加藤典洋のレビュー一覧

  • 戦後入門

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    敗戦国に共通した敗戦後の心理文化的推移(シベルブッシュ) 夢の国、目覚め、不純な勝利、勝者の精神、復讐と報復、再生、勝者からの模倣

    太平洋憲章 1941/8 英米が戦争遂行のために発明した認識上の一大武器、第一次大戦後のウィルソンの平和14箇条を踏襲

    枢軸国 ローマとベルリンが東経12度、13度と近かった ローマベルリン枢軸 

    国際連盟からの脱退除名は日本ドイツイタリアとソ連 スターリン自身が4国同盟に乗り気だったこともある

    1943/11 大東亜会議、大東亜共同宣言 重光葵が準備 当時中華民国大使


    ベルサイユ会議での日本 サイレント・パートナー
    人種差別撤廃条項の提案をした

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    2015年12月01日
  • 言語表現法講義

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    著者が明治学院大学でおこなった「言語表現法」の授業を再現した本です。

    学生たちの文章に、著者の講評が加えられるとともに、文章を書くためのさまざまな工夫について考察が展開されています。著者の文章にはやや強めのクセがありますが、比喩の表現などには定評があり、本書の説明の中でも、なかなか言葉で説明しにくい文章表現のコツが、卓抜な比喩を通して解説されています。

    評価に著者自身の主観が入ってくることを避けるのではなく、ストレートに著者自身の感受性にしたがって評価がおこなわれているところに、かえって信頼感を抱きます。

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    2015年08月05日
  • 人類が永遠に続くのではないとしたら

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    無限性と有限性についての問いは、自身の今後のテーマにもなり得る。 充分に読みこなすことが出来なかったので、再読を予定。

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    2014年08月31日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    ネタバレ

    日中戦争と太平洋戦争を単一の戦争ととらえるべきかどうか、その一点において鶴見とたとえば佐藤優の議論は大きく分かれる。大川をアジア主義者として評価する佐藤の立場からすれば、日米開戦は日中戦争をアジア解放戦争と位置づける上で避けられなかったと捉えるのが自然であろう。つまり単一の戦争と認識しなければ、歴史事実のご都合主義的つまみ食いになってしまう。
    江藤淳の「無条件降伏批判」に対する反論も。

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    2014年03月08日
  • 吉本隆明がぼくたちに遺したもの

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     吉本隆明が亡くなった後、新聞雑誌に数多くの追悼の言葉が溢れたが、その中で最も心に響く追悼文は、朝日新聞に掲載された高橋源一郎氏のものだった(この追悼文は、冒頭に再掲されている)。また、加藤典洋氏は、吉本の思想を世界の思想の中でどう位置付けるかを考え続けているのも見ていた。この二人は、吉本の思想から何を受け取ったのか。
     高橋は、戦争中に愛国青年だった吉本が、「みんなで神社へ必勝祈願に行こう」と誘われたが、「なにか浮かない感じ」がしたという体験に注目している。「善いことばっかりいっぱいいるでしょう。それに対してやっぱり浮かない感じがする時には、<浮かないよ、それは>と言うべきであると思います。

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    2013年06月05日
  • 吉本隆明がぼくたちに遺したもの

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    「自分はずっと、この本を待っていたのかもしれない」と思うような読書というのがある。それが錯覚や、あるいは後になって、そこまでのことじゃなかったなあ、と考え直すようなことになったとしても、その最初の感想を忘れないでおこうと思う。いましているのは、そういう読書です。

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    2013年05月14日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    1931〜1945年の日本が、どのように軍国主義化したか、それに対抗した人々はどのような人々で、どのようにしたのか。いわば、日本転向史である。15年戦争観からの国内イデオロギー史としてわかりやすく、読みやすくまとまっていると思う。講義録というものの性質上あまり強いメッセージが投げかけられてくるわけではないが、訴えられていることは重要である。それはつまり、この著者がリリアン・ヘルマンを引用しているところによれば、「まともであること」とはどういうことか、ということである。社会の潮流や大きな権力を前にしても、「まともであること」。
    戦争の教訓は何か、それは多様に語ることができようが、この本から得られ

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    2012年11月07日
  • 敗戦後論

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    ネタバレ

     どうやって話しながら生きていけばいいのかを実際的に考えた本でした。

     ここでは四人の文筆家が挙げられています。いずれも第二次世界大戦経験者です。すなわち、大岡昇平、太宰治、サリンジャー、ハンナ・アレントの四人です。
     では、彼らは生き残ってしまったあと、どんな「語り口」を選んだのか?

     まず大岡昇平は、戦争体験という「よごれ」を自覚し、ごまかさないことを選びました。たとえば彼は『俘虜記』にこう書きます。

      広島市民とても私と同じ身から出た錆で死ぬのである。兵士となって以来、私はすべて自分と同じ原因によって死ぬ人間に同情を失っている。

     彼はどんな死者も超越化しない、そのことによって

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    2012年06月01日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    戦時中はもちろん、今の世の政治、経済、マスコミ、人倫その他、いたるところでまともでなくなりつつあるなか、日本の大きな知識人である鶴見俊輔氏の言葉『生き方のスタイルを通してお互いに伝えられるまともさの感覚は、知識人によって使いこなされるイデオロギーの道具よりも大切な精神上の意味をもっています。』に励まされる。

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    2012年03月07日
  • IT時代の震災と核被害

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    あの日、IT企業で何が起こっていたか、から、あの日から、僕らはどこへ向かっていくのか、まで。
    引き受けて考える、ことが、紹介されてる色んな人たちに通奏低音になっていて、宮台さんの文章でしっかりと言語化されて、締まった感じ。いわゆる理系と、いわゆる文系をつなぐ一冊。編集、お疲れさまでした。

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    2011年12月31日
  • 敗戦後論

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    発表直後から言論界で論争を巻き起こした問題作。著者は、日本の戦後をどう認識し、それに対し私たちはどのように向き合っていくべきかを考えていくうえで「ねじれ」の概念を提起しますが、彼は論考を深化させていく過程でその拠り所を最終的に文学に求めています。これは彼が文芸評論家であることを考えれば自然なことではあるけれども、文学にあまりなじみのない自分にとっては一読でその論旨を把握することは不可能でした。全体的には半分は分かるけれど半分は納得いかないと言うような全体的につかみづらい印象でした。内容はかなり濃いので一読の価値はあると思います。

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    2011年12月06日
  • 日本の無思想

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    [ 内容 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年05月29日
  • 言語表現法講義

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    この本はおろか、中で参考図書として挙げられている本もその多くが絶版……。
    文を書くことが、人間らしさだと思うのに。

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    2010年04月24日
  • 天皇の戦争責任

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    ないものねだりなのだけれど、こういう大マジメな議論をやっても、現実には何の影響もないだろうなあという徒労感が先に立つ。

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    2010年01月31日
  • 言語表現法講義

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    考えるために書くこと、書き表すこと。硬派な見かけによらず、平易なことばと例えで語られて面白かった。現国の先生を思い出した、こんな先生の講義を受けてみたいものだ。
    良い文章とは、1)自分にしか書けないことを 2)だれが読んでもわかるように書く
    感動が深くても文章がいいことの保証にはならない。書きたいことがあることは必要条件にすぎない、これの他によそからくるものが必要。過飽和のホウ酸水に結晶ができるように。
    吉本ばなな以降の文章、言葉はモノではなくコトに戻った、半独言。言葉を書く経験が、コトバを駆使し、操り、料理することから、何かにぶつかり、何かを考える、というところまで「差し戻され」た。

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    2009年10月04日
  • 日本の無思想

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    ヘラスとオイコス、政治と経済、公共性と私的なもの、神と精霊などを通じて、戦後日本のホンネとタテマエを読み解き、「私利私欲に立脚する公共性」の樹立を目指す。広範な読書と綜合による論理の展開が楽しい。

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    2009年10月07日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    78年から80年にかけてカナダの大学での講義を納めたもの。なのでやや思想的に古い箇所が散見されるが、それを補って余りあるほどの内容の本。
    当時の日本人の思想がどのようなものであったか知りたい人は必読の書。

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    2009年10月04日
  • 「戦後再発見」双書8 9条入門

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    憲法9条というものがなぜこれ程不思議な法なのか、を解説する書。
    ポツダム宣言受諾(終戦)から、日本国憲法成立までの細かな歴史分析で説明する。焦点はダグラス・マッカーサー。彼個人の性格と当時の状況が9条(日本国憲法)を作ったとする。
    マッカーサーは当時、次期アメリカ大統領に成るべく行動していた。この中で最大の実績として「太平洋戦争を終わらせ、さらに最高に邪悪な敵国を国連憲章に合致する史上初の平和主義国に生まれ変わらせた」を作りたかった。
    これを実現するにあたり、日本側の実情も味方した。「昭和天皇の助命」を至上命題とする日本政府の目標と、実績実現のために天皇制が利用できると見たGHQの利害とが一致

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    2025年03月01日
  • オレの東大物語 1966――1972

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    山形から現役合格して6年間東大に在学した著者は、後に有名な文芸評論家になる。本書は余命幾許もない病床で、在学中の全共闘を中心とする学生運動を軸に、主体的でない関わりを通じて彷徨った経験が赤裸々に書き綴られている。
    東大闘争は安田講堂の籠城戦を経て、文学部を除き鎮静化していくが、著者の中では無期限ストから離脱宣言しないまま没入していく。在学中は友と呼べる友人がほとんどできず、入学後に感じた'東大はクソだ!'の感慨は'オレもクソだった'という自己発見に帰着する。この心の移ろいを見出すことは難しいが、数少ない友だった詩人・瀬尾育生氏の解説が、著者の細部を照らし

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    2023年02月02日
  • 敗者の想像力

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    敗戦後論から20年。さまざまに論じた加藤典洋の1冊だが、白眉は大江健三郎論なのだと思うが、残念ながら初期の小説群以外全く読んでいない。しかし、大江が晩年「沖縄ノート」で非難した集団自決事件への名誉棄損裁判の行方には関心があった。もう一度大江の小説群を読んでみようと思う。

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    2022年12月31日