あらすじ
人生には二つのたのしみがある。一つは食べること、もう一つはおいしいものをこしらえること――。
通いつめた神戸の市場、奄美の豪快な豚料理、夏のスダチ酒とぬか漬け、なんといっても大阪のうどん。つくるのも食べるのも大好きな著者の、食にまつわるエッセイを精選。「献立メモと買い物の記録」「おもてなし日記」を初収録。
Ⅰ
台所と女性/おにぎりと私/蜜柑の思い出/イチジクとうどん/すぎにし方恋しきもの/春の菓子さまざま/大阪のおかず/夏の食卓の楽しみ/思いがけぬ美味/たべる/ラーメン煮えたもご存じない/のこりもの/わたしの朝食/食事憲法/松茸の風流/とりこみ主義/「梅干し」と私/春野菜/過ぎた小さなことども/神戸
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献立メモと買物の記録
Ⅱ
食べるたのしみ/駅 弁/ニューヨークのマグロ/中国式朝食/茫然台湾/むき身すり鉢一ぱい五文/手料理/大阪・私の好きな店/てっちりオバン/てっちりパーティ/大阪のうどん/食卓の光景/永遠の美女/トトト……/田舎の風流/オトナの酒
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おもてなし日記
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
お聖さんの文章はいつ読んでもいい。
この関西弁がたまらなく好き。
父方の祖母を書いた章が特に好きだった。
”この世にひととき舞い降り、やがて跡形もなく消えていった、春も淡雪もような庶民のひとりである”
お聖さんのお母さんにとっては姑でけっこうきつい人だったみたいだけど、孫のお聖さんには雨の日に「ちょっと待なはれ、ついていってあげる」とあわただしくたすきを外し、高下駄に履き替えて学校まで送ってくてた優しい一面もあったと。(荷物の多い日で足の悪いお聖さんを不憫に思ってそうしてくれたのであろうとある)
そしてお聖さんは人は点と点のつきあいでよいのだと。
自分にとっての「その人」でいい。他の人にはどうか知らないけど、小さな点がその人にとって真なのだと。
その逆もあろうが、私は点の部分でその人をいとおしみ、親しんでいくであろう。と
深く感じ入った。
Posted by ブクログ
すでに読んだことのあるエッセイも多かったけれど、
こうしてまとめてもらうと、また新鮮な気持ちで
「食べること」について楽しんで読めた。
驚くのが、とても忙しい時期の
献立メモと買い物の記録。
忙しい時も、こんなふうに心砕いて
食を大切にされていたのだと思うと、
改めて、掲載エッセイの重みを感じる。
どんなものにも的確な表現で、
知らない言葉も折々出てくるけれど、
きちんと調べて自分のものにしたいと
いう表現も多い。
当たり前のような「食べること」から
色々な学びがあった。