あらすじ
察しの悪い恋人にいつもイライラしている〈かおり〉、からかい半分の同僚の言葉を信じ、男性に大きなバースディーケーキを贈るケチな32歳の〈ちさ〉、年下の男性に恋をし、エープリルフールに妊娠を告げる〈和田サン〉。大人の女性の恋愛を、辛くも優しく描写した12の珠玉短編集。
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Posted by ブクログ
田辺聖子の恋愛小説、読んでると胸がキュンキュン、温かい方向と悲しい方向でするから、感情がジェットコースターなんだって…!わかるうううってなって大体ハア…ってなって、こちらもちびちびとしか読み進められませんでした笑。
どれも好きだった(し悲しくなった)けど、やっぱり選ぶなら「ひなげしの家」かなあ。中年に入って、妻帯者のまま、別の女性(主人公の叔母)と暮らし始め、その二人に社会規範を押し付けず、ただ自分が受け取るままに「いいなあ」と思い、恋愛相手に阿ったりしている主人公ちゃんが等身大で好きだった。そうして最後、「心配しないで。あたしもあとからすぐいくわよ。二人一しょよ。怖がらないで」と言った叔母は、妻が病院に来たからとその場を辞して、家で一人首を吊る。この展開はこのセリフが出された時に頭によぎって、やっぱりと思うと同時に、私こういうの弱いんだって〜となった。
…わたしは生涯のうち、いくつになってもいいから、双方から愛し愛される恋にめぐりあいたいと思っている。片思いの恋や、条件付きの結婚でなく、そんな恋は、もしかしたら叔母さんみたいに、四十や五十になってから、やっと訪れるものかもしれない。「あとから行くわ」といって、ほんとに行けるような恋。
遺書もなかった。叔母さんは、いさぎよかった。
ひなげしの家は、いまは人手に渡った。