田辺聖子のレビュー一覧

  • 私の大阪八景

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    田辺聖子さんの自叙伝的小説である。
    その1 民のカマド<福島界隈>
    その2 陛下と豆の木<淀川>
    その3 神々のしっぽ<馬場町・教育塔>
    その4 われら御楯<鶴橋の闇市>
    その5 文明開化<梅田新道>
    解説 小松左京

     昭和3年生まれの大阪のお嬢さんが戦争という時代に翻弄されながら、女性・娘としてどのように戦争社会立ち向かってきたのか、ほんわかした雰囲気もあり、死と向き合う人生、そして、朝鮮人の当時の置かれた立ち位置など、本音で語れれている。
     戦後の、民主主義的傾向強化という国の方針の大転換についても、一定の矛盾を感じながら、また、人間天皇に対する感じも、当時の世相を緩やかに描いている。

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    2017年10月06日
  • 私的生活

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    ネタバレ

    田辺聖子さんの作品好きなのに、これは初めて読みました。
    すごく私的な感想です。

    まるで、昔の私のことみたいだった。
    こんなに贅沢じゃなかったけど、何不自由ない生活、好きな人との生活のはずが、どんどん自由や、自分らしさが失われて行く感じ。
    「私が30年かけて作ってきた生活」、愛してやまない生活、それらから乃里子を引き離したい剛、土足で彼女の城に踏み込み、勝手に怒り出す剛。
    まさに自分のことみたいだって思った。
    罪はないのに、ひどく辛い。それは罪なんだよ。誰も裁けないけど。
    昔の私に読ませたい。
    そしたらもっと人生変わっていたかも。
    それでいいんだよ、って。

    私も乃里子と同じく、笑顔が消え、何

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    2017年08月01日
  • とりかえばや物語

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    あらすじだけは知っていたけれど、初めて読んで見て、こんなに面白い話だったとはーー!
    すっごいフェミニスト小説だったんですねえ。
    口語訳も、原文にはないキャラクター名をつけられていることもあってかなり読みやすい。

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    2017年07月15日
  • 薔薇の雨

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    好きな本で、久しぶりに再読。田辺聖子さんの本は、なぜこんなに心にすっと入ってくるのでしょう。素敵で、知的で、細やかな心の機微、子供っぽくない大人の恋をさらりと書き。きっとまた読むと思います。

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    2017年05月23日
  • どんぐりのリボン

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    田辺さんの作品読んでると文学も芸術やなぁって染み染み感じます。トキメクような自然の風景が頭に浮かんで、急展開な出来事に一行毎に胸騒ぎを覚えて、今回も田辺さんの世界にどっぷりヤラレました。ストーリーも登場人物の年齢も全然違う(ファンタジー要素もない)んやけど「君の名は」を観終わった感覚にちょっと似てた。現代的な都会と古風な田舎がコントラストになっていて、田舎から都会に移り行く発展都市も合わさって、時代背景や登場人物が個性的に動いてる。リアルにいる、こんな人たち。個人的には主人公が選んだ道に説得力があったかな。女性の生き方、結婚について、30年前の作品とは思えない!こんな考え方もあるよ、あなたはど

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    2017年03月16日
  • 歳月がくれるものまいにち、ごきげんさん

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    この人の文章を読むと関西弁っていいなあ、と思う。小説もそうだけど、エッセイは本当に愛に溢れてて素敵。10年、20年前に読みたかったなあ。こういう素敵な大人になれるよう、精進します。

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    2016年10月11日
  • 苺をつぶしながら

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    乃里子 35歳。独身に戻り、
    気楽さの喜びを噛みしめて。
    お酒に飲まれた赤っ恥も笑い飛ばして。
    気負うことなく、屈託なく、
    生きる姿が、素敵すぎる。
    元夫の剛も、気に障る所はあるけど、
    やっぱり 懐は深いい男で。
    やさしい声を出すキカイは壊れても、
    新たなキカイを取り出して、
    育んでゆける関係が いいな〜。
    ひとりでいるけど、
    ひとりぼっちじゃない。
    「人間のプロ」と言わしめる
    乃里子のようなオンナ、私もなりたいっ。

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    2016年08月02日
  • むかし・あけぼの 下 小説枕草子

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    あの「枕草子」が溶け込んでいる小説。清少納言ならばこう思うだろう、こう言うだろうことを作者が想像力全開で書いている。散らばっていた人物像、流れ、つながりをくっきりさせていてわかりやすい。おもしろかった。また道綱母、紫式部、和泉式部、赤染衛門らの人物評もおもしろい。再度もっと自分の想像力をふくらませて枕草子を読みたい。

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    2016年07月15日
  • 私的生活

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    大失恋を吹っ切って、
    玉の輿に乗っかった。
    乃里子 33歳。幸せは、ここに あるのか?
    ゴージャスな甘い生活を
    噛み締めているはずなのに。
    甘いはず、と思い込み、
    苦味に気づかないフリしてたかもーーー。
    愛されること、愛することへの揺らぎ。
    温度差が広がってゆく やりとり。
    大御所 お聖さんの文章は、
    軽やかなテンポで流れるけれど、
    深く、強く、突き刺さる描写だらけ。
    「これはいっても仕方なかんべえ」
    二人の合言葉が、切なく響く…

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    2016年08月02日
  • 苺をつぶしながら

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    乃里子シリーズ完結編。
    剛と離婚して自由の身になり、復活した乃里子。
    個性的な友達に囲まれて生き生きしていますね。
    剛と再会しても元夫i以上にならない。
    相変わらずの剛に親近感を覚える姿が女の子だと
    思いました。
    最終的な結論は剛とのスパゲティ友達となった事。
    ドロドロしない、大人の関係がさわやかでしえた。
    「誰か」がいるから一人でも生きていける、これに
    つきます。

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    2016年05月26日
  • 私的生活

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    乃里子シリーズ第二弾。
    剛と結婚して生活はゴージャスになったものの、友達との付き合いを制限され鬱屈した日々の乃里子が痛々しい。
    『言い寄る』の快活さがなくなった彼女を救った中杉氏が
    いい味出してますね。
    私も緊(しば)られるのが嫌いなので何だか彼女の気持ちがわかるような気がしました。
    結局剛も「子供作れ」言うしな…。
    田辺さんは女の本音を描くのが上手と思いました。

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    2016年05月24日
  • 田辺聖子の恋する文学―一葉、晶子、芙美子―

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    樋口一葉、与謝野晶子、杉田久女、吉屋信子、林芙美子
    といった5人の女流作家の生涯を田辺聖子さんが見て書いた
    一冊。
    貧困に喘いだ一葉と芙美子、夫との関係に悩んだ晶子と
    久女、母親から男尊女卑の価値観を押し付けられた信子。
    それでもあきらめなかった彼女たちは創作の道に戻り力を
    発揮しました。
    その負けん気がひしひしと伝わりました。
    表紙も椿柄で素敵です。

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    2016年05月20日
  • 女は太もも エッセイベストセレクション 1

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     「嘘つき男と泣き虫女」って本は、同じような内容でありながら途中から面白くなくなってくるような退屈な本でしたが、田辺聖子さんのこのエッセイは、下ネタいっぱいで最後まで猛スピードで楽しむことができました。
     せっかちな男性諸氏には、まったくこちらの作品のほうが向いているように思います。ところどころ、ワタシもこんなだろうな…と恥ずかしい思いをしながらの読書でしたが。異性の心もようもかなりうかがえる作品でした。
     学生の頃、佐藤愛子さんの「坊主の花かんざし」という作品を、たぶん?リアルタイムで読んだように思います。どんな作品だったか、どんな作風だったかは忘れてしまいましたが、本の中に彼女の名前が出て

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    2016年04月30日
  • 田辺聖子の小倉百人一首

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    私の百人一首の教科書です。この本で百首すべて覚えました。
    作者の人物像、時代背景などがわかりやすく解説してあります。
    子ども向けの「歌がるた小倉百人一首」もおすすめです。

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    2015年10月09日
  • 春のめざめは紫の巻 新・私本源氏

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     田辺聖子は特に好きな作家の一人だが、その中でもこの本は何度読み返したか分からない。

     一口に言ってしまえば源氏物語のパロディであるが、本家を超える面白さがある。その理由は登場人物の魅力にある。
     光源氏は低俗で情けない人物として描かれているが、源氏を取り巻く女性たちは対照的に、鮮やかで生き生きとした魅力にあふれている。

     紫の君は、はねっかえりで源氏をいつもやりこめてばかりいる。女三宮も溌剌としていて天真爛漫だ。玉鬘は源氏の古臭い色香に惑わされず、運命の相手を自分で選び取り、空蝉は自ら大胆に源氏を誘う。

     彼女たちは常に自分の気持ちに正直に生き、潔い。真っ直ぐで大胆で、それでいて馥郁と

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    2015年09月29日
  • 田辺聖子の恋する文学―一葉、晶子、芙美子―

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    明治から昭和を精一杯生きた女流作家5人の魅力を、お聖さんが柔らかい語り口で解説している。講演をもとにした文章ということで、とても読みやすい。お聖さんの、作品への愛が伝わってくる。
    (2015.9)

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    2015年09月25日
  • 朝ごはんぬき?

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    ネタバレ

    再読。何回も読んだ作品。1976年刊行。
    人気女流作家の日常を住み込みの秘書兼お手伝いの女性 ・マリ子を通して描いたユーモア小説。
    きっかけは昼の連続ドラマ、女流作家役は園佳也子さん。
    読み始めた当時は、普段は亭主をほったらかしにしていながら、亭主がちょっと家を空けようものなら烈火のごとく怒るくせに、自分はいそいそと若くてハンサムな編集者とディナーへ出かけたりと、女性の家庭での役割や在り方、置かれている状況を皮肉ったところが小気味よかったのだと思う。

    女流作家、亭主、高校生の娘とも朝ごはんはほとんど食べず、時間帯もばらばら。
    住み込み始めた当初は自分だけの朝ごはんをしっかり作っていたマリ子

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    2015年09月01日
  • ひねくれ一茶

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    雀や蛙のような小さな生き物を詠んだ親しみやすい俳句で知られる一方、親の遺産をめぐって争ったことや、「七つ下がりの雨は止まない」を地で行くようなヒヒ爺いぶりについてのエピソードで有名な小林一茶を主人公にした物語です。

    一茶の人間くささが田辺聖子の筆によって生き生きと描き出されていて、おもしろく読めます。それでいて、「亡き母や海見るたびに見るたびに」や「小言いふ相手のほしや秋の暮」のような句が不意討ちにように出てきて、涙を誘われます。「ねんぴかんのん、ねんぴかんのん、とうじんだんだんね」のリフレインがこだまします。

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    2014年11月27日
  • とりかえばや物語

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    とりかえばや物語。このお話が平安時代に生まれているのがすごい。「女としての生き方」とか「男としての生き方」というごく現代的なテーマで。ハッピーエンドだし。面白かったー。

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    2014年10月29日
  • どんぐりのリボン

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    やっぱ田辺聖子大好きです。
    五月はわたしと同じくらいの年齢。
    この小説が書かれたのはわたしが生まれる前。
    なのに、なのに、ナンデこんなにわたしのこと書いてんのよっっ!!!!と思うほど共感。
    もちろん、わたしが住んでいるのは大阪でもなく、村に住んでいる気になる人もいないのだけど、
    でも考え方とかさ、ぜんぶそのまま小説に垂れ流されてる。
    書き方もとても上手い。ほんとうに。
    「こういうときの、女の好奇心に水をぶっかけても消えるものではないのだ。」
    「女は心情的近眼なのである。」
    「親は生きてるうちはいつも敵じゃ。死に際が近づくとか、死んだあとは親になるでの」
    「初老期文句症という症状であろう。」

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    2014年10月13日