【感想・ネタバレ】ブルーアウトのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

1890年和歌山県串本町で起きたエルトゥールル号遭難事故。その際に生まれた日本とトルコの繋がり。それぞれの子孫が一世紀以上の時を経て出会い、過去の記憶を掘り起こし、未来に繋いでいく。

歴史としての興味から手に取ったが、生命誕生の奇跡と人生における出会いの大切さ、そしてだからこそ生きて命を繋いでいく必要性があるんだ、ということが強く印象に残った。特にP263〜266では、死の寸前に立つ水輝が生の誕生を、精子が放出され、母親の胎内で徐々に形作られていくシーンを教科書的に、思い描く。そもそも自分が生まれてきたのはとてつもない奇跡であること、そしてその中での出会いはさらに奇跡的であることを考えさせられる点で印象的である。

ダイビングの経験がなくとも、船や海の知識に乏しくとも、難しい専門知識は連なっていないため読みやすく、また過去と現在の両方の海難事故はとてもリアルで、サスペンスフルで、ドラマとしても非常に楽しい一作。

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2019年10月13日

Posted by ブクログ

1890年の「エルトゥールル号遭難事故」を元に書かれた、爽やか系小説です。
終始、串本のキレイな海がイメージされる清涼飲料水のような月9的物語。(恋は無いけど)
たまには、こう言う分かりやすく、誰も撃たれたり刺されたりしない話もいいですね。

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2023年12月26日

Posted by ブクログ

鈴木光司さんといえばホラー小説のイメージがある(私もそう思っている)が、リングを初めて読んだあと次にと思い取りかかったのがデビュー作の楽園だった。楽園の時代を超えたスケールの大きさに圧倒されてファンになったことを覚えている。ファンになったのはリングではなかった。
さて、本作ブルーアウトも時代を超えたスケールの大きさを感じる作品。明治時代に遭難したトルコ船の乗組員たちの物語と、その遺品を探しにきたトルコ人の案内をするダイビングショップの女性の物語が絡み合っていく。
専門用語も多いし、トルコ人たちの名前も耳慣れない。若干の読みづらさがあったことは確か。でも、やはり面白い。解説にも書いてあったが鈴木光司さんの作品をもっと読みたいと感じてしまう。

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2020年10月24日

Posted by ブクログ

1890年に起きた「エルトゥールル号遭難事故」をベースに現代と1890年二つの時代の物語が並行して語られる海洋小説。
現代の主人公は串本のダイビングショップでインストラクターとして働く若い女性・高畑水輝。彼女のもとへトルコ人青年・ギュスカンが訪れるが、彼の祖先はエルトゥールル号遭難の際、生き残ったムスタファだった。高畑家もルーツを遡ると遭難したトルコ人たちの世話をしており、二人は数奇な運命で結びつけられていたという設定。
海底に沈んだ祖先の恩人の遺品を見つけたいギュスカンは水輝とともにダイビングするがアクシデントが起きる。
二人がアクシデントに立ち向かう様子とエルトゥールル号の遭難シーンが交互に描かれるが、それがこの小説の心臓部といえるほど力強く迫力に満ちている。というのも著者は自らヨットを所有し、豊富な航海経験を持っているからだ。
逆にいうと、そこに力点が置かれているため、ストーリーは単純で深みはない。
エルトゥールル号の日本訪問が皇族小松親王のトルコ訪問への返礼だけでなく、海軍士官学校卒業生の練習航海、イスラム教の威厳喧伝を兼ねていたという史実は勉強になった。
エルトゥールル号はトルコの国家財政の悪化で老朽化への対応ができていない上に、推進力にも乏しく、長い航海に不安が持たれていたそうだ。台風への脅威、コレラ禍もあり、乗組員のモチベーションが下がる中でも後戻りできず、起こるべくして起こった事故ともいえることがわかった。



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2021年10月31日

Posted by ブクログ

1890年に和歌山県沖で起きた「エルトゥールル号遭難事故」をテーマにした作品。
救助活動を通して生まれた日本とトルコの絆や、関係者の子孫の新たな繋がり、人の誕生の奇跡、などとても興味深い内容で、一気読みしました。

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2020年11月27日

Posted by ブクログ

エルトゥールル号遭難事件をベースにした小説。著者はあの『リング』で有名な鈴木光司さん。

エルトゥールル号遭難時件から始まった「トルコと日本」の交流は、自分の中では最も関心の高い外交事例だ。

特に、テヘランからトルコ航空機を使って日本人を救出してくれた、いわゆる”100年後の恩返し”は、涙もの。この出来事を知って、トルコが好きになったし、なぜトルコが世界一の親日国であるかも理解できた。今では、いつかイスタンブールに行くことと、和歌山県の串本に行くことが夢になる。

そんなわけで、「1890年、エルトゥールル号遭難」と文庫本の帯に書かれているのを見ただけで、この本を手に取って書店のレジ前に立っていた。

物語は、エルトゥールル号遭難と現在に焦点を絞った作品で、1890年と現在を行き来しながら、進む。よって、舞台のほとんどが「海」。スキューバダイビングやヨットの話がかなり詳しく出てくるが、著者の趣味がこれらのことだからだそう。

結末は、良い意味でほんわか終わってくれるので、安心して読める。

読み終えて、南紀白浜空港にはどういったよいのかをすぐに検索したほど、串本に行きたくなった。

トルコ、エルトゥールル号遭難事件、海洋冒険小説、などのキーワードに興味がある方には是非読んでもらいたい。


ちなみに、この本を読まれた方には、是非この本も手に取ってほしい。

『海の翼』 秋月達郎 著

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2019年07月28日

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