鈴木光司のレビュー一覧
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ネタバレ初読時『リング』よりも科学的で論理的で面白いなと感じたことを思い出した。
読み直しても改めてそう思った。
『リング』では訳が分からなかった現象を科学的、医学的根拠から解き明かしていく。
暗号の解読も面白い。
ただホラー現象が解き明かされて興醒めとならないのが『らせん』である。
ある程度分かったところで、事態は更にその上を行く。
そもそもビデオに念写してウイルスが……という前提からして荒唐無稽、超常現象だ。
死因が何か分かっても、ウイルスの姿が分かっても、とんでもないことが起きていることに変わりない。
それは終盤、最高潮を迎える。
『リング』とはまた別種の怖さがそこにあった。
以前読んでオチは -
Posted by ブクログ
ネタバレ10代で読んだときとは読後感が随分と違った気がする。
どの話も基本的にオチを十全語ってはくれない。
ほぼ答えは確定しているようなものの、他の解釈もできる余地がある。
当時はそれを物足りなく感じたが、今はその余地というか余白が嬉しいという。
最近は何でもかんでも説明しがちだから余計に。
おいしいところでぶった斬られている話もありつつ、それでも物足りなさを感じないのは、人物や情景描写が驚くほど緻密で、いい意味で生々しいから。
実に様々なキャラクターが出てくるが、どのキャラクターも本当に生々しかった。
それを思い知らされた短編集だった。
個人的には、悲しい設定ながら希望も持てる『森に沈む森』が他 -
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二〇二五年の読書におけるベスト。今年はたくさん本を読んだわけではなかったけれど、それでも、読んだ中で一番の出来だった。連載開始から十数年、待ちに待った単行本化であり、鈴木光司がこれまで描いてきた「世界そのものへの謎」へのアプローチの集大成とも言える一作だ。
南極深層の氷、ヴォイニッチ手稿、都内で起きる連続変死事件、そして新興宗教団体。一見バラバラな素材が、主人公の調査を通じて一本の線に束ねられていく。その収束の快感がまず凄い。ミステリとしての謎解きの面白さにとどまらず、人類や宇宙、世界の領域へと物語が拡張していくドライブ感は、まさに作者の真骨頂だ。デビュー作『楽園』や『神々のプロムナード』『 -
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朝宮運河さんの「現代ホラー小説を知るための100冊」を読んで、掲載本を全部読んでみたいなとなりまして。
そのトップを飾っていたのがこちら。
言わずもがなの本で。
やはり現代ホラーはここから始まったと言えるのですね。
日本中から始まって、世界中を震撼させ、
貞子のキャラが一人歩きして、
キャラものとすらなってしまいましたが、
35年ぶりに読み返してみると、
そのホラーとしての秀逸さもありますが、
ミステリーとしても極めて優秀。
掴みが怖い。
そして少しずつその深淵に迫りながら、
やはりヒトコワにしっかりと焦点を当てて、
キレイに謎を解いて、
で、やはり恐怖は終わらない、で閉じる。
探偵役のキ -
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重厚なSFだった。
実は人間は植物の意向に沿って生かされているという衝撃的な内容だった。植物の種を世界中に行き渡らせる為に、アルカロイドの刺激により言語中枢が刺激され、人間は言葉が話せるようになっただとか。
『人々が自然保護を謳うとき、「緑の地球を守ろう」というスローガンを掲げることが多い。この場合の「緑」はとは植物のことを指す。生物にもかかわらず、なぜか、植物は自然の一部に組み入れられてしまう。ノアの方舟に乗せられたのは動物のつがいだけで、植物は乗せてもらえなかった。
もし植物に、人間の言葉を理解する能力があったなら、「緑の地球を守ろう」というスローガンを聞いて、腹を抱えて笑うに違いない。 -
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ネタバレどの段階で「そのこと」に気づいていたのか、それとももう幾分か感染の影響であったのか。ただし、完全にはそうとも言いきれず。人間側の意思とウイルスの意思の境界線はどこにあったのか。遺伝子が人間を支配しているのか、人間があっての遺伝子なのか。
塩基配列からここまでの問題提起を包含できるのはもの凄い。専門的な話題が多いにも関わらず、次へ次へと読む手が止まらないのは、主人公のPDCAサイクルの異様な速さにある。Cの段階で次のPが始まっているのだ。だから中断ができず平日の2日で読み終わってしまった。助かったような残念なような。
見たもの読んだものが脳からのどんどん抜けていく世代になってきているが。今回は流 -
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※映画とはまったくの別物です。
初めに犠牲者の視点、または犠牲者を客観的に見た人の視点で物語は始まります。冒頭、いきなり多人数視点構成という、今では流行りの書き方ですが、ホラー作品としてはかなり新進気鋭だったのではないかと思う。
VHSを駆使した呪いの拡散。死にたくなければ7日以内にビデオを観ていない新たな人に見せること。
というのが、リングの主な怪異なのであるが、当たり前になったこのシチュエーション。私は映画を観た時から疑問に思っていた。
『ルール、誰が作ったん?』
呪いのビデオの中で親切にそう説明した訳ではない。不気味な映像が流れるだけ。誰がルールを開拓した?
そうです。このビデオ、実験 -
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ホラー小説は、あまり好きではない。しかし、植物がテーマならば読んでみる価値があると思った。
地球生命の全重量の99.7%を占める植物を、単なる「優しい、無害な存在」としてではなく、実は地球の生命の進化を操り、人類を含む動物たちを「利用」してきた主役であるという視点で書かれている。地球には、圧倒的に植物が多いのだ。
『ユビキタス』とは、植物が地球生命の歴史において支配的な役割を担い、人類の進化にも深く関わってきたということを意味する。植物の「遍在性」や「地球全体を覆う存在」という側面が強調され、情報技術ユビキタスとは異なる文脈で「ユビキタス」という言葉が使われている。
ほんのわずかな