鈴木光司のレビュー一覧
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鈴木光司による「リング」シリーズ、第3作。「リング」シリーズは、この後『バースデイ』、『エス』、『タイド』と刊行されているが、本作『ループ』が一応の完結作となっている(「リング」三部作)。
科学者である父親と優しい母親の下、平穏な生活を送る小学生の馨。「自分の存在を含めた世界の仕組みをどうにか解明したい」と夢見て、科学者である父親と自然科学について語り合う日々を送っていた。ある日、地球上のマイナスの重力異常地域と"長寿村"が存在する地域が一致していることに気付く。そのことを両親に話した馨は、その一つであるニューメキシコに家族で旅行することを約束する。しかしその直後、馨の父親が「転移性ヒトガンウイルス」に罹患したことで、その旅行は「約束」のまま履行されることがなかった。
月日が経ち医学生となった馨。ある日、父親の入院先で、入院生活を送る息子に付き添うシングルマザーの礼子と出会う。馨と恋仲になり、馨の子を身籠った礼子だが、彼女もまた「転移性ヒトガンウイルス」に罹患していた。父親、礼子、そしてこれから生まれてくる我が子を救うため、「転移性ヒトガンウイルス」を克服したと噂される地域に赴くことを決意する馨。そこは、かつて両親と旅行を約束していた、ニューメキシコの"長寿村"がある地域であった―――。
『リング』、『らせん』の流れからまさかこんな展開になるとは・・・。ジャンル付けするなら、『リング』→「(バイオ)ホラー」、『らせん』→「バイオホラー」、『ループ』→「SF(ホラー)」といった感じ。1作目を読んだ時点で、誰がこの3作目を予想出来ただろうか。(オカルト要素を全面に出した映画版『リング』と並べたら、もはや「他人」と言えるレベル。)この「とんでも展開」には賛否あるだろうが、個人的には非常に楽しむことが出来た。
あと、『らせん』を読んで違和感のあった、「何でもあり」な強すぎる"ウイルス"の理由が、まさかこのような形で説明されるとは予想だにしなかった。私と同じような違和感を持っている人は、是非とも本作『ループ』まで読んで欲しい。きっとその違和感は解消されるはず。(納得できるどうかは別のお話。)
果たして著者は、『リング』を執筆していた時点でこの三部作を構想していたのかどうかだが、著者あとがきを読む限り、さすがに当初からの構想ではなかったようで。いや、さすがにね・・・。 -
Posted by ブクログ
どれも面白かった。
著書に『リング』がある鈴木光司の作品にはリアルな生々しさがあった。
特に好きだったのがビルとビルの隙間に落ちる『五月の陥穽』。
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角川ホラー文庫約30年の遺産!90年代から現在までの最恐セレクション。
1993年4月の創刊以来、わが国のホラー・エンターテインメントとともに歩んできた無二の文庫レーベル、角川ホラー文庫。その膨大な遺産の中から、時代を超えて読み継がれる名作を厳選収録したベストセレクションが登場。大学助教授の〈私〉が病院で知り合った美しい女性、由尹。ミステリアスな雰囲気をたたえた彼女は、自分の体は呪われていると告げる。ともに暮らし始めた二人だが、やがて悲劇的な事件に見舞われて……。ミステリとホラーの巨匠・綾辻行人90年代初頭に執筆した傑作「再生」をはじめ、『リング』の鈴木光司が東京湾のクルーズ船を舞台に戦慄の一夜を描いた「夢の島クルーズ」、故・今邑彩が角川ホラー文庫のために書き下ろした不穏な物件ホラー「鳥の巣」、の第72回日本推理作家協会賞に輝いた澤村伊智の学園ホラー「学校は死の匂い」など、バラエティ豊かに、ホラージャンルの面白さと可能性を示す全8編。最高にして最恐、これが日本のホラー小説だ。ホラー評論家・ライターの朝宮運河セレクション。
収録作は以下の通り。
綾辻行人 「再生」(『亀裂』、『眼球綺譚』)
鈴木光司 「夢の島クルーズ」(『仄暗い水の底から』)
井上雅彦 「よけいなものが」(『怪奇幻想短編集 異形博覧会』)
福澤徹三 「五月の陥穽」(『怪談歳時記 12か月の悪夢』)
今邑彩 「鳥の巣」(『惨劇で祝う五つの記念日 かなわぬ想い』)
岩井志麻子「依って件の如し」(『ぼっけえ、きょうてえ』)
小池真理子 「ゾフィーの手袋」(『異形のものたち』)
澤村伊智 「学校は死の匂い」(『などらきの首』) -
Posted by ブクログ
鈴木光司さんといえばホラー小説のイメージがある(私もそう思っている)が、リングを初めて読んだあと次にと思い取りかかったのがデビュー作の楽園だった。楽園の時代を超えたスケールの大きさに圧倒されてファンになったことを覚えている。ファンになったのはリングではなかった。
さて、本作ブルーアウトも時代を超えたスケールの大きさを感じる作品。明治時代に遭難したトルコ船の乗組員たちの物語と、その遺品を探しにきたトルコ人の案内をするダイビングショップの女性の物語が絡み合っていく。
専門用語も多いし、トルコ人たちの名前も耳慣れない。若干の読みづらさがあったことは確か。でも、やはり面白い。解説にも書いてあったが鈴木光司さんの作品をもっと読みたいと感じてしまう。