田辺聖子のレビュー一覧
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犬も猫も好きだけどちょっとだけ犬に軍配が上がるかつて犬と暮らしていた私ですので、どのエッセイも愉しく、胸に沁みました。
好きな作家さんも多く、以前に読んだことがある文にまた出会えて嬉しい。
このシリーズは他にも猫、珈琲、酒、おやつ…とまだまだあるようなので少しずつ読みたいな。
以下好きなエッセイ覚え書き。(一部です)
犬の生まれ変わりに違いないと熱烈に思っている押井守氏、ノラの犬猫を見かけたら放ってはおけない愛情深い米原万里氏、手塚治虫氏による犬が人間のそばにいる理由を描いた漫画、坂口安吾氏がわがまま檀一雄氏のために秋田犬を無心するお手紙、椎名誠氏の犬の系譜と怒りと悲しみの別れ、深沢七郎氏と中上健次氏による対談、辻まこと氏のタヌキとイヌの合いの子イヌキ?の話、種田山頭火のどうしようもない日記、クラフトエヴィング商會による可愛い垂れ耳の犬のイラスト!梨木香歩氏が愛犬と一緒にボルゾイ2匹と闘う話、鴨居洋子と鼻吉一号、二号、寺山修司氏とジル、川端康成氏のちょっと時代錯誤なでも面白い愛犬家心得。 -
Posted by ブクログ
平家物語から江戸の戯作と狂歌まで。学生の頃から苦手で、面白さも何もわからずにいい歳になってしまった。数年前、方丈記を読んで印象は変わったものの、そこまで。
それが田辺聖子さんの文章では、全てが生き生きと見えてくる。平安時代の貴族文学とはまた違う、武士社会の荒々しさや雄々しき文章の良さに惹き込まれる。
古典の入り口のこのシリーズを読んでいて、関西の人が関東の人を怖いと感じるのも納得。生粋の関東人である私も鎌倉時代に入った時点で、関東の人、荒々しくないか?と思ってしまった。そんな気分にさせてくれる、田辺聖子さんの世界。
それにしても、古典に疎すぎるなぁ、と改めて反省。 -
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家庭に入って子育てをするだけが女の幸福ではない!と、真っ向勝負している第三部。この小説が執筆された昭和五十六年の時流を考えると、本当に乃里子は「女の人生革命家」だったのではと思う。自分の人生を自分で選んでいく乃里子は格好良くて、最後はどんな道を選ぶのだろう?と、どきどきしながら見守った。前作『私的生活』ですっかり嫌いになっていたあの人も出てきて、その有様に思わずきゅんとしてしまった自分はかなりちょろい(笑)対して、乃里子の選択には惚れ惚れする。
『言い寄る』から始まった「乃里子三部作」には、アラサー女性のすべてが詰まっていた。きまった男がいない自分に感じる欠乏感、結婚にともなう煩わしさと閉塞感、再びひとりの生活に戻ったあとの享楽や老後への恐怖──。こんなに女性に親身に寄り添ってくれる本は他にないと思う。「ピッカピカの三十五」になる頃にまた読み返したい。 -
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戦時中を生きた女学生の、日々のお話。
主人公が女学生というところが良かった。大人と子どもの狭間期から見える戦争は悲惨さや暗さばかりではなく、そのような状況下にあっても純粋な明るさがあった。
〈海軍さん〉への憧れから頭の中で巡らすアリエナイ妄想や、女学生ながらに宮本武蔵に染まる様子はいつの世のおんなのこも大体は通る道として共感できる部分であり、親近感が湧く。
読んでいると戦時中の時事や単語がたくさん出て来るので、調べたりもした。それは当時を知る上で参考になり、戦時下の大阪の様子を垣間見ることができる良き一冊と思う。
こまごまと出てくる地名を地図と照らし合わせ、主人公の足取りをたどることでより深く物語を楽しめた。知らずにいた戦争遺跡の場所が多くあった。
今年は戦後77年。
明治維新から終戦までの77年間と、さらに同じだけの年数が経つ節目のような年だという。その節目に、海外では再び戦争が始まり、日本国内でも国防のためと危険な考えを唱える人も散見されるようになった。
歴史は繰り返すというが、たとえ繰り返すような状況があるとしても過去から学ばなければ先人たちに対して申し訳が立たない。ただ繰り返すだけではなく、過去起きたことから学び、活かして対処していくことこそ本当の慰霊なのではないかと考える。
トキコにとっての清川少年の存在というのは、戦争がどのような結果をもたらすかということをもっとも身近な表現で、淡いながらも暗示しているものと印象深く残っている。