加藤典洋のレビュー一覧
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敗戦国に共通した敗戦後の心理文化的推移(シベルブッシュ) 夢の国、目覚め、不純な勝利、勝者の精神、復讐と報復、再生、勝者からの模倣
太平洋憲章 1941/8 英米が戦争遂行のために発明した認識上の一大武器、第一次大戦後のウィルソンの平和14箇条を踏襲
枢軸国 ローマとベルリンが東経12度、13度と近かった ローマベルリン枢軸
国際連盟からの脱退除名は日本ドイツイタリアとソ連 スターリン自身が4国同盟に乗り気だったこともある
1943/11 大東亜会議、大東亜共同宣言 重光葵が準備 当時中華民国大使
ベルサイユ会議での日本 サイレント・パートナー
人種差別撤廃条項の提案をした
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吉本隆明が亡くなった後、新聞雑誌に数多くの追悼の言葉が溢れたが、その中で最も心に響く追悼文は、朝日新聞に掲載された高橋源一郎氏のものだった(この追悼文は、冒頭に再掲されている)。また、加藤典洋氏は、吉本の思想を世界の思想の中でどう位置付けるかを考え続けているのも見ていた。この二人は、吉本の思想から何を受け取ったのか。
高橋は、戦争中に愛国青年だった吉本が、「みんなで神社へ必勝祈願に行こう」と誘われたが、「なにか浮かない感じ」がしたという体験に注目している。「善いことばっかりいっぱいいるでしょう。それに対してやっぱり浮かない感じがする時には、<浮かないよ、それは>と言うべきであると思います。 -
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1931〜1945年の日本が、どのように軍国主義化したか、それに対抗した人々はどのような人々で、どのようにしたのか。いわば、日本転向史である。15年戦争観からの国内イデオロギー史としてわかりやすく、読みやすくまとまっていると思う。講義録というものの性質上あまり強いメッセージが投げかけられてくるわけではないが、訴えられていることは重要である。それはつまり、この著者がリリアン・ヘルマンを引用しているところによれば、「まともであること」とはどういうことか、ということである。社会の潮流や大きな権力を前にしても、「まともであること」。
戦争の教訓は何か、それは多様に語ることができようが、この本から得られ -
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ネタバレどうやって話しながら生きていけばいいのかを実際的に考えた本でした。
ここでは四人の文筆家が挙げられています。いずれも第二次世界大戦経験者です。すなわち、大岡昇平、太宰治、サリンジャー、ハンナ・アレントの四人です。
では、彼らは生き残ってしまったあと、どんな「語り口」を選んだのか?
まず大岡昇平は、戦争体験という「よごれ」を自覚し、ごまかさないことを選びました。たとえば彼は『俘虜記』にこう書きます。
広島市民とても私と同じ身から出た錆で死ぬのである。兵士となって以来、私はすべて自分と同じ原因によって死ぬ人間に同情を失っている。
彼はどんな死者も超越化しない、そのことによって -
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考えるために書くこと、書き表すこと。硬派な見かけによらず、平易なことばと例えで語られて面白かった。現国の先生を思い出した、こんな先生の講義を受けてみたいものだ。
良い文章とは、1)自分にしか書けないことを 2)だれが読んでもわかるように書く
感動が深くても文章がいいことの保証にはならない。書きたいことがあることは必要条件にすぎない、これの他によそからくるものが必要。過飽和のホウ酸水に結晶ができるように。
吉本ばなな以降の文章、言葉はモノではなくコトに戻った、半独言。言葉を書く経験が、コトバを駆使し、操り、料理することから、何かにぶつかり、何かを考える、というところまで「差し戻され」た。 -
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憲法9条というものがなぜこれ程不思議な法なのか、を解説する書。
ポツダム宣言受諾(終戦)から、日本国憲法成立までの細かな歴史分析で説明する。焦点はダグラス・マッカーサー。彼個人の性格と当時の状況が9条(日本国憲法)を作ったとする。
マッカーサーは当時、次期アメリカ大統領に成るべく行動していた。この中で最大の実績として「太平洋戦争を終わらせ、さらに最高に邪悪な敵国を国連憲章に合致する史上初の平和主義国に生まれ変わらせた」を作りたかった。
これを実現するにあたり、日本側の実情も味方した。「昭和天皇の助命」を至上命題とする日本政府の目標と、実績実現のために天皇制が利用できると見たGHQの利害とが一致 -
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山形から現役合格して6年間東大に在学した著者は、後に有名な文芸評論家になる。本書は余命幾許もない病床で、在学中の全共闘を中心とする学生運動を軸に、主体的でない関わりを通じて彷徨った経験が赤裸々に書き綴られている。
東大闘争は安田講堂の籠城戦を経て、文学部を除き鎮静化していくが、著者の中では無期限ストから離脱宣言しないまま没入していく。在学中は友と呼べる友人がほとんどできず、入学後に感じた'東大はクソだ!'の感慨は'オレもクソだった'という自己発見に帰着する。この心の移ろいを見出すことは難しいが、数少ない友だった詩人・瀬尾育生氏の解説が、著者の細部を照らし