【感想・ネタバレ】孤独な夜のココアのレビュー

あらすじ

察しの悪い恋人にいつもイライラしている〈かおり〉、からかい半分の同僚の言葉を信じ、男性に大きなバースディーケーキを贈るケチな32歳の〈ちさ〉、年下の男性に恋をし、エープリルフールに妊娠を告げる〈和田サン〉。大人の女性の恋愛を、辛くも優しく描写した12の珠玉短編集。

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Posted by ブクログ

これは独りでじっくりと楽しむ短編集。
ココアのように甘かったり、ほろ苦かったり、温かかったり、舌にザラつきが残ったり、する。
「春と男のチョッキ」の味が好みすぎて、きっとまた味わいたくなる気がするから、本棚にそっと置いておく。たぶん、いつまでも。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

田辺聖子さんの作品を読むと、実らない恋もまたいいなぁと思える。自分の心が美しいとどんな結末でも美しさは残る。受け取る側にモノゴトの可愛げを感じる繊細な感受性があれば。

好きな男にお金を惜しみなく使って、それでも損したとか、私のこと愛してないんじゃ、とか思わず、だって私がそうしたかったからと自然に思える女になりたいと思った。

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2023年10月07日

Posted by ブクログ

いろんな愛のかたちが詰まってて、私はすごく好きだった。どの話も全部女性目線で進むのだけど、健気で真っ直ぐで、でも素直になれない感じとか、夢中になりすぎちゃう感じとか、りちぎな感じとか、そういう人、いるよなあとか分かるなあとか思いながら読んだ。昭和の本だから、言葉遣いとか生活様式さえ違うけど、女の内面としては一緒。女の子ってかわいい。
それに、この本は無理な展開がなくて、全部リアルな感じが良かった。でも女の子たちの気持ちの動きに共感できすぎて、決して退屈ではなかった。短編集だからサクッと読めて、「その先はご想像におまかせ」みたいなスタンスが私はとても好き。読んでて疲れないし、喫茶店で読むのにちょうどよかった。

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2023年03月26日

Posted by ブクログ

面白い。最後の1ページの端をよく折った。やっぱり知らない世界の男女の駆け引きがいい。「雨の降ってた残業の夜」と「ひなげしの家」がとくに好き。
「人間のきもちは、さざ波の波紋のようなものだから」
「可能性のギリギリまで自分を表現して、せい一ぱい人生を生きているように、自分で誇らしかったのである」

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2022年04月25日

Posted by ブクログ

小さな宝石箱に、ひとつずつ大事にしまっておきたいような恋の記憶。
柔らかい関西弁で綴られた、甘くてほろ苦い12編の短編集。
全部読んでしまうのがもったいないくらいだった。
ここに出てくる男性に、私も同じように恋をしたような気持ちになって、こまやかな描写に心が震えてしまった。
出てくる女性も、とても可愛らしくて、優しい。
70年代の20代後半くらいの女性を主人公にしたものだけれど、どのお話も、今読んでも共感できるものばかりだった。
振り返る余裕ができた今だからこそ、そう感じるのかなとも思う。

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2022年01月03日

Posted by ブクログ

やっぱり田辺聖子が描く働く20代女性の恋が好きすぎる。
誰かと居ても孤独を感じる瞬間はあるし、周りからは寂しい人とでも思われてようと、その人なりのトキメキがある。色んなタイプの人生が垣間見れて、20代女性の世俗的な、一般的な「幸せ」に振り回されなくていい、と優しく、美しく、パワフルに伝えてくれる。
なんでそこ好きなん?って感じるポイントが一切なくて好き。「男の人の幼い、世間の色に染まっていない、自分で自分を飼い慣らせていない部分を愛する」ことが母性であり包容力であり、形はどうであれ幸せな秘訣なのかもしれない。

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2021年06月04日

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作品に時代を感じるが、いつの時代でも男女の恋愛は、なぜこうも同じなんだろうと思い、だから現代でも共感でき、読まれ続けているんだろうと思って楽しかった一冊。
不倫も浮気も純愛もあって、鈍感な男、遊ぶ男、意地悪な女、ダメ男に一途な女も昔もいたんだと思ったらふっと笑える。主人公の女性の気持ちに共感できる部分がたくさんあった。
『エイプリルフール』と『中京区・押小路上ル』の話が好きだった。作者の故人の一冊に触れて、新鮮だった。

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

依存ではなく自由に生きて自立してる女性で好みでした
恨みもしないのは畏れ入る自分だったら恨む話ある…

特に雨の降ってた残業の夜
「もはや、あの、雨の降っていた残業の夜の、たのしいこだわりない、いい雰囲気は、二度と生まれないという、不安な予感がする。恋というのは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない」

特に恋というのは〜からが共感の嵐

時代は古く感じるけどいつの時代も変わらない色褪せない
恋愛小説は苦手だったけどドロドロしてなくて好きです

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2021年02月24日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて読んだけど、表題作はなかった!けど、どれも調度良い分量で書かれていて、余韻も良かった。綿矢りさが解説!
「春つげ鳥」「エープリルフール」「ひげなしの家」「中京区・押山路上ル」が特に好き!

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

田辺聖子の恋愛小説、読んでると胸がキュンキュン、温かい方向と悲しい方向でするから、感情がジェットコースターなんだって…!わかるうううってなって大体ハア…ってなって、こちらもちびちびとしか読み進められませんでした笑。

どれも好きだった(し悲しくなった)けど、やっぱり選ぶなら「ひなげしの家」かなあ。中年に入って、妻帯者のまま、別の女性(主人公の叔母)と暮らし始め、その二人に社会規範を押し付けず、ただ自分が受け取るままに「いいなあ」と思い、恋愛相手に阿ったりしている主人公ちゃんが等身大で好きだった。そうして最後、「心配しないで。あたしもあとからすぐいくわよ。二人一しょよ。怖がらないで」と言った叔母は、妻が病院に来たからとその場を辞して、家で一人首を吊る。この展開はこのセリフが出された時に頭によぎって、やっぱりと思うと同時に、私こういうの弱いんだって〜となった。
…わたしは生涯のうち、いくつになってもいいから、双方から愛し愛される恋にめぐりあいたいと思っている。片思いの恋や、条件付きの結婚でなく、そんな恋は、もしかしたら叔母さんみたいに、四十や五十になってから、やっと訪れるものかもしれない。「あとから行くわ」といって、ほんとに行けるような恋。
遺書もなかった。叔母さんは、いさぎよかった。
ひなげしの家は、いまは人手に渡った。

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2025年08月04日

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“恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない”

寝る前に1章ずつ読むのにぴったり

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2024年08月25日

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可愛らしい恋愛小説かなと思ったら、ほろ苦さのある個性豊かな12篇でした__ 人間味のある登場人物たちと恋を綺麗に描きすぎずないとこが良くて、共感できるとこがたくさんありました。

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2024年07月31日

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「帰りみち、私は自分のために、赤に白い斑入りのチューリップを十本ばかり買った。やっぱり気持ちがふつうでなくて、浮き立っていたからかもしれない。華やぎ、というふうなのかもしれない。」
12編の短編を集めたこの本の中で、「エイプリルフール」という短編のこの部分が一番好き。
会社で、陽気で皆から愛されるがおっとりしていて抜けたところのある四歳年下のキヨちゃんと付き合っている和田さん。
男と女の付き合いで、男が払うのが当たり前なんて思っていない。お金を大切にするしっかりもので、結婚するかどうか分からなかったら、当たり前のように男に甘えるということの出来ない28歳の和田さん(女性)。だけどそんな和田さんといると「一番落ち着く」というキヨちゃん。キヨちゃんは旧家の後継で、和田さんはそんな旧家の甘ったれのボンボンと結婚しようとは思ってなかった。がある日、キヨちゃんの出張中に病院へいくと「おめでた」であることが分かった。冒頭の抜粋部分はそのときの和田さんの描写。
この短編集に収められた女性達は20代後半で、その時代(昭和50年代前半)としては結婚適齢期を超え、会社で残っている女性としては年が上のほうになり「甘えて可愛い」と思われる年代をとうに超え、自立し、仕事を面白いと思いながらこなしている女性達が多い。
だけど、女性から見たら一見可愛くないが、頼れる、人の気持ちが分かる年上の女性を「落ち着く」「可愛らしい」と思ってくれる男性がいるようで。しかもその男性たちは大抵、わりとイケメンで楽しくて、モテモテで。
ちょっと、女性側の願望も入っているかもしれない。でも、全くウソでもないと信じたい。頑張っている女性には、自立している女性には、人生の中で一瞬でも「華やぎ」があると信じたい。それが、冒頭に抜粋した部分に現れている。
頑張って、自立して、そして他者にも思いやりのある女性は、きっと報われる。…けれど、永遠ではない。「エイプリルフール」はハッピーエンドで終わったが、バッドエンドで終わった話も多かった。
姉御肌で、有能で、結婚しても仕事を辞めなくていいと言われて結婚し、家事と仕事を頑張って両立していたのに、結局いつも帰りの遅い女性に愛想をつかして旦那が出て行ったという話もある。

別の年代の恋愛の話もある。
「叔母さんの家の庭には、初夏から夏にかけていっぱい、赤いひなげしが咲いた。わたしはひなげしが大好きで、その季節、遊びに行くと、いつもどっさり、もらって帰るのだった。」
「目に見えぬ神サマの手がシワシワの花弁を開いてゆく。とても薄いのに破れもせず、みーんな静かに開ききると、風に身をゆだねるようにしてそよぐのだった。そういう花がいくつもいくつも重なり、そして白い金網の向こうには、青い海があった。」

これは「ひなげしの家」という短編の語り手の梨絵子の叔母さんの家の描写。叔母さんはバーを経営している38歳の独身女性で、神戸の海の見える家で42歳の画家である既婚男性と住んでいる(不倫)。叔母さんは小さくても自分の店を持っていて、どちらかというと同棲しているおじさんのほうがお金にだらしなく、ヒモっぽい。そんなだらしなさと「38歳と42歳の恋なんかいやらしい」ということが親戚からは嫌われている。
けれど二人は遅く知り合ったからこそ、二人の時間を大切にしていた。ひなげしの花のように鮮やかに柔らかく。そして、本当に二人の時間はひなげしの花の花びらのように薄くて、風に吹かれて散ってしまうものだと分かる。

平凡に頑張っている人達の中にふと訪れる華やいだ温かな恋愛。永遠でもないし、両思いでも男女間で思いが異なる。でもそんな一瞬を優しく飾ってくれる田辺聖子さんの文章好きです。

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2024年02月25日

Posted by ブクログ

田辺聖子の恋愛小説短編集。やっぱり執筆当時時代背景もあってすごくリッチ。
なんだろうな、大金持ちがばんばん出てくるわけじゃないんだけど、独身の女性の生活ぶりや文化とかに対する感覚が、こう、豊か~!って感じ。
たったの1行で展開が急転直下で「え、え、え…?」ってなるところがあって、明るい雰囲気のまま気がついたら真っ暗になってた、みたいな話もあり、たった1行で数文字で状況を一変させるなんて小説という装置をわかりすぎている。
でもめちゃくちゃ自我が強くて傲慢で無邪気で愛さずにいられない女性がめっちゃ出てきてよかった。さすが田辺聖子…

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2024年01月29日

Posted by ブクログ

ちょうど元気がなくて長編を読むほど体力がなかった時に手に取った
田辺さんのコテコテの関西弁はなぜだか元気が出る
決して周りから見て幸せじゃないかもしれないけど、なぜだかそれぞれが幸せそうな素敵な恋たち

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2023年05月17日

Posted by ブクログ

読んだものは旧版。昭和48年発行の新潮文庫だが、表紙も解説も違う。解説は神津カンナ(!)解説は昭和っぽい(当たり前だ)が、田辺さんとの交流も書いてあり、おもしろい。
最初の版の発行は昭和53年。
さすがに古いし、昔の女性の甲斐甲斐しさが痛々しくもあるが、それを補って余りある、小説の面白さ。
女性が不遇な時代にあって、ちゃんと背筋を伸ばした主人公たち。田辺さんの若い女性たちへの温かい視線がある。

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2022年07月21日

Posted by ブクログ

昭和50年代前半生まれの私には「わー懐かし~い」な感じの恋愛観だらけで、とても面白く読めたけど、文化も文明の利器も違いすぎて、きっと今の若い子にはハマらないんだろうなぁ。私はちょうど今のものも昔のものも楽しめる年代で良かった。

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2022年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いろんな種類の切ないがあった。
怒りんぼが1番印象に残った。

・春つげ鳥
やっと幸せになったのに。。
幸せもそこからの辛い出来事も淡々とかかれているから、より切なくなった。
「石段を昇ってくる足音は、わたしを幸福で涙ぐませる。」

・りちぎな恋人
藤村さんの気持ちが、わたしもわからん。。
こういう感じだとヤキモキしてしまうので、はっきりして!!ってなっちゃう。
「なんでも、あんまりハッキリ前以てしてない方が、動き易いのと違いますか」
わたしは動きやすさよりも、決めちゃいたいって思うんだな。

・雨の降ってた残業の夜
恋した方が負けだなあっていうのがわかる話だった。
恋が生まれる前の関係性が良くて、お互い恋に落ちるんだよね。
でも恋をしてしまうとお互いの気持ちのバランスが変わってしまうから、関係性も変わっていくんだな。共感したな。。
「恋というものは、生まれる前が1番素晴らしいのかもしれない」

・エープリルフール
キヨちゃん、頼りないけどめちゃくちゃ良かった。。思いやる気持ちが伝わって、ジーンときた。。
「今日の話、あの複雑なオデキの話、ほんととちゃうのかなあ、エープリルフールやのうて」

・春と男のチョッキ
うわーこういう男性いやだわーって思うけどね。。
「私は、会社をやめ、彼のそばを離れて良かった、とこの時思った。」

・おそすぎますか?
あああ切ない。。
必要と思ってるだけじゃ、相手を大事にしてることにならないんだな。
〜して欲しいだけじゃダメなんだな。
「これからも、その後も、ずっと、それが私に浴びせられるもののように考えていた」

・ひなげしの家
つらいなあ。ずっと一緒にいたいと思える人との別れは、つらいなあ。
「遺書もなかった。叔母さんは、いさぎよかった。」

・愛の罐詰
めちゃくちゃ印象に残っている。。読み終わった瞬間わー切ないって声出た。
ミキに言ってしまったことが、越後先生とミキの人生を変えたんだなって見方もできる。
越後先生!!なんで気づかないんだ!!ってなった。。はー。
罐詰ってすごくピッタリな表現だ。。
「先生の顔は私にはやはり、どきっとする、なつかしい切ないものをもたらしたが、私の心の中では、愛の罐詰にされていた」

・ちさという女
ちさもいろんな切なさを経てあのちさになったんだろうなと思ったので、ただただちさが切なかった。(でも横でずっと話を聞かされてたら鬱陶しくなっていたと思う)
「菓子屋の前で、紙にそう書いて頼んでいるちさの姿を思い浮かべると」

・石のアイツ
ひゃー、全然好きにならない人だわ。。って思ってたけど、
好きな人にお金を使ったり、好きな人のために何かを一生懸命するって、
側から見たらおかしなことでも、自分は幸福なんだよなっていうのはすごくわかる。
「私は幸福だった。しかし、純子の言葉を聞いてから、急に、不幸になった」
どっちが良かったんだろうか。。

・怒りんぼ
この本で1番印象に残った。。
めちゃくちゃ切ない。。
「おそすぎますか?」のように相手のことを優先しなかった訳でもない。
元気がいいと褒めてくれて、楽しく過ごせていると思っていたのに。
「私は、一日おいたら、あくる日は悲しみになるのがわかっていた。」
「カッとなって怒れた日は、悲しみを知らない日だったのだ。」

・中京区・押小路上ル
最後はほっこり^^
ときめきを探してしまうけれど、本当に一緒にいたい相手ってそれだけじゃないんだよね。
着物の素敵さも伝わってきた。
失うかもしれないと思うと、大事なものに気づけるのか。それとも、失うから急に惜しくなるのか、わからないけど、またずっといたらわかるんだろうな。
「よそへ行ったら、宇女ちゃんと宵山見られんようになるし」

・解説も良かった
「女性の中身は変わらなくても、女性を取り巻く環境は彼女の年齢によってどんどん変わっていくからだ。」
この時代は、今よりもずっとそうだっただろうな。

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2021年03月19日

Posted by ブクログ

女たちの様々な恋のかたちを描いた12編の短編集。
歳の差恋愛、オフィス・ラブ、不倫、略奪、騙された恋、幼馴染etc
その時は想い合う、純粋な恋であっても、やはり一筋縄ではいかず、過ぎ去って思い返してみた時にちくっと胸が痛むような。
昭和53年刊行なので、感覚は今現在とは違うと思う。20代も半ばを過ぎたら会社に居づらくなり、辞めて結婚しなければ肩身が狭くなる、というような風潮はおそらく当時のものだけど、そういうのを抜きにすると、現代の若い女性たちと何ら変わらない。
ドキドキしたり、失敗したり、また立ち直ったり。
自立しつつも惚れた弱みを見せる可愛らしい女たちがたくさん出てくる。

最後に急展開があって、その残酷さや悲しい余韻に切なくなる場面もあったけれど、どこかひんやりと冷たいところはとても“現実”だと思ったりした。
自分の身に起こった事実を俯瞰で見ているような、ちょっと冷めた目線とか。
過去の失敗は失敗だと認めつつも「後悔はしていない」と言い切る潔さは、けして強がりではないと感じたりもした。

「春つげ鳥」「ひなげしの家」「愛の罐詰」がとくに好きだけど、12編全部が愛おしい気もして、甲乙付けがたい。

女の目から見た、男の優しさ、弱さ、狡さ、逞しさ。器が大きい男と、小さい男。
分かってるのに好きになってしまう不思議。
全部ひっくるめて、独りきりの夜に飲む温かいココアみたいな、切なくて甘くて沁みる、そんな作品集。

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2015年12月17日

Posted by ブクログ

初読みの作家さん。タイトルと可愛らしい表紙に惹かれ、「恋愛小説の名作」という帯の売り文句に釣られて購入。
ハッピーエンドともバッドエンドともとれない、それでも読んだ後にはホッとするような温かい後味が残る12編の短編集だった。今でいえばダメンズとも捉えられるような男性に振り回される女性が多く登場するが、不思議と誰もそれに対して不幸であると感じていなく、むしろ後味が良い結末を迎えているのが面白い。すべてのお話の舞台は関西で繰り広げられているため、登場人物たちの軽快な関西弁もたまに重くなる空気も和らげているようだった。

中でも特に好きだったのは「ひなげしの家」だった。ひなげしの家に暮らす主人公の叔母と、別の家庭を持つ叔父の中年同士のいちゃつきは側から見れば滑稽なのだろうが、主人公はその二人の姿をいつも微笑ましく見守っている(いや、むしろ羨ましがっている)。最後はどの短編よりもドラマチックに終わっていて、それまで表面的にしか見えてこなかった叔母の深い愛にウルっときてしまった。

「孤独な夜のココア」というタイトルに、最初はあまりピンと来ていなかった。ただ最後まで読むと、恋愛における孤独がどの短編にも染みていて、そんな孤独の中にも幸せだったと感じられる甘さを表現しているのかな、と思った。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

女性が主人公の短編集
恋をする女性の心模様が丁寧に描かれている

人の心を丁寧に言語化したものを読む。ということが読書の一つの目的であると思っているので、本書はまさしく人の心を丁寧に言語化している

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2024年03月02日

Posted by ブクログ

人生って、恋愛ってこんな瞬間ってあるよね、を切り取ったみたいな短編集。時代的におそらくもう、こんな背景は描かれない。

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2024年02月21日

Posted by ブクログ

映画『パンとバスと2度目のハツコイ』において「孤独」と名のついた本だらけの本棚が出てくるシーンがある。
その本棚の中にあった一冊がこれ。

あまりちゃんと内容を覚えていないけど、タイトルは正しく「孤独な夜のココア」だったのは覚えてる。

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2023年08月30日

Posted by ブクログ

怒りんぼが好きだった。一晩おいたら悲しみになる、だからその日のうちに怒っておきたい、そんな気持ちはすごくわかる。

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2023年05月20日

Posted by ブクログ

大阪に引越して、関西が舞台の小説を探していたら、この作品と出会った。
あまり関西の町について出てくることはなかったけど、全編をとおして関西弁で会話が進むので雰囲気は楽しめた。
なによりも45年近く前の作品ということもあり、女性を取り巻く環境が全然違っていて、その驚きが楽しかった。当時は小1くらいのはずだが、大人の人たちはこういう空気の中で過ごしていたのか、と思うと感慨が深い。

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2022年06月15日

Posted by ブクログ

どの作品の女性も、さっぱり颯爽としていてかっこいい。年齢も近いので、自分を取り巻く環境や自分を見る周りの目の変化に共感する。それでも、自分という芯が一本しっかり入っていることは大事だと思う。周りに流されて、合わせて、自分を変えてまで生きていくのは幸せと言えるのか。結婚や恋愛がうまくいくことは安心材料だけれど、それが全てではない、自分をしっかり持って冷静に考える主人公たちは素敵だ。芯が入ってきっぱりとした女性を、いいと言う男性も、素敵だと思う。

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2022年03月19日

Posted by ブクログ

レトロさを感じる時代背景と共に綴られるさまざまな恋愛模様は細やかながら逞しい。女は強いようで不器用だ。「恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない」

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2021年10月18日

Posted by ブクログ

恋愛の短編集。
すらすら読めちゃったよ。
何よりもビックリしたのが、
この本が昭和58年の発行ということ。
そんなに前の本のように思えなかったよ!!
確かに、ところどころ時代を感じる部分もあるけど、
全然読めちゃう。
それって、昔から恋愛しているときの気持ちに関して
大きく変化している所はないってことかなー
って思ったよ。

「雨の降ってた残業の夜」という話の最後に
「恋というものは、生まれる前がいちばん
すばらしいのかもしれない。」
という一文があった。
とっても納得!!
この言い方がすごく好きー!!

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2021年03月28日

Posted by ブクログ

短編集。
会話文は東北民としてはあまり馴染みのない関西弁で表現されていたが、抵抗なく読むことができた。

さまざまな恋愛模様が書かれており、正直あまりピンとくるものはなかった。だが、5年後、10年後と人生経験を積めばまた違う感じかたになるのかもしれない。
覚えていたらまた読んでみようと思う。

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2021年03月25日

Posted by ブクログ

甘いココアかなと思って手に取りましたが、ほろ苦かったです。

眠れない夜にひとり、過去の恋を思い出している。戻りたい、やり直したいとは思わない。
ただ、あの時ああしていれば
違う人生だったのだろうかとぼんやり考えている。そんな雰囲気。

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2021年03月12日

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