あらすじ
長身、ハンサムでスポーツマンの赤木は、社内きってのプレイボーイとして有名だったが、このたび結婚。披露宴に招かれた赤木の上司・吉見は、花嫁の顔をみて絶句してしまう。花嫁はなんと、大女のデブで激ブス!(……こんなハズはない)驚きのあまり披露宴会場は静まりかえった──(「ブス愚痴録」)。小心控えめだった妻が勤めはじめるや、みるみる積極的になり、とまどう夫。丁寧すぎる人妻事務員にしびれる新入社員。男女の仲の不思議さを描く傑作短篇集。
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Posted by ブクログ
中年男性が妻や、職場や酒場で出会った女性達についての所感を吐露する形式の短編集。ページをめくる度に大笑いで、たいへん楽しく読めました。このユーモア感覚は田辺聖子さん独特のものなんでしょうね。たとえば…派遣のやり手社員のことを、包丁一本さらしにまいて会社から会社へと渡り歩いていく助けっ人、あるいは西部の早や射ちガンマンに例えるあたりとか、うーんさすが!とうなってしまいました(笑)。単純に面白いだけでなく、人生の渋みも悲哀も感じられ、また昭和のノスタルジーを感じられるところも良かったです。中年男性の心理についていろいろと学ぶところがあり、中年男性(つまり夫)を見る目が少し変わりました。男達って、なんだか女達より可哀想なところがあるんですね。女性のが断然逞しい。夫にもう少し優しくようかな(…?)とか思いました。
Posted by ブクログ
女というものはやはりしたたかで根っこが深いです。
その女の人に立ち向かおうとする男が
ちょっとかわいそうに思えてきました。
男の人は確かに力はあるけれども
やはり女の人にはかないません。
私の家でも現実にそうですし。
一見亭主関白に見える「あんたが大将」のような
作品もあります。
結局は女は強いのですぞ。
男の人にはずきっと来る1冊かも。
Posted by ブクログ
皮肉たっぷりな男目線( ´艸`)
てかワガママたっぷりな男目線て感じ(^◇^)
それでも女は逞しい~~-y( ̄▽ ̄*)ウケケ♪
☆泣き上戸の天女
☆ブス愚痴録
☆開き直り
☆忠女ハチ公
☆波の上の自転車
☆日本常民パーティ事情
☆恋捨人
☆よごれ猫
☆あんたが大将-日本女性解放小史
Posted by ブクログ
『ブスの愚痴録』という面白そうなタイトルに惹かれて手に取った作品。
「ブス」や「愚痴」なんてマイナスのイメージが強いけど田辺聖子さんが書くと面白そう。
どんなブスが登場するのか、外見ブス?中身がブス?読んでみてのお楽しみ。
ブスなんて今ならハラスメントに触れてしまうような言葉だけど、そこはさすが昭和ならではで不適切でも多少はOK?(連載は昭和)
読み進めると「あれっ」ちょっと違う、ブスの愚痴ではなくブスへの愚痴だった。
この作品って男性の視点で描かれているんだけど著者は女性作家なのに男性の心理がリアルで「男の気持ちがなんでそこまでわかるの?」と思わされるほどの筆力が凄い!
また文章も著者持ち前の底抜けの明るさと軽快な関西弁(田辺大阪弁)がマッチして嫌味でなくコミカルで面白おかしく読み進められちゃうのも魅力のひとつ。
ブスや醜女がテーマの九つの短編集
とあるがそこまでブスは多く登場しない。
ただ共通するのは女性は逞しい。
印象に残ったのが『泣き上戸の天女』
何歳になっても気持ちは乙女、「籍を入れよう」と言った次の日に居なくなってしまった。
その理由がなんとも滑稽で、主人公の男がつくづく「天女やなぁ」「歳月に古びぬ女の可愛いらしさを持っていたトモエ」と思いを馳せる姿が悲壮感はなく面白がって居るところが良かった。
トモエは「独り生きた女の碑」に属していた。
戦争に若い男性をとられ結婚の夢を奪われたり、夫を亡くしたりと幸せを奪われた女性達が居る。「一人の花婿にトラック一杯の花嫁」と以前読んだ『女達の太平洋戦争』に描かれているのを思い出した。
まだこの年代の女性達には地続きなんだなと感じた。
女性には逞しさの他に何歳になっても可愛いらしさを持っていて貰いたいと思うのは男の我が儘なんだろうな。
Posted by ブクログ
パリのお世話になっている方からいただいた本。1989年出版。すごい。
そして、中年のおじさんが主人公というニッチな設定の短編集。自分が一番わからない層の視点からの話はなかなかに興味深く、せつなく、なんか新しい世界を知れた感じ。