    一人ぐらしの楽しさは、この孤独の恐怖と、うらおもてに貼り合わせられていたのだ。
  • 私の大阪八景
    戦時中を生きた女学生の、日々のお話。

    主人公が女学生というところが良かった。大人と子どもの狭間期から見える戦争は悲惨さや暗さばかりではなく、そのような状況下にあっても純粋な明るさがあった。
    〈海軍さん〉への憧れから頭の中で巡らすアリエナイ妄想や、女学生ながらに宮本武蔵に染まる様子はいつの世のおんな...続きを読む
  • 私的生活
    2022.08.21
    予定終了。
    結婚してないけど、色々考えさせられる気がした。
    役者になって、今の人と結婚に持って行くこともできる。けどその気になれない。違うけどちょっと通ずる所を感じた。

    今役者になって耐えたら、死ぬ時にはよかったって思える人生になる可能性もあるもんね。

    叶姉妹の真珠のネック...続きを読む
  • 田辺聖子 十八歳の日の記録
    戦中日記読み比べ5作目、最終回。高見順、大佛次郎、吉沢久子、ケストナーの日記を順番に読んだ後に、こちらを読んでください。敗戦濃厚で「死」を意識する7月、原爆投下情報と実際の報道との落差に落胆する8月初め、そしてポツダム宣言受諾の知らせをいち早く知ってしまう彼らと全く知らない18歳の田辺聖子との落差、...続きを読む
  • ジョゼと虎と魚たち(下)【電子特典付き】
    ジョゼさんはなかなかトゲのある女だなぁ。
    車椅子っていう設定はよくあるけど、恒夫の身にまさかあんな事が起こるとは。。
    上下完結だからギュッと話が駆け足な感じは否めないが、後半は感動的なシーンも。思いがけずホロリときてしまった。
    大阪舞台なんだけど、大阪って近くに綺麗な海あったかな。和歌山らへんまで足...続きを読む
  • 言い寄る
    2022.07.31
    プライドが高く臆病で素直になれなくて、本当に欲しいものは他人にそっと取られる、その辛さを身近な事でうめる感じが胸が痛くなった。
    自分の置かれている状況に対して、「そーゆーとこやで!」って言われてる気がした。

    ・ケチはケチを知る。 
    ・女の子の泣くと言うのは、ときどき部品の掃除...続きを読む
  • 孤独な夜のココア
    読んだものは旧版。昭和48年発行の新潮文庫だが、表紙も解説も違う。解説は神津カンナ(!)解説は昭和っぽい(当たり前だ)が、田辺さんとの交流も書いてあり、おもしろい。
    最初の版の発行は昭和53年。
    さすがに古いし、昔の女性の甲斐甲斐しさが痛々しくもあるが、それを補って余りある、小説の面白さ。
    女性が不...続きを読む
  • 姥ざかり
    田辺聖子先生の書く関西人の喋りはとても柔らかい。『大阪豆ごはん』のサライネスさんが小説書いたらこんな感じかしら、という文体。この小説の主人公歌子さんみたいな老後は素敵だけど、ここまで優雅にできないなあ。
  • 上機嫌な言葉 366日
    毎日言葉は書かれている。
    自分には想像もつかないような言葉が多くて、定期的に読みたい。読む年齢、日にち、心の状態によって響く言葉が変わるのかな。
  • 孤独な夜のココア
    昭和50年代前半生まれの私には「わー懐かし~い」な感じの恋愛観だらけで、とても面白く読めたけど、文化も文明の利器も違いすぎて、きっと今の若い子にはハマらないんだろうなぁ。私はちょうど今のものも昔のものも楽しめる年代で良かった。
  • 鏡をみてはいけません
    田辺聖子さん初体験

    何で今まで読んで無かったんかなぁっと後悔。でもきっと今やから色々共感できるんやろうな、と自分でうんうんと納得したりもする。

    ご飯をちゃんと作って食べる、と言う事は丁寧に暮らすという事に繋がる気がする。
    朝ご飯に和食を好む律とそれを苦にせず作る野百合さんがとても微笑ましかった。...続きを読む
  • 楽老抄 3 ふわふわ玉人生
    積読すること十年。
    いつか読みたい…と思っていたものの、
    読後の感想としては、
    なんてもったいないことをしていたか!
    という想い。

    文章について、書くことについて
    流麗にして、時にやさしい言葉遣いで
    切り口の良い視点から
    教えられる。

    情熱を、自分の感懐を大切にして
    ホントに書きたいことだけを書...続きを読む
  • 田辺聖子 十八歳の日の記録
    田辺聖子の戦中日記が見つかったと発表されたのは、2021年6月のこと。遺族が田辺の家の片づけをしているときに発見された。日記は田辺が17歳になったばかりの1945年4月1日から始まり、樟蔭女子専門学校を卒業する47年3月10日までの日々を綴る。日記の一部は、その年、文藝春秋の7月号で公開された。日記...続きを読む
  • ジョゼと虎と魚たち
    関西弁が懐かしかった。
    好きか嫌いかだけでない、感情はそれだけではないことを教えてくれる良作揃い。「お茶が熱くて飲めません」と「荷造りはもうすませて」が特に好き。
  • ジョゼと虎と魚たち
    表題作を含む9編を納めた短編集。
    どれも仕事を持つ自立した女性が主人公で、男たちは頼りないダメ男。
    ちょっと昭和っぽい、男女の日常が描かれている。でも古い感じはしないですよ。
    関西弁で綴られているのが、心地よい。

    直接的な描写がある訳ではないけど、どの作品も色気の漂う雰囲気で、オトナな感じ。
    自分...続きを読む
  • 田辺聖子の古典まんだら(下)
    蕪村の句は綺麗な情景を起こさせて好き
    人間らしい兼好も結構好き
    江戸文学は全然馴染みないからもう少し触れてみたい
  • ジョゼと虎と魚たち
    『恋の棺』が一番好き。
    宇禰と有二の恋。子犬のようにまとわりつく年下の男の子。かわいがってあげることも傷つけることもできる。

    「二重人格がしだいにピントが合って、一重となり、完全に重なる」結ばれたのと同時に、自分が自分でいられる瞬間を味わったのかな。

    『それだけのこと』より
    「女は人に可愛がられ...続きを読む