加藤典洋のレビュー一覧

  • 転換期を生きるきみたちへ

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    もうこういった言説にほとんど共感を感じなくなってしまったなー。「現状は危機的だ」「政府はこんなにあくどい」みたいなのって、「ほんとにそうなの?それを示す証拠は?」とまず思ってしまう。

    まあ内田センセイの七色のロジックを楽しめるという点では面白い。

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    2017年09月08日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    これからを生きていく人へ贈るメッセージ。

    日本の現状に危機感を抱いた内田樹が,中高生へとメッセージを送るために様々な人へ文章を書いてくれるよう依頼をした。統一感はあるような,ないような。しかし,皆,日本の現状に(というか,現政権に)危機感を覚えている人たちである。出版されたのは2016年7月なので,書かれたのはその少し前とすると,その後,イギリスEU離脱が国民投票で決まり,トランプ大統領が誕生し,また日本は重要法案を急いで通そうとしている。危機は加速しているのでは。

    戦後の,戦後すぐの平和主義がそろそろ機能しなくなっている,そう感じる。軍隊を持たない,平和を守る国でありたい,でも,他国に攻められたらどうするの? 尊い理念は尊い。でも,現実は。もっと話し合いをしたいと思う。相手の理論を叩きつぶすのではなく,全否定するのでもなく,落とし所を探る。それには時間がかかるけど。

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    2017年05月28日
  • 戦後入門

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    新書と思えない分厚さだが内容も非常に充実。
    戦後の「ねじれ」と対米従属に至る過程と問題点や提案について世界大戦・原爆・憲法・安保など様々な内容を多くの資料を基に丁寧に解説されており、また、タブー視されている事案もしっかり取り上げられている。
    自分を含め戦後の時代を肌で感じたことのない世代にはお勧めの良書。

    ※第三部で引用されているSF作家G・オーウェルの新聞への寄稿文はかなり衝撃的。1945年時点でその後の冷戦構造や核兵器をめぐる世界の動きを予言するような内容。

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    2018年02月24日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    目もくらむようなスーパー秀才エリートだった人たちが、声をそろえてもはや反対することができない空気があったと言っている。ドイツ語で日記を書けるような、言葉を自由自在にあやつることができるエリートたちが、一億人の運命を左右するような決めごとを、最後には言葉でなく空気を読んで身を委ねたと語っている。

    福島の原発事故直後の危機を回避するための政府首脳の重大会議、40年以上も続いた政府の憲法解釈を内閣の形式的合議だけで大きく変えてしまった経緯、いずれも議事録が残っていない。それが僕たちの国の致命的な欠陥だ。これはもう病気と呼んでもさしつかえないと思う。かつて有名な政治学者はこれを壮大なる無責任体制と呼んだ。

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    2016年10月11日
  • 天皇の戦争責任

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    日の丸・君が代から始まった加藤・橋爪の毎日新聞の論争が、司会の竹田を交えた鼎談である本著を生みました。左からの主張ともいうべき国際関係論の加藤は「もし責任があるとすれば、戦後真実を語らなかった責任だとして、家永三郎・井上清・丸山真男ではなく、三島由紀夫こそ、その責任を正しく追及した人だ」と展開する。また、死んだ300万人の日本人たちへの責任はまずアジアで死んだ2000万人への責任に真直ぐに向かうことから始まると。これに対して右からの主張ともいうべき社会学の橋爪はむしろ天皇機関説的な立場から「天皇という場に選択の余地がなく座らされた個人の責任を追及したくない、それは主権者である日本国民としてのプライドでもある」と主張する。2人の立場から考えられる一見常識とは逆転したような主張が逆説的で面白く、日本国憲法の成り立ちについても学ぶことが出来る内容の濃い、ずっしり読みごたえの有る極めて真面目な本です。

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    2013年08月25日
  • 吉本隆明がぼくたちに遺したもの

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    吉本隆明は『言語にとって美とは何か』と『共同幻想論』を読んで、それで終わってしまった。あまり熱心な読者であったわけではない。『言語にとって~』の方はさっぱり分からなかった印象がある。
    この本は、高橋源一郎が語っているということで購入。タカハシさんが吉本隆明にそれほど心酔していたとは知らなかった。どちらかというと批判的かと思っていたのだが。

    この本は、共著で講演を文字に起こしたもの+対談をまとめた形になっているが、やはりこの点のテーマでは対談ものは避けた方がいい。自分が吉本のことをあまり知らないこともあるが、何かの意図が成功しているようにもやはり思えなかった。

    タカハシさんは吉本を語るにしても単著で出した方がいいかと。

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    2013年05月20日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    東大新人会や共産党のことをはじめ、「転向」の問題など、知識の不足が目立つ。

    鶴見はこれらの問題を説明しているのではなく、そうしたことをある程度は前提にしつつ語っているので、まず土台がぐらぐらだと彼の論を十分にわからないだろう。

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    2012年11月20日
  • 日本の無思想

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     この本は去年から読み続けている。私にとっては、「世間」の考察の一環から、この本にたどり着いたわけだが、彼のいう「ねじれ」、日本における「無思想性」を良しとするか悪とするかによって、この問題は「チャラ」になる。読者にはその決定によってこの人の言説向かう必要がある。著者は、このねじれを日本の初めての体験「敗戦」に原因を置こうとしている。しかし、そうであっても、その体験を受け入れた日本人自身の天然的体質には触れようとはしない。日本人が「文化」として古代から蓄積し、いわば体質的に無意識化するほどのわれわれの「要素」は強固で頑固だ。まさにこの要素こそ「世界の非常識」なのだが、これがしっかり日本的となって身についてしまっています。しかも、この要素は戦後に始まったものではない。この要素を「説明」しようとして、西欧理論的に取り組む歴史も明治以来のものだが、どうしても「非理論的、非西欧的」が発生する。問題はこの部分の解明なのだ。となると、k理論的には、この削げ落ちる部分をこの著者はどう処理するかなのである。「タテマエとホンネ」の解明もどうしてもこの部分に触れざるを得ないのである。この非合理性をどうするかである。「極東、Far East」とは西欧理論からの銘銘だが、これは視点をかえると極西ともなり、どちらの文明も、この列島に吹き溜まってしまうということだ。この奇怪な場所の地球自然とそこに住み着く人間の「奇怪な育まれ様」の解明なしには解けない問題である。これにちょうど良い参考書がある。それがつい先ほどここで感想した、日本の自慢話である「日本文明の真価」(清水馨八朗)であろう。
     この本の問題はもう一つ、言説の形式にもある。ここで使われた言説は、公演形式の音声語りの「文字化」である。こういう内容「思想」を言説するにはこの「音声語りの文字化」には無理があり、妙に誤解を生む。

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    2010年04月22日
  • 敗戦後論

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     先生のおすすめからもう一つ。
    「現在の自分を肯定しようとすれば、敵であったもの、自分達を蹂躙した相手を寿がざるをえない、その『ねじれ』こそが敗戦国の国民に背負わされる構造なのだが、そのねじれをねじれとして意識すらしていないという、さらに二重のねじれの中に戦後の日本人はある」

     …ぷは!息きれそうな長文を書いた!がんばった!
     で、戦後の日本人は「ねじれ」の両極にあるものを、それぞれ別の人間を代表させて対立することで、内的な葛藤を避けている…と続きます。あ、これって岸田秀先生の言うところの「黒船来寇以来日本は分裂症である」って話だね?…と思ったら、文中にちゃんと触れられてました。やっぱり。
    ご一新以来の日本人の病理ってことなのかな。

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    2009年10月07日
  • 日本の無思想

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    ホンネとタテマエからみえる戦後日本の思想についてをこれでもかと深く掘り下げた論考。『敗戦後論』の姉妹品とのこと。

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    2009年10月04日