あらすじ
原因不明の連続突然死事件を調べる探偵の前沢恵子は、かつて新興宗教団体内で起きた出来事との奇妙な共通点を発見する。恵子と異端の物理学者・露木眞也は「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性に気づく。だがそのとき、東京やその近郊では多くの住民の命が奪われはじめていた――。
装画/Sarah Jarret 「Woodland Sleeper」
装幀/坂野公一(welle design)
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Posted by ブクログ
あるゆる動物は植物に支配されている。その植物の野望が恐ろしかった。ある不自然な死から植物まで辿り着く過程が論理的でおもしろかった。最後の展開は小説らしく飛躍がすごい!
Posted by ブクログ
最近、書店の本棚の移り変わりを眺めていると、「植物の知性」が一つ流行りのテーマとなっているように感じる。
動物史として描かれる自然史を植物の側から再解釈して、それを一つのスペクタクルにまとめ上げる。
植物学だけでなく、南極氷、ヴォイニッチ写本やカルト宗教など、複数のテーマをコラージュのようにまとめ上げる腕はさすが鈴木光司!と感嘆。
リングが有名すぎてホラー作家という印象が強いが、ループや本作など、SF作家としてもっと評価されて良いのでは?と感じる
Posted by ブクログ
南極の奥深くで氷に閉ざされ眠っていた殺人バクテリアが、南極隊員の"お土産の氷"として日本に上陸!バクテリアによる連続不審死の謎を追うのは、探偵の前沢恵子と、異端の物理学者、露木眞也。ジャーナリストと雑誌記者も加わって、人類を滅ぼしかねない"南極シアノバクテリア"の駆逐に挑んでいく‥。
生物や物理、化学、宇宙。これらの難しい話を、極力わかりやすく、露木や他の専門家のセリフにして読者に提示してくれる。正直、なんとなくしか理解してないけど、学生に戻って授業を受けている気分になれる。そういう難しい話を土台に、シアノバクテリアがいかに生まれ、いかに現代に蘇ったのか、そして、何を目的としているのかが語られていく。バクテリアの繁殖には、植物が深く関わっていて、植物がまるで意思を持って人間を操っているかのように話が進む。荒唐無稽な話が、まあまあの説得力を持って語られるので、現実でも起こり得るのでは‥なんて考えちゃったりして。
露木たちの命懸けの奮闘で、とりあえず人類絶滅は免れたのだけど、なんだか不穏な終わり方をしている。大丈夫か人類‥。
面白かったけど、疲れた。そして読み終わる頃には、あちこちにある木や草、植物がちょっと怖くなる人が多いに違いない。
Posted by ブクログ
都内近郊で、男性が突然死するという事件が
連続で発生。南極観測船の乗組員が帰国の際に
持って帰った南極の氷を土産としてもらっていた
ことが彼らの共通点だった。
富豪の老夫妻から孫を探してほしいとの依頼を
受け、探偵の前沢恵子は、夫妻の亡くなった息子、敏弘が生前に付き合っていた女性の調査を開始する。その女性は以前、新興宗教団体
「夢見るハーブの会」で起きた集団変死事件の
生き残りだった。
一見、関係ないような事柄に共通点を見つけた
恵子は、物理学者の露木、ジャーナリストの
上原、雑誌記者の有里と共に真相を追う。
‥‥というのが、おおよそのストーリー。
何百年も前の大気を取り込んだ南極の氷に
絶滅した微生物が冷凍保存されていた。
眠りから醒めた正体不明のバクテリアが
再び行動を始める‥(ごめんなさいネタバレです)
「地球生命全重量の99.7%を占める植物に対して、
動物の重量はわずか0.3%に過ぎない。」
‥人間は、つくづく小さな存在であり、実は植物に
よって支配されている‥
「脚のない植物が自らの身体を運搬しようとするとき、もっとも有用な存在は人間だ。だから植物は、哺乳類の中から運び屋の素質がありそうな種を
選抜し、言語を与えて育てた。」
小説の内容はあくまでもフィクションだけれど、
植物はもしかすると、ひそかに人間に対して
何かをしかけ始めているのかもしれない。
今年の猛暑で異常発生した、アオコのニュースを
思い出して、ちょっとぞっとした。
題材は面白いと思うが、他の方が書かれている
レビューにもあるように、本筋に関係のない
シーンや解説が多く、少し読みづらく感じた。
この小説は、好きな人と嫌いな人が、はっきりと
分かれるのだろうと思う。
Posted by ブクログ
地球の大半を占める植物が人間を操作しているという点は興味深く、本当にそういう部分もあるのではと思えたほど。
やや偶然性が強く、すっと流れない部分を感じました。
最後の展開は自然界の争いによるもので、自然の力には人間など小さな存在だと感じました。
Posted by ブクログ
ヴォイニッチ手稿、新興宗教、集団死など気になるワードが多く、帯にもホラーと書いてあったため購入。
中盤まではかなり理詰めでおもしろかったが、オカルトホラーと思い読み進めていた中で後半から植物の意思や根っこで襲ってきたりなど突然SF?ぽさが出てきて萎えた。
子供の正体や集団死の死因は伏線の時点でわかりやすいし、最後は丸く収まっておしまい。