鈴木光司のレビュー一覧
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面白かった。
途中旅のシーンで少し中弛み感があったが、ループというプロジェクト、なぜ世界がガン化しはじめたのか、最後の螺旋のシーンへと繋がる部分など怒涛の伏線回収はお見事。
ループは現実世界の物理条件を完全に再現した仮想空間であるのに、生命の自然発生はしなかった。
なので神が操作を加えた。
→ということは、現実世界でも生命の自然発生はなかったはずなので、神が操作を加えた。
→現実世界にも上位概念となる「世界」がある。
この背理法的な考え方好きです。
よく世界はパラレルワールドでいろんな世界が同時に存在しているっていうのがポピュラーなのかなと思ったけど、この小説を読むと並列というよりかは直 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ貞子の呪いは伝播するーー。 ある学校に静かに伝わる不気味なおまじない。それは「あることをすると、”サダコ”が井戸の底からやって来る」というものだ。やがて、あることを実行した者達の回りでおかしな事が起こり始め……。 *** 言わずと知れたジャパニーズホラーの金字塔『リング』より山村貞子が児童書ホラーに出張。しかも、この作品は他の社で出ている映画のノベライズ版ではなく、貞子を題材にしたオリジナル。ある小学校の裏側にひっそりとたたずむ古井戸。その井戸が存在するためか、その学校ではある『おまじない』その感情は様々だが憎しみ、嫉妬、恨みなど人間の負の感情ばかり。そんな人間が誘われるように貞子怪談の噂を知
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購入済み
おもしろい!
『リング』『らせん』は単発で読んだのですが、復習も兼ねて一気に読みたくなり合本版を購入。
初めから読んで良かったです。
長いけど一気にいきました。
最後は話が繋がり満足しました。 -
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作者はリングシリーズの鈴木光司さん。
特攻をテーマにしておりこの本の厚さから『永遠の0』を思い出してしまう。
主人公はテレビディレクターの雪島忠信、人妻である倉沢菜都子と不倫中!?
そんな雪島がある時ほんの閃きから神風特攻隊をテーマとしたテレビ番組を作りたいという気持ちに駆られてしまう?
雪島と菜都子の不倫と特攻調査の話と戦時下の日本を舞台としたパートが変わるがわる・・・
次から次へと気になりだしてアッという間の579ページでした!
是非、終戦の日の前にお読み下さい。
本文中の言葉を借りれば、このレビューが目に入ったのもきっと必然なのです。 -
購入済み
何年ぶりかで
再読しました。
初めて読んだのは高校生の頃で、その後映画が大ヒットし、貞子そのものがコンテンツのようになり···映画も怖かったですが、この作品はやっぱり小説の方が怖いな、と改めて思いました。
得体が知れないのが一番恐怖です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ1890年和歌山県串本町で起きたエルトゥールル号遭難事故。その際に生まれた日本とトルコの繋がり。それぞれの子孫が一世紀以上の時を経て出会い、過去の記憶を掘り起こし、未来に繋いでいく。
歴史としての興味から手に取ったが、生命誕生の奇跡と人生における出会いの大切さ、そしてだからこそ生きて命を繋いでいく必要性があるんだ、ということが強く印象に残った。特にP263〜266では、死の寸前に立つ水輝が生の誕生を、精子が放出され、母親の胎内で徐々に形作られていくシーンを教科書的に、思い描く。そもそも自分が生まれてきたのはとてつもない奇跡であること、そしてその中での出会いはさらに奇跡的であることを考えさせら -
Posted by ブクログ
『特攻に出撃するまでの葛藤と苦悩がよほど大きかったせいか、無人島で生きることが過酷と思わないのだ。むしろ快適でさえある。なにしろここには不合理がなかった。もっと厭うべきは、不合理と集団が結び付いてもたらされる、無形の圧迫である。重く澱んだ集団の空気は、世界を狭く、住みにくいものとする。何が嫌といって、小さな檻の中に閉じ込められるのだけは、まっぴらだった。鉄製の檻ならばまだしも腕力でどうにかなる。だが、目に見えぬ情緒によって形成された檻は、破りたくても簡単に破ることができない。』
『永遠の0』より好きだな。空気に支配されて個を喪失する日本の集団主義の中から、いかにして自由になるか。過去と現在の