鈴木光司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
先日「恐怖」を読み、こちらも気になったので読みました。こちらの方が、より身近に潜む狂気や絶望を描いている感じがあって、身に迫る怖さがあった気がします。特に印象的だったものだけ、感想を残そうかな。
「よけいなものが」ー井上雅彦
この短さで、こんなに身近な違和感を描くことができるのか!と驚嘆しました。なにが「よけいなもの」だったのか、何度も読み直してしまった。
「五月の陥穽」ー福澤徹三
これも、身近なところに潜む絶望に次ぐ絶望が恐ろしかった。希望も救いも何もない。ブラックホールに吸い込まれるような気持ちを味わいたいとき、もう一度読みたい。
「鳥の巣」ー今邑彩
やっぱり人間が一番怖い!と思ったところで襲ってくる違和感の数々。何が現実で何が怪奇なのか、主人公と同じものを見て感じながら、不気味な世界に取り込まれていく感じが楽しかった。
2026.10 -
Posted by ブクログ
ホラー苦手なわたし、まさか2026年になって初めてリングを読むことになろうとは・・・
小説よりも映画の印象が強くて、っていってももちろん怖いから観てないんだけど、たしかコンセントが刺さっていないはずのブラウン管のテレビの画面から髪を振り乱した貞子が出てきて、カサカサカサって変な体勢で追いかけてくる、みたいなシーンがあったって聞いたことがあったような気がして(何もかもうろ覚え)、いやいやそんなん見ただけで震え上がって死んでしまうわと思って今まで放置してきたのだけど。知り合いと食事に行ったときに、映画と小説は全然違うんだ、小説はただのホラーを超えたもっとすごいというか深いというかそういうテーマを描いているんだ、みたいな話を聞いて、なるほどそれならと思い立って、読んでみたのであった。
スピーディーな展開と、キャラクターが立った登場人物たちの軽妙な会話にかなり没頭して、あっという間に読み終わった。しかし、いかんせんタイミングが悪かった。ちょうど長距離移動の日があったので、その高速バスの中で読んでいたのだけれど、読み終わって、目的のバス停で降りたら夜。車通りの少ない田舎街の一本道。一人。徒歩。いやこれやばいやつやん。後ろ振り向けないやつやん。誰かとスマホでテレビ電話でもしようかと思ったけど、インカメラに映る自分の後ろの暗闇になんかoopsなものが映り込んじゃう可能性とか考えたらそれも無理なやつやん。小説の終わり方が妙に開けているというか、物語は終わったんだけど厳密には何も終わっていないという感じだったので、なんかどこか他人事じゃないような気がしてしまって、まぁそんなことはないんだけど、でもやっぱりちょっとひぃ〜と思いながらひたすら進行方向だけを睨みつけて、ガシガシと無心で20分間歩き続けたのであった。
これまで、映画化された作品を小説で読むと、なんか文章が薄っぺらいというか浅いというか、そういう印象を持ってしまうことが多々あるけれど(凄まじい文才に圧倒されたくて本を読んでいるから)、この本はおもしろかったし文章としても読み応えがあった。シリアスな部分とちょっとコミカルな部分がいい具合に混ざり合っているのが良かった。続編も読む。っていうかもうこうなったら角川ホラー文庫の鈴木光司作品、全部読んでやる。 -
Posted by ブクログ
子供の頃に映画でしか見たことがなく、貞子がテレビから這い出てくるイメージが強かったが、原作は全く印象が違うと聞いてずっと気になっていた作品。
読んでみて、確かにホラーというよりはミステリーという印象のほうが強く、先が大体わかってるにも関わらず、先が気になって一気に読んだ。
映画の記憶が曖昧だけど、映画に比べて貞子にたどり着くまでの道のりが結構長く、その分リミットが刻々と迫ってくるのがハラハラして楽しめた。
だけど、全然怖くなかったーなんて思ってたら、読んだ日の夜に悪夢を見て、起きたときには貞子の呪いをとかなきゃとか思ったので、しっかりビビってた。
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Posted by ブクログ
ネタバレ『リング』で平成ホラーの金字塔を打ち立てた鈴木光司。だが私は以前から、彼をむしろSF作家として読んできた。『らせん』『ループ』と進むにつれ、物語は怨霊の恐怖を離れ、遺伝子、進化、仮想現実へとスケールを広げていったからだ。
遺作『ユビキタス』は、南極観測隊が持ち帰った「あるモノ」から始まる。原因不明の死、異常な植物の繁殖、宗教団体の集団死、ヴォイニッチ写本。一見ばらばらな謎が、植物という一本の幹に結ばれていく。
中心にあるのは、人間は本当に地球の支配者なのか、という問いだ。『サピエンス全史』には、人間が小麦を栽培したのではなく、小麦が人間を家畜化し、自らの活動領域を広げたというくだりがある。本作はその逆転の視点を認知革命にまで押し広げ、人類の知性や冒険心さえ植物の生存戦略だった可能性を突きつける。
こじつけ感はやや強く、説明が前面に出る場面も少なくない。それでも荒唐無稽な仮説を巨大な問いに変える力は、まぎれもなく鈴木光司のものだ。68歳。あまりにも早い死だった。本作は全四部作の第一部だった。続きはもう読めない。彼が最後に播いた問いの種が、どんな物語に育つはずだったのか。惜しまずにはいられない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ壮大で読みやすく、哲学的な話を含み、南極殺人バクテリアは怖いんだけど……なんだか、フィクションだからこその大味なところがあるような。
面白いかどうかというと面白い。しかし本から顔を上げて我に返ると、何か変じゃねって思ってしまう。都合が良すぎると言うか。一応の根拠は色々書いてあるけど、辻褄を合わせるために仕方なくこうしましたって感じ。学問を修めた登場人物の「神秘を感じざるを得ない」「明らかに何者かの意図が見られる」「何という偶然だろう」で話が進んでいく。そこに説得力を出してこその小説ではなかろうか。
内容自体も既視感というか、人間は植物に支配されているとか、植物が人間を進化させたとか、植物の擬人化とか、聞き覚えがある。人間中心論と言われればそれまでだが、ううむ。
あんまりヴォイニッチ手稿の意味がないし。そもそも、じゃあどうやってヴォイニッチ手稿は書かれたんだよ。マヤ文明とキリスト教異端の関係は何なんだよ。女性が風呂に入っているような絵は何なんだよ。「読んでもらったら困るけど読んでもらいたい本」っておかしいだろ。愉快犯か。まあそんな雰囲気で話は終わる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映像から文字、そして映画へ...終盤の貞子拡散のスピード感は今までのホラーテイストなじわじわと迫る恐怖に比べると、急すぎて、理屈としてもあまり納得いかんなぁと思ったが、見方を変えればホラーからSFへの鮮やかなシフトチェンジともとれる。確かに論理的には可能なのだ。ただそれがホラーの分脈ではなくなっただけ。
じっとりとした土着的とも言えるホラー(井戸なんかは番町皿屋敷を意識させる)と人類の黄昏を描くSFを遺伝子という普遍的なファクターでこうも見事に繋ぎ合わせることができるのか。オカルト的な怪異である貞子が自らの言葉で語りだした瞬間、人類を滅ぼそうとする宇宙的スケールの侵略者となる。この変身が面白い。
ホラーに収まらない小説ではあるが、描写の怖さはリング以上だと思う。特に高野舞の部屋を訪れる場面と、貞子とエレベーターで鉢合わせる場面は素晴らしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレニュースを見て、シリーズを再読しようと久しぶりに手に取りました。
どんどん事実が明らかになり謎が解明されていき、これからどうなっちゃうのか鳥肌が立つ。やっぱりらせんは面白い。
ビデオテープが懐かしい。ダビングや上書き、した事がない若い人はきっとりんぐのホラー感やらせんの論理の腹落ち感が違うんだろうな。公衆電話から連絡したり、ファックスで写真を送ったり、本にならないと世の中の人に広く伝えられない原稿だったり。時代独特の情報の集めにくさが、より恐怖を増している気がするし、登場人物しか知り得ない状況が貞子の再生を後押ししてる気がする。
ハリウッド版ザ・リングでテレビから這い出る解像度が高いよく動くモンスター貞子を観て笑ってしまってから、貞子はあまり怖く無くなってしまった。酷い目にあった貞子が生き返るのを応援したくなるような、不思議な感覚でらせんを再読してしまった。