田辺聖子のレビュー一覧
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家庭に入って子育てをするだけが女の幸福ではない!と、真っ向勝負している第三部。この小説が執筆された昭和五十六年の時流を考えると、本当に乃里子は「女の人生革命家」だったのではと思う。自分の人生を自分で選んでいく乃里子は格好良くて、最後はどんな道を選ぶのだろう?と、どきどきしながら見守った。前作『私的生活』ですっかり嫌いになっていたあの人も出てきて、その有様に思わずきゅんとしてしまった自分はかなりちょろい(笑)対して、乃里子の選択には惚れ惚れする。
『言い寄る』から始まった「乃里子三部作」には、アラサー女性のすべてが詰まっていた。きまった男がいない自分に感じる欠乏感、結婚にともなう煩わしさと閉塞 -
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“世の中には二種類の人間がある。
言い寄れる人と、言い寄れない人である。”
他の男に言い寄られて身体を重ねても、たったひとり、本当に愛している男に言い寄れなければ心は満たされない。恋の甘さと苦さを描くバランスが絶妙で、胸がぐちゃぐちゃにかき乱されてしまった。
男に身体を許すと心まで許した気になることも、本当に愛する男の前では狡い女になりたくないことも、田辺聖子さんには全て筒抜けであることがなんだかとても愉快だった。しょっぱい涙を舐め続けるぐらいなら、思い切って失敗してみて「くそが!」って地団駄踏みながら歩く方がよっぽど人生楽しく過ごせるのだろうな。失敗から始まる物語も、世の中にはたくさんあ -
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戦時中を生きた女学生の、日々のお話。
主人公が女学生というところが良かった。大人と子どもの狭間期から見える戦争は悲惨さや暗さばかりではなく、そのような状況下にあっても純粋な明るさがあった。
〈海軍さん〉への憧れから頭の中で巡らすアリエナイ妄想や、女学生ながらに宮本武蔵に染まる様子はいつの世のおんなのこも大体は通る道として共感できる部分であり、親近感が湧く。
読んでいると戦時中の時事や単語がたくさん出て来るので、調べたりもした。それは当時を知る上で参考になり、戦時下の大阪の様子を垣間見ることができる良き一冊と思う。
こまごまと出てくる地名を地図と照らし合わせ、主人公の足取りをたどることでより -
Posted by ブクログ
戦中日記読み比べ5作目、最終回。高見順、大佛次郎、吉沢久子、ケストナーの日記を順番に読んだ後に、こちらを読んでください。敗戦濃厚で「死」を意識する7月、原爆投下情報と実際の報道との落差に落胆する8月初め、そしてポツダム宣言受諾の知らせをいち早く知ってしまう彼らと全く知らない18歳の田辺聖子との落差、戦後のそれぞれの想いなどを、是非汲み取って頂けたら、と思います。
田辺聖子。昭和20年4月。田辺聖子の日記は4月1日に始まっている。作家になろうとする才気煥発女史を文字通りに表現したら彼女になるような、18歳の女子学生だった。大阪駅近くの写真館が実家であり、そこから東、河内小阪駅前の樟蔭女専の寮 -