あらすじ
原因不明の連続突然死事件を調べる探偵の前沢恵子は、かつて新興宗教団体内で起きた出来事との奇妙な共通点を発見する。恵子と異端の物理学者・露木眞也は「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性に気づく。だがそのとき、東京やその近郊では多くの住民の命が奪われはじめていた――。
装画/Sarah Jarret 「Woodland Sleeper」
装幀/坂野公一(welle design)
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Posted by ブクログ
『リング』で平成ホラーの金字塔を打ち立てた鈴木光司。だが私は以前から、彼をむしろSF作家として読んできた。『らせん』『ループ』と進むにつれ、物語は怨霊の恐怖を離れ、遺伝子、進化、仮想現実へとスケールを広げていったからだ。
遺作『ユビキタス』は、南極観測隊が持ち帰った「あるモノ」から始まる。原因不明の死、異常な植物の繁殖、宗教団体の集団死、ヴォイニッチ写本。一見ばらばらな謎が、植物という一本の幹に結ばれていく。
中心にあるのは、人間は本当に地球の支配者なのか、という問いだ。『サピエンス全史』には、人間が小麦を栽培したのではなく、小麦が人間を家畜化し、自らの活動領域を広げたというくだりがある。本作はその逆転の視点を認知革命にまで押し広げ、人類の知性や冒険心さえ植物の生存戦略だった可能性を突きつける。
こじつけ感はやや強く、説明が前面に出る場面も少なくない。それでも荒唐無稽な仮説を巨大な問いに変える力は、まぎれもなく鈴木光司のものだ。68歳。あまりにも早い死だった。本作は全四部作の第一部だった。続きはもう読めない。彼が最後に播いた問いの種が、どんな物語に育つはずだったのか。惜しまずにはいられない。
Posted by ブクログ
壮大で読みやすく、哲学的な話を含み、南極殺人バクテリアは怖いんだけど……なんだか、フィクションだからこその大味なところがあるような。
面白いかどうかというと面白い。しかし本から顔を上げて我に返ると、何か変じゃねって思ってしまう。都合が良すぎると言うか。一応の根拠は色々書いてあるけど、辻褄を合わせるために仕方なくこうしましたって感じ。学問を修めた登場人物の「神秘を感じざるを得ない」「明らかに何者かの意図が見られる」「何という偶然だろう」で話が進んでいく。そこに説得力を出してこその小説ではなかろうか。
内容自体も既視感というか、人間は植物に支配されているとか、植物が人間を進化させたとか、植物の擬人化とか、聞き覚えがある。人間中心論と言われればそれまでだが、ううむ。
あんまりヴォイニッチ手稿の意味がないし。そもそも、じゃあどうやってヴォイニッチ手稿は書かれたんだよ。マヤ文明とキリスト教異端の関係は何なんだよ。女性が風呂に入っているような絵は何なんだよ。「読んでもらったら困るけど読んでもらいたい本」っておかしいだろ。愉快犯か。まあそんな雰囲気で話は終わる。
Posted by ブクログ
まるで映画を見ているような本だった。
もしもの話としてはとても面白かった。危機を脱するだけでも良かったのだけど、新人類の誕生まで話が発展するところは植物の支配がまだまだ終わってなさそうでドキドキした。
マルチバースの件はあんまりいらないんじゃないかなと、できるだけ不思議要素はない方が好み。
最後の方の、お互いの体を調べるエッチなシーンに笑ってしまって……
あと、人類大ピンチなのに、恵子の子供が全く出てこないのもどうなのかと思った。母子家庭なのに子供に相談もなく再婚決めるのかと。
Posted by ブクログ
鈴木光司さんの本は初めて読んだ。
中学生の時、あんだけリングに夢中だったのに。これのジャンルは何だろう
SFかミステリーかホラーか…………
とにかく自然が1番怖いなと思う。
全く未知の想像や予測がつかない自然。
いつも読み終わったら参考文献もみるんだけど、著者は全て読んでるのかな、参考文献めちゃくちゃある。でも読んでないとこれだけの壮大なストーリーは出来ないよな。ほんで新人類が誕生したけどどうなるんだろう。終わりは希望しかない!って感じだったけど。細菌こわい、ますます引きこもりが加速する。
追記:これを読んだあとに映画「ノウイング」をみたんだけど、意識的に聖書が頭の中にあったのか………たまにこういう一致があるから不思議。いやたまたまか
Posted by ブクログ
仮説が全て現実になっている印象。大体合ってる方がリアリティがあったのに。
植物が支配者という発想はとってもおもしろいんだけど説明がくどすぎて理解が追いつかないとこがあった。
Posted by ブクログ
都内近郊で、男性が突然死するという事件が
連続で発生。南極観測船の乗組員が帰国の際に
持って帰った南極の氷を土産としてもらっていた
ことが彼らの共通点だった。
富豪の老夫妻から孫を探してほしいとの依頼を
受け、探偵の前沢恵子は、夫妻の亡くなった息子、敏弘が生前に付き合っていた女性の調査を開始する。その女性は以前、新興宗教団体
「夢見るハーブの会」で起きた集団変死事件の
生き残りだった。
一見、関係ないような事柄に共通点を見つけた
恵子は、物理学者の露木、ジャーナリストの
上原、雑誌記者の有里と共に真相を追う。
‥‥というのが、おおよそのストーリー。
何百年も前の大気を取り込んだ南極の氷に
絶滅した微生物が冷凍保存されていた。
眠りから醒めた正体不明のバクテリアが
再び行動を始める‥(ごめんなさいネタバレです)
「地球生命全重量の99.7%を占める植物に対して、
動物の重量はわずか0.3%に過ぎない。」
‥人間は、つくづく小さな存在であり、実は植物に
よって支配されている‥
「脚のない植物が自らの身体を運搬しようとするとき、もっとも有用な存在は人間だ。だから植物は、哺乳類の中から運び屋の素質がありそうな種を
選抜し、言語を与えて育てた。」
小説の内容はあくまでもフィクションだけれど、
植物はもしかすると、ひそかに人間に対して
何かをしかけ始めているのかもしれない。
今年の猛暑で異常発生した、アオコのニュースを
思い出して、ちょっとぞっとした。
題材は面白いと思うが、他の方が書かれている
レビューにもあるように、本筋に関係のない
シーンや解説が多く、少し読みづらく感じた。
この小説は、好きな人と嫌いな人が、はっきりと
分かれるのだろうと思う。