田辺聖子のレビュー一覧
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物語は人間関係なのだと最近気付きましたが、恋愛は人間関係の極み。
二人の価値観だけでなく、運やタイミング、現在や過去が係わってきます。
そして究極は二人の距離感。
好きなのに思いを伝えられなかったり、正直になれなくて誤解されてしまったり、タイミング悪く他の女性が好きだと言われてしまったり、相手の本心が分からなくてやきもきしたり……。
そういう緊張感なんだな、恋愛小説って。
そのドキドキを楽しむのだ。
最後の三作が好き。
お見合い第一号にまつわる『ラストオーダー』、
不思議な出会いを描いた『篝火草(シクラメン)の窓』、
素直になれない女の子の『週末の鬱金香(チューリップ)』。 -
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「愛の幻滅」は眉子と東野サンの恋のストーリー。
東野サンは気のいい男性、妻子あり。ーー要するに不倫の恋。
だけど、ドロドロの恋愛劇ではなく、あっけらかんとした、
それでいて身を焦がすような切ない恋。
泣き恋、怒り恋ではなく、笑い恋でいたい。
自分の恋をそう客観的に評価するようになってからの眉子は感情を出さず、二人の逢瀬は永遠ではないからこそ、テンションをあげて笑って楽しいひと時を過ごそうとする。
いつ終わってもいい思い出にできるように。
会うたびにしだいに、そう思いはじめる眉子のせつない気持ち。
「めんどくさいこと考えずに目の前の草だけ抜いてたらいいねん。」
東野サンはいつもそう言うけど -
Posted by ブクログ
田辺聖子さんの小説は気持ちいいくらい汚い大阪弁が特徴的。
関西在住のわたしにとっては、なんか落ち着くー感じでもあります。
切符のいいさっぱりした女性が主人公であることが多い。
そして、べたな 汚い関西弁の男性がでてくることが多い。
これは短編集だから、さらっと完結する恋愛トークなので、
さくっと 手軽に田辺聖子小説を楽しみたいヒトにおすすめです。
読み終えた後、なんか さくっとするよー。
旅先や、お洒落なカフェや休日おうちでゆっくりーなどなシチュエーションで
ひとりでお気に入りの飲み物を横において さて、なに読もうかな、
というときに おすすめですね。 -
Posted by ブクログ
田辺聖子の作品には
自由奔放でちょっとオシャレで
仕事もそつなくこなしている
可愛らしい女の人と
決して男前ではないけれど
何か1つ(特に食)について
こだわりを持っていて
女性を気持ち良くしてくれる
テンポのいいトークをするという
いわゆる中味が詰まったいい男がほとんど。
当然のように男の人に甘え
当然のようにそれを受けとめながら、上手に楽しい時間を過ごすという
なかなか出来ない軽快な日常がくせになる。
そんないつもの田辺聖子とは一味違うのが、
今回の“うたかた”
ちょっとした思い切りが足りなかったり
環境に上手に乗っていけないだけで
よくありがちな、うまくいかない恋愛小説のよう -
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田辺さん、若いころから「箴言」がお好きなんだそうです。
タイトルも田辺流箴言でしょうか。いや、なるほどと思います。
ほかにも、ほーとか、へーとか、うならせられる言葉がたくさん。
話のもっていき方が上手なんですね、きっと。
いちいち面白くて、読み終えるのが惜しいくらいでした。
「女は自分が惚れた男のことは忘れても、
自分に惚れてくれた男のことは忘れない」
「可愛い男とはすぐ切れるが、
可愛げのある男とは、だらだら続くものである」
「老いぬれば、キレやすし」
「女に言い勝ってはならない。収拾つけようと思えば」
「悪妻を自認するのは一番始末に悪い悪妻である。
さまざまな悪徳の上に、居直りと