田辺聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
関西弁で従者の視点から語られる源氏物語。
「光源氏すてき!すばらしい!」か
「女性からみた恋の苦しみ」か
「盛者必衰」
のいずれかの価値観の
源氏しか読んだことがなかったので、
とても新鮮だった。
源氏のことを愛しく思いながらも
きちんと批判すべきところは言う、主人公が小気味いい。
特に、
「源氏が恵まれているのは神様に可愛がられているから。」
「昇進したときにも『おめでとう』ではなく、
『神様に可愛がられて良かったですね』というべき」
という言葉には、はっとさせられた。
自分が得てきたものは、すべて自分の努力によるものだ、
と驕っていた自分に気づかせてくれた。 -
Posted by ブクログ
ちょと昔の、まじめ系な小説かな、と思いながら読んでみたら、
なにがなにが、共感の嵐。
しかも今現在の作家さんが書くより、田辺聖子が書いたと思うとますます深くうなずいてしまう不思議。
田辺聖子、好きです!
このお話は、ものすごく面白いというわけではなかったけれど、まさしく今読むにふさわしい一冊でした。
田辺さんは当時何を思ってこんな展開を用意したんだろう。
わたしが最も深くうなずいた文言。
「女は遠くの景色なんか見えないのだ。子供より先に、恋愛結婚があるのだ。女は心情的近眼なのである。」
これを相手の男とかナレーションが言うのではなく、主人公自身が言っちゃうところが好き。