私の大阪八景

私の大阪八景

836円 (税込)

4pt

3.7

〈上の天神さん〉の境内で行われるラジオ体操。カタコラカタコラ下駄履きで集まると、在郷軍人の小父ちゃんが台に上って号令をかけていた。/トコのちぢれ毛をまっすぐにして下さい。中原淳一の絵の女の子みたいにして下さい。/チョロ松と二人で、ゆぶねに腰かけて唱歌をうたった。「旅順開城 約なりて 敵の将軍ステッセル 乃木大将と会見の 所はいずこ水師営」/あとを頼むぞ、とか何とかいって戦地へいくと、若い盛りにパッと桜のように散る。そしてほめられる、新聞にのる、勲章をもらう、みんなに泣かれる、いい気なものだ。男のほうが人生の花を独り占めして、女はカスの部分をつかまされる。/日常のささやかな描写の中にすべて戦争が描き込まれた名連作短篇集。

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私の大阪八景 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    田辺聖子さんの自叙伝的小説である。
    その1 民のカマド<福島界隈>
    その2 陛下と豆の木<淀川>
    その3 神々のしっぽ<馬場町・教育塔>
    その4 われら御楯<鶴橋の闇市>
    その5 文明開化<梅田新道>
    解説 小松左京

     昭和3年生まれの大阪のお嬢さんが戦争という時代に翻弄されながら、女性・娘として

    0
    2017年10月06日

    Posted by ブクログ

    戦時中を生きた女学生の、日々のお話。

    主人公が女学生というところが良かった。大人と子どもの狭間期から見える戦争は悲惨さや暗さばかりではなく、そのような状況下にあっても純粋な明るさがあった。
    〈海軍さん〉への憧れから頭の中で巡らすアリエナイ妄想や、女学生ながらに宮本武蔵に染まる様子はいつの世のおんな

    0
    2022年08月26日

    Posted by ブクログ

    すぐ舞い上がったり憧れたり貶したり落ち込んだりする思春期は時代によらずって感じなんやな。敗戦の気持ちは汲みがたいものがあるけど、トコちゃんの昂奮するなアて気持ちが日本人の心になかったら、日本はこんなに起き上がらんかったかもなって思うとちょっとじいんときた。
    にしてもトコちゃんアツい子やな、いや素敵や

    0
    2021年04月10日

    Posted by ブクログ

    戦後29年後にかかれた小説。戦時中の大阪のひとびとの暮らし、どんどん戦争の正当化を植え付けられていく子どもたち。戦い、死ぬことを美化され戦争だけが生きる目標とされていく人々。田辺聖子さんはコミカルな小説を書くと思っていたので、少し意外で、でもより戦争の怖さや深さを感じる作品でした。

    0
    2022年03月24日

    Posted by ブクログ

    戦中~敗戦の大阪の女の子の話。
    おもいっきり軍国少女。
    いろいろ憧れたり模索したり儚くなったり。罪はないよなあ。

    0
    2020年01月18日

    Posted by ブクログ

    田辺さんは自分の親よりも20歳くらい年上で、生まれ育った時代も環境も全く違うのに、どうしてこんなに共感できるのだろう。この本に書かれているのは、どうも田辺聖子さんご本人が戦時中に送った女学生時代らしい。先日見た映画「この世界の片隅に」を思い出すような、「普通の」人たちの戦時中の生活が描かれる。知人友

    0
    2017年10月24日

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