【感想・ネタバレ】ブルーアウトのレビュー

あらすじ

エルトゥールル号遭難に着想を得た海洋小説。

和歌山県串本町のダイビングショップでガイドとして働く高畑水輝。そのもとを偶然訪れたトルコ人青年ギュスカン。彼の目的はいまから125年前、祖先ムスタファを乗せた軍艦「エルトゥールル号」の遭難現場に潜り、「あるもの」を捜すことにあった。バディとして潜る水輝が一瞬目を離した隙に突然視界から消えたギュスカン・・・。1世紀の時を経て、日本とトルコの時空を超えて絡み合うふたりの宿命。それは偶然なのか、必然なのか。1890年に起きた「エルトゥールル号遭難事故」に着想を得て、書き下ろした生命の根源を問う渾身の長編海洋小説。待望の文庫化。「生と死が交錯するスリリングな物語」
(朝宮運河氏「解説」より)

<エルトゥールル号の遭難事故とは>
1890年9月、オスマン帝国の親善訪日使節団を乗せた軍艦「エルトゥールル号」は帰国の途中、和歌山県串本沖で台風に遭遇、遭難し、500名を超える犠牲者を出した。この未曾有の大惨事の中、地元住民たちの献身的な救助活動により、69名の乗組員が奇跡的に母国トルコに生還した。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

1890年和歌山県串本町で起きたエルトゥールル号遭難事故。その際に生まれた日本とトルコの繋がり。それぞれの子孫が一世紀以上の時を経て出会い、過去の記憶を掘り起こし、未来に繋いでいく。

歴史としての興味から手に取ったが、生命誕生の奇跡と人生における出会いの大切さ、そしてだからこそ生きて命を繋いでいく必要性があるんだ、ということが強く印象に残った。特にP263〜266では、死の寸前に立つ水輝が生の誕生を、精子が放出され、母親の胎内で徐々に形作られていくシーンを教科書的に、思い描く。そもそも自分が生まれてきたのはとてつもない奇跡であること、そしてその中での出会いはさらに奇跡的であることを考えさせられる点で印象的である。

ダイビングの経験がなくとも、船や海の知識に乏しくとも、難しい専門知識は連なっていないため読みやすく、また過去と現在の両方の海難事故はとてもリアルで、サスペンスフルで、ドラマとしても非常に楽しい一作。

0
2019年10月13日

「小説」ランキング