田辺聖子のレビュー一覧
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以前読んだ「人生はだましだまし」が良かったのでもう一冊何か読んでみようと検索、下ネタに限定したこちらにヒット。
まずタイトルからいい、表紙のイラストもいい。これはと期待して読み始めたものの。。。なんていうんですかね。なんか浮かび上がらないし沈みもしない。海面から5メートルほどをずっと泳ぐ感じ?水面を水飛沫をあげて見苦しく、かつ懸命に泳ぐでもなければ、水深深く読む人の心を抉るようなこともない。太陽の光が降り注ぎ水温も高く視界もきく。いつでも水面に上がれる気楽さ。
最初の50ページくらいは他の本を読み始めたりしてなかなか進まない。下ネタ縛りってことでちょっと淡白というか一本調子になっちゃってあんまり僕には向いてないかな、前の本とはえらい違いだなと思いつつも、口当たりは軽いので読もうと思えばスラスラ読める。じゃあまぁ返却日まで読めたらそれでよし、読めなければもうやめよう、みたいな感じで150ページまで。
この辺りで「あぁ。これってわざと海面5メートルを維持して泳いでる?」とようやく気づく。
下ネタに限ったテーマ。とはいえ扱う題材は様々。さらに登場人物は人気作家にその亭主であり医者であるインテリ。普通ならばどうやっても浮き沈みがあるエッセイの束、机の上でトントンと揃えると見事高さが同じなのは、田辺聖子がきっちり水深を測ったエッセイだったからなんですなぁ。
解説では酒井順子が「下関連ばかりなのに下品でない。良質の油でカラリと揚げた天麩羅のように全く胃にもたれない」と表現している。
そう。それ。僕のいう水深5メートルと同じことを言ってます。(違います)下ネタなのに薄味、読んでいて安心出来るしくどくないから連続でも読める。なるほどねぇ。
どれもいいけど200ページ以降が特にいいかな
「女の三大ショック」
その前に男の三大ショックがあり、カモカのおっちゃん曰く1)淫毛が生える2)老眼になる3)淫毛が白くなるとある。次に女の三大ショックとしてカモカのおっちゃんは1)初潮
2)処女喪失3)出産をあげる。ここで著者は男の皮相ぶりに呆れ、1)性知識を得た時2)結婚生活3)容色の衰えであると諭す。
特に結婚生活を通じて男のしょうもなさ、使えなさに衝撃を受けるのは「ハリボテの裏側」を眺め男の本質を知るとする。
男が考える三大、100人おっさんがいれば95人くらいはこう答えるのでは。(私も含めて)
読みながら「男はこう考えるが、女性は全く違うだろう。とはいえ初潮と出産は残って外れるのは処女喪失ぐらいか。もしこれも残ったとしても男が考えるショックではなく、あまりのつまらなさとへたくそな男に合わせてこれから一生演技を続けなければいけないことへの絶望というべきショックの方か。」と思ったら3つとも違ってた。しかも著者のあげる3つはまさにその通り。
「契約結婚」
2年で結婚強制終了、更新したければ税金をというのはなかなかいい制度に聞こえるけども。まぁここまでするなら結婚自体無くした方がいいか。シンプルに子供は母親のものでいいじゃん。「両親」なんて大袈裟な単語あるけど母親と父親が同列な訳ないし。こんなのオリンピック金メダリストと中学の部活を「スポーツ選手」って括ってるようなもんだろ。
あ、子供は母親のものとするとよからぬ連中がよからぬことをしでかすので、男は全員出生時にDNA登録。子供のDNAから父親であると判定されればインカムやアセットから一定額強制徴収。
妊娠出産授乳のどれひとつも出来ず、子供の誕生に際し命の危険はおろか苦痛すらなくただただ気持ちいいだけなんだからせめて金払おうぜみんな。
「あと始末」
男はあと始末が出来ない。教えてさえもらっていない。そんなことは考えず前進あるのみというけれど、立派な仕事とは金儲けと戦争に集約されるのでは、とのこと。だよねぇ。
読み終わってみれば星3.45って感じ。
田辺聖子はまた別のものを読んでみよう。
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Posted by ブクログ
1976(昭和51)年作。
「乃理子三部作」の、『言い寄る』に続く2作目。
1作目ラストでの失恋のあと、お金持ちで遊び好きのチャラチャラした「剛」と結婚し、それなりに楽しそうに暮らしている。
前作同様に、要所要所で繊細だがかなり「ユルい」文体でどんどん進む。
最後にいたってどうやら剛との結婚生活は破綻に至るようなのだが、離婚を決意する主人公の心理はわかるようでわからないところもある。女性が読んだら共感するのかもしれないが、一般的な男性はやはり首をかしげるかもしれない。
さて再び独身となった乃理子はどうなるのか。そして、彼女は自らの人生のなりゆきにどのような意味と物語を見出していくのだろうか。 -
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1974(昭和49)年初発。これは凄く昔、50年も前のことで、私もまだ5歳、テレビでは「ハイジ」「宇宙戦艦ヤマト」が放送開始された年だったようだ。
本作の主人公である30歳くらいの独身女性「乃理子」は、ふわふわと行き、気が向けば出会った男性と簡単に寝たりするのだが、当時はこの作品世界は幾らか衝撃的だったろうか? ほんの5年前の全共闘の時代には、こんな軽々しさは無かったような気がする。急速に国内の世相は「軽さ」へ向けて、80年代のあの様相に向かって邁進していたのだろう。
本作及び、本作を初めとする乃理子三部作は当時ヒットしたそうだ。これも時代の気分と合致していたのだろうと思う。
読んでいて主人公は繊細ではあるがどこかあっけらかんと明るくて(しかし林芙美子ほどではないか?)、文章も構成も緊密なものは感じられない。なので、呑気にプロムナードを歩くようなゆるい読書体験となった。もっとも、主人公が遭遇する失恋の衝撃は、なかなかに痛ましく印象に残った。
田辺聖子さんの描き出す世界はさほど古びてはいない感触があるが、50年後のこんにち、今の若い女性がこれを読んだらどのように感じるのだろう? そこが非常に知りたいところだ。 -
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おせいさんのお話の女性は、恋愛していて振り回されているように見えていても、心の底は冷静というのが好きです。
トモ代と時枝みたいになりふり構わず、というのができない。それは彩子、町子、美紀がそれぞれバリバリ仕事していて、男にもたれかかる(というと言葉が上手くないけど…)女性ではない、というのが大きいんだろうな。
でもそれは、トモ代や静枝ほど、相手のことが本気じゃないことの裏返しかも。
しょうもな…みたいな男性が相手なのも面白い。しょうもな…とわかっていても離れがたいのが切ないです。
浜野悟が俗物になって退場したのは良かったけど、啓二はちょっと…まぁ、これまでのツケを払ったのかも。。。
それにしても、この時代にルームシェアはいいなぁ。さすがおせいさん!
世話を焼いたり、焼かれたり。お節介したり、心配したり。持ちつ持たれつです。 -
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初読みの作家さん。タイトルと可愛らしい表紙に惹かれ、「恋愛小説の名作」という帯の売り文句に釣られて購入。
ハッピーエンドともバッドエンドともとれない、それでも読んだ後にはホッとするような温かい後味が残る12編の短編集だった。今でいえばダメンズとも捉えられるような男性に振り回される女性が多く登場するが、不思議と誰もそれに対して不幸であると感じていなく、むしろ後味が良い結末を迎えているのが面白い。すべてのお話の舞台は関西で繰り広げられているため、登場人物たちの軽快な関西弁もたまに重くなる空気も和らげているようだった。
中でも特に好きだったのは「ひなげしの家」だった。ひなげしの家に暮らす主人公の叔母と、別の家庭を持つ叔父の中年同士のいちゃつきは側から見れば滑稽なのだろうが、主人公はその二人の姿をいつも微笑ましく見守っている(いや、むしろ羨ましがっている)。最後はどの短編よりもドラマチックに終わっていて、それまで表面的にしか見えてこなかった叔母の深い愛にウルっときてしまった。
「孤独な夜のココア」というタイトルに、最初はあまりピンと来ていなかった。ただ最後まで読むと、恋愛における孤独がどの短編にも染みていて、そんな孤独の中にも幸せだったと感じられる甘さを表現しているのかな、と思った。 -
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ネタバレこの時代の女性は良いように周囲の環境を利用し、流されないと生きていけなかったのかなと感じた。
とはいえ、自分の意志も無くただ流されるだけでは女三の宮のように面白みも無い人物になってしまうのだろう。
その辺りの塩梅がとても難しい。
男と政治ありきで賢く動かないと女性が豊かに生活できないのは、あまりにも自主性が無く窮屈に感じた。
紫の上の死は何度読んでも悲しい。
光源氏にとって理想とする女性でも、女三の宮や世間の風評に悩んでいたのが辛く感じた。
光源氏も周囲に素晴らしい女性がいるのに、次々と別の女性に手を出してすごいなと感じた。
谷崎潤一郎や森絵都など他の作者訳での源氏物語を読んでみたいと強く思った。
そういえば、空蝉も一緒に住んでいたはずなのに結局どうなったのだろうか? -
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貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。
実は読んだことがなかったのですが、田辺聖子さんの訳は結構アレンジが効いているのですね。読みやすかったし取っ掛かりとしてはとても良いと思う。原著で読むのはさすがに心折れそうなので。昔から、一般庶民(むしろ虐げられている不幸な身)が玉の輿でハッピーエンドというのは憧れの的だったんだなあ。今と違ってそうそう恋愛結婚もなかっただろうし。でも現代女性にこの形が理想と捉えられるかはまた微妙なところかもしれない、とも思う。 -
Posted by ブクログ
作家や著名人の犬エッセイショートショート。
著名な作家を中心に、漫画家、イラストレーター、映画監督など、著名人が犬について書いたエッセイ集です。犬との出会い、犬との思い出、別れなど、テーマ別にまとまっていて読みやすかったです。が、それぞれが短いということもあってなかなか頭に残りませんでした。印象的なエピソードは、椎名誠のお母さんのトラウマ級の非道で、そんなことされたら僕も一生恨むだろうなあ、と思いました。あとは彫刻家の舟越保武さんの章や、寺山修司の話もよかったです。いせひでこさんのイラストエッセイはほんわかしました。うんうんそうだよね、犬ってそういうヤツだよね。
しかし全体的には昭和が中心の話なので、犬への扱いや価値観が今と相当ギャップがあって、特に川端康成などは今の犬好きからすれば犬を飼う資格がない人間から上から目線で愛犬家心得を説教されているようで、大変イラっとしながら読みました。嫁と同じで飼う犬にも処女性を尊ぶべきとか、令和だったら刺されるぞエロジジイ。これも時代ですねえ。そういう意味では全体的に時代ギャップにもやもやしながら読まなければいけない本でもあります。
ともあれ、犬好きとしては手に取らずにはいられない一冊で、続編(作家と犬2)も出ています(読まないけど)。