田辺聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
田辺さんは自分の親よりも20歳くらい年上で、生まれ育った時代も環境も全く違うのに、どうしてこんなに共感できるのだろう。この本に書かれているのは、どうも田辺聖子さんご本人が戦時中に送った女学生時代らしい。先日見た映画「この世界の片隅に」を思い出すような、「普通の」人たちの戦時中の生活が描かれる。知人友人に戦死者が出たり、空襲があったり、そんな異常な状況下でも、人は淡々と日常を営もうとできるものなのだなぁと思って読んでいたけれど、終戦後の章、とりわけ最後の1ページに心を打ち抜かれた。考えさせられたし、多くの人が読んだら良いのにと思った。
小松左京さんの後書きも面白かった。 -
Posted by ブクログ
生みの母を亡くし、継母とその娘達に虐げられる心優しく美しい姫君。
彼女を見初めてそこから救い出す美しくて人気も地位もある貴公子。
確かにこれは平安版のシンデレラストーリー。
さしずめ阿漕がフェアリー・ゴッドマザー?
本筋としては落窪の姫君と中将の恋物語、なんだろうけれど全編通して二人を結びつけようとする阿漕の苦労と努力がずっと描かれるので、ずっと読んでいるとなんだか彼女が主人公の様な気がしてきてしまう。
けれどそのお陰で単純なストーリーでもより一層楽しめる。
後半の継母達への復讐は結構ねちっこいと思ったけれどこれでも原典よりはマイルドに訳してあるらしい。
いつの時代も人の恨みを買うと恐ろし