【感想・ネタバレ】ユビキタスのレビュー

あらすじ

原因不明の連続突然死事件を調べる探偵の前沢恵子は、かつて新興宗教団体内で起きた出来事との奇妙な共通点を発見する。恵子と異端の物理学者・露木眞也は「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性に気づく。だがそのとき、東京やその近郊では多くの住民の命が奪われはじめていた――。

装画/Sarah Jarret 「Woodland Sleeper」
装幀/坂野公一(welle design)

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ネタバレ

あるゆる動物は植物に支配されている。その植物の野望が恐ろしかった。ある不自然な死から植物まで辿り着く過程が論理的でおもしろかった。最後の展開は小説らしく飛躍がすごい!

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2025年08月09日

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 ホラー小説は、あまり好きではない。しかし、植物がテーマならば読んでみる価値があると思った。
 地球生命の全重量の99.7%を占める植物を、単なる「優しい、無害な存在」としてではなく、実は地球の生命の進化を操り、人類を含む動物たちを「利用」してきた主役であるという視点で書かれている。地球には、圧倒的に植物が多いのだ。

 『ユビキタス』とは、植物が地球生命の歴史において支配的な役割を担い、人類の進化にも深く関わってきたということを意味する。植物の「遍在性」や「地球全体を覆う存在」という側面が強調され、情報技術ユビキタスとは異なる文脈で「ユビキタス」という言葉が使われている。

 ほんのわずかな存在の人間が自分たちこそが地球の支配者であると傲慢に振る舞ってきたことへの警鐘が鳴らされる。自然や他の生命体に対する無自覚な行為が、最終的に人類自身の危機を招く可能性をテーマとする。地球の生命史、人類史を駆使して、生物学、物理学、量子論といった科学的な知識に加え、キリスト教、特に中世の異端とされたカタリ派の思想、そして哲学的な問いをして、なぜ植物が生命を支配しているかを解明する。科学的な根拠に基づいた生物的な恐怖、そして地球規模のスケールで人類の存在意義を問う、知的で壮大なホラーサスペンスとなっている。

 ここで登場する謎に包まれた古文書『ヴォイニッチ・マニュスクリプト』は実在し、1912年にポーランド系アメリカ人の古書収集家ウィルフリッド・ヴォイニッチがイタリアで発見した、未解読の文字で書かれ、奇妙な挿絵が多数描かれた謎の古文書(写本)である。「世界で最も神秘的な本」「世界最大の奇書」などと呼ばれ、現在に至るまで、その作者、内容、目的、言語など、ほとんどのことが不明のままである。

 放射性炭素年代測定により、15世紀初頭(1404年から1438年頃)に制作されたとされている。既知の言語とは異なる、完全に新しい言語で書かれているので、現在のAI技術を持ってしても解読されていない。ほぼ全てのページに、彩色された挿絵が描かれていて、多くの植物が描かれているが、その多くは地球上に実在する植物とは異なる。 太陽や月、星、星座のような図形が描かれており、天文学や占星術に関連する本である。裸の女性が水槽やプールのようなものに浸かっている絵、内臓らしきものが描かれた図などがある。その物語を解読することも、本書の面白さだ。こういうことを見つけて、題材にするということが、鈴木光司たる所以だろう。

 本書の物語は、南極の厳しい気候の中で、南極の深層の氷を採取して、古代の気候環境を調べる調査活動をしている。1957年より南極観測隊が始まっている。掘り下げた深度は3000メートルを超えている。その南極観測船「しらせ」の運用が海上自衛隊に委託されていて、しらせに乗っていた海上自衛官阿部豊が、お土産として友人に送る場面から始まる。南極の氷をウイスキーに入れて100万年前の空気のプチプチと音がすることを楽しむということが知られていた。その氷を摂取した者たちが次々と原因不明の突然死を遂げるという異常事態が発生する。

 この連続突然死事件の謎を追うのは、私立探偵の前沢恵子である。彼女は、亡くなった息子の忘れ形見である孫の存在を探すという個人的な依頼も抱えており、その調査の中で、15年前に新興宗教団体内で起きた集団死事件と南極の氷による死のの奇妙な共通点を発見する。

 恵子は、この奇妙な現象と事件の関連性について、医者であるが異端の物理学者である露木眞也に相談し、共に調査を開始する。二人は、謎に包まれた古文書「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性にも気づき、事態はさらに複雑な様相を呈していく。露木の2年後輩の医師麻生敏弘がその古文書を解読していた。敏弘も謎の死を遂げるが、敏弘の愛人だった中沢ゆかりがその秘密を持っていた。中沢ゆかりは『夢見るハーブの会』という新興宗教に入っていた。その新興宗教の幹部たちが集団で死ぬという事件も起きた。

 この中で、著者は、植物が持つアルカロイドが、人間のドーパミン報酬経路に影響があるということから、アダムとイヴが食べた禁断の果実には、アルカロイドがあったことを示唆する。その禁断の実は、善悪を知る木である。「善悪を知る」ことは、神のみが持ち得る知識や、物事の真理・本質を見極め、善悪を判断する絶対的な能力を意味するものである。人間は被造物であり、その認識には限界が存在する。しかしながら、この実を食べることにより、人間は神の領域に踏み込み、自らの判断で全てを「善し悪し」と正しく判断する力を得ようとしたとされる。

 聖書の創世記2章16-17節には、神がアダムにこう命じた。
「主なる神は人に命じて言われた、『園のすべての木から、あなたは思いのまま食べてよい。しかし、善悪を知る木からは、食べてはならない。それを食べる日には、あなたは必ず死ぬであろう。』」
創世記3章6節には、イブがその木の実を食べたときの描写がある。
「女が見ると、その木は食べるのに良く、目には美しく、また賢くなるために好ましいことがわかったので、その実を取って食べ、また夫にも与えたので、夫も食べた。」

 禁断の果実とは、善悪を知る木であり、通説で言われているりんごではない。
 ラテン語で「悪(evil)」を意味する「malum」という単語は、「リンゴ(apple)」を意味する「mālum」と非常に似ている。(発音は異なるが、スペルが似ている)。中世ヨーロッパにおいて、聖書がラテン語で読まれることが多かったため、この語呂合わせがリンゴというイメージを結びつけた一因とされる。

 さて、南極の氷には、感染性シアノバクテリアがいたのだ。そのシアノバクテリアは、クロロフィルを持っており、光合成ができる。その酸素発生が、地球上で植物を繁殖させた。そこで、作者はクロロフィルと血液の主成分である赤血球内のヘモグロビンの構造が似ていることに着目し、クロロフィルの中心にはマグネシウムがあり、ヘモグロビンの中心には鉄がある。その感染性シアノバクテリアにかかると、ヘモグロビンの中心が、鉄からマグネシウムに変換され、緑色細胞が生まれるのだ。そして光合成人間ができるのだが、死んでしまう。アルカロイドの産出も行われる。

 それを謎解きしながら、感染性シアノバクテリアの増殖を露木らが阻止するという物語だ。
随分と読み応えがあり、仮説がおもしろく、その仮説は現実の植物の中に組み立てると面白いなと思った。植物の毒性をアルカロイドだけに限定しているが、植物の毒は、アルカロイドだけでなく、シアン配糖体、サポニン配糖体、アントラキノン配糖体、ジテルペンなどもある。しかし、ここでのアルカロイドに関する仮説は、いろんなことを考えることができる。

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2025年07月27日

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甘めの星5。

「天使の囀り」的な趣きの序盤から、
新興宗教の集団死事件と人探しが絡み合う中盤までは
ワクワク感が強かったけど、
中盤以降はスケールが拡がって読み心地が変わっていく。

ここが楽しめるかどうかで評価が分かれるところかなと思う。

SFホラーとパニックホラーの色合いが濃い終盤は
個人的にそこそこ楽しめたけど、
置いてけぼり感・ついていけない感を
持つ人もいるかなと思う。

全体として、楽しめた作品でした。

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2025年07月06日

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子どもの頃から植物ってふと見ると怖い形状してると思ったことがある。そんな思いを膨らませた、まさに植物サイエンス・フィクションであり、まさかこんなになるか?というほどの壮大なスケールで描かれる。単にリングの作者の新作だーという軽い気持ちで読み始めた自分としては度肝を抜かれる展開。理論的根拠もなんとなく納得できるような内容であり、生物選択でよかったてす。

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2025年07月03日

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かつて、夢中になって読んだ「リング」の作者が16年ぶりに書いた新作。

とても、楽しみにして手に取った。

序盤はのめり込むように読み進めたけど、ヴォイニッチ手稿がでてきたあたりから次第に怪しく。

人探しから始まった物語は、どんどん壮大な展開に変わっていった。しっかりとした物理学や数学の知識を背景にストーリーは続く。

物理学とか、数学の知識がもっとあったら、もっとのめり込んだのだろうか。

最後のシーンは映像化されたら、面白そうだって思ったけど、そこまでの持っていき方がちょっと強引な印象を受けたなぁ。

このままSFな感じが鈴木光司の真骨頂なんだろう。世界観としての視点も新しく、総じて面白かったです。

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2025年12月19日

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地球を支配しているのは植物という考え方は面白い。南極の深い場所の氷から古代のシアノバクテリアが復活し人に危害を及ぼす。そこに探偵や新興宗教が絡んで。
確かにノアの方舟には動物しか乗せてないのは不自然だし、植物の意思で動物は滅ぼせる。リングやらせんのようなホラー感は少なくファンタジーのよう。
ストーリーとしては面白かったが少々説明が長い。

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2025年12月14日

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恐ろしい…
人間は植物のパシリ。。。

時代や環境に応じて変化し、踏まれても、抜かれても再生する植物の生命力やしたたかにゾワッとする。
全ては植物の思いのままなのかも…
と考えずにはいられない。
さすが鈴木さん。
重厚なホラー小説です。

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2025年11月02日

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鈴木光司さんは、初めてよみましたが面白かった。
ホラーのイメージでしたが、ホラーでは、くくれない気がします。
植物が意思を持って人間をコントロールしようとする…はたまた人間に言語を司ったのは植物だなんてよく考えつくなぁとびっくりです。
ところどころ難しくて理解しきれなかったけど、面白かったです。

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2025年10月27日

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ホラーかと思ったら完全にSFだった。SFは興味がないジャンルだったので読んだことなかったが、SF作品が好きな人は賢い人が多い印象だったのはこういうことかと思った。アホな自分は頭痛いし眠くなって何度も挫折しそうになりながら読んだ。

近所に森があるくらい自然豊かな田舎住みの自分は植物の名前にも疎いので外が怖いくなった。植物め!野菜いっぱい食ってやるからな!

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2025年10月08日

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ネタバレ

最近、書店の本棚の移り変わりを眺めていると、「植物の知性」が一つ流行りのテーマとなっているように感じる。
動物史として描かれる自然史を植物の側から再解釈して、それを一つのスペクタクルにまとめ上げる。
植物学だけでなく、南極氷、ヴォイニッチ写本やカルト宗教など、複数のテーマをコラージュのようにまとめ上げる腕はさすが鈴木光司!と感嘆。

リングが有名すぎてホラー作家という印象が強いが、ループや本作など、SF作家としてもっと評価されて良いのでは?と感じる

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2025年10月04日

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「人間が生きることを許されているのは、植物の意に沿うように動いているときだけなのだ。」本文より

以下ネタばれ?!アリマス

本書は植物の視点から地球史を見直すという切り口ですが、まさに目から鱗でした。

地球の長い歴史の中で、人間の歴史はほんのわずかといわれています。
その人間は今、地球にやさしく、緑を守ろうと言っていますが…
「…緑を守る?思い上がりも甚だしい。」
と本書は手厳しいです。まあそうかもしれませんが。

かつて瀬名秀明さんは『パラサイトイヴ』でミトコンドリアが意志を持ったら…というシミュレーションをしてくれました。
鈴木さんは今回シアノバクテリアで物語を創造してくれました。

個人的には次回ドーパミンが人間を支配する物語を作ってもらいたいのですが…。

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2025年09月21日

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いやあ〜〜壮大な話だった
植物の重量は99.7% 動物はわずか0.3%だって
ちっぽけな存在 植物に操られているって考え方が今まで無かった でも植物が無かったら生きていけないよなぁ 無意識のうちに植物は動物よりも劣っていると考えてしまっていたかもしれない 人間に見くびられようがられまいが、植物は変わらずそこにあり続けるんだろうけど
読み始めは、南極で色々やってくほのぼのな話かなと思ったら、どんどん暗い感じになってった 死体とかの描写がリアル 科学的な話は難しいところもあって時間がかかったけど、最後まで楽しく読めた
第六台場に行っちゃうあたりから話がぶっ飛んでる感じした

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2025年09月18日

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ネタバレ

南極の奥深くで氷に閉ざされ眠っていた殺人バクテリアが、南極隊員の"お土産の氷"として日本に上陸!バクテリアによる連続不審死の謎を追うのは、探偵の前沢恵子と、異端の物理学者、露木眞也。ジャーナリストと雑誌記者も加わって、人類を滅ぼしかねない"南極シアノバクテリア";の駆逐に挑んでいく‥。

生物や物理、化学、宇宙。これらの難しい話を、極力わかりやすく、露木や他の専門家のセリフにして読者に提示してくれる。正直、なんとなくしか理解してないけど、学生に戻って授業を受けている気分になれる。そういう難しい話を土台に、シアノバクテリアがいかに生まれ、いかに現代に蘇ったのか、そして、何を目的としているのかが語られていく。バクテリアの繁殖には、植物が深く関わっていて、植物がまるで意思を持って人間を操っているかのように話が進む。荒唐無稽な話が、まあまあの説得力を持って語られるので、現実でも起こり得るのでは‥なんて考えちゃったりして。

露木たちの命懸けの奮闘で、とりあえず人類絶滅は免れたのだけど、なんだか不穏な終わり方をしている。大丈夫か人類‥。
面白かったけど、疲れた。そして読み終わる頃には、あちこちにある木や草、植物がちょっと怖くなる人が多いに違いない。

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2025年07月08日

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結構面白かったんですけど、微妙に既視感があるところとか、年代的に現代ではなくちょっと前くらいの価値観、言葉遣いだな、とかそういう引っ掛かりが幾つかあって素直に楽しめなかったかなーという感じでした。

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2025年06月30日

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富豪の夫婦から存在するかわからない孫を探す依頼をうけた探偵は、調査すると南極の氷と新興宗教での原因不明の連続突然死の共通点を発見。

植物中心の地球の進化。
生物学的な難しい話は、なんとなーーーくしか分からなかったけど、植物が植物×人間のキメラを作りたがってるってことは理解した!
本当は人間が植物を育ててるわけではなく、植物に育てられているのかも( ;´Д`;)

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2025年10月30日

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初めて読む著者のかたでした。
内容全てを理解できたとは到底言えないが、世界の大半を占めている植物が動物よりも立場が上で、植物が実は遺伝子等にて動物を操るという発想は面白かった。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

都内近郊で、男性が突然死するという事件が
連続で発生。南極観測船の乗組員が帰国の際に
持って帰った南極の氷を土産としてもらっていた
ことが彼らの共通点だった。
富豪の老夫妻から孫を探してほしいとの依頼を
受け、探偵の前沢恵子は、夫妻の亡くなった息子、敏弘が生前に付き合っていた女性の調査を開始する。その女性は以前、新興宗教団体
「夢見るハーブの会」で起きた集団変死事件の
生き残りだった。
一見、関係ないような事柄に共通点を見つけた
恵子は、物理学者の露木、ジャーナリストの
上原、雑誌記者の有里と共に真相を追う。
‥‥というのが、おおよそのストーリー。
何百年も前の大気を取り込んだ南極の氷に
絶滅した微生物が冷凍保存されていた。
眠りから醒めた正体不明のバクテリアが
再び行動を始める‥(ごめんなさいネタバレです)

「地球生命全重量の99.7%を占める植物に対して、
動物の重量はわずか0.3%に過ぎない。」
‥人間は、つくづく小さな存在であり、実は植物に
よって支配されている‥
「脚のない植物が自らの身体を運搬しようとするとき、もっとも有用な存在は人間だ。だから植物は、哺乳類の中から運び屋の素質がありそうな種を
選抜し、言語を与えて育てた。」
小説の内容はあくまでもフィクションだけれど、
植物はもしかすると、ひそかに人間に対して
何かをしかけ始めているのかもしれない。
今年の猛暑で異常発生した、アオコのニュースを
思い出して、ちょっとぞっとした。

題材は面白いと思うが、他の方が書かれている
レビューにもあるように、本筋に関係のない
シーンや解説が多く、少し読みづらく感じた。
この小説は、好きな人と嫌いな人が、はっきりと
分かれるのだろうと思う。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

『あの本読みました?』という番組に鈴木光司さんが出ていて本作を知り、借りた1冊。植物が持つ力は未知で、もし植物が人間いらんと思ったら即人間は全滅するんだなと、ぞっとした。科学的、数学的観点の部分は文系の私には難しかったが、面白かった。
葉緑体を持った蘭が今後どう生きていくのか、気になる、、、!

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地球の大半を占める植物が人間を操作しているという点は興味深く、本当にそういう部分もあるのではと思えたほど。
やや偶然性が強く、すっと流れない部分を感じました。
最後の展開は自然界の争いによるもので、自然の力には人間など小さな存在だと感じました。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

正直、作者の思想が強すぎて、物語というよりは論文を読んでるみたいな気分でした。面白いけど、作者の中に一筋の考えがあって、他の情報はその筋を支えるための補足なんだなぁという印象。
これだけの設定を練って書き切るのは、さすが作家さんだなぁと思う一方で、こちらが情報量に圧倒されているうちに物語が終わるので、これだけ?という寂しい気持ちにもなりました。

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2025年09月17日

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『リング』を読んで震え上がったのは中学生の頃。当時の強烈な読書体験が、今も私を読書好きにさせている。鈴木光司さんの新刊情報に触れ、久しぶりに拝読。
 萩原浩さんの『我らが緑の大地』や伊坂幸太郎さんの『楽園の楽園』‥自宅に菜園を持っているが、ちゃんと向き合わないと反撃されそうでこわい。

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2025年08月26日

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ネタバレ

ヴォイニッチ手稿、新興宗教、集団死など気になるワードが多く、帯にもホラーと書いてあったため購入。
中盤まではかなり理詰めでおもしろかったが、オカルトホラーと思い読み進めていた中で後半から植物の意思や根っこで襲ってきたりなど突然SF?ぽさが出てきて萎えた。
子供の正体や集団死の死因は伏線の時点でわかりやすいし、最後は丸く収まっておしまい。

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2025年08月20日

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私の好きな心霊由来のホラーではなく、SFでした。

結びにありましたが、人間のように言語を駆使することは無くても、植物同士がなんらかの方法でコミニュケーションを取れるのならば、地球環境に著しくダメージを与え続ける人間を駆逐する為、人間だけを一掃する環境にこの星を作り替えてしまうかも知れない。

今週、またまた米の恥知らずが『温暖化はデマだ!』というデマを撒き散らしていた…CO2削減に与するつもりは無いと表明しているのだろうが、植物たちの目(?)に触れないことを切に祈ります。

おうトランプよ、植物怒らせんなよ!

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2025年08月18日

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途中まで先が気になってグイグイ読んでたけど、後半は力が抜けてしまった。実は意外なものに操られてるのかも、というのがありそうで怖い。

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2025年08月16日

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これは、読むのにかなり時間がかかってしまった。リングの著者だけどホラーではなく、植物や化学やいろんな事象がミックスされた内容で、合う合わないがはっきり分かれるだろうなぁというのが正直な感想。結局、自然はその気になればいつでも人間なんてどうとでもしてしまえる。

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2025年08月07日

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地球生命全重量の97.7%が植物。
動物は、たったの0.3%。

人間が言語の使い手となり、
地球上のあらゆる場所へと
移動するようになったことが、
植物の狙いであったとしたら。
そして、人間の存在が
もはや用無しとなったとしたら…

地球温暖化も植物にとっては想定内、
いや、植物が起こしていることかもしれない?
恐ろしい想像はつきない。
でも、途中ちょっと先が読めちゃった。

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2025年08月03日

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ユビキタスとは、いつでもどこでも存在するという偏在を表す言葉だという。
太古の昔から繁栄してきた植物に意思の力があって、人をも操ろうとしたら…という物語である。
夏の野山を歩いていると、猛々しいほどの緑に畏怖の念を覚えることもある。
水と太陽によって繁茂する植物たち、太いツルを伸ばしてくるクズに通り過ぎる足元を絡め取られたら…
科学的説明に難しくわかりにくいところがあったが、信仰宗教と絡めた部分は面白かった。

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2025年07月28日

Posted by ブクログ

連続突然死事件と中沢ゆかりを追いかけていく過程は、それぞれ情報を補足しあって途中から繋がっていくところが楽しめた。また、物理、宇宙、生命の起源など、理系関係者は更に楽しめたかもしれないが、それがあまりにも方々に蒔かれすぎてついていけなかった。もう少しそのところがあっさりとまとめられていたら、私的には⭐︎4個だ。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鈴木先生の作品は、リングシリーズを始めとして、ホラーと見せかけて最終的にはSF的展開になる。

本作も例外では無くSF展開からの「仲間内で世界を救おう」という古い言葉で言えば「セカイ系」の流れとなる。

鈴木先生の他の作品ではラストでの爽快感というか、やり切ったような感情を得られたが、本作では割とあっさりとした展開であったため、パンチが足りないような印象を受けた。

ただ、科学的な内容は綿密な取材をしているのが伺え、知的好奇心が刺激された。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

どうやら長編らしい。この続きもあるようだ。
正直ヴォイニッチをよく知らないとあまり魅力的に感じられないのかもしれない。
集団事件や薬物、毒、占い、宗教…闇鍋のような作品だが、ホラーというよりはSFである。
科学的根拠に基づこうとするあまりそれがなんなのかわからない怖さは無い。お化けなどのオカルトな怖さを求めるならばおすすめはしないがバイオテロ的な怖さやパニックホラーを望むならば読んでみても良いのかもしれない。私は続編が出たら読むし、それまでは、らせん シリーズを読んで待っていようと思う。好き。読むのはかなり時間がかかった。なぜならば先が予測できてしまう題材だったからだ。

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2025年07月11日

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