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原因不明の連続突然死事件を調べる探偵の前沢恵子は、かつて新興宗教団体内で起きた出来事との奇妙な共通点を発見する。恵子と異端の物理学者・露木眞也は「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性に気づく。だがそのとき、東京やその近郊では多くの住民の命が奪われはじめていた――。 装画/Sarah Jarret 「Woodland Sleeper」 装幀/坂野公一(welle design)
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Posted by ブクログ
ホラー小説は、あまり好きではない。しかし、植物がテーマならば読んでみる価値があると思った。 地球生命の全重量の99.7%を占める植物を、単なる「優しい、無害な存在」としてではなく、実は地球の生命の進化を操り、人類を含む動物たちを「利用」してきた主役であるという視点で書かれている。地球には、圧倒的...続きを読むに植物が多いのだ。 『ユビキタス』とは、植物が地球生命の歴史において支配的な役割を担い、人類の進化にも深く関わってきたということを意味する。植物の「遍在性」や「地球全体を覆う存在」という側面が強調され、情報技術ユビキタスとは異なる文脈で「ユビキタス」という言葉が使われている。 ほんのわずかな存在の人間が自分たちこそが地球の支配者であると傲慢に振る舞ってきたことへの警鐘が鳴らされる。自然や他の生命体に対する無自覚な行為が、最終的に人類自身の危機を招く可能性をテーマとする。地球の生命史、人類史を駆使して、生物学、物理学、量子論といった科学的な知識に加え、キリスト教、特に中世の異端とされたカタリ派の思想、そして哲学的な問いをして、なぜ植物が生命を支配しているかを解明する。科学的な根拠に基づいた生物的な恐怖、そして地球規模のスケールで人類の存在意義を問う、知的で壮大なホラーサスペンスとなっている。 ここで登場する謎に包まれた古文書『ヴォイニッチ・マニュスクリプト』は実在し、1912年にポーランド系アメリカ人の古書収集家ウィルフリッド・ヴォイニッチがイタリアで発見した、未解読の文字で書かれ、奇妙な挿絵が多数描かれた謎の古文書(写本)である。「世界で最も神秘的な本」「世界最大の奇書」などと呼ばれ、現在に至るまで、その作者、内容、目的、言語など、ほとんどのことが不明のままである。 放射性炭素年代測定により、15世紀初頭(1404年から1438年頃)に制作されたとされている。既知の言語とは異なる、完全に新しい言語で書かれているので、現在のAI技術を持ってしても解読されていない。ほぼ全てのページに、彩色された挿絵が描かれていて、多くの植物が描かれているが、その多くは地球上に実在する植物とは異なる。 太陽や月、星、星座のような図形が描かれており、天文学や占星術に関連する本である。裸の女性が水槽やプールのようなものに浸かっている絵、内臓らしきものが描かれた図などがある。その物語を解読することも、本書の面白さだ。こういうことを見つけて、題材にするということが、鈴木光司たる所以だろう。 本書の物語は、南極の厳しい気候の中で、南極の深層の氷を採取して、古代の気候環境を調べる調査活動をしている。1957年より南極観測隊が始まっている。掘り下げた深度は3000メートルを超えている。その南極観測船「しらせ」の運用が海上自衛隊に委託されていて、しらせに乗っていた海上自衛官阿部豊が、お土産として友人に送る場面から始まる。南極の氷をウイスキーに入れて100万年前の空気のプチプチと音がすることを楽しむということが知られていた。その氷を摂取した者たちが次々と原因不明の突然死を遂げるという異常事態が発生する。 この連続突然死事件の謎を追うのは、私立探偵の前沢恵子である。彼女は、亡くなった息子の忘れ形見である孫の存在を探すという個人的な依頼も抱えており、その調査の中で、15年前に新興宗教団体内で起きた集団死事件と南極の氷による死のの奇妙な共通点を発見する。 恵子は、この奇妙な現象と事件の関連性について、医者であるが異端の物理学者である露木眞也に相談し、共に調査を開始する。二人は、謎に包まれた古文書「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性にも気づき、事態はさらに複雑な様相を呈していく。露木の2年後輩の医師麻生敏弘がその古文書を解読していた。敏弘も謎の死を遂げるが、敏弘の愛人だった中沢ゆかりがその秘密を持っていた。中沢ゆかりは『夢見るハーブの会』という新興宗教に入っていた。その新興宗教の幹部たちが集団で死ぬという事件も起きた。 この中で、著者は、植物が持つアルカロイドが、人間のドーパミン報酬経路に影響があるということから、アダムとイヴが食べた禁断の果実には、アルカロイドがあったことを示唆する。その禁断の実は、善悪を知る木である。「善悪を知る」ことは、神のみが持ち得る知識や、物事の真理・本質を見極め、善悪を判断する絶対的な能力を意味するものである。人間は被造物であり、その認識には限界が存在する。しかしながら、この実を食べることにより、人間は神の領域に踏み込み、自らの判断で全てを「善し悪し」と正しく判断する力を得ようとしたとされる。 聖書の創世記2章16-17節には、神がアダムにこう命じた。 「主なる神は人に命じて言われた、『園のすべての木から、あなたは思いのまま食べてよい。しかし、善悪を知る木からは、食べてはならない。それを食べる日には、あなたは必ず死ぬであろう。』」 創世記3章6節には、イブがその木の実を食べたときの描写がある。 「女が見ると、その木は食べるのに良く、目には美しく、また賢くなるために好ましいことがわかったので、その実を取って食べ、また夫にも与えたので、夫も食べた。」 禁断の果実とは、善悪を知る木であり、通説で言われているりんごではない。 ラテン語で「悪(evil)」を意味する「malum」という単語は、「リンゴ(apple)」を意味する「mālum」と非常に似ている。(発音は異なるが、スペルが似ている)。中世ヨーロッパにおいて、聖書がラテン語で読まれることが多かったため、この語呂合わせがリンゴというイメージを結びつけた一因とされる。 さて、南極の氷には、感染性シアノバクテリアがいたのだ。そのシアノバクテリアは、クロロフィルを持っており、光合成ができる。その酸素発生が、地球上で植物を繁殖させた。そこで、作者はクロロフィルと血液の主成分である赤血球内のヘモグロビンの構造が似ていることに着目し、クロロフィルの中心にはマグネシウムがあり、ヘモグロビンの中心には鉄がある。その感染性シアノバクテリアにかかると、ヘモグロビンの中心が、鉄からマグネシウムに変換され、緑色細胞が生まれるのだ。そして光合成人間ができるのだが、死んでしまう。アルカロイドの産出も行われる。 それを謎解きしながら、感染性シアノバクテリアの増殖を露木らが阻止するという物語だ。 随分と読み応えがあり、仮説がおもしろく、その仮説は現実の植物の中に組み立てると面白いなと思った。植物の毒性をアルカロイドだけに限定しているが、植物の毒は、アルカロイドだけでなく、シアン配糖体、サポニン配糖体、アントラキノン配糖体、ジテルペンなどもある。しかし、ここでのアルカロイドに関する仮説は、いろんなことを考えることができる。
甘めの星5。 「天使の囀り」的な趣きの序盤から、 新興宗教の集団死事件と人探しが絡み合う中盤までは ワクワク感が強かったけど、 中盤以降はスケールが拡がって読み心地が変わっていく。 ここが楽しめるかどうかで評価が分かれるところかなと思う。 SFホラーとパニックホラーの色合いが濃い終盤は 個人的...続きを読むにそこそこ楽しめたけど、 置いてけぼり感・ついていけない感を 持つ人もいるかなと思う。 全体として、楽しめた作品でした。
子どもの頃から植物ってふと見ると怖い形状してると思ったことがある。そんな思いを膨らませた、まさに植物サイエンス・フィクションであり、まさかこんなになるか?というほどの壮大なスケールで描かれる。単にリングの作者の新作だーという軽い気持ちで読み始めた自分としては度肝を抜かれる展開。理論的根拠もなんとなく...続きを読む納得できるような内容であり、生物選択でよかったてす。
恐ろしい… 人間は植物のパシリ。。。 時代や環境に応じて変化し、踏まれても、抜かれても再生する植物の生命力やしたたかにゾワッとする。 全ては植物の思いのままなのかも… と考えずにはいられない。 さすが鈴木さん。 重厚なホラー小説です。
鈴木光司さんは、初めてよみましたが面白かった。 ホラーのイメージでしたが、ホラーでは、くくれない気がします。 植物が意思を持って人間をコントロールしようとする…はたまた人間に言語を司ったのは植物だなんてよく考えつくなぁとびっくりです。 ところどころ難しくて理解しきれなかったけど、面白かったです。
ホラーかと思ったら完全にSFだった。SFは興味がないジャンルだったので読んだことなかったが、SF作品が好きな人は賢い人が多い印象だったのはこういうことかと思った。アホな自分は頭痛いし眠くなって何度も挫折しそうになりながら読んだ。 近所に森があるくらい自然豊かな田舎住みの自分は植物の名前にも疎いので...続きを読む外が怖いくなった。植物め!野菜いっぱい食ってやるからな!
「人間が生きることを許されているのは、植物の意に沿うように動いているときだけなのだ。」本文より 以下ネタばれ?!アリマス 本書は植物の視点から地球史を見直すという切り口ですが、まさに目から鱗でした。 地球の長い歴史の中で、人間の歴史はほんのわずかといわれています。 その人間は今、地球にやさし...続きを読むく、緑を守ろうと言っていますが… 「…緑を守る?思い上がりも甚だしい。」 と本書は手厳しいです。まあそうかもしれませんが。 かつて瀬名秀明さんは『パラサイトイヴ』でミトコンドリアが意志を持ったら…というシミュレーションをしてくれました。 鈴木さんは今回シアノバクテリアで物語を創造してくれました。 個人的には次回ドーパミンが人間を支配する物語を作ってもらいたいのですが…。
いやあ〜〜壮大な話だった 植物の重量は99.7% 動物はわずか0.3%だって ちっぽけな存在 植物に操られているって考え方が今まで無かった でも植物が無かったら生きていけないよなぁ 無意識のうちに植物は動物よりも劣っていると考えてしまっていたかもしれない 人間に見くびられようがられまいが、植物は...続きを読む変わらずそこにあり続けるんだろうけど 読み始めは、南極で色々やってくほのぼのな話かなと思ったら、どんどん暗い感じになってった 死体とかの描写がリアル 科学的な話は難しいところもあって時間がかかったけど、最後まで楽しく読めた 第六台場に行っちゃうあたりから話がぶっ飛んでる感じした
結構面白かったんですけど、微妙に既視感があるところとか、年代的に現代ではなくちょっと前くらいの価値観、言葉遣いだな、とかそういう引っ掛かりが幾つかあって素直に楽しめなかったかなーという感じでした。
202※年、南極大陸から氷が四つの家庭に届けられます。 届けられた家庭ではその家の主人がみな死亡してしまいます。 自然食、自然農法、サイコセラピー、スピリチュアル、楽園思想、心霊主義の主に植物を扱っていた新興宗教団体『夢見るハーブの会』の信者で共同生活を送っていた八人のうち七人が窓から飛び降りて死...続きを読むぬという事件が起きます。 探偵事務所の前沢恵子は調査を依頼され物理学者の露木眞也とともにこの二つの事件を追っていきます。 そして『夢見るハーブの会』で一人生き残った、信者の中沢ゆかりにたどりつきます。 中沢ゆかりは教祖の娘でした。 なぜ七人が飛び降りたのに、中沢ゆかりだけが助かったのか…? 事件の鍵を握る人物です。 恵子はゆかりが他人の名前で占い師として働いているのを見つけますが…。 『リング』以来の鈴木光司さん。 これはジャンルとしてはミステリーではなくSFなのかなと思いました。 私は新興宗教とか占いとかの不思議なものに興味があってあらすじを読んだら読みたくなりました。 そして作者が鈴木光司さんとくれば読みたくなるのは当然でした。 登場人物の出生の秘密あたりまでは、面白かったのですが、最後の方は主人公が〇〇になってしまい、〇〇と××の戦いみたいな世界観にはちょっとついていけませんでした。 面白いところもあったのですが、読む前の期待値があがりすぎていたようです。
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